双極性障害は、躁状態とうつ状態をくりかえす病気です。
双極性障害で障害年金を受給される場合、障害の程度によって日常生活にどの程度の支障が出るかによって1級から3級の判定が出されます。
双極性障害で障害年金を受給する場合のポイントを、障害年金専門社労士がわかりやすくご説明します。
目次
この記事の監修者 社会保険労務士 松岡由将
年間2,000件以上の問い合わせがある「全国障害年金サポートセンター」を運営する障害年金専門の社会保険労務士法人「わくわく社会保険労務士法人」の代表社労士。
障害年金コンサルタントとしてtwitter(まっちゃん@障害年金の悩み解決するよ)やYouTube(まっちゃんの障害年金カフェ)などでも障害年金に関するさまざまな情報を発信している。
ICD-10コードとは?
うつ病で障害年金を申請する際は、診断書の病名の横にあるICD-10コード記入欄へコードの記載が必要になります。
ICD10コードとは、分かりやすく言うと、『精神障害には多くの傷病名があって分かり難いので、国際的にある程度分類してコードで表しましょう』ということです。
双極性障害の場合、主に『F3 気分[感情]障害』の『F31 双極性感情障害<躁うつ病>』に該当します。
ICD10コードに関しましては『ICD-10コードとは』で詳しくご説明していますので、ご参照ください。
F31 双極性感情障害<躁うつ病>の申請事例
F31.1 双極性感情障害, 現在精神病症状を伴わない躁病エピソードの申請事例
双極性感情障害, 現在精神病症状を伴わない躁病エピソードの申請事例一覧
F31.5 双極性感情障害, 現在精神病症状を伴う重症うつ病エピソードの申請事例
F31.6 双極性感情障害, 現在混合性エピソードの申請事例
F31.8 その他の双極性感情障害の申請事例
F31.9 双極性感情障害, 詳細不明の申請事例
双極性障害の「障害の程度」の判定
双極性障害に対する障害年金は、双極性障害により日常生活に継続的に制限が生じて支援が必要な場合に、その障害の程度(=日常生活の制限度合いや労働能力の喪失)に応じて障害等級を決定しされ、等級に応じた障害年金が支給されます。
障害の程度は、以下にご説明する「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」の「日常生活能力の判定」と「日常生活能力の程度」を基準に判定されます。
双極性障害の申請で不支給になった事例(再申請で受給決定)
この「日常生活能力の判定」と「日常生活能力の程度」を医師にきちんと伝えられないことで、症状が本来よりも軽いと判断されて、障害年金が受給不可という審査結果になることもありますので、十分注意が必要です。
当サイトの『【無料受給判定】精神の障害年金無料診断』で必要事項を入力頂ければ、すぐに判定結果が表示されますので、是非お試しください。
精神の障害に係る等級判定ガイドライン
精神の障害に係る等級判定ガイドラインは、日本の厚生労働省が策定したもので、精神障害を持つ人々の状態や社会生活への影響を評価し、障害の程度に応じて等級を判定するための基準を示しています。
「日常生活能力の判定」と「日常生活能力の程度」によって障害等級を判定するための基準が示されています。
「日常生活能力の判定」とは
「日常生活能力の判定」とは、個人が日常生活において自立して行動することができるかどうかを判断することです。
『障害年金の診断書(精神の障害用)』の「⑩障害の状態(ウ 日常生活状況)」部分に記載されます。
具体的には、以下の7つの項目に関してどの程度できるかを記載します。
- 適切な食事
- 身辺の清潔保持
- 金銭管理と買い物
- 通院と服薬
- 他人との意思伝達及び対人関係
- 身辺の安全保持及び危機対応
- 社会性
「日常生活能力の程度」とは
「日常生活能力の程度」とは、個人の日常生活能力のレベルを表す指標です。
「日常生活能力の程度」は、「日常生活能力の判定」の7つの場面も含めた日常生活全般における制限度合いを包括的に評価するものです。
- 精神障害(病的体験・残遺症状・認知障害・性格変化等)を認めるが、社会生活は普通にできる。
- 精神障害を認め、家庭内での日常生活は普通にできるが、社会生活には援助が必要である。
- 精神障害を認め、家庭内での単純な日常生活はできるが、時に応じて援助が必要である。
- 精神障害を認め、日常生活における身のまわりのことも、多くの援助が必要である。
- 精神障害を認め、身のまわりのこともほとんどできないため、常時の援助が必要である。
双極性障害での障害年金の等級
先ほどご説明したように障害年金は病名で等級が決まるのではなく、「日常生活能力の判定」と「日常生活能力の程度」によって障害等級が判定されます。
双極性障害で障害年金1級の受給事例
双極性障害で1級を受給されている事例は多くはありませんが、実際に受給が認められた事例はあります。
双極性障害|障害基礎年金1級
支給額 | 年額 約97万円 |
---|---|
障害の状態 |
|
双極性障害|障害共済年金1級
支給額 | 年額 約98万円 |
---|---|
障害の状態 |
|
双極性障害で障害年金2級の受給事例
働いていたり、一人暮らしをされている場合でも、「日常生活能力の判定」と「日常生活能力の程度」によっては2級の判定となる場合もあります。
双極性障害|障害厚生年金2級(精神疾患で一人暮らしの事例)
支給額 | 年額 約143万円 |
---|---|
障害の状態 |
|
双極性障害で障害年金3級の受給事例
3級は初診日の時点で厚生年金又は共済年金に加入されている必要があります。
双極性障害|障害厚生年金3級(4回転院していた事例)
支給額 | 年額 約58万円 |
---|---|
障害の状態 |
|
双極性障害での遡及請求
遡って障害年金の支給を受けることを「遡及請求」と言います。
双極性障害で遡及請求が認められた事例もあります。
双極性障害|障害基礎年金2級
こちらは障害基礎年金2級で遡及請求が認められた事例です。
支給額 | 年額 約78万円 遡及金額 約280万円 |
---|---|
障害の状態 |
|
双極性障害|障害基礎年金2級(遡及請求のみ申請した事例)
こちらは事後重症申請で障害年金2級の支給が決定された後に、あらためて遡及請求をおこなって遡及が認められた事例です。
支給額 | 遡及金額 約390万円 |
---|---|
障害の状態 |
|
双極性障害で働きながら障害年金を受給
双極性障害を患いながらでも働いている場合には障害年金を受給できないと思われている方もいらっしゃいますが、症状の重さなどの要件を満たす場合には障害年金を受給することができる可能性があります。
(『【社労士が解説】働きながら障害年金を受給するための注意点』でも詳しくご説明していますので、是非ご参照下さい。)
申請時に双極性障害で働いていた事例
双極性障害を患われていても、就労の環境を整えている障害者雇用などで働かれている方はいらっしゃいます。
一般企業でフルタイムで働かれている場合でも、職場での配慮などがあることで何とか働くことが出来るという方もいらっしゃいます。
そのように環境のおかげでなんとか就労できているという場合には、障害年金を受給できた事例もあります。
双極性障害で正社員でフルタイムで働いて受給できた事例
障害年金を受給後に働き始めた事例
障害年金を申請した時点では働いていなかった方が受給後に働き始めるというケースもあります。
「働き始めたら更新ができないのでは・・・」と、心配される方もいらっしゃいます。
障害年金の更新手続きでは、「障害状態確認届(更新用の診断書様式)」により引き続き障害年金が受けられる障害状態にあるのかどうか、障害状態(等級)に変更はないか確認が行われます。
更新時の症状の状態やその他の要件が受給要件を満たす場合は、働き始めた後でも更新は可能です。
双極性障害で一人暮らしをしながら障害年金を申請
一人暮らしをされている場合も、障害年金の受給はできないと思われている方もいらっしゃると思います。
一人暮らしをされている場合も、働いている場合と同じく、症状の重さなどの要件を満たす場合には障害年金を受給することができる可能性があります。
(『【社労士が解説】一人暮らしで障害年金を申請する注意点』でも詳しくご説明していますので、是非ご参照下さい。)
双極性障害で一人暮らしをしながら受給できた事例
双極性障害を患われていても、さまざまな事情で一人暮らしをされている方はいらっしゃいます。
「一人暮らしをしている理由」と「一人暮らしであるが、日常生活において、決して自立できていないこと」の2点を明確にすることが重要になります。
双極性障害の障害の事例
双極性障害の障害の新着事例
よく読まれる双極性障害の障害の事例
まとめ
いかがでしたでしょうか。
双極性障害で障害年金を申請する場合の注意点をお分かりいただけたかと思います。
特に「日常生活能力の判定」と「日常生活能力の程度」を医師にきちんと伝えることが重要になります。
障害年金の申請にお悩みの方はお気軽に当事務所にお問い合わせください。