
統合失調症で生活や就労に支障があり、障害年金の受給を検討されている方は少なくありません。
「自分の症状でももらえるのか」「働いていると申請できないのでは」と不安に思われる方も多いはずです。
結論からお伝えすると、統合失調症の方は要件を満たすことで障害年金を受給できる可能性があります。
本記事では、認定基準・等級・金額・申請のポイント・もらえないと言われるケースまで、社会保険労務士の視点で順に解説します。
弊事務所(わくわく社会保険労務士法人/全国障害年金サポートセンター)は、これまで多くの統合失調症の方の障害年金申請をサポートしてまいりました。
実際の事例も随所に紹介しながら、可能な限り具体的にお伝えします。
目次
統合失調症と障害年金の関係
統合失調症は、障害年金の対象疾病として「精神の障害」に位置づけられています。
陽性症状・陰性症状・認知機能障害の3側面から日常生活への影響が評価され、要件を満たせば受給できる可能性があります。
統合失調症は「精神の障害」として障害年金の対象
障害年金の認定は、厚生労働省の定める「国民年金・厚生年金保険障害認定基準」に基づいて行われます。
統合失調症は、その第8節「精神の障害」のうち「A 統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害並びに気分(感情)障害」に分類されています。
統合失調症は、認定基準上、認定対象として明確に位置づけられている代表的な精神疾患です。
認定基準には「予後不良の場合もあり、別表に定める障害の状態に該当すると認められるものが多い」とも記載されており、要件を満たせば認定される可能性のある疾患として位置づけられています。
認定で考慮される症状の3側面
統合失調症の認定では、診断書に記載される症状や日常生活状況が総合的に評価されます。
一般的に統合失調症の症状は、次の3側面で整理されます。
- 陽性症状:幻覚、妄想、思考障害など
- 陰性症状(残遺状態):自閉(ひきこもり)、感情の平板化(感情鈍麻)、意欲の減退など
- 認知機能障害:記憶力・注意集中力・判断力の低下など
陰性症状(残遺状態)は重要な評価要素の一つですが、それだけでなく陽性症状の有無、認知機能の状態、治療経過、療養状況、日常生活状況、就労・支援状況など複数の要素を総合して判断されます。
陽性症状が一定程度軽減していても、陰性症状が持続して日常生活に著しい制限を生じている場合、認定対象となる可能性があります。
なお、本記事は障害認定基準上の一般論を解説するもので、個別の医学的な診断や治療の判断には触れません。
症状や治療については主治医にご相談ください。
統合失調症で障害年金を受給するための3つの要件
統合失調症の方が障害年金を受給するには、傷病名にかかわらず共通の3要件を満たす必要があります。初診日要件・保険料納付要件・障害認定基準該当の3つです。それぞれ統合失調症の方に特有の注意点もありますので、順に確認していきましょう。
初診日要件 — 統合失調症で特に注意したい点
初診日 とは、障害の原因となった傷病で初めて医師の診療を受けた日を指します。
初診日にどの年金制度に加入していたかで、受給できる年金の種類(障害基礎年金/障害厚生年金)が決まります。
障害基礎年金の対象となる初診日は、次の3パターンです。
- 国民年金加入中(自営業・専業主婦・学生など第1号・第3号被保険者の方を含む)
- 20歳前(年金制度に加入していない期間)
- 日本国内に住んでいる60歳以上65歳未満で年金制度に加入していない期間
初診日が厚生年金加入中の場合は、障害厚生年金(1〜3級)の対象となり、1〜2級に該当する場合は障害基礎年金も併給されます。
統合失調症の場合、初診日について次のような点に注意が必要です。
- 通院を中断した期間がある場合:症状が一時的に落ち着いて通院を中断し、数年後に再受診したケースでは、再受診日ではなく当初の受診日が初診日と判断される可能性があります(社会的治癒に該当しない場合)。
- 初診時の傷病名が異なる場合:当初は「強迫神経症」「うつ状態」等と診断され、その後「統合失調症」に診断名が変わったケースでは、相当因果関係が認められれば当初の受診日を初診日とすることがあります。
- 20歳前に初診日がある場合:20歳前に医療機関を受診していた場合は、保険料納付要件が問われない20歳前傷病として申請する選択肢があります。
保険料納付要件(原則3分の2要件と特例)
初診日の前日において、初診日のある月の前々月までの被保険者期間における保険料納付状況が問われます。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 原則(3分の2要件) | 保険料納付済期間と保険料免除期間を合算した期間が、被保険者期間の3分の2以上あること |
| 特例(直近1年要件) | 初診日が 令和18年(2036年)3月末日まで にあり、かつ初診日において65歳未満である場合は、直近1年間に保険料の未納がなければ要件を満たす |
特例の期限は法改正で順次延長されてきた経緯があるため、最新の特例期限を必ずご確認ください。なお、初診日が20歳前(年金制度未加入期間)である場合は、保険料納付要件は問われません。
障害認定基準該当 — 障害認定日と事後重症請求
障害認定日 は、原則として初診日から1年6ヶ月を経過した日です。
この時点で障害認定基準上の等級に該当していれば、障害認定日請求(過去にさかのぼっての遡及請求を含む)が可能です。
障害認定日には該当しなかったが、その後に症状が悪化して現時点で該当する場合は、事後重症請求 ができます(原則として65歳の誕生日の前々日までに請求が必要)。
統合失調症の障害認定基準と等級(1級・2級・3級)
統合失調症の等級判定は、障害認定基準に示された1〜3級の状態例示と、後述する等級判定ガイドラインの目安表を組み合わせて行われます。
ここでは認定基準の本文を引用しつつ、各等級の要点を解説します。
認定基準の体系(基本的考え方)
障害認定基準では、精神の障害の認定について次のように規定されています。
精神の障害の程度は、その原因、諸症状、治療及びその病状の経過、具体的な日常生活状況等により、総合的に認定するものとする。
(出典:厚生労働省「国民年金・厚生年金保険障害認定基準」第8節 精神の障害)
つまり、傷病名や検査結果のみで等級が決まるのではなく、症状・経過・日常生活状況・就労状況などが 総合的に 判断される点が大きな特徴です。
1級・2級・3級の状態例示
障害認定基準では、統合失調症について次のように等級ごとの状態が例示されています。
1級:統合失調症によるものにあっては、高度の残遺状態又は高度の病状があるため高度の人格変化、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験が著明なため、常時の援助が必要なもの
2級:統合失調症によるものにあっては、残遺状態又は病状があるため人格変化、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験があるため、日常生活が著しい制限を受けるもの
3級:統合失調症によるものにあっては、残遺状態又は病状があり、人格変化の程度は著しくないが、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験があり、労働が制限を受けるもの
(出典:厚生労働省「国民年金・厚生年金保険障害認定基準」第8節 精神の障害)
ここで重要な制度的留保があります。障害基礎年金は1級と2級のみが対象 であり、3級は 障害厚生年金のみ の等級です。
初診日に国民年金加入中だった方や20歳前傷病の方は、1級または2級に該当しない限り障害年金は支給されません。
認定の総合判断と「残遺状態」の重要性
残遺状態 とは、急性期の症状(興奮や昏迷など)を経過した後に、活動性の低下・感情の平板化・自発性の欠如・会話量や内容の貧困などが支配的になった状態を指します。
統合失調症の認定では、この残遺状態が 日常生活にどの程度影響しているか が大きな判定要素となります。
陽性症状が軽減していても、陰性症状の影響で日常生活に著しい制限が続いている場合、2級に該当する可能性があります。
また、認定基準には次の重要な定めがあります。
統合失調症は、予後不良の場合もあり、(中略)罹病後数年ないし十数年の経過中に症状の好転を見ることもあり、また、その反面急激に増悪し、その状態を持続することもある。したがって、統合失調症として認定を行うものに対しては、発病時からの療養及び症状の経過を十分考慮する。
(出典:厚生労働省「国民年金・厚生年金保険障害認定基準」第8節 精神の障害)
つまり、現在の症状だけでなく 発症からの経過全体 が考慮されます。
詳しくは厚生労働省・日本年金機構の公開資料もご参照ください。
精神の障害に係る等級判定ガイドラインの目安表
平成28年9月1日から、精神の障害については「国民年金・厚生年金保険 精神の障害に係る等級判定ガイドライン」(厚生労働省)に基づく審査が行われています。
診断書裏面の「日常生活能力の判定」と「日常生活能力の程度」から等級の目安が示される仕組みです。
日常生活能力の判定(7項目を4段階で評価)
診断書では、次の7項目について医師が状態を評価します。
- 適切な食事
- 身辺の清潔保持
- 金銭管理と買い物
- 通院と服薬(要・不要)
- 他人との意思伝達及び対人関係
- 身辺の安全保持及び危機対応
- 社会性
各項目は次の4段階で評価されます。
- 1:できる
- 2:自発的にできるが時には助言や指導を必要とする
- 3:自発的かつ適正に行うことはできないが助言や指導があればできる
- 4:助言や指導をしてもできない若しくは行わない
この評価は、一人暮らしを想定して 行うこととされています。実際にご家族と同居していても、「一人で暮らした場合にどの程度できるか」という視点で判定されます。
日常生活能力の程度(5段階の例示)
「日常生活能力の程度」では、全般的な状態が次の5段階で評価されます。
- (1) 精神障害を認めるが、社会生活は普通にできる
- (2) 精神障害を認め、家庭内での日常生活は普通にできるが、社会生活には援助が必要
- (3) 精神障害を認め、家庭内での単純な日常生活はできるが、時に応じて援助が必要
- (4) 精神障害を認め、日常生活における身のまわりのことも、多くの援助が必要
- (5) 精神障害を認め、身のまわりのこともほとんどできないため、常時の援助が必要
等級の目安表(縦軸:判定平均/横軸:程度)
「日常生活能力の判定」の7項目の平均値(縦軸)と、「日常生活能力の程度」(横軸)を組み合わせ、次のような等級の目安が示されます。
| 判定平均 \ 程度 | (5) | (4) | (3) | (2) | (1) |
|---|---|---|---|---|---|
| 3.5以上 | 1級 | 1級又は2級 | — | — | — |
| 3.0以上3.5未満 | 1級又は2級 | 2級 | 2級 | — | — |
| 2.5以上3.0未満 | — | 2級 | 2級又は3級 | — | — |
| 2.0以上2.5未満 | — | 2級 | 2級又は3級 | 3級又は3級非該当 | — |
| 1.5以上2.0未満 | — | — | 3級 | 3級又は3級非該当 | — |
| 1.5未満 | — | — | — | 3級非該当 | 3級非該当 |
(出典:厚生労働省「国民年金・厚生年金保険 精神の障害に係る等級判定ガイドライン」〔表1〕障害等級の目安)
※「—」の部分は、判定平均と程度の組み合わせとして目安が示されていない領域です。
※表内の「3級」は、障害基礎年金を認定する場合には「2級非該当」と置き換えられます。
※この表はあくまで 目安 であり、最終的な等級は症状の経過・治療内容・就労状況・生活環境などを含めた総合評価で決まります。
表に示された等級と実際の認定結果が異なる場合があります。
ガイドライン原文(厚労省PDF)もあわせてご参照ください。
厚生労働省「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」(PDF)
統合失調症で受給できる障害年金の金額(令和8年度)
統合失調症で障害年金が認定された場合、等級や初診日の加入制度によって受給額が変わります。
ここでは 令和8年度(2026年4月〜) の金額をご紹介します。年金額は毎年度改定されるため、最新版は日本年金機構の公式情報でご確認ください。
障害基礎年金(1級・2級)の年額
初診日に国民年金加入中だった方(自営業・専業主婦・学生など)、20歳前傷病の方、または60歳以上65歳未満で年金制度未加入の国内在住期間に初診日がある方が対象となるのが、障害基礎年金です。
令和8年度の金額は次のとおりです。
| 等級 | 年額(令和8年度) | 月額(参考・約) |
|---|---|---|
| 1級 | 1,059,125円 | 約88,260円 |
| 2級 | 847,300円 | 約70,608円 |
※昭和31年4月1日以前生まれの方は別額(1級1,056,125円、2級844,900円)。
※月額は端数処理の関係で年額×1/12と一致しないため「約」を付しています。
これに加えて、子の加算 があります。対象は18歳到達年度の末日までの子、または 20歳未満で障害等級1級または2級の状態にある子 です。
- 第1子・第2子:各243,800円(令和8年度)
- 第3子以降:各81,300円(令和8年度)
障害厚生年金(1〜3級)
初診日に厚生年金に加入していた方は、障害基礎年金に上乗せして(または3級単独で)障害厚生年金を受給できます。
| 等級 | 障害厚生年金(報酬比例部分・1〜2級は障害基礎年金に上乗せ) |
|---|---|
| 1級 | 報酬比例の年金額 × 1.25 + 配偶者加給年金額(該当時) |
| 2級 | 報酬比例の年金額 + 配偶者加給年金額(該当時) |
| 3級 | 報酬比例の年金額(最低保障額 635,500円・令和8年度) |
障害手当金について:障害厚生年金とは別の 一時金 の制度で、初診日に厚生年金加入中であった方が、初診日から5年以内に傷病が治った(または症状固定した) うえで、3級に至らない一定の障害が残った場合に支給されます(最低保障額は令和8年度で1,271,000円)。
継続的な治療が必要な統合失調症の場合は、通常は障害手当金ではなく障害厚生年金の対象として申請を検討することになります。
初診日に厚生年金加入中で1級または2級に該当する方の総額イメージ:
- 1級の方:障害基礎年金 1,059,125円 + 障害厚生年金(報酬比例 × 1.25) + 配偶者加給年金額(該当時)
- 2級の方:障害基礎年金 847,300円 + 障害厚生年金(報酬比例部分) + 配偶者加給年金額(該当時)
※報酬比例部分は過去の標準報酬月額・厚生年金加入期間・300月みなしの適用有無・配偶者加給年金の該当有無により大きく変動するため、上記の総額イメージはあくまで概念図です。目安として年額の合計が140万〜250万円程度となるケースもありますが、これを下回る場合も上回る場合もあります。
※昭和31年4月1日以前生まれの方は、3級の最低保障額は 633,700円、障害手当金の最低保障額は 1,267,400円 となります。
配偶者加給年金額(令和8年度) は243,800円です。なお、配偶者が一定の老齢厚生年金(被保険者期間20年以上等)や障害年金を受けられる間は、配偶者加給年金額が支給停止される場合があります。
障害年金生活者支援給付金(令和8年度・参考)
障害基礎年金を受けている方で、前年所得が一定基準以下の方には、別途 障害年金生活者支援給付金 が支給されます。
所得基準は原則として「4,794,000円 + 扶養親族の数 × 38万円」以下ですが、扶養親族の区分により加算額が異なります(老人扶養親族・70歳以上の同一生計配偶者は48万円、特定扶養親族または16歳以上19歳未満の扶養親族は63万円)。
なお、障害年金等の非課税収入は所得判定に含まれません。
- 1級:月額7,025円
- 2級:月額5,620円
障害年金とは別に申請手続きが必要です。
金額の詳細は、【令和8年度】障害年金でもらえる金額 と 統合失調症でもらえる障害年金の金額はいくら? もあわせてご参照ください。
申請のポイント(診断書・病歴就労状況等申立書)
統合失調症で障害年金を申請する際、認定の鍵を握るのは 診断書 と 病歴・就労状況等申立書 の整合性です。
診断書だけ、申立書だけでは見えない実態を、両者で立体的に伝えることが重要となります。
ここでは社労士の実務視点で押さえておきたいポイントを解説します。
診断書(様式第120号の4・精神の障害用)依頼時のポイント
精神の障害用の診断書は 様式第120号の4 を使用します。
記載される内容のうち、特に等級判定に影響するのは次の3点です。
- 病名と ICD-10コード(統合失調症はF20、統合失調型障害はF21など)
- 「日常生活能力の判定」(7項目4段階)と「日常生活能力の程度」(5段階)
- 現在の症状、治療内容、就労状況の記載
主治医に診断書をお願いする際は、診察室では伝えきれていない 日常生活の実態 をメモにまとめてお渡しする方が、症状の実態が反映されやすくなります。
たとえば「食事の準備に時間がかかる」「金銭管理が難しく家族の支援を受けている」など、具体的な生活場面を記したメモが有効です。
なお、診断書の記載内容について医師に指示するような表現は避ける必要があります。
あくまで「日常生活の状況をお伝えする」というスタンスで、最終的な記載は主治医のご判断にゆだねてください。
ICD-10コードについては、こちらでより詳しく解説しています。
病歴・就労状況等申立書の書き方
病歴・就労状況等申立書 は、発症から現在までの病歴・就労状況・日常生活状況を、申請者側の言葉で時系列にまとめる書類です。
診断書を補完する重要な書類で、社労士の専門領域でもあります。
統合失調症の場合は、次のような工夫が有効です。
- 発症前の生活と発症後の変化を、時系列で具体的に記載する
- 通院中断期間がある場合は、その期間も含めて症状の継続状況を記載する
- 一人暮らしや就労状況については、できていることではなく 援助の有無・程度 を中心に記載する
病歴・就労状況等申立書の詳しい書き方 もあわせてご参照ください。
初診日証明と通院中断期間の扱い
初診日を証明する書類は 受診状況等証明書(初診医療機関で作成)が原則ですが、カルテの保管期間(原則5年)を過ぎていると取得できないことがあります。
その場合は、「受診状況等証明書が添付できない申立書」 + 第三者証明や2番目以降の医療機関のカルテ記載などの代替書類で対応します。
通院中断期間がある統合失調症のケースでは、「病気が治癒した」とみなされて再受診日が初診日とされてしまうリスクがあります。
中断期間中も病気そのものは継続していたことを、病歴・就労状況等申立書で具体的に伝えることが必要です。
初診日が20年以上前で障害年金 もご参照ください。
「働きながら」「一人暮らし」でも障害年金は受給できるか
「働いていると障害年金はもらえないのでは」「一人暮らしだと自立しているとみなされて不利になるのでは」というご質問は、統合失調症の方から特に多く寄せられます。
結論からお伝えすると、いずれも受給できる可能性はあります。ただし注意すべき視点があります。
就労していても受給できる可能性
精神の障害に係る等級判定ガイドラインには、就労に関して次の重要な定めがあります。
労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、現に労働に従事している者については、その療養状況を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況などを十分確認したうえで日常生活能力を判断する。
(出典:厚生労働省「国民年金・厚生年金保険 精神の障害に係る等級判定ガイドライン」〔表2〕④就労状況)
つまり、就労していること自体が認定の妨げになるわけではありません。
障害者雇用枠での就労、就労継続支援B型事業所の利用、短時間勤務、職場での配慮を受けている場合 などは、就労の状況として診断書・申立書に丁寧に反映する必要があります。
弊事務所では、就労されている統合失調症の方の申請も多く手がけています。
※個別事案により判断は異なります。
働きながら障害年金をもらえる人 もあわせてご参照ください。
一人暮らしの方の判定上の注意点
一人暮らしの方の場合、「一人で生活できている=日常生活能力が高い」と単純に評価されてしまうリスクがあります。
実際には、自治体・福祉サービス・家族の支援を受けながら、ようやく一人暮らしが維持できているケースが少なくありません。
申請の際は、次のような支援の実態を病歴・就労状況等申立書に具体的に記載することが大切です。
- 家族による定期的な訪問や金銭管理の支援
- 訪問看護やヘルパー、相談支援専門員などの福祉サービス利用状況
- 服薬管理や通院同行の必要性
- 食事・洗濯・掃除など家事の困難さ
- 統合失調症・障害基礎年金2級(一人暮らしで生活困難だった事例)
※個別事案により判断は異なります。
一人暮らしで障害年金をもらえる人 もあわせてご参照ください。
統合失調症で障害年金が「もらえない」と言われるケース
「働いていると無理」「精神保健福祉手帳3級だから対象外」「病識が薄いと不利」など、統合失調症の障害年金には誤解も少なくありません。
これらは認定基準上、即座に受給を否定する要件ではなく、書類の準備次第で受給可能性が変わる事項です。
一方で、要件を満たしていても書類の不備で不支給となってしまうケースもあります。
代表的なパターンと対処方針を整理します。
不支給になりやすい代表パターン
実務上、次のようなケースで不支給となることが多く見られます。
- 保険料納付要件を満たしていない(初診日前日時点の納付実績不足)
- 初診日が証明できない(カルテ廃棄・複数医療機関・通院中断などで初診日が特定できない)
- 日常生活能力が「自立」と評価されている(診断書の記載が実態より軽い)
- 診断書と病歴・就労状況等申立書の内容が整合していない
- 就労状況が「健常者と同等」と評価されている(障害者雇用・配慮の実態が反映されていない)
特に統合失調症では、本人が「大丈夫です」と医師に答える傾向があり(病識欠如)、実際の生活困難さが診断書に反映されにくいことがあります。
ご家族や支援者から見た日常生活の様子を、メモや書面で主治医にお伝えする工夫が有効です。
不支給後の選択肢(再請求・審査請求・再審査請求)
不支給の決定を受けた場合の選択肢は次のとおりです。
| 選択肢 | 内容 | 期限 |
|---|---|---|
| 再請求 | 時期を置いて再度請求(症状悪化時など) | 期限なし(65歳の前々日までなどの制約あり) |
| 審査請求 | 社会保険審査官への不服申立て | 決定があったことを知った日の翌日から3か月以内 |
| 再審査請求 | 社会保険審査会への不服申立て | 審査請求の決定書送付日の翌日から2か月以内 |
詳しくは 統合失調症では障害年金をもらえない? もご参照ください。
統合失調症の障害年金の事例
弊事務所(全国障害年金サポートセンター)では、統合失調症の方の障害年金申請を多数サポートしてまいりました。
年代・就労状況・初診日の特定有無など、様々なパターンがあります。以下は実際の事例の一部です。
- 20代男性・統合失調症・障害厚生年金2級認定の事例(短時間勤務を継続されていた事例)
- 統合失調症・障害基礎年金2級(一人暮らしで生活困難だった事例)
- 統合失調症・障害基礎年金2級(初診日が中学生時代だった事例・20歳前傷病)
- 統合失調症・障害厚生年金2級(初診時の傷病名が異なっても相当因果関係が認められた事例)
※個別事案により判断は異なります。上記事例は弊事務所がサポートさせていただいた実例ですが、同じ条件であれば同じ結果が得られることを保証するものではありません。最終的な認定は日本年金機構の認定医による審査によります。
統合失調症の障害年金に関するよくあるご質問
最後に、統合失調症の方やご家族からよく寄せられるご質問にお答えします。
Q1. 統合失調症の障害年金はいくらもらえますか?
等級と初診日の加入制度によって異なります。
令和8年度(2026年度)では、障害基礎年金1級が年額1,059,125円、2級が847,300円となります。障害厚生年金が併給される場合は、報酬比例部分(個人差大)が上乗せされます。
詳しくは、統合失調症でもらえる障害年金の金額はいくら? もあわせてご覧ください。
Q2. 統合失調症だと何級になりやすいですか?
等級は症状の経過・日常生活能力・就労状況・診断書の記載内容などを総合評価して個別に判断されるため、傷病名だけで決まることはありません。
傾向として、障害基礎年金(国民年金加入中の初診日)では2級認定が中心となりやすい一方、障害厚生年金(厚生年金加入中の初診日)では3級認定も多く見られます。
詳しい目安は本記事の「精神の障害に係る等級判定ガイドラインの目安表」をご参照ください。
Q3. 初診日が10年以上前で証明できない場合は?
初診医療機関のカルテが廃棄されていても、第三者証明や2番目以降の医療機関のカルテ記載、当時の診察券・領収書などの代替資料で初診日が認められる場合があります。
初診日が20年以上前で障害年金 もご参照ください。
Q4. 障害年金を受給すると更新で落ちる可能性は?
障害年金は永久認定のケースを除き、原則として1〜5年ごとに更新があります。
症状の改善・就労状況の変化などで等級が変更されたり、支給停止となる可能性はあります。
更新時にも診断書の記載が重要となります。
まとめ
統合失調症は、障害認定基準上、認定対象として明確に位置づけられている代表的な精神疾患の一つです。
要件を満たすことで受給できる可能性は十分にあります。
最後に、本記事の要点を振り返ります。
- 統合失調症は「精神の障害」第8節Aに位置づけられ、陽性症状・陰性症状・認知機能障害が認定で考慮される
- 等級判定は、認定基準の1〜3級例示と等級判定ガイドラインの目安表を組み合わせた 総合判断
- 残遺状態が日常生活にどの程度影響しているかが大きな要点
- 申請では 診断書と病歴・就労状況等申立書の整合性 が鍵を握る
- 就労中・一人暮らしでも、援助の実態を丁寧に伝えれば受給の可能性はある
- 不支給となった場合も、再請求・審査請求・再審査請求の選択肢がある
統合失調症での障害年金申請でお悩みの方は、わくわく社会保険労務士法人(全国障害年金サポートセンター)までお気軽にお問い合わせください。
※本記事は2026年5月時点の年金法令・障害認定基準・年金額(令和8年度)に基づき作成しています。法令改正等により内容が変更される可能性があるため、最新の情報は 日本年金機構の公式サイト 等でご確認ください。
個別の事案については社会保険労務士・弁護士等の専門家へのご相談を推奨します。医学的判断は主治医にご確認ください。
障害年金の申請に関するお問い合わせ
「入院中なので事務所へ行けない」「家から出られない」「人と話すのが苦手・・・」という場合は、ホームページのお問合せフォーム以外にも電話やLINEなどでお気軽にご連絡下さい。
電話やメール、LINEなどでご質問いただいても、必ず当事務所にご依頼頂かなければいけないということではございません。
お問合せ頂いた後に当センターから営業の電話などをすることもございませんので、その点はご安心下さい。
ゆっくりご検討下さい。
お電話での無料相談はこちら

LINE@での無料相談はこちら
当事務所では面会やお電話に加えてLINEでのやりとりも対応しております。
いろいろな事情で面会やお電話でのやりとりが難しい場合は、お気軽にラインでお問合せ下さい。



