【事例647】慢性心房細動・完全房室ブロック|障害厚生年金3級

慢性心房細動・完全房室ブロック|障害厚生年金3級

対象者の基本データ

病名 慢性心房細動・完全房室ブロック
性別 男性
支給額 年額 約100万円
障害の状態
  • ペースメーカー移植あり
  • 日常生活に制限は受けていない
  • 労働は軽労作なら可能
  • 身体障害者手帳1級
申請結果 障害厚生年金3級

ご相談までの経緯

1年程前に会社の健康診断で心電図異常を指摘され、動悸や息切れ、目眩などの自覚症状もあったため、医療機関へ受診されました。

「完全房室ブロック、持続性心房細動」と診断され、将来的に手術が必要となることを見越して、紹介状をもらい、手術受け入れが可能なB病院へ転医されました。

転医後、程なくしてペースメーカー移植術となりました。

心房細動再発防止の為、服薬は欠かさず、ペースメーカーで脈拍コントロールをしている状況が続いています。

術後、身体障害者手帳の申請時に障害年金制度を知り、入院中であったために申請の全てを代行してくれる社労士を探していたところ、当事務所を見つけ、サポートのご依頼をいただくこととなりました。

申請結果

ペースメーカー植込み術を受けた場合、障害年金では原則3級に該当します。(ポイント①)

障害年金で3級に認定されるには、初診日に厚生年金に加入している必要があります。

今回の請求では不備なく書類を整え、申請が出来れば、受給の可能性は高いものとなります。

手続きではまず初診病院に初診日の証明となる受診状況等証明書の作成を依頼しました。

完成した書類で初診日が確定し、初診日時点で「厚生年金」に加入していること、また初診日前の保険料納付要件も問題なく満たしていることを確認しました。

次に現在療養中の病院へ診断書の作成を依頼しました。

今回のご相談者様は初診日から1年半経過前にペースメーカー移植術を受けられているため、障害認定日の特例に該当し、現在の状態のわかる診断書1枚で障害認定日時点に遡って年金を請求することが出来ます。(ポイント②・③)

診断書が完成し、医証だけでは分からない発病から現在までの経過や背景については病歴就労状況等申立書に詳述し、申請しました。

結果、「障害厚生年金3級」として手術を受けた月の翌月分から遡って年金が支給されることとなりました。

【ポイント1】 心臓にペースメーカーを装着すると原則3級認定

心臓にペースメーカーやICDを装着した場合は、原則として3級として認定をされることとなります。

もし、装着後の検査結果や就労状況、日常生活の状況によっては2級以上に認定される可能性もあります。

【ポイント2】障害認定日の特例(心臓)

障害年金を請求できるようになるのは、原則として初診日から1年6ヶ月を経った日です。この基準日を障害認定日といいます。

しかし、以下の心臓の手術を行った場合、『初診日から1年6ヶ月』と手術日を比べて、どちらか早い方が障害認定日となります。

この障害認定日が初診日から1年6ヶ月以前になることを障害認定日の特例といいます。

  • ペースメーカーを装着した日
  • 人工弁を装着した日
  • 人工血管(ステントグラフト含む)を装着した日
  • ICD(植込み型除細動器)を装着した日
  • CRT(心臓再同期医療機器)、CRT-D(除細動器機能付き心臓同期医療機器)を装着した日

【ポイント3】診断書1枚で遡及請求が出来る傷病

障害年金を1年以上、遡って請求する場合、原則として2枚の診断書が必要となります。

2枚というのは記載された症状が、それぞれいつ分が必要なのかが異なるためです。

  • 1枚目:障害認定日の症状
  • 2枚目:請求時の症状

しかし現在の診断書だけで、初診日から1年6ヶ月の段階で以下に該当することが分かる場合については、例外的に1枚の診断書だけで遡及請求が出来ることになります。

  • 人工関節や人工骨頭を挿入置換
  • 植込み型除細動器(ICD)又は人工弁を装着
  • 新膀胱を造設
  • 人工肛門を造設
  • 手足を切断または離断
  • 在宅酸素療法を開始
  • 喉頭を全摘出

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