人工弁(循環器) 厚生年金3級 循環器

急性大動脈解離(人工弁)|障害厚生年金3級(自分でおこなった申請が返戻された事例)

急性大動脈解離(人工弁)|障害厚生年金3級

対象者の基本データ

病名急性大動脈解離(人工弁)
性別男性
支給額年額 約59万円
遡及金額 約151万円
障害の状態
  • 人工弁を装着
  • 軽度の労作で息切れ等が起こるも、日常生活には支障なし
  • 事務作業等の体力をあまり使わない仕事に正社員として従事している
  • 身体障がい者手帳1級
申請結果障害厚生年金3級

 

ご相談までの経緯

ご相談者様は、30歳のときに突然胸が強く痛み、呼吸困難に陥ったことから緊急でかかりつけ医を受診しました。

急性大動脈解離と判断され同日転院し、大動脈弁置換術等の緊急手術を行ったそうです。

術後の経過は良好で、1ヶ月間の入院生活の後、退院して元の生活に戻ったとの事でした。

約2年後、知り合いとの会話からたまたま障害年金制度の存在を知り、調べたところ人工弁でも対象になるとの事で自力で申請を行いました。

ところが受付完了から数日後、年金事務所から電話があり『申請内容に問題がある為、返戻します』と告げられました。

年金事務所の説明を聞いてもどういう事なのか事態がよく飲み込めず、不安になったことから当事務所にご相談がありました。

 

申請結果

『返戻』とは、簡単に言うと「申請内容に問題があるから修正や追加が必要です」という意味です

返戻された書類を見ると『初診日』に問題がありました。

希望した初診日は『大動脈解離で病院を受診した日』ですが、申請した書類の一部には『それ以前の日付』が記載されていました。

というのも、ご相談者様のご家族にマルファン症候群の方がおられ、遺伝性のある疾患のため、検査のために病院を受診したことがありました。

マルファン症候群と大動脈解離に繋がりがあり、障害年金では『相当因果関係がある』ものとして取り扱われています。(ポイント①)

相当因果関係がありと扱われた場合は、初診日変更されてしまい、ご相談者さまが希望していた遡及請求(過去の障害年金を遡って受給する方法)が認められない事態となります。

そこで問題をクリアするために、以下の主張を行いました。

 

①『検査目的の受診は初診日に該当しない』(ポイント②)

障害年金上、初診日と認定されるのは『治療を目的とした受診』であって、健診等は含まれません。

マルファン症候群は遺伝性疾患のため念の為に「検査」を目的で受診したのであって、以前の日付は初診日とはならない旨を主張。

 

②社会的治癒への該当(ポイント③)

障害年金には『社会的治癒』という概念があります。

ご相談者は、以前の受診から大動脈解離の初診日までの間、一度も受診はせず・症状も無く・就労も問題なくできていました。

よって、もしマルファン症候群が初診日とされても『一度治って、再発した日が初診日である』と主張。

これらの内容を参考資料とともに申立て、返戻対応を行った結果、当方の主張が全面的に認められ、心配していた遡及請求も無事に認定。

一括で100万円程が振り込まれ、今後の年金も受け取ることが出来るようになりました。

 

【ポイント1】 相当因果関係について

「前発の傷病がなければ、後発の傷病は起らなかったであろう」と認められる場合は相当因果関係ありとして、前後の傷病が同一の傷病として取り扱われます。

つまり、前発の傷病で最初に医師の診療を受けた日が後発傷病の初診日として取り扱われることとなります。

例えば相当因果関係があるものとしては以下のようなものがあります。

  • 糖尿病→糖尿病性網膜症または糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性動脈閉塞症等
  • 糸球体腎炎(ネフローゼ含む)、多発性のう胞腎、腎盂腎炎→慢性腎不全
  • 肝炎→肝硬変
  • 結核の化学療法による副作用として聴力障害
  • ステロイド投薬→大腿骨頭壊死
  • 事故または脳血管疾患→精神障害

他の傷病でも相当因果関係ありとされる傷病はある為、複数傷病を発症している場合は初診日の取扱いには注意が必要です。

 

【ポイント2】健康診断日は初診日となる?

障害年金では、原則として『治療目的で初めて医療機関を受診した日』の事を初診日と言います。

つまり『検査』を目的とした健康診断の日は、原則初診日とは認定されません。

そのため健康診断で異常が判明した場合は、その後に病院を受診した日が初診日となります。

【※】H27年10月1日以前は『健康診断日=初診日』と取り扱われていましたが、
H27年10月1日以降は規定が改正され、上記のような取り扱いとなっています。

 

【ポイント3】社会的治癒

社会的治癒が認められると、初診日が変わります。

社会的治癒とは、「症状無し・生活に支障無し・就労可能な状態」が一定期間続いている場合などは、医学的には治癒とは言えなくとも治癒していると認めましょう!という制度です。(※詳しくは『社会的治癒とは』をご参照下さい。)

今回のケースのように「一度ケガや病気」となったが、しばらくの間問題なく生活していた後に「再度、症状が悪化・支障が出た」とき、最初のケガや病気は「治癒」その後「再発した」ものとして取り扱います。

障害年金上、再発した場合は「再発した後に初めて診察を受けた日」が初診日になります!

 

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