【事例56】大動脈弁逆流症・憎帽弁逆流症(人工弁)|障害共済年金3級

大動脈弁逆流症・憎帽弁逆流症(人工弁)|障害共済年金3級

対象者の基本データ

病名 大動脈弁逆流症・憎帽弁逆流症(人工弁)
性別 男性
支給額 年額 約69万円
遡及金額 約253万円
障害の状態
  • 心機能分類(NYHA):Ⅱ
  • 人工弁置換術
  • フルタイムで就労中
  • 身体障害者手帳:1級
申請結果 障害共済年金3級

 

ご相談までの経緯

大学生のときに胸に痛みを感じ、救急搬送さました。

検査の結果、大動脈弁閉鎖不全と診断され、大動脈基部置換手術を受けました。

退院後、症状は安定していましたが、人工弁の手術を行うとその後は定期通院をしながら血栓予防(ワーファリン)の処方を受けていました。

大学を卒業後は就職をして仕事や日常生活は支障なく遅れていたと言います。

30歳のとき、健康診断にて僧帽弁逆流を指摘され改めて僧帽弁置換手術を行いました。

その後も大きな支障は出ていないものの、今後弁膜症の再発リスクは高く、将来的にも経過観察が必要とされています。

2回目の手術後に障害年金を知り自力で調べましたが、大学生が初診となると2級以上が支給の対象となるため、原則3級の人工弁手術では障害年金は貰えないと諦めていました。

しかし、年々と発熱の回数が増えたり、就労後に仮眠を取らないと帰宅できない事が増えたこともあり、将来を考えたときに、もう一度障害年金にチャレンジしたいと考え、当事務所に相談に来られました。

 

申請結果

今回の請求は、ご本人様のお話でもあったように「初診日が大学生の時か、社会人になってからなのか」によって大きく変わってきました。

ぱっと見では大動脈弁閉鎖不全と僧帽弁逆流の両疾病には因果関係が有るように思われました。

そこでまず、医師に両者の関係について確認を行ったところ、医学的に見ると因果関係はあるとの回答を頂きました。

医学的な因果関係と、社会保険で必要な相当因果関係は異なるものの、この時点で初診日は大学生の時になる可能性が高く、人工弁の置換術による障害年金の受給は難しいと考えられました。

次に考えたのが社会的治癒(ポイント①)を使った請求です。

1回めの手術から、社会人になってから初めて指摘を受けるまでの間に社会的治癒が認められると後者が初診日となり、障害年金が受給出来る事になるわけです。

そこで、超えなければならない問題として社会的治癒が認められるためには、その間に治療が行われていないことが必要でした。

しかし、1回目の手術の後は血栓予防(ワーファリン)の処方を受けるため、定期的に通院を行っていました。

この定期的な通院をしていても社会的治癒が認められるかという点に着目し以下の3点を別紙に纏めて主張することとしました。

  • 社会的治癒の解釈
  • 過去の社会的治癒の採決事例を添付
  • ワーファリン治療は治療になるのか?

結果、社会人になってからの初診が認められ障害認定日請求として訴求も含めて障害共済年金3級として認定されました。

 

【ポイント1】 相当因果関係について

「前発の傷病がなければ、後発の傷病は起らなかったであろう」と認められる場合は相当因果関係ありとして、前後の傷病が同一の傷病として取り扱われます。

つまり、前発の傷病で最初に医師の診療を受けた日が後発傷病の初診日として取り扱われることとなります。

例えば相当因果関係があるものとしては以下のようなものがあります。

  • 糖尿病→糖尿病性網膜症または糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性動脈閉塞症等
  • 糸球体腎炎(ネフローゼ含む)、多発性のう胞腎、腎盂腎炎→慢性腎不全
  • 肝炎→肝硬変
  • 結核の化学療法による副作用として聴力障害
  • ステロイド投薬→大腿骨頭壊死
  • 事故または脳血管疾患→精神障害

他の傷病でも相当因果関係ありとされる傷病はある為、複数傷病を発症している場合は初診日の取扱いには注意が必要です。

 

【ポイント2】社会的治癒

社会的治癒が認められると、初診日が変わります。

社会的治癒とは、「症状無し・生活に支障無し・就労可能な状態」が一定期間続いている場合などは、医学的には治癒とは言えなくとも治癒していると認めましょう!という制度です。(※詳しくは『社会的治癒とは』をご参照下さい。)

今回のケースのように「一度ケガや病気」となったが、しばらくの間問題なく生活していた後に「再度、症状が悪化・支障が出た」とき、最初のケガや病気は「治癒」その後「再発した」ものとして取り扱います。

障害年金上、再発した場合は「再発した後に初めて診察を受けた日」が初診日になります!

 

【ポイント3】人工弁は原則3級

人工弁を装着した場合は障害厚生年金3級に該当します。

ただし、障害厚生年金3級というのは初診日に厚生年金に該当していなければもらうことができませんので注意が必要です。

 

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