目次
対象者の基本データ
病名 | 急性大動脈解離 Stanford A |
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性別 | 男性 |
支給額 | 年額 約58万円 遡及金額 約181万円 |
障害の状態 |
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申請結果 | 障害厚生年金3級 |
ご相談までの経緯
3年程前、胸に痛みを覚えるようになり、A病院を受診しました。
A病院では、心疾患、肺梗塞の可能性を指摘され、要精査の為即日B病院へ転医することとなりました。
紹介先のB病院の駐車場で解離を起こして倒れ、緊急手術が必要な状態であるため、ドクターヘリでC病院へ搬送され、大動脈人工血管置換術を受けました。
術後退院後は年1回の経過観察となりましたが、眩暈や動悸、息切れなどの症状があり、就労にも制限のある状況が続いていました。
最初の手術から1年半程経過後、突然の激しい吐き気や胸の痛みが出現し、D病院へ救急搬送されました。
初回手術の吻合部に大動脈瘤が発生していることが分かり、緊急でステントグラフト治療を受けました。
術後は病状安定し、経過観察を継続しています。
今もなお眩暈や動悸、息切れなどの症状は続いており、重労働は制限を受けている状態です。
仕事に対する制限がある中で、経済的な不安を抱えるようになり、ネットで受けられる支援を探していたところ、障害年金のことを知りました。
当事務所のHP・Youtubeをご覧になり、ご相談の連絡をいただきました。
申請結果
今回のご相談者様は初診日にA病院→B病院→C病院へと転院されており、初診日同日にC病院にて1回目の人工血管置換術を受けておられました。
手続きではまず初診日の証明となる受診状況等証明書はA病院にて取得します。
初診日を確認し、初診時点で厚生年金に加入していること、保険料の納付要件を問題なく満たしていることを確認し、診断書の取得へと進めます。
初診日から1年6月経過する前に人工血管を挿入していた為、障害認定日の特例(ポイント①)に該当し、障害認定日請求を行う為に人工血管置換術を受けたC病院の初診日(人工血管置換術日)時点の障害状態のわかる診断書を1通取得しました。
大動脈疾患の場合は、他の心疾患における人工弁やペースメーカーの装着時の障害認定基準とは異なり、人工血管を挿入したことだけでは等級に該当するとは限りません。
大動脈に人工血管を挿入し、”かつ”、軽度の症状があり、就労に制限がある場合は「3級」に該当する可能性があります。(ポイント②)
そのため、障害認定日時点の状態だけでなく、請求日現在時点の状態も等級に該当することを証明していく必要がありますので、通院中のD病院にて現在の状態のわかる診断書を1通取得します。
診断書の取得に当たり、改めて自覚症状や普段の日常生活状況について主治医の先生に橋渡しを行い、人工血管を挿入した後もなお自覚症状があり、仕事には制限を受ける状態にあることを診断書にも反映していただくことが出来ました。
申請の結果、「障害厚生年金3級」として、障害認定日(初診日)の翌月分から遡って年金が支給されることとなりました。
【ポイント1】障害認定日の特例(ステントグラフト)
障害年金は初診日から原則的に1年6ヶ月を経過した後でしか請求ができません。
しかし、ステントグラフト(人工血管)を初診日から1年6ヶ月以内に装着した場合には、その手術日以降であれば障害年金の請求が可能となります。
これを障害認定日の特例といいます。
【ポイント2】人工血管は原則3級
人工血管を挿入しても軽度の障害が残る場合は障害厚生年金3級に該当します。
ただし、障害厚生年金3級というのは初診日に厚生年金に該当していなければもらうことができませんので注意が必要です。
人工血管の障害年金申請
『【社労士が解説】人工血管で障害年金を受給するポイント』でも詳しくご説明していますので、是非ご参照ください。
動画で解説
大動脈解離で障害年金を受給する3つのポイントを動画でも説明していますので、是非ご覧ください。
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