【事例1958】自閉症スペクトラム障害(ASD)|障害厚生年金3級

自閉スペクトラム症|障害厚生年金3級

対象者の基本データ

病名 自閉症スペクトラム障害(ASD)
性別 男性
支給額 年額 約60万円
遡及金額 約25万円
障害の状態
  • 言外の意味や曖昧な表現の理解が苦手
  • 計画性や複数のタスクをこなすことが困難
  • 予定外の出来事への柔軟な対応ができず、定型化された業務以外はミスが多い
  • 適応困難なため、自己肯定感が損なわれ、うつ状態となりやすい
申請結果 障害厚生年金3級

当事務所スタッフによる事例紹介動画

当事務所のスタッフが実際に申請した流れを動画で詳しく説明しています。

当事務所の雰囲気を感じて頂けると思いますので、是非ご覧ください。

ご相談までの経緯

ご依頼者様は20代前半の方で、自閉症スペクトラム障害と注意欠陥多動性障害(ADHD)を抱えながら一人暮らしをしておられました。

初診日は申請の約1年半前と比較的最近であり、初診日証明の取得に問題はありませんでした。

ただ、一般企業での週5日アルバイトをしており、月収20万円程の収入を得ている状況から、「障害年金の認定は難しいのではないか」といった不安を抱え、当社にご相談くださいました。

申請結果

精神の傷病で障害年金を申請する際、「就労をしている、一人暮らしをしている=不支給」ということではありませんが、就労状況や生活環境は審査上、とても重要なポイントとなります。

そのため、今回の事例では以下のような工夫を行いました。

① 診断書と申立書の工夫

診断書の作成依頼に際して、日常生活状況や就労状況についてご本人様から事前にヒアリングした内容を参考資料としてまとめ、主治医の先生に橋渡しを行いました。

完成した診断書における日常生活能力及び程度からは2級もしくは3級相当という目安で、生活環境が一人暮らしであること、一般企業にて就労されていることを踏まえると最近の審査傾向からは目安通りの認定は厳しい可能性も考えられました。

そのため、病歴就労状況等申立書にて以下のような職場での配慮内容や日常生活の具体的な状況を補足し、障害の影響を詳細に伝えることを心がけました。

②就労状況の詳細な説明

一般企業での一般雇用であり、一見「問題なく働けている」と審査上、受け取られる可能性がありました。

しかし、職場では障害に対する特別な配慮がされており、通常の一般雇用とは異なる形で働かれていました。

例えば、職場内では通常必要とされる電話や接客業務の免除、急な遅刻や欠勤の許容、業務内容は単純反復的に限定され、責任の伴う職務は免除され、体調に応じて業務量調整が可能など・・・

以上のような職場全体でご依頼者様の障害特性に配慮した環境が整えられていたことを病歴・就労状況等申立書に具体的に記載しました。

③ 一人暮らしに関する配慮

ご依頼者様は一人暮らしをされていましたが、近隣にお住まいのお母様からのサポートを受けておられる状況でした。

この点も診断書や申立書で明確に伝えました。

特に、「一人で生活はしているが、サポートがなければ日常生活が成立しない」旨を記載しました。

結果

結果として、障害厚生年金3級に認定されました。

障害年金は書類のみの審査であるため、書面上で具体的な状況や背景が読み取れなければ就労や一人暮らしが障害年金の認定に不利になる可能性があります。

そのため、職場や日常生活でのサポート体制を丁寧に説明することで、障害の影響を適切に伝えることができました。

結果が出た後、どのような審査が行われていたのか審査書類の開示請求を行ったところ、審査では診断書だけでの等級判断ではなく、病歴就労状況等申立書の「就労状況」や「日常生活活動能力」の記載内容も考慮されていたことが確認出来ました。

感想と今後の参考点

この事例は、「一見、年金受給が難しいと思われる状況でも、適切に状況を伝えることで認定に繋がる」ということを改めて実感出来るものとなりました。

特に以下の点が印象に残ります。

  • 診断書だけでなく、病歴就労状況等申立書の活用が審査に影響する。
  • 一般就労をしていても、実際の労働状況や職場での配慮を具体的に説明することで評価が変わる。
  • 一人暮らしであっても、サポート状況を明確に伝えることが重要。

私達としても、この事例を通じて「働きながらでも障害年金を申請する意義」を伝えていきたいと思います。

これからも、ご相談者様一人ひとりの状況に寄り添い、障害年金の可能性を広げていけるよう努めて参ります。

【ポイント1】発達障害の病歴就労状況申立書

発達障害は、先天的な脳機能の障害とされています。

幼少期から症状が現れるのことも多いですが、近年は大人になってから発覚するケースも増えています。

いずれの場合であっても、病歴就労状況申立書には『生まれてから現在まで』の病歴・通院歴・症状・日常生活の様子などを記入する必要があります。

【ポイント2】精神疾患と就労

必ずしも「就労している=不支給」とは限りません。

とはいえ、精神疾患の場合は、審査上、就労の有無が重要なポイントとなってきます。

就労している継続年数や、就労形態についても審査では見られます。

就労している場合は、会社から受けている配慮や、帰宅後や休日の体調などを申し立てることも必要です。

たとえば、体調が悪化した場合の早退、通院のための遅刻や、その他、業務を行う上での配慮を受けていれば、そのあたりも記載します。

また、なんとかがんばって会社に行けても、帰宅した途端どっと疲れが出て寝込んでしまう場合や、休日は家事も一切できない場合なども、医師にしっかり伝え、診断書に反映していただくことも大切です。

障害年金と就労に関しては以下の動画でもご説明していますのでご参照下さい。

その他の自閉症スペクトラム障害(ASD)の事例

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