目次
対象者の基本データ
病名 | 自閉症スペクトラム・知的障害 |
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性別 | 女性 |
支給額 | 年額 約78万円 |
障害の状態 |
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申請結果 | 障害基礎年金2級 |
ご相談までの経緯
ご相談者様は小学校入学前の健診で異常を指摘されますが、ご両親が重要視せず、小・中学校は普通学級で過ごしました。
中学卒業後は定時制高校に進学されましたが、勉強についていけず、また、集団生活にもなじめず中退となります。
その後は就職しますが、上司や同僚との対人関係がうまくいかず、短期での転職を繰り返します。
日常生活では、夫からの暴力で精神的に不安定な日が続き、不安感、憂うつ気分が強まり希死念慮も出現したことで受診に至ります。
薬を処方されますが、症状は改善せず約10年間にわたり、病名も分からず、転院を繰返していたそうです。
そして、現在受診している病院で、検査の結果、自閉スペクトラム症、知的障害と診断がつきました。
今は、パート勤務をしていますが、いつまで続けられるかもわからず、将来への不安を常にお持ちでした。
そんな時、ネットで障害年金の制度を知り、申請方法を聞くために年金事務所に行きました。
しかし、説明を聞いても内容が全く理解できず、藁をもつかむ思いで弊社に手続き代行のご相談を頂きました。
申請結果
ご相談様とご主人様に、現在の状況をお伺いしたところ、受給の可能性は高いことをお伝えし手続きの代行をさせていただくことになりました。
就労されていることをご心配されていましたが、就労の後は疲労感が強く隔日勤務しかできない事や上司、同僚との交流が困難で、齟齬を生じやすく共同作業ができていない状況を診断書に記載して頂ければ、就労が原因で不支給になることは無いと判断しました。(ポイント①)
手続きにあたり、申請方法から考えました。
知的障害がある場合は、出生日が初診日とされ、20歳到達日(20歳のお誕生日の前日)が障害認定日となります。
ご相談者様は、障害認定日の頃は受診歴がなく、事後重症請求で申請することになります。(ポイント②)
知的障害の場合は受診状況等証明書が不要ですので、手続きとしては、現在の障害の状態を現す診断書の取得から始めます。
診断書依頼の際は、出生から現在までの病歴及び治療経過、内容、就学・就労状況、日常生活状況について資料をまとめ医師に橋渡しをしました。
完成した診断書には、発育・養育歴、教育歴、就労歴、治療歴、そして、就労・日常生活状況について正確に記載がされていました。
最後に、診断書だけでは伝えらない、日常生活の様子や生きづらさなどについて病歴就労状況等申立書に詳述し、診断書との整合性を確認後申請しました。(ポイント③)
結果は、無事、「障害基礎年金2級」に認定されました。
【ポイント1】精神疾患と就労
必ずしも「就労している=不支給」とは限りません。
とはいえ、精神疾患の場合は、審査上、就労の有無が重要なポイントとなってきます。
就労している継続年数や、就労形態についても審査では見られます。
就労している場合は、会社から受けている配慮や、帰宅後や休日の体調などを申し立てることも必要です。
たとえば、体調が悪化した場合の早退、通院のための遅刻や、その他、業務を行う上での配慮を受けていれば、そのあたりも記載します。
また、なんとかがんばって会社に行けても、帰宅した途端どっと疲れが出て寝込んでしまう場合や、休日は家事も一切できない場合なども、医師にしっかり伝え、診断書に反映していただくことも大切です。
障害年金と就労に関しては以下の動画でもご説明していますのでご参照下さい。
【ポイント2】知的障害の障害認定日
知的障害の場合は出生日が初診日となります。
そのため、障害認定日は他の20歳前傷病と同様に「20歳の誕生日の前日」となります。
そして、認定日請求や遡及請求の際には、障害認定日前3ヵ月から障害認定日以降3ヵ月以内の診断書が必要になります。
なお、知的障害の場合、他の傷病と違い「受診状況等証明書」(初診日の証明)は不要です。
【ポイント3】知的障がい・発達障がいと病歴就労状況等申立書
知的障がいや発達障がいがある場合は、病歴・就労等申立書(以下、申立書という)が認定の大きなカギとなります。
この場合、初診日からでなく、出生日から現在までの経緯を記載していく事が大切です。
例えば、就学前では言葉の遅れや極端な人見知りが無かったか、就学後は成績、友人関係はどうだったなどのエピソードを書いていく必要があります。
また、現在、不適応行動についても申立書に反映させてください。
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