【事例731】慢性腎不全(人工透析)|障害基礎年金2級

慢性腎不全(人工透析)|障害基礎年金2級

対象者の基本データ

病名 慢性腎不全(まんせいじんふぜん)
性別 女性
支給額 年額 約78万円
障害の状態
  • 週3回の血液透析を受けている
  • 傷病が原因で退職に至り、現在は就労していない
  • 日常生活に特段制限は受けていない
  • 身体障害者手帳1級
申請結果 障害基礎年金2級

 

ご相談までの経緯

ご相談者様は10代の頃より、小児期IgA腎症として治療を受けていました。

20歳頃までは治療を継続していましたが、親元を離れたことで、一時的に治療を自己中断。

その後、会社の健康診断などでは毎回異常を指摘されていましたが、特段自覚症状もなかったため、医療機関を受診することはありませんでした。

40代になり、食欲低下、倦怠感、手足の痺れ、下肢の浮腫などの自覚症状が現れた為、医療機関を受診したところ、末期腎不全の状態でまもなく腹膜透析が開始されました。

手足の痺れや倦怠感などの症状が悪化したことにより仕事も退職となりました。

透析導入にあたって入院時に障害年金の制度を紹介され、手続きの為に年金事務所へ行き説明を受けましたが、不安になり手続きを諦めていました。

ネットで当事務所のことを知り、LINE@よりご相談いただきました。

 

申請結果

人工透析を受けている場合、障害年金では原則「2級」と定められています。(ポイント①)

そのため、初診日の証明を始めとする申請書類が不備なく整えられれば障害年金を受給出来る可能性が高いケースでした。

今回のご相談者様の場合、申請傷病である「慢性腎不全」と相当因果関係のある「IgA腎症」にて20歳前に治療を受けられていた為、初診日は申請時現在から20年以上前の証明書類を整える必要がありました。(ポイント②)

幼少期治療を受けていた小児科へ問い合わせを行いましたが、既にカルテが破棄されており、初診病院では受診状況等証明書を取得することが出来ませんでした。

受診状況等証明書を取得できない場合、取得可能な限り受診歴の古い医療機関で受診状況等証明書を取得しなければいけません。

今回の場合は、自覚症状が再燃後に受診したB病院で作成していただきました。

B病院の初診日時点が請求時現在から5年以上前であり、当該初診日時点の診療録に20歳前までのIgA腎症の治療歴について記載が残っていた為、この記録をもって初診日の証拠書類として初診日証明書類を整えることが出来ました。

初診日証明が整った後は現在透析治療中の医療機関で診断書を取得し、20歳前のIgA腎症の治療歴から現在までの経過について病歴就労状況等申立書に記載し、申請しました。

結果、「障害基礎年金2級」として認定されました。

 

【ポイント1】人工透析は働いても受給可能

人工透析の等級は、原則『2級』と定められています。(※)症状によってはさらに上位等級の可能性もあり。

仕事が出来ていると「障害年金の受給は無理かな?」を思いがちですが、人工透析を実施していることで就労や生活に制限が出てきます。

そのため、人工透析の場合は「就労の有無・生活への支障」などに関わらず、2級と認定されます。

就労と障害年金の関係に関しましては、以下の動画でもご説明していますのでご参照下さい。

 

【ポイント2】相当因果関係について

「前発の傷病がなければ、後発の傷病は起らなかったであろう」と認められる場合は相当因果関係ありとして、前後の傷病が同一の傷病として取り扱われます。

つまり、前発の傷病で最初に医師の診療を受けた日が後発傷病の初診日として取り扱われることとなります。

例えば相当因果関係があるものとしては以下のようなものがあります。

  • 糖尿病→糖尿病性網膜症または糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性動脈閉塞症等
  • 糸球体腎炎(ネフローゼ含む)、多発性のう胞腎、腎盂腎炎→慢性腎不全
  • 肝炎→肝硬変
  • 結核の化学療法による副作用として聴力障害
  • ステロイド投薬→大腿骨頭壊死
  • 事故または脳血管疾患→精神障害

他の傷病でも相当因果関係ありとされる傷病はある為、複数傷病を発症している場合は初診日の取扱いには注意が必要です。

相当因果関係に関する事例は以下のページでご紹介していますのでご参照下さい。

相当因果関係
「前発の傷病がなければ、後発の傷病は起らなかったであろう」と認められる場合は相当因果関係ありとして、前後の傷病が同一の傷病として取り扱われます。 つまり、前発の傷病で最初に医師の診療を受けた日が後発傷病の初診日として取り扱われることとなりま...

以下の動画でも相当因果関係のポイントをご説明していますので是非ご覧ください。

 

【ポイント3】初診日の証明が出来ない場合

障害年金は初診日主義とも言われており、初診日の証明が出来ないと障害年金を受給することが出来ません。

初診日の証明は受診状況等証明書という様式を用いて行います。

この受診状況等証明書は必ずカルテに基づいて記載をしてもらう必要がありますが、初診病院が廃院している場合や既にカルテが破棄されている場合等は受診状況等証明書が取得できないこととなります。

そこで受診状況等証明書が取得できない場合に使用するのが、受診状況等証明書が添付出来ない申立書です。

この受診状況等証明書が添付出来ない申立書はご自身で最初に受けた医療機関名や場所、受診期間等を記載する書類です。

ただし、この書類を作成するだけでは、客観的証拠が不十分として、申請する初診日を認めてもらうことは出来ません。

申請する初診日が明らかに確認できる客観的な証拠書類を添付して、初めて有効とされます。

客観的な証拠書類としては以下のようなものがあります。

  • 身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳
  • 身体障害者手帳等の申請時の診断書
  • 生命保険、損害保険、労災保険の給付申請時の診断書
  • 事業所等の健康診断の記録
  • 母子健康手帳
  • 健康保険の給付記録
  • お薬手帳、領収書、診察券
  • 盲学校、ろう学校の在学証明・卒業証書
  • 第三者証明

など

受診状況等証明書が取得できない場合でも、証拠書類を積み上げ認められたケースも多くありますので諦めないことが大切です。

なお、以下の動画でもご説明していますのでご参照下さい。

 

その他の腎疾患の事例

 

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