【事例258】うつ病・双極性障害|障害基礎年金2級(過去不支給で再申請で遡及請求が認められた事例)

うつ病・双極性障害|障害基礎年金2級

対象者の基本データ

病名 鬱病(うつびょう)・双極性障害
性別 女性
支給額 年額 約78万円
遡及金額 約266万円
障害の状態
  • 抑うつ気分が強く、判断能力・意欲低下が著しいため現在は就労していない。
  • 訪問看護を利用し、服薬管理、食事等の生活支援を受けている
  • 付添いがないと外出困難
  • 希死念慮が強いため、一人にできず、常に見守りが必要
申請結果 障害基礎年金2級

 

ご相談までの経緯

平成3年頃から強い眩暈が出現し、精神的にも変調があり、日常生活に支障をきたすほどとなった為、医療機関を受診するようになったそうです。

15年程通院を続け、次第に症状が軽快し、日常生活や就労にも支障のない生活が送れるようになりました。

約8年程、何ら支障のない生活を送っていましたが、仕事中に交通事故に遭ったショックで仕事が出来なくなり、精神的不調が再熱し、再度医療機関へ通院を始めることとなりました。

当初はうつ状態が酷く、自宅に閉居し、家事や身の回りのこと等も一切手に付かない状態が継続しており、「うつ病」と診断を受けていましたが、次第に自傷行為や衝動的な行動、不適応行動を伴う躁状態も呈するようになり、判断力の低下で散財してしまい、多くの借金を抱えてしまうほどでした。

現在は「双極性感情障害」へと病名が変わり、躁状態が酷くなったことで医師からの勧めで保護入院となり、退院後も通院を継続していましたが、症状は改善せず、以前病気のために作ってしまった借金を返そうと無理をして短時間のパートに出ており、就労の影響もあり、日常生活は家族の援助がなければ成り立たない状態でした。

そんな中、障害年金の事を知り、一度事後重症による請求を行いましたが、結果は不支給。

体調の優れない中やっとの思いで申請したにも関わらず、予期せぬ結果にうつ状態は悪化し、同時期にご家族様の間でもトラブルが発生したことによりより一層症状は増悪し、パートも退職し、自宅で自閉的に過ごすようになり、家族だけでは援助しきれず、訪問看護サービスが必要な状態にまでなりました。

もう一度申請ができないかご相談をいただき、当事務所でサポートさせていただくこととなりました。

 

申請結果

障害年金の申請は一度っきりと思われている方も多いかもしれませんが、たとえ初回の申請が不支給となったとしても、不支給の原因によっては再度申請を行うことで認定される可能性もあります。

そのため、再度申請していく場合は、”なぜ最初の申請が不支給だったのか”原因を追求し、もう一度申請出来る余地があるのかどうか検討し、申請の方針を立てていく必要があります。

前回の申請書類を見ると、ご本人様からヒアリングした就労状況や日常生活の状況は書類の記載内容からは把握できず、実際の状況よりもやや軽い診断書の記載内容となっていました。

前回申請した時の状況からは就労も生活状況も一変していたため、今回の申請では前回の申請時点からの症状や状況が変化した背景や実際の日常生活状況等が書類の中からしっかりと認定医にも伝わるよう申請書類に反映することに注力し、申請を進めていく方針としました。

前回申請した際の初診日の証明となる受診状況等証明書はそのまま使用出来る(ポイント②)ため、診断書の作成依頼から手続きを始めました。

一度事後重症での請求が不支給にはなったものの、ご本人様より遡っての請求をしたいと強いご希望があったため、僅かな可能性にかけ、障害認定日頃の診断書と現在の診断書の2通を取り寄せ、遡及請求も合わせて申請を行いました。

結果、遡及請求及び事後重症による請求いずれも障害基礎年金2級として認定されました。

 

【ポイント1】一度不支給となっていても受給の可能性あり

過去に不支給となっても、障害年金を再度申請することは可能です。

大切なのは「なぜ不支給となったか」原因を見つけることです。

原因を見つけるのは慣れていないと難しいこともありますので、ぜひ専門家にご相談ください。

 

【ポイント2】同一傷病かつ同一初診日で障害年金を再請求する場合における初診日証明

障害年金の請求には、障害の原因となった傷病にかかる初診日を明らかにすることができる初診日証明書類が必ず必要とされています。

これは再請求をする際にも同様です。

前回と同じ書類とはいえ、初診日証明書類を取得するためには費用や労力がかかることが懸念されます。

そこで請求者の手続き負担軽減のため、”同一傷病かつ同一初診日で障害年金を再請求する場合”においては次の①、②いずれにも該当する場合は「前回請求時の初診日証明書類のコピー」と「①の申出書」を提出することで新たに初診日証明書類を再取得し直さずとも、再請求時の初診日証明書類とする事ができるものとされています。

  • ①請求者が再請求時において、請求書に添えて、前回証明書類を再請求時における初診日証明書類として用いる事を希望する旨の申出書を提出していること
  • ② ①の申出書の提出を受けて、日本年金機構において前回証明書類の存在を確認できること

ただし、前回請求時の初診日が認められずに却下された場合については
上記取扱いを受けることは出来ませんので注意が必要です。

 

その他の精神の事例

 

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