【事例124】癒着性くも膜炎に伴う脊髄空洞症|障害厚生年金2級

癒着性くも膜炎に伴う脊髄空洞症|障害厚生年金2級

対象者の基本データ

病名 癒着性くも膜炎に伴う脊髄空洞症
性別 女性
支給額 年額 約126万円
障害の状態
  • 階段は手すりがあっても利用できない
  • シャツのボタンが留めれない
  • 身体障害者手帳2級
  • 就労が困難で休職中である。
申請結果 障害厚生年金2級

 

ご相談までの経緯

平成29年頃に手足に痺れを感じるようになり、しばらく様子を見ていたそうですが一向に改善せず、排尿障害も出現したことで心配になり医療機関を受診されました。

医療機関で頸椎椎間板ヘルニアと診断され手術を受けられて、一時的に症状が軽減されたそうです。

しかし、再度、手や手指に痺れや強い痛みが出てきてペットボトルの蓋も開けることができない状態になり転院したところ、脊髄空洞症と診断されました。

その後、手術やリハビリ、薬物療法を続けてこられましたが、痺れや痛みの症状が全身に広がり、今では、歩行も困難な状態で日常生活の多くの面でご家族の介助を受けておられます。

現在は、傷病手当が生活の糧になっています。

ただ、復職はとてもできそうもなく、傷病手当が切れた後の経済的な事で悩んでおられました。

ネットでいろいろ調べられ「障害年金」の制度を見つけられました。

そこで、ご自身の受給の可能性についてお問い合わせを頂きました。

 

申請結果

ご相談者様からの最初のヒアリングで、日常生活の障害の程度から3級該当は確信できました。

ただ、就労の状況(長期休職中)や関節の可動域などから2級に該当する可能性もあると判断し提出準備を慎重に進めていきました。

診断書においては、医師にご相談者様の日常生活の状況について詳細にお伝えしました。

その結果、診断書には、「日常生活に支障をきたし、労働能力はない」と明記して頂くとともに、日常生活における動作の障害の程度(肢体の診断書⑱)も重い印(×や△×)をつけて頂きました。

ただし、関節の可動域や筋力(肢体の診断書⑯)については、3級該当の結果となり、頭を悩ませました。

そこで、再度、認定基準を読み込むと、「肢体の機能の障害」の認定基準では2級に該当する可能性が大きいことが分かりました。

そこで、書類提出の際に、「肢体の機能の障害」の認定基準での審査をお願いする申立書に「肢体の機能の障害」の認定基準のコピーを添付したうえで、請求書類を提出しました。

結果は、2ヵ月というスピード審査で 障害厚生年金2級に認定されました。

 

【ポイント1】肢体障害の症状が広範囲に渡る場合の認定方法

肢体の障害が四肢全体の広範囲にわたるケースで認定は『日常生活における動作』がポイントになります。

参考とされる日常生活動作は、以下のとおりです。

 

手指の機能

(ア) つまむ(新聞紙が引き抜けない程度)
(イ) 握る(丸めた週刊誌が引き抜けない程度)
(ウ) タオルを絞る(水をきれる程度)
(エ) ひもを結ぶ

 

上肢の機能

(ア) さじで食事をする
(イ) 顔を洗う(顔に手のひらをつける)
(ウ) 用便の処置をする(ズボンの前のところに手をやる)
(エ) 用便の処置をする(尻のところに手をやる)
(オ) 上衣の着脱(かぶりシャツを着て脱ぐ)
(カ) 上衣の着脱(ワイシャツを着てボタンをとめる)

 

下肢の機能

(ア) 片足で立つ
(イ) 歩く(屋内)
(ウ) 歩く(屋外)
(エ) 立ち上がる
(オ) 階段を上る
(カ) 階段を下りる

 

【ポイント2】 上肢の診断書の見逃しやすいポイント

上肢の障害では、診断書において、関節可動域及び筋力(診断書⑯)や日常生活における動作の障害の程度(診断書⑱)は認定における重要ポイントとなります。

ただ、見逃しがちですが「診断書⑭の握力」も大切です。

必ず、記載してもらいましょう。

握力が弱いということは、障害の程度が大きいと判断されますので審査において有利に働くと考えられます。(この事例では、左の握力は0.0になっていました。)

 

その他の肢体の障害の事例

 

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