うつ病で障害年金はもらえる?

うつ病の症状で仕事や家事が思うようにいかず、経済的な不安を抱えていらっしゃる方は少なくありません。

「障害年金という制度があるらしいけれど、自分はもらえるのだろうか」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。

うつ病は障害年金の対象となる疾病で、所定の要件を満たせば受給できる可能性があります。

本記事では、障害年金という制度そのものの説明から、受給に必要な3つの要件、うつ病特有の関門である初診日の特定、障害認定基準と等級判定の仕組み、金額の決まり方、診断書・申立書の準備、不支給になりやすいケースまで、申請をご検討の方が知っておきたい情報を順に解説します。

うつ病の障害年金とは(制度の全体像)

うつ病と障害年金の関係

障害年金は、老後に受け取る年金とは別の制度で、現役世代の方も対象になります。

うつ病などの精神疾患も対象に含まれます。まず、制度の全体像から確認していきましょう。

障害年金は現役世代も対象の公的年金

障害年金は、病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、現役世代の方も含めて受け取ることができる公的年金です。

対象となる傷病の範囲は広く、手足や目・耳の障害だけでなく、がんや糖尿病などの内部疾患、うつ病や統合失調症などの精神疾患も含まれます。

「年金」という言葉から65歳以降にもらうものと思われがちですが、障害年金は老齢年金とは異なり、20代・30代を含む現役世代の方でも、要件を満たせば受給できます。

ただし、20歳前に初診日がある場合の支給開始時期や、事後重症による請求の期限など、年齢に関わる条件は個別に定められています(本記事で順に解説します)。

なお、障害者手帳を持っていることは障害年金の要件ではありません。手帳がなくても請求できますし、逆に手帳があるからといって障害年金が支給されるわけでもありません。

両者は基準の異なる別の制度です。

制度全体の解説は 障害年金とは をあわせてご覧ください。

障害基礎年金と障害厚生年金の2種類

障害基礎年金と障害厚生年金

障害年金には「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2種類があり、どちらの対象になるかは 初診日にどの年金制度に加入していたか で決まります。

種類初診日の時点等級の範囲
障害基礎年金国民年金の加入期間/
20歳前の年金制度に加入していない期間/
日本国内に住んでいる60歳以上65歳未満で年金制度に加入していない期間
1級・2級
障害厚生年金厚生年金保険の被保険者期間1級・2級・3級(および障害手当金)

初診日に厚生年金保険に加入していた方が1級または2級に該当すると、障害基礎年金に上乗せして障害厚生年金が支給されます。

一方、3級は障害厚生年金にのみ設けられた等級 です。

初診日に国民年金に加入していた方は、1級または2級に該当しなければ障害基礎年金は支給されません。

なお、表中の障害手当金は、厚生年金保険の被保険者期間中に初診日があり、初診日から5年以内に傷病が治った日に3級に満たない一定の障害が残ったときに支給される一時金で、年金とは別の要件が定められています。

同じうつ病、同じ症状の重さであっても、初診日がいつだったかによって受け取れる年金の種類と等級の範囲が変わります。

この点が障害年金の大きな特徴です。

(出典:日本年金機構「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額」「障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額」)

うつ病は障害年金の対象となる疾病

神経症圏の病名(適応障害・パニック障害等)で診断書が作成された場合

うつ病は障害年金の対象となる代表的な疾病のひとつです。

ただし、診断書に記載される傷病名が認定基準上どの区分に当たるかが出発点になるため、この点を最初に確認しておきます。

障害認定基準上は「気分(感情)障害」に分類される

障害年金の審査は「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」に基づいて行われます。

この基準では精神の障害を6つの区分に分けており、うつ病は「気分(感情)障害」 に分類されます。

認定基準は、精神の障害の程度について次のように定めています。

精神の障害の程度は、その原因、諸症状、治療及びその病状の経過、具体的な日常生活状況等により、総合的に認定するものとし、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のものを1級に、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものを2級に(以下略)

(出典:厚生労働省「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」第3 第1章 第8節/精神の障害)

つまり、傷病名だけで等級が決まるわけではありませんが、傷病名や病態の区分は審査の前提として確認されます

そのうえで、諸症状・治療および病状の経過・日常生活状況等を総合して判断されるという建て付けです。

また、気分(感情)障害については、認定基準に次の考慮事項が置かれています。

気分(感情)障害は、本来、症状の著明な時期と症状の消失する時期を繰り返すものである。したがって、現症のみによって認定することは不十分であり、症状の経過及びそれによる日常生活活動等の状態を十分考慮する。

診断書1枚に写った「その日の状態」だけでなく、経過を踏まえて判断される点は、うつ病の請求で押さえておきたいポイントです。

なお、診断書の傷病名がうつ病エピソード(F32)か反復性うつ病性障害(F33)かによって、認定の対象になるかどうかが変わることはありません。いずれも気分(感情)障害として認定の対象です。

診断名ごとの扱いは、うつ病エピソードで障害年金はもらえる?気分[感情]障害(F30-F39)のICD-10分類 もあわせてご参照ください。

神経症圏(F40〜F48)との区別と、準用される場合

障害認定基準では、神経症について次のように定められています。

神経症にあっては、その症状が長期間持続し、一見重症なものであっても、原則として、認定の対象とならない。ただし、その臨床症状から判断して精神病の病態を示しているものについては、統合失調症又は気分(感情)障害に準じて取り扱う。なお、認定に当たっては、精神病の病態がICD-10による病態区分のどの区分に属す病態であるかを考慮し判断すること。

(出典:厚生労働省「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」第3 第1章 第8節/精神の障害 認定要領(5))

適応障害・パニック障害・不安障害・強迫性障害などの神経症圏(ICD-10のF40〜F48)の傷病は、原則として認定の対象外とされています。

ただし、ここで重要なのは 「原則として」で終わっていない ことです。

臨床症状から判断して精神病の病態を示していると認められる場合には、統合失調症または気分(感情)障害に準じて 取り扱われます。

準用先はどちらか一方に限られているわけではありません。

診断名の呼び方だけでは判断できない点にも注意が必要です。

たとえば気分変調症は旧称を「抑うつ神経症」といいますが、ICD-10では気分(感情)障害(F34.1)に分類され、神経症圏には当たりません。

逆に、混合性不安抑うつ障害は名称に「抑うつ」を含みますが、分類上は神経症圏(F41.2)です。

弊事務所でも、神経症圏の傷病で治療を受けていた経過をお持ちの方が、うつ病として認定に至った事例があります。

【事例854】うつ病|障害基礎年金2級(不安障害で治療をしていた事例)

※個別事案により判断は異なります。

どの傷病名を診断書に記載するか、精神病の病態を示しているかどうかの判断は主治医の領域です。

ご自身で判断せず、主治医にご相談ください。

診断名別の詳細は、混合性不安抑うつ障害と障害年金遷延性抑うつ反応と障害年金気分変調症と障害年金 をご覧ください。

うつ病で障害年金を受給するための3つの要件

うつ病で障害年金を受給するための3つの要件

うつ病で障害年金を受給するには、「初診日要件」「保険料納付要件」「障害の状態」の3つをすべて満たす必要があります。

いずれか1つでも欠けると、症状の重さにかかわらず受給できません。

順に確認していきます。

①初診日要件

初診日とは、障害の原因となった傷病について 初めて医師または歯科医師の診療を受けた日 を指します。

障害年金では、この初診日が次のいずれかの期間にあることが必要です。

障害基礎年金の対象となる初診日

  • 国民年金の加入期間(自営業の方、学生の方、専業主婦・専業主夫の方、無職の方など)
  • 20歳前の 年金制度に加入していない期間
  • 日本国内に住んでいる60歳以上65歳未満で、年金制度に加入していない期間

障害厚生年金の対象となる初診日

  • 厚生年金保険の被保険者期間(会社員・公務員として勤務していた期間など)

ここで注意していただきたいのは、20歳前であっても 厚生年金保険の被保険者期間中に初診日がある場合は障害厚生年金の対象 になることです。「20歳前だから障害基礎年金」と一律に考えることはできません。

うつ病の場合、初診日の特定そのものが難しいケースが多くあります。この点は次の章で詳しく解説します。

②保険料納付要件

初診日の 前日 において、初診日のある月の前々月までに、次のいずれかを満たしている必要があります。

原則(3分の2要件)

被保険者期間のうち、国民年金の保険料納付済期間(厚生年金保険の被保険者期間、共済組合の組合員期間を含む)と保険料免除期間をあわせた期間が3分の2以上あること。

特例(直近1年要件)

初診日が 令和18年(2036年)3月末日まで にあり、かつ初診日において65歳未満であれば、初診日の前日において、初診日のある月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がないこと。

この特例の期限は法改正により延長されてきた経緯があり、古い情報源には「令和8年3月末日まで」と記載されているものがあります。現在の期限は令和18年3月末日までです。

なお、20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、保険料納付要件は問われません。20歳前は国民年金保険料を納める仕組みがないためです。ただし、この場合の障害基礎年金には、本人の前年所得による支給制限が設けられています(詳しくは金額の章で触れます)。

「初診日の前日において」という条件がある点も見落とされがちです。初診日より後になって未納分をさかのぼって納めても、納付要件を満たしたことにはなりません。

受給要件の全体像は 障害年金をもらえる人|3つの受給要件をわかりやすく解説 で詳しく解説しています。

③障害の状態が認定基準に該当すること

障害認定日 において、障害認定基準に定める等級に該当している必要があります。

障害認定日とは、原則として初診日から1年6か月を経過した日をいいます。ただし、1年6か月を経過する前に症状が固定した場合は、その固定した日が障害認定日となります。

障害認定日に等級に該当していれば、障害認定日の翌月分から年金を受給できます。この請求方法を「障害認定日による請求」といい、請求が遅れた場合でも、さかのぼって受け取れる年金は時効により5年分が限度です。

20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、この取扱いに例外があります。 障害認定日以後に20歳に達したときは、障害の状態を判定する時点が 20歳に達した日 となり、支給も 20歳に達した日の翌月分から となります。10代でうつ病の初診日がある方は、この点にご注意ください。

(出典:日本年金機構「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額」)

20歳前に初診日がある場合の障害認定日の考え方、診断書の準備時期などは 20歳前障害年金とは で詳しく解説しています。

障害認定日の時点では該当しなかった方でも、その後症状が悪化して認定基準に該当する状態になった場合は「事後重症による請求」という方法があります。ただし、請求書は 65歳の誕生日の前々日まで に提出する必要があり、支給は請求した月の翌月分からで、さかのぼりはありません。

事後重症による請求は、請求が遅れるとその分だけ受給開始が遅くなります。悪化を感じた段階で早めに準備を進めることをおすすめします。

うつ病では初診日の特定が最初の関門になる

うつ病では初診日の特定が最初の関門になる

初診日が確定しないと、受け取れる年金の種類も納付要件の判定も決まりません。

うつ病の場合、長期にわたって複数の医療機関を受診されている方が多く、この初診日の特定と証明が最初の関門になります。

精神科以外の受診日が初診日になる場合

障害年金でいう初診日は「うつ病と診断された日」ではありません。

その傷病について初めて医師または歯科医師の診療を受けた日 です。

うつ病の場合、最初は不眠・頭痛・倦怠感・食欲不振といった症状で内科を受診し、しばらく通院した後に精神科・心療内科へ移られたというケースが少なくありません。この場合、初診日は精神科の受診日ではなく、内科を最初に受診した日 と判断されることがあります。

また、当初の診断名が「自律神経失調症」「不眠症」など別の傷病名だったケースもあります。

前後の傷病に相当因果関係があると判断される場合には、先行する傷病で受診した日が初診日として扱われます。

初診日が数年さかのぼると、その時点で加入していた年金制度が変わり、受け取れる年金の種類が変わることがあります。

ご自身の記憶だけで「精神科の初診日が初診日」と決めてしまう前に、それ以前の受診歴を確認しておくことが大切です。

弊事務所でも、内科の受診日が初診日と認められた事例があります。

【事例313】うつ病|障害基礎年金2級(初診の病院が内科だった事例)

※個別事案により判断は異なります。

前後の傷病の関係については 障害年金の「相当因果関係」とは をご参照ください。

カルテが残っていない場合の証明方法

初診日の確認は、原則として初診時の医療機関が作成する 受診状況等証明書 で行います。

診断書を作成してもらう医療機関が初診の医療機関と同じ場合は、この書類は不要です。

問題は、初診から長い年数が経過している場合です。診療録(カルテ)の法定保存期間は5年とされており、その起算点は初診日ではなく 診療が完結した日(最後に受診した日) です。

そのため、通院をやめてから年数が経っている医療機関では、記録が残っていないことがあります。

なお、当時の担当医が退職していても、診療録・受診受付簿・入院記録などの記録が残っていれば、別の医師が記録に基づいて作成できる場合があります。

「担当医がもういない」と聞いただけで諦める必要はありません。

記録が残っておらず受診状況等証明書を取得できない場合は、次のような方法があります。

  1. 「受診状況等証明書が添付できない申立書」を作成する — 取得できない理由をご本人またはご家族が申し立てる書類です。ただし、この申立書だけでは初診日の証明にはならず、客観的な参考資料とあわせて判断されます。
  2. 2番目以降に受診した医療機関に依頼する — 初診の医療機関で取得できない場合、次に受診した医療機関へ順にさかのぼって依頼していく方法があります。
  3. 参考資料をそろえる — 各種手帳や手帳申請時の診断書、生命保険・損害保険の給付時の診断書、事業所の健康診断の記録、健康保険の給付記録、お薬手帳、診察券、領収書などが参考資料になります。複数そろえて整合性を示すことが有効です。
  4. 第三者証明を利用する — 三親等内の親族以外の方による証明です。20歳以降に初診日がある場合は、原則として複数(2名以上) の第三者証明が求められ、これに加えて診察券などの参考となる資料を提出し、両者の整合性を確認したうえで判断されます。第三者証明だけで初診日が認められるものではありません。ただし、初診日頃の受診状況を直接見て認識していた担当医師・看護師などの医療従事者による第三者証明は、医証と同等の資料として扱われ、他に参考資料がなくてもその証明のみで初診日が認められることがあります。

なお、20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、第三者証明の取扱いが異なります。

給付内容が障害基礎年金のみで単一であることから、初診日を証明する書類が第三者証明のみであっても、その内容を総合的に勘案して申立ての初診日が認められることとされています(20歳前であっても、厚生年金保険の被保険者期間中に初診日がある場合は、20歳以降と同じ取扱いです)。

(出典:厚生労働省「障害年金の初診日を明らかにすることができる書類を添えることができない場合の取扱いについて」/日本年金機構「障害年金の初診日証明書類のご案内」)

いずれの場合も、提出された資料全体の内容と整合性をもとに日本年金機構が個別に判断します。

書類の準備には時間がかかりますので、どの資料が使えるかの見通しを早めに立てておくことが、結果的に手続き全体を短くします。

うつ病の障害認定基準と等級判定の仕組み

うつ病の障害認定基準と等級判定の仕組み

うつ病の等級は、障害認定基準と「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」に基づいて判断されます。

ここでは、認定基準の等級ごとの状態、ガイドラインが示す目安、そして総合評価の3つを順に見ていきます。

等級ごとの認定基準

障害認定基準は、気分(感情)障害について各等級に相当すると認められるものを次のように例示しています。

等級状態
1級気分(感情)障害によるものにあっては、高度の気分、意欲・行動の障害及び高度の思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり、ひんぱんに繰り返したりするため、常時の援助が必要なもの
2級気分(感情)障害によるものにあっては、気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり又はひんぱんに繰り返したりするため、日常生活が著しい制限を受けるもの
3級気分(感情)障害によるものにあっては、気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、その病状は著しくないが、これが持続したり又は繰り返し、労働が制限を受けるもの(障害厚生年金のみ)

(出典:厚生労働省「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」第3 第1章 第8節/精神の障害)

繰り返しになりますが、3級は障害厚生年金にのみ設けられた等級です。初診日に国民年金に加入していた方は、1級または2級に該当しなければ支給されません。

精神の障害に係る等級判定ガイドラインの目安

うつ病を含む精神の障害の認定では、認定基準に加えて「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」(平成28年9月1日実施)が用いられます。

このガイドラインは、障害基礎年金の不支給割合に都道府県間で差があることが確認されたことを受け、地域差による不公平が生じないようにするために策定されたものです。

ガイドラインは、診断書(精神の障害用)に記載される 「日常生活能力の判定」の平均値「日常生活能力の程度」 の組み合わせから、障害等級の目安を示しています。

なお、ガイドラインの対象は精神障害および知的障害です。てんかんについては、発作の重症度や頻度等を踏まえた等級判定を障害認定基準で別途規定しているため、ガイドラインの対象傷病から除かれています。

「日常生活能力の判定」7項目

診断書の裏面で、主治医が次の7項目についてそれぞれ4段階で評価します。

  1. 適切な食事
  2. 身辺の清潔保持
  3. 金銭管理と買い物
  4. 通院と服薬(要・不要)
  5. 他人との意思伝達及び対人関係
  6. 身辺の安全保持及び危機対応
  7. 社会性

4段階の選択肢は、程度の軽いほうから「できる」「おおむね(自発的に)できるが時には助言や指導を必要とする」「(自発的かつ適正に行うことはできないが)助言や指導があればできる」「助言や指導をしてもできない若しくは行わない」です。

選択肢の文言は項目によって異なり、「適切な食事」「身辺の清潔保持」では括弧内の表現が用いられ、残る5項目では括弧外の表現が用いられます。

この4段階を軽いほうから1〜4の数値に置き換え、7項目の平均を出したものが「判定平均」です。

評価にあたっては、記載要領で次の点が示されています。ここはご自身の状況を主治医に伝えるうえで、とくに知っておいていただきたい部分です。

  • 入所施設やグループホーム、日常生活上の援助を行える家族との同居などにより、支援が常態化した環境下で日常生活が安定している場合であっても、単身でかつ支援がない状況で生活した場合を想定 して記載する
  • 診察時の一時的な状態ではなく、現症日以前1年程度での障害状態の変動 について、症状の好転と増悪の両方を勘案して判断する
  • 独居であっても、日常的に家族の援助や福祉サービスを受けることによって生活できている場合(現に受けていなくても、その必要がある状態の場合を含む)は、それらの支援の状況や必要性を踏まえ、能力の過大評価にならないように留意する
  • 「できる」とは、他者による特別の援助(助言や指導)を要さない程度のものをいう

(出典:日本年金機構「障害年金の診断書(精神の障害用)記載要領」)

「日常生活能力の程度」5段階

同じく診断書の裏面で、日常生活全般における制限度合いを包括的に5段階で評価します。

うつ病の場合は《精神障害》欄が用いられます。

区分状態
(1)精神障害(病的体験・残遺症状・認知障害・性格変化等)を認めるが、社会生活は普通にできる。
(2)精神障害を認め、家庭内での日常生活は普通にできるが、社会生活には援助が必要である。
(3)精神障害を認め、家庭内での単純な日常生活はできるが、時に応じて援助が必要である。
(4)精神障害を認め、日常生活における身のまわりのことも、多くの援助が必要である。
(5)精神障害を認め、身のまわりのこともほとんどできないため、常時の援助が必要である。

障害等級の目安

「判定平均」と「程度」を組み合わせた目安は、ガイドラインの〔表1〕で次のとおり示されています。

判定平均\程度(5)(4)(3)(2)(1)
3.5以上1級1級又は2級
3.0以上3.5未満1級又は2級2級2級
2.5以上3.0未満2級2級又は3級
2.0以上2.5未満2級2級又は3級3級又は3級非該当
1.5以上2.0未満3級3級又は3級非該当
1.5未満3級非該当3級非該当

(出典:厚生労働省「国民年金・厚生年金保険 精神の障害に係る等級判定ガイドライン」〔表1〕障害等級の目安)

表を読むうえで、次の2点は必ず押さえてください。

  • 表内の「3級」は、障害基礎年金を認定する場合には「2級非該当」と置き換えます。 つまり、初診日に国民年金に加入していた方にとって、目安が3級となる組み合わせは不支給を意味します。
  • 「—」の欄は、参考となる目安が示されていない組み合わせです。 「判定平均」と「程度」の整合性が低い場合は、必要に応じて診断書を作成した医師に内容確認をしたうえで、他の記載内容から総合評価が行われます。

また、目安が「2級又は3級」のように複数になる場合は、総合評価の段階で両方の等級に該当する可能性を踏まえて慎重に判定するものとされています。

総合評価で考慮される要素

ガイドラインが示すのはあくまで目安であり、最終的な等級は認定医による 総合評価 で決まります。

ガイドラインは、目安と異なる認定結果となることもあり得ると明記しています。

総合評価では、診断書の記載項目を5つの分野に区分し、それぞれ考慮すべき要素が例示されています。

分野考慮される内容の例
現在の病状又は状態像適切な治療を行っても症状が改善せず、重篤なそうやうつの症状が長期間持続したり頻繁に繰り返している場合は、1級または2級の可能性を検討する
療養状況通院の頻度・治療内容・服薬状況。在宅で家族や重度訪問介護等から常時援助を受けて療養している場合は、1級または2級の可能性を検討する
生活環境家族等の援助や福祉サービスの有無。独居であっても日常的に援助を受けて生活できている場合(その必要がある状態を含む)は、2級の可能性を検討する
就労状況就労系障害福祉サービス(就労継続支援A型・B型)および障害者雇用制度による就労は、1級または2級の可能性を検討する。就労移行支援も同様
その他「程度」と「判定」に齟齬がある場合や、判定平均が低くても特定の項目に著しい偏りがあり日常生活に大きな支障が生じている場合は、その状況を考慮する

(出典:厚生労働省「国民年金・厚生年金保険 精神の障害に係る等級判定ガイドライン」〔表2〕総合評価の際に考慮すべき要素の例)

診断書の記載と申立書の内容が整合していること、そしてこれらの要素が書類上で伝わる形になっていることが、認定において重要になります。

障害年金でもらえる金額の考え方

障害年金の金額は毎年度改定されるため、本記事では金額の「決まり方」を整理し、最新の具体的な金額は専用ページでご確認いただく形にしています。

同じ等級であっても、受け取る額が人によって異なる場合があることをご理解いただくのが目的です。

障害基礎年金の金額の決まり方

障害基礎年金は 定額 です。

等級(1級・2級)と生年月日によって金額が決まり、1級は2級の1.25倍と定められています。

これに加えて、受給される方に 生計を維持されている子 がいる場合は、子の人数に応じた 子の加算額 が上乗せされます。

加算の対象となる子は、18歳になった後の最初の3月31日までの子、または20歳未満で障害等級1級・2級の状態にある子です。

なお、20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある障害基礎年金には、本人の前年所得による支給制限 があります。

前年の所得が一定額を超えると年金額の2分の1が、さらに高い基準額を超えると全額が支給停止となります(扶養親族がいる場合は基準額に加算があります)。

これは受給権そのものがなくなるのではなく、所得が基準額以下になれば支給が再開される「支給停止」です。

前年所得に基づく支給対象期間は 10月分から翌年9月分まで で、年金額の改定(4月)とは別のサイクルで動く点にご注意ください。

障害厚生年金の金額の決まり方

障害厚生年金は 報酬比例 です。

厚生年金保険に加入していた期間の平均標準報酬額と被保険者期間の月数をもとに計算されるため、同じ等級でも人によって金額が異なります

等級障害厚生年金の額(報酬比例部分)
1級(報酬比例の年金額)× 1.25 +〔配偶者の加給年金額〕
2級(報酬比例の年金額)+〔配偶者の加給年金額〕
3級(報酬比例の年金額)のみ。最低保障額あり(生年月日により2区分)

上の表は障害厚生年金の額です。1級・2級に該当する場合は、これに障害基礎年金(子の加算を含む)が上乗せされます。

配偶者の加給年金額は、その方に生計を維持されている65歳未満の配偶者がいるときに加算されます。

ただし、配偶者が老齢厚生年金(被保険者期間が20年以上等の場合に限る)や退職共済年金(組合員期間20年以上)を受け取る権利があるとき、または障害年金を受けられる間は、配偶者加給年金額は支給停止されます。

令和4年4月以降は、実際に受け取っていなくても受け取る権利がある場合は支給停止の対象です(一定の要件を満たす場合の経過措置があります)。

このほか、報酬比例部分の計算では、厚生年金保険の被保険者期間が300月(25年)未満の場合に300月とみなす取扱いがあります。

また、障害認定日の属する月より後の被保険者期間は年金額の計算の基礎とされません。

(出典:日本年金機構「障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額」)

具体的な金額は、次のページで年度ごとにご確認いただけます。

うつ病でもらえる障害年金の金額

うつ病で申請する場合のポイント(診断書・病歴・就労状況等申立書)

うつ病の障害年金請求では、主治医が作成する診断書と、ご本人またはご家族が作成する病歴・就労状況等申立書の 内容の整合性 がきわめて重要です。

ここでは、それぞれの準備で意識したい点を整理します。

「精神の障害用」診断書(様式第120号の4)の作成依頼

障害年金の診断書とは

うつ病の場合は「精神の障害用」の診断書(様式第120号の4)を使用します。

診断書を作成するのは主治医ですが、日常生活の困りごとが正確に伝わっていなければ、実態より軽い内容で作成されてしまうことがあります。

診断書の依頼にあたっては、次の点を意識されるとよいでしょう。

  • 診察時に伝えきれない症状や日常生活の状況は、あらかじめメモにまとめて主治医にお渡しする ことが有効です
  • 「日常生活能力の判定」7項目について、ご家族や支援者のサポートがあって成り立っている部分を、漏れなく具体的に伝えます
  • 前章のとおり、この7項目は 単身でかつ支援がない状況を想定して 評価されるものです。「家族がいるからできている」ことを「できる」と伝えてしまわないよう、実態を整理しておきます
  • 診察時の一時的な状態ではなく、過去1年程度の変動 を伝えます。調子のよい日に受診されている場合は、悪いときの状況が伝わりにくくなります
  • ご自身の状態を「自分でできる」と過小に申告してしまう傾向があるため、ご家族など客観的に見ている方の視点を交えて整理すると正確になります

なお、診断書の「⑩エ 現症時の就労状況」欄について、記載要領は次のように説明しています。

この欄は、精神障害者がどのような働き方をしているか(どの程度の援助を受けて就労ができているか)を確認するために、就労に関する情報をできる限り収集することを目的に設けたものです。就労している事実だけで、障害年金の支給決定が判断されることはありません。

(出典:日本年金機構「障害年金の診断書(精神の障害用)記載要領」)

仕事場の内外を問わず、就労を継続するために受けている援助や配慮の状況も記載する欄が設けられています。

病気休暇や休職の期間がある場合は、その時期と復帰後の状況を伝えておくとよいでしょう。

また、診断書の傷病名欄に神経症圏(ICD-10コードがF4)の傷病名が記載される場合であっても、統合失調症等または気分(感情)障害の病態を示しているときは、「⑬備考」欄にその病態とICD-10コードを記入する ことが記載要領で示されています。

医学的な判断は主治医の領域です。

診断書の内容そのものを指示することはできませんが、形式面の確認や記載漏れのチェック は社会保険労務士の専門領域です。

診断書の役割については 障害年金の申請は「診断書」で9割が決まる!? で詳しく解説しています。

病歴・就労状況等申立書の書き方

病歴・就労状況等申立書の書き方

病歴・就労状況等申立書は、発病から現在までの経過・治療・日常生活・就労状況を、ご本人またはご家族が時系列で記載する書類です。診断書を補強する役割を担います。

  • 発病から現在まで 期間をあけずに 記載します。1つの期間が5年を超えるときは、おおむね3〜5年ごとに区切ります
  • 受診していない期間も空欄にせず、「受診なし」などと明記したうえで、その間の日常生活の状況を記載します
  • 通院の中断・再開、休職・復職・退職、家事や対人関係への影響など、具体的なエピソードを書きます
  • 診断書の内容と矛盾しないこと が重要です(例:診断書で症状が重いとされている時期について「普通に生活できていた」と書かない)
  • 記載要領では、日常生活について「本人がどのくらいの不自由さを感じているか」を記入するものとされています。診断書の「日常生活能力の判定」で用いられる「単身生活を想定した評価」とは考え方が異なる点にご注意ください

この書類はご本人・ご家族でも作成できます。日本年金機構が様式と記載要領を公開していますので、まずはそちらをご確認いただくとよいでしょう。

書き方の詳細は 「病歴・就労状況等申立書」の書き方|記入例と自分で書く9つのコツ をご覧ください。

なお、令和7年6月1日施行の様式変更により、「障害給付 請求事由確認書」は独立した書類としては統合され、年金請求書本体(障害基礎年金は様式第107号、障害厚生年金・障害手当金は様式第104号)の「事後重症請求に関する確認事項」欄に組み込まれています。

最新の様式・記載要領は、日本年金機構の公式案内でご確認ください。

書類をそろえる順序や提出先を含めた全体の流れは 障害年金の申請から受給までの流れ で解説しています。

うつ病で「もらえない」「難しい」と言われるケース

うつ病で障害年金を申請しても、不支給となる場合があります。

「うつ病の障害年金は難しい」と言われる背景には、いくつかの典型的なパターンがあります。

あらかじめ把握しておくことで、準備の段階で対策できる部分は少なくありません。

診断書の傷病名が神経症圏だった場合

診断書の傷病名が神経症圏だった場合

診断書の傷病名が適応障害・パニック障害・不安障害・強迫性障害など神経症圏の傷病名で作成された場合、原則として認定の対象外となります。

ここで理解しておきたいのは、判断の順序 です。まず認定の対象となり得る病態があるかどうかが確認され、そのうえで日常生活能力等が等級の判断に用いられます。

したがって、純粋に神経症圏と判断される場合は、日常生活の支障をどれだけ詳しく記載しても、それだけで認定の対象になるわけではありません。

「生活の困りごとを書き足せば通る」という性質のものではない、という点はご理解いただく必要があります。

一方で、前述のとおり、臨床症状から判断して精神病の病態を示していると認められる場合には、統合失調症または気分(感情)障害に準じて取り扱われる例外があります。

また、うつ病などの認定対象となる傷病が併記されている場合や、経過のなかで診断名が変わっている場合もあります。

ご自身では「うつ病」と認識されていても、診断書上の傷病名が異なるケースは少なくありません。

申請前に、診断書に記載される傷病名を主治医に確認しておかれることをおすすめします。

反復性うつ病性障害で不支給となった場合の対応は 反復性うつ病性障害で不支給になったときは をご覧ください。

就労していると不支給になるのか

就労していると不支給になるのか

「働いていると障害年金はもらえない」と耳にされたことがある方は多いかもしれません。

しかし、就労していること自体が直ちに不支給につながるわけではありません。

障害認定基準は、日常生活能力等の判定について次のように定めています。

現に仕事に従事している者については、労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、その療養状況を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況等を十分確認したうえで日常生活能力を判断すること。

(出典:厚生労働省「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」第3 第1章 第8節/精神の障害)
働きながら障害年金をもらえる可能性が高い方の特徴

等級判定ガイドラインでも、就労系障害福祉サービス(就労継続支援A型・B型)や障害者雇用制度による就労、就労移行支援については1級または2級の可能性を検討するとされています。

障害者雇用制度を利用しない一般企業や自営・家業等での就労であっても、これらと同程度の援助を受けて就労している場合は2級の可能性を検討するとされています。

さらに、精神障害について次の点も考慮要素に挙げられています。

  • 1年を超えて就労を継続できていても、就労の頻度や受けている援助・配慮の状況を踏まえ、就労の実態が不安定な場合はそれを考慮する
  • 頻回の欠勤・早退・遅刻など、出勤状況への影響を考慮する
  • 仕事場での臨機応変な対応や意思疎通に困難な状況が見られる場合は、それを考慮する
  • 就労の影響で就労以外の場面の日常生活能力が著しく低下していることが客観的に確認できる場合は、両方の場面の状況を考慮する

一方で、配慮なくフルタイムでの就労を安定して継続できている場合は、ハードルが上がる傾向にあります。

つまり、問われているのは「働いているかどうか」ではなく「どのような援助や配慮のもとで働けているか」です。

この実態が診断書と申立書に反映されているかどうかが分かれ目になります。

詳しくは 「働きながら障害年金をもらえる人」をわかりやすくご説明します障害年金2級(精神疾患)でどれくらい働ける? をご覧ください。

不支給決定を受けた後の選択肢

「もらえない」「不支給だった」ときの選択肢

不支給の決定を受けた場合でも、いくつかの選択肢があります。

目的が異なるため、状況に応じた使い分けが必要です。

決定そのものに納得できない場合 — 審査請求

決定があったことを知った日の翌日から 3か月以内 に、社会保険審査官へ審査請求を行います。

その決定にも不服がある場合は、決定書が送付された日の翌日から 2か月以内 に社会保険審査会へ再審査請求ができます。

なお、決定の取消しを求める訴訟(行政事件訴訟)は、原則として、審査請求に対する社会保険審査官の決定を経た後でなければ提起できません(審査請求前置)。

再審査請求まで行うことは必須ではなく、審査請求の決定を経た段階で訴訟を提起することもできます。

ただし、審査請求をした日から2か月を経過しても決定がないときなど、一定の場合には決定を経ずに訴えを提起できることとされています。

(出典:国民年金法第101条の2/日本年金機構「年金の決定に不服があるとき(審査請求)」)

書類を整えて出し直す場合・症状が悪化した場合 — 再請求

不支給の原因となった点を確認したうえで、改めて請求する方法です。

症状が悪化している場合は、事後重症による請求として手続きすることになります。

事後重症による請求は請求した月の翌月分からの支給となり、さかのぼりはありませんので、不必要に期間を空けないことが大切です。

なお、額改定請求は障害年金を受給されている方が上位等級への変更を求める手続きであり、不支給となった方が使える手続きではありません。

混同されやすい点ですのでご注意ください。

不支給の理由を確認することは容易ではありませんが、書類の内容を見直すことで結果が変わる事案もあります。

【事例480】反復性うつ病性障害|障害厚生年金2級(過去不支給になって再申請した事例)

※個別事案により判断は異なります。

手続きの詳細は 障害年金の「不服申立て(審査請求・再審査請求)」とは障害年金がもらえない人の主なパターン障害年金の不支給率が2倍に跳ね上がったという報道は本当? をご参照ください。

うつ病で障害年金を受給された方の事例

うつ病で障害年金を受給された方の事例

弊事務所では、うつ病の方の障害年金申請を数多く手がけています。

就労状況、初診日からの経過、ご家族の支援状況など、置かれた状況はさまざまです。

ここでは、実際にサポートさせていただいた事例の一部を、それぞれ論点が異なるものから選んでご紹介します。

【事例862】うつ病|障害厚生年金2級(週40時間フルタイムで就労している事例)

週40時間のフルタイム勤務をされながら、障害厚生年金2級に認定された事例です。

就労していることでハードルが上がるのは事実ですが、どのような働き方をされているかという実態を整理して申請しました。

【事例862】うつ病|障害厚生年金2級(週40時間フルタイムで就労している事例)

【事例785】うつ病|障害厚生年金3級(正社員でフルタイムで働いている事例)

正社員としてフルタイム勤務をされながら、障害厚生年金3級に認定された事例です。

同じフルタイム勤務でも、職場での配慮の内容や日常生活の状況によって判断は分かれます。

【事例785】うつ病|障害厚生年金3級(正社員でフルタイムで働いている事例)

【事例874】うつ病|障害基礎年金2級(精神疾患で一人暮らしの事例)

一人暮らしをされている方の事例です。一人暮らしができていること自体が「日常生活能力に問題がない」と評価されやすい面がありますが、一人暮らしに至った経緯や周囲からの援助の状況を整理して申請し、障害基礎年金2級の認定と過去5年分の遡及が認められました。

【事例874】うつ病|障害基礎年金2級(精神疾患で一人暮らしの事例)

【事例776】うつ病|障害基礎年金2級(一人暮らしと就労を始めた後の更新の事例)

すでに障害基礎年金2級を受給されていた方が、一人暮らしと障害者雇用での就労を始められた後、更新(再認定)を迎えられた事例です。

生活状況が変わったことで支給停止になるのではないかとご不安を持たれていましたが、実態を診断書に反映したうえで従前の等級が継続されました。

【事例776】うつ病|障害基礎年金2級(一人暮らしと就労を始めた後の更新の事例)

※個別事案により判断は異なります。認定は個別の事案ごとに判断されるため、同様の状況であれば同じ結果になるというものではありません。

うつ病の障害年金に関するよくあるご質問

申請をご検討の方から、よくいただくご質問をまとめました。

それぞれ詳細ページもご用意していますので、あわせてご参照ください。

Q. うつ病で障害年金2級・3級だと、いくらもらえますか?

障害基礎年金2級は定額で、生年月日により金額が定められています。初診日に厚生年金保険に加入されていた方は、これに報酬比例の障害厚生年金が上乗せされます。

障害厚生年金3級は報酬比例の年金額のみで、最低保障額が設けられています。

3級は障害厚生年金にのみ設けられた等級のため、初診日に国民年金に加入されていた方は対象になりません。

具体的な金額は うつ病でもらえる障害年金2級の金額はいくら?うつ病でもらえる障害年金3級の金額はいくら? でご確認ください。

Q. 障害者手帳がないと申請できませんか?

障害者手帳の有無は障害年金の要件ではありません。手帳をお持ちでなくても請求できます。

また、精神障害者保健福祉手帳の等級と障害年金の等級は、それぞれ基準の異なる別の制度に基づくもので、必ずしも一致しません。

【事例291】うつ病|障害基礎年金2級(同時に労災申請をおこなっていた事例)

上記は、精神障害者保健福祉手帳3級をお持ちの方が障害基礎年金2級に認定された事例です。ご本人は「手帳が3級だから年金も3級かもしれない」とご不安を持たれていました。

※個別事案により判断は異なります。

手帳については うつ病で障害者手帳がもらえないケース もご参照ください。

Q. 過去にさかのぼって受け取れますか?

障害認定日の時点で認定基準に該当していた場合は、障害認定日による請求(実務上「遡及請求」と呼ばれます)により、さかのぼって受け取れる可能性があります。

ただし、時効により5年分が限度です。

この場合、障害認定日以後3か月以内の現症の診断書 が必要です。

障害認定日と請求日が1年以上離れているときは、これに加えて 請求日前3か月以内の現症の診断書 も必要になります。

ただし、20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日があり、障害認定日が20歳に達した日となる場合は、その日の前後3か月以内の現症の診断書 が対象となります。

「以後3か月以内」ではないため、認定日より前の時期に作成された診断書も使える場合があります。

詳しくは 20歳前障害年金とは をご覧ください。

詳しくは うつ病の遡及請求について をご覧ください。

Q. 受給が決まった後、更新はありますか?

障害の状態が固定して変わらないと見込まれる場合の永久認定を除き、多くは有期認定となり、1〜5年ごとに「障害状態確認届(診断書)」を提出して再認定を受けます。

提出期限を過ぎると年金が差し止めになる場合がありますので、届いた際は早めに主治医へ作成を依頼してください。

詳しくは 障害年金の更新|手続きの流れと支給停止を防ぐポイント をご覧ください。

Q. 障害年金以外に利用できる制度はありますか?

うつ病で生活や就労に支障がある場合、障害年金のほかにも利用できる公的な支援制度があります。

傷病手当金、自立支援医療、精神障害者保健福祉手帳に伴う各種減免などが挙げられます。

詳しくは うつ病で利用できる公的支援制度 をご覧ください。

Q. 障害年金を受給することによるデメリットはありますか?

制度上の影響としては、傷病手当金との調整、健康保険の被扶養者の判定、障害基礎年金を受給される場合の国民年金保険料の法定免除などが関係します。

ご自身の状況によって影響の有無が変わりますので、事前に確認されることをおすすめします。

詳しくは 障害年金のデメリットとは をご覧ください。

まとめ

うつ病は障害年金の対象となる疾病で、所定の要件を満たせば受給できる可能性があります。

本記事の要点を整理します。

  • 受給には 初診日要件・保険料納付要件・障害の状態 の3要件をすべて満たす必要があります。初診日にどの年金制度に加入していたかで、受け取れる年金の種類と等級の範囲が変わります
  • うつ病では 初診日の特定 が最初の関門です。精神科以外の受診日が初診日となる場合があり、記録が残っていない場合も複数の証明方法があります
  • 等級は「気分(感情)障害」の障害認定基準と、精神の障害に係る等級判定ガイドラインの目安を参考にしつつ、総合評価 で決まります。ガイドラインの目安表の「3級」は、障害基礎年金では「2級非該当」と読み替えます
  • 金額は、障害基礎年金が等級と生年月日による定額に子の加算、障害厚生年金が報酬比例(1級は1.25倍)に配偶者の加給年金額という構成です。報酬比例部分は加入期間と報酬によって変わるため、同じ等級でも金額は人により異なります
  • 診断書と病歴・就労状況等申立書の 整合性 が認定上きわめて重要です。「日常生活能力の判定」は単身でかつ支援がない状況を想定して評価されます
  • 「就労していると必ず不支給」「神経症だから対象外」と決めつけず、就労の実態や診断書の傷病名を確認することが大切です
  • 不支給となった場合も、審査請求・再請求という選択肢があります

うつ病での障害年金申請をご検討中の方は、わくわく社会保険労務士法人(全国障害年金サポートセンター)までお気軽にお問い合わせください。

まとめ

※本記事は2026年8月時点の年金法令・障害認定基準に基づき作成しています。法令改正等により内容が変更される可能性があるため、最新の情報は 日本年金機構の公式サイト 等でご確認ください。個別の事案については社会保険労務士・弁護士等の専門家へのご相談を推奨します。医学的判断は主治医にご確認ください。

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