障害年金をもらえる人|3つの受給要件をわかりやすく解説

はじめに

「自分は障害年金を受け取れるのだろうか」「家族の障害でも対象になるのか」と不安をお持ちの方は多くいらっしゃいます。

障害年金を受給するためには、大きく分けて3つの主な要件を満たす必要があります。

初診日における加入制度によって受給できる年金の種類も変わるため、まずはご自身のケースがどの枠組みに当てはまるかを知ることが大切です。

本記事では、わくわく社会保険労務士法人が、障害年金の受給要件3つをわかりやすく解説します。

20歳前に発症された方、厚生年金加入中に発症された方など、個別ケースについても触れていきます。

障害年金の受給要件は3つ

障害年金の受給要件は3つ

障害年金を受給するには、①初診日要件②保険料納付要件③障害状態要件の3つの要件をすべて満たす必要があります。

1つでも欠けると、原則として受給できません。

要件概要
初診日要件障害の原因となった傷病で初めて医師の診療を受けた日に、年金制度に加入していた等の条件
保険料納付要件初診日の前々月までの保険料納付状況が一定以上
障害状態要件障害認定日に、障害認定基準で定められた等級に該当している

次節から、それぞれの要件を1つずつ詳しく解説していきます。

なお、20歳前に初診日がある方など、3つの要件のうち一部が変則的な取扱いとなるケースもありますので、各節の解説をご確認ください。

①初診日要件

①初診日要件

初診日要件は、障害年金の出発点となる最も重要な要件です。

初診日にどの年金制度に加入していたかによって、受給できる年金の種類が決まります

ここでは、初診日の定義、加入制度ごとの受給年金、初診日の証明が難しい場合の対応について解説します。

初診日とは

初診日とは

初診日とは、障害の原因となった傷病で初めて医師または歯科医師の診療を受けた日のことを指します。

同じ傷病で複数の医療機関を受診している場合は、最初の医療機関での受診日が初診日となります。

精神疾患の場合、内科などで先に診察を受け、後から精神科を受診したケースでは、最初に内科で診察を受けた日が初診日となる場合があります。

詳しくは 初診日とは のページをご覧ください。

初診日における加入制度で受給年金が決まる

初診日における加入制度で受給年金が決まる

初診日にどの年金制度に加入していたかによって、受給できる年金が次のように変わります。

初診日における状況受給できる年金(等級ごと)
国民年金加入中(自営業・専業主婦・学生など)1級・2級 → 障害基礎年金 / 3級相当 → 支給対象外
厚生年金加入中(会社員・公務員など)1級・2級 → 障害基礎年金+障害厚生年金 / 3級 → 障害厚生年金のみ
20歳前の年金未加入期間1級・2級 → 障害基礎年金 / 3級相当 → 支給対象外
60歳以上65歳未満で国内在住の年金未加入期間1級・2級 → 障害基礎年金 / 3級相当 → 支給対象外

ここで注意したいのは、障害基礎年金には3級が存在しないという点です。

国民年金加入中・20歳前・60歳以上の未加入期間に初診日がある方が3級相当の症状の場合、原則として障害年金の支給対象になりません。

一方、厚生年金加入中に初診日がある方は、3級でも障害厚生年金を受給できる可能性があります。

初診日の証明が難しい場合

初診日を証明するためには、原則として 受診状況等証明書(初診医療機関が作成する書類)が必要です。

カルテの保存期間(5年)を過ぎていたり、医療機関が廃院になっていたりすると、証明が困難になるケースがあります。

このような場合は、受診状況等証明書が添付できない申立書 に加えて、第三者証明や受診時のメモ・健康診断記録などの代替資料で初診日を立証していくことになります。

詳しくは 初診日が20年以上前で障害年金は請求できる? のページをご参照ください。

②保険料納付要件

Step2 — 保険料納付要件を確認する

保険料納付要件は、公的年金が相互扶助の仕組みであることから、初診日までに一定の保険料を納めていることを求める要件です。

原則(3分の2要件)と特例(直近1年要件)があり、20歳前傷病については例外的に納付要件が不要となります。

原則(3分の2要件)

原則として、初診日の前日において、初診日のある月の前々月までの被保険者期間で、保険料納付済期間と保険料免除期間を合算した期間が3分の2以上あることが求められます。

たとえば、初診日の前々月までに被保険者期間が30か月ある方の場合、そのうち20か月以上(30か月 × 2/3 = 20か月)が納付済期間または免除期間であれば要件を満たします。

未納期間が多い方でも、法定免除や申請免除、学生納付特例、納付猶予といった免除制度を利用していた期間は「免除期間」として算入されます。

ねんきん定期便やねんきんネットでご自身の納付状況を確認できます。

特例(直近1年要件・令和18年3月末日まで)

特例(直近1年要件・令和18年3月末日まで)

3分の2要件を満たせない場合でも、初診日が令和18年(2036年)3月末日までにあり、かつ初診日において65歳未満であれば、次の条件で要件を満たすことができます。

初診日の前日において、初診日のある月の前々月までの 直近1年間に保険料の未納がない こと

(出典:日本年金機構『障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額』)

この特例は法改正により順次延長されてきた経緯があり、古い情報源では「令和8年3月末日まで」と記載されているものがあります。

最新の特例期限は令和18年3月末日まで ですのでご注意ください。

20歳前傷病は納付要件不要(ただし所得制限あり)

20歳前傷病は納付要件不要(ただし所得制限あり)

20歳前の年金未加入期間に初診日がある方は、保険料納付要件は問われません

20歳前は国民年金保険料を納める仕組みがないため、その代わりに納付要件が免除されています。

なお、20歳前であっても 厚生年金保険の被保険者期間中に初診日がある場合は障害厚生年金の対象として判断される ため、本項の20歳前傷病(障害基礎年金)の取扱いとは別になります。

ただし、20歳前傷病による障害基礎年金には、本人の前年所得による支給制限が設けられています(令和7年10月1日改正後の基準)。

  • 扶養親族なしの場合、前年所得が 4,794,000円超で全額支給停止
  • 前年所得が 3,761,000円超で2分の1支給停止
  • 扶養親族1人につき所得制限額が38万円加算(老人控除対象配偶者・老人扶養親族は48万円、特定扶養親族または控除対象扶養親族(19歳未満)は63万円)
  • 支給停止期間は10月分から翌年9月分まで

また、海外居住中や矯正施設入所中も支給停止となります(ただし、矯正施設に入所している場合でも、有罪が確定していない間は支給停止になりません)。

「20歳前傷病だから無条件にもらえる」というわけではない点にご注意ください。

(出典:日本年金機構『20歳前の傷病による障害基礎年金にかかる支給制限等』)

③障害状態要件(障害認定基準への該当)

③障害状態要件(障害認定基準への該当)

障害状態要件は、障害認定日において、障害認定基準で定められた等級に該当していることを求める要件です。

障害認定日に該当しなかった方でも、その後悪化して該当した場合は事後重症請求という選択肢があります。

なお、障害認定日請求では、過去に遡って受給できる年金は時効により最大5年分が限度です。

障害認定日とは

障害認定日とは、原則として 初診日から1年6か月を経過した日 をいいます。

ただし、1年6か月を経過する前に症状が固定した場合は、その固定日が障害認定日となります。

特定の処置・傷病については、1年6か月の経過を待たずに障害認定日が定まる特例 があり、処置・傷病ごとに起算ルールが異なります。

代表的なものは次のとおりです。

処置・傷病障害認定日
人工透析療法透析を初めて受けた日から 3か月を経過した日
人工骨頭・人工関節の挿入置換挿入置換した日
心臓ペースメーカー・ICD・人工弁の装着装着した日
心臓移植・人工心臓・補助人工心臓移植日または装着日
人工肛門造設・新膀胱造設・尿路変更術造設日または手術日(その後の経過観察期間あり)
手足の切断・離断切断・離断した日(原則)
喉頭全摘出全摘出した日
在宅酸素療法(常時使用)開始日

その他、傷病が治癒しないものの症状が固定して治療効果が期待できないと判断される場合も、その固定日が障害認定日となります。

20歳前傷病の場合、障害認定日が20歳到達前にあるときは20歳到達日が障害認定日となります。

(出典:日本年金機構『障害認定基準』)

障害等級の概要

障害年金の等級は、国民年金法施行令別表(障害基礎年金)および 厚生年金保険法施行令別表第1・第2(障害厚生年金)に定められています。

障害基礎年金と障害厚生年金で対象等級が異なる点に注意が必要です。

等級障害基礎年金障害厚生年金状態の概要
1級他人の介助を受けなければ日常生活がほぼ不可能な程度
2級日常生活が著しい制限を受けるか、著しい制限を加える必要がある程度
3級×労働が著しい制限を受けるか、著しい制限を加える必要がある程度
障害手当金×◯(一時金)3級に至らないが治癒した状態で一定の症状が残った場合

繰り返しになりますが、障害基礎年金には3級は存在しません

また、障害者手帳の等級と障害年金の等級は別物で、一致するわけではありません。

日本年金機構も「障害年金の等級は身体障害者手帳等の等級とは異なる」と明記しています。

詳しくは 障害年金と障害者手帳の関係 のページをご覧ください。

認定日に該当しなかった場合(事後重症請求)

認定日に該当しなかった場合(事後重症請求)

障害認定日時点では認定基準に該当しなかった方でも、その後症状が悪化して認定基準に該当する状態になった場合は、事後重症請求という方法で請求できます。

事後重症請求は、請求月の翌月分から年金が支給されます(認定日請求のような遡及はありません)。

原則として65歳の誕生日の前々日までに請求する必要があるため、悪化を感じた段階で早めに準備されることをおすすめします。

受給できる障害年金の種類と金額の目安

3つの要件をすべて満たすと、初診日における加入制度に応じて 障害基礎年金または障害厚生年金 を受給できます。

これに加えて厚生年金加入中に初診日がある方は、3級に満たない一定の障害が残った場合に 障害手当金(一時金) が支給される場合があります。

ここでは3つの給付の違いを整理し、年金額の目安について解説します。

障害基礎年金・障害厚生年金・障害手当金の3区分

給付の種類加入制度対象等級給付形態主な要件
障害基礎年金国民年金1級・2級年金(年額)3要件(初診日・保険料納付・障害状態)を満たす
障害厚生年金厚生年金1〜3級年金(年額)3要件(初診日・保険料納付・障害状態)を満たす
障害手当金厚生年金3級に満たない一定の障害一時金厚生年金加入中の初診日 + 保険料納付要件 + 初診日から5年以内に治った日に3級に満たない一定の障害が残ったとき

障害基礎年金と障害厚生年金は、本記事で解説した3つの受給要件(初診日要件・保険料納付要件・障害状態要件)を満たすことが基本となります。

一方、障害手当金は要件が異なります

厚生年金加入中に初診日があり、保険料納付要件を満たし、初診日から5年以内に傷病が治った(または症状固定した)日に3級に満たない一定の障害が残った場合に支給される一時金 です。

年金ではなく一時金として一度だけ支給される給付であり、定期的に受給する年金とは区別されます。

厚生年金加入者の方で1級・2級に該当する場合は、障害基礎年金と障害厚生年金の併給となります。

3級の場合は障害厚生年金のみの支給です。

金額の目安は最新年度版で確認

障害年金の金額は、年金額改定により毎年4月に変更されます。

本記事に固定値を記載してもすぐ古くなってしまうため、具体的な金額は最新年度の専用ページをご確認ください。

なお、障害基礎年金1級・2級の受給者で前年所得が一定額以下の方は、「障害年金生活者支援給付金」という上乗せ給付を受けられる場合があります。

給付額の詳細も上記の最新年度ページに掲載しています。

受給できないケース・「もらえない」と言われたら

受給できないケース・「もらえない」と言われたら

3つの要件のいずれかを満たせない場合や、認定基準に該当する程度の障害状態と判断されなかった場合は、不支給となることがあります。

ただし、不支給後にも複数の選択肢が用意されています。

受給できないケースの典型例

実務上、不支給となりやすい典型的なパターンには次のようなものがあります。

  • 初診日の証明ができない(カルテ廃棄、医療機関廃院など)
  • 保険料納付要件を満たさない(初診日前日時点での未納が多い)
  • 障害認定基準に該当しないと判断された(診断書の記載が認定基準と噛み合わない場合を含む)
  • 病歴・就労状況等申立書と診断書の内容に整合性がない

なお、20歳前傷病による障害基礎年金で前年所得が支給制限額を超えた場合は、「不支給」ではなく「全部または一部の支給停止」 となります。

受給権そのものはあり、所得が制限額以下に下がった年度には支給が再開される点が、上記の不支給ケースとは異なります。

これらに該当しそうな方は、障害年金がもらえない人の特徴 も併せてご参照ください。

不支給後の選択肢(再請求・審査請求)

不支給決定を受けた場合、主な選択肢は次の3つです。

  1. 再請求(新規請求または事後重症請求) … 症状悪化や追加証拠の確保ができた場合
  2. 審査請求 … 社会保険審査官に対する不服申立て(決定があったことを知った日の翌日から3か月以内)
  3. 再審査請求 … 社会保険審査会に対する不服申立て(審査請求の決定書が送付された日の翌日から2か月以内)

なお、額改定請求 は受給権がある方(現在受給中の方)が上位等級への変更を求める手続きであり、不支給の方が利用する手続きではありません。混同しないようにご注意ください。

不支給後の対応は、書類の整え直しや認定基準との照合など専門的な判断が必要になることが多いため、社会保険労務士へのご相談も有効な選択肢の一つです。

よくあるご質問

受給要件に関連してよくいただくご質問にお答えします。

Q1. 働きながらでも障害年金は受給できますか?

働きながら障害年金を受給することは可能です。

ただし、就労の状況(就労時間、職場の配慮、業務内容など)は等級判定の際に考慮されます。

特に精神疾患の場合は、就労状況が「日常生活能力」の判定にも関わるため、診断書や病歴・就労状況等申立書での記載が重要です。

詳しくは 働きながら障害年金をもらえる人 をご覧ください。

Q2. 障害者手帳があれば障害年金を受給できますか?

Q2. 障害者手帳があれば障害年金を受給できますか?

障害者手帳の有無は、障害年金の受給要件ではありません。

障害者手帳と障害年金は別制度であり、手帳がなくても認定基準に該当すれば障害年金は受給できます。

逆に、手帳をお持ちでも障害年金の等級判定に該当せず、受給できない場合もあります。

詳しくは 障害年金と障害者手帳の関係 をご参照ください。

Q3. 65歳以降も障害年金は受給できますか?

障害年金は65歳以降も受給を継続できます。

さらに 平成18年4月以降の取扱いとして、65歳以降は「障害基礎年金+障害厚生年金」(従来通り)に加えて、「障害基礎年金+老齢厚生年金」「障害基礎年金+遺族厚生年金」といった支給事由の異なる年金の併給選択も可能になります。

ただし、障害基礎年金と老齢基礎年金のように2つの基礎年金を同時に受けることはできません

65歳以降に支給事由の異なる年金を組み合わせて受ける場合は、「年金受給選択申出書」の提出が必要 です。

組み合わせ方によって受給総額が変わる場合がありますので、障害年金と老後の年金 でご確認ください。

障害年金を受給した事例

弊事務所では、さまざまな疾病・状況の方の障害年金申請を支援してきました。

実際の受給事例(うつ病・統合失調症・発達障害・身体障害・難病等)は、事例ページにまとまっています。

障害年金の受給事例一覧

事例には、年代・疾病・初診日の加入制度・等級などにばらつきを持たせて掲載しています。

なお、個別事案により判断は異なりますので、ご自身のケースに当てはまるかどうかは個別に検討する必要があります。

まとめ

障害年金の受給要件は、①初診日要件②保険料納付要件③障害状態要件の3つです。

3つすべてを満たすことが原則ですが、20歳前傷病については保険料納付要件が問われない代わりに所得制限があるなど、ケースごとに細かい取扱いがあります。

ご自身が要件を満たしているかどうかは、初診日の加入制度・納付状況・現在の障害状態を1つずつ確認していくことが大切です。

障害年金申請のご相談は、わくわく社会保険労務士法人(全国障害年金サポートセンター)までお気軽にお問い合わせください。


※本記事は2026年5月時点の年金法令・障害認定基準に基づき作成しています。
法令改正等により内容が変更される可能性があるため、最新の情報は 日本年金機構の公式サイト 等でご確認ください。
個別の事案については社会保険労務士・弁護士等の専門家へのご相談を推奨します。
医学的判断は主治医にご確認ください。

まとめ

「入院中なので事務所へ行けない」「家から出られない」「人と話すのが苦手・・・」という場合は、ホームページのお問合せフォーム以外にも電話やLINEなどでお気軽にご連絡下さい。

電話やメール、LINEなどでご質問いただいても、必ず当事務所にご依頼頂かなければいけないということではございません。
お問合せ頂いた後に当センターから営業の電話などをすることもございませんので、その点はご安心下さい。
ゆっくりご検討下さい。

お電話での無料相談はこちら

無料診断・相談はコチラ

LINE@での無料相談はこちら

当事務所では面会やお電話に加えてLINEでのやりとりも対応しております。
いろいろな事情で面会やお電話でのやりとりが難しい場合は、お気軽にラインでお問合せ下さい。

LINE友達追加