
目次
はじめに

現在障害年金を受給されている方の中には、「更新の手続きをどう進めればいいのか分からない」「更新が通らず年金が止まってしまわないか不安」とお悩みの方も多いと思います。
特に初めての更新を控えている方は、情報が少なく不安が募りやすいものです。
本記事では、障害年金の更新(障害状態確認届の提出)について、手続きの流れ・提出期限・年金を止めないためのポイント、そして万が一支給が止まったときの対応までを、順を追って解説します。
障害年金の更新とは(有期認定と永久認定)
障害年金の更新とは、「障害状態確認届」という書類を提出し、障害の状態が引き続き支給に該当するかを確認してもらう手続きです。
多くの受給者の方に必要となる手続きで、まずは「有期認定」と「永久認定」の違いを押さえておくことが大切です。
有期認定(更新が必要な方)
有期認定とは、1年から5年ごとに障害の状態を再確認する認定方法です。
「障害(しょうがい)年金」を「生涯(しょうがい)年金」と思い込み、「一生涯もらえると思っていた」とおっしゃる方もいらっしゃいますが、実際にはほとんどの方がこの有期認定にあたります。
更新の期間がどのように決まるかの明確な基準は公表されていませんが、年齢・これまでの病歴・障害の種類や症状などを踏まえて個別に設定されるとされています。
永久認定(更新が不要な方)
永久認定とは、障害の状態が今後変わらないことが明らかな場合に認められる認定方法で、更新手続きが不要になります。
手足の欠損のように回復が見込まれない障害で認められやすく、精神の障害では知的障害の方で認められるケースがあります。
なお、永久認定にするかどうかは日本年金機構の審査によって決まるもので、受給者ご本人や当事務所が選べるものではありません。
更新で支給が継続される割合
更新を前に「自分は止まってしまうのでは」と不安になる方は少なくありません。
ここでは公表されている統計から、更新の実際の傾向を確認します。
業務統計でみる再認定の結果

更新時の審査結果は「継続(等級維持)」「増額(等級アップ)」「減額(等級ダウン)」「支給停止」の4つに区分して公表されています。
厚生労働省・日本年金機構が公表する障害年金業務統計(令和6年度決定分)によると、再認定(更新)の決定は障害基礎年金・障害厚生年金あわせて304,456件で、その内訳は継続(等級維持)が約96.7%、増額(等級アップ)が約1.4%でした。
合わせて約98.1%が、これまでどおりかそれ以上の等級で継続しています。
一方、減額(等級ダウン)は約0.8%、支給停止は約1.1%でした。数字のうえでは、更新で年金が止まる方は一部にとどまっています。
必要以上に不安にならなくてよい理由
更新では、審査の慎重さも求められるようになっています。
厚生労働省が公表した「令和6年度の障害年金の認定状況についての調査報告書」(令和7年6月11日)では、再認定の際に下位等級への変更や非該当を検討する場合には、前回提出された障害状態確認届や照会書類から認定内容を確認し、受給者・家族・診断書を作成した医師への照会を行うなど、慎重に診査を行うよう留意するとされています。(参考:障害年金の認定状況について)
とはいえ、油断は禁物です。
「障害の状態が以前と変わっていなければ継続される可能性が高い」というのが基本ですが、診断書の内容次第で結果が変わることもあります。
更新で支給が止まる確率やその原因については、障害年金の更新で落ちる確率で詳しく解説しています。
更新のタイミングと提出期限の確認方法

更新で最も大切なのは、提出期限を把握して計画的に動くことです。
まずはご自身の更新時期と、期限の確認方法を見ていきましょう。
更新月は「誕生月」(年金証書・更新ハガキの見方)
更新の時期は、初めての方は年金証書、2回目以降の方は前回届いたハガキで確認できます。
初めて更新を迎える方は、お手元の年金証書の右下にある「次回診断書提出年月」の欄をご確認ください。
ここに記載された年月が更新の時期です。
2回目以降の方は、前回の更新後に届いた「次回の診断書の提出について(お知らせ)」というハガキに更新年月が記載されています。
なお、この欄がアスタリスク(*印)になっていれば「永久認定」を意味します。
ただし、有期認定の方が年金証書を再発行した場合も、この欄がアスタリスクで表示されることがあります。
これは永久認定になったわけではありませんので、混同しないようご注意ください。
年金証書やハガキを紛失して更新時期が分からない場合は、年金事務所に問い合わせると確認できます。
書類が届く時期と提出期限(誕生月の3か月前送付・末日必着)
障害状態確認届は、提出が必要となる年の誕生月の3か月前の月末に送付され、提出期限は誕生月の末日です。
日本年金機構は、障害状態確認届(診断書)を誕生月の3カ月前の月末に送付し、誕生月の末日までに到着するよう提出することを案内しています。
ここで重要なのは、「消印有効」ではなく到着ベースの期限である点です。余裕をもって提出しましょう。
更新時期が分かった段階で、提出期限と、その3か月前の月初の両方をカレンダーに登録しておくと、いつから準備を始めればよいかが一目で分かり安心です。
出典:日本年金機構「障害状態確認届(診断書)が届いたとき」
「障害状態確認届(更新の診断書)」とは
更新で提出する中心の書類が「障害状態確認届」です。
名称は届書ですが、中身は実質的に診断書です。
同封されるものと提出方法を確認しておきましょう。
封筒に入っている3点
「更新のお知らせ」は普通郵便の縦長封筒で届き、中身は基本的に3点です。
1つ目は提出用の返信用封筒で、切手を貼り、裏面にご自身の住所と氏名を記入して使います。
2つ目は提出方法を案内した小さな紙で、不明点があるときの連絡先も記載されています。
3つ目が最も大切な障害状態確認届(診断書)です。
複数の障害を併せて申請した方は、障害ごとに複数の診断書が届くため、それぞれを揃えて期限内に提出します。
なお、呼吸器の障害ではレントゲンフィルムの提出が必要な場合があります。
提出方法
提出方法は複数あり、ご自身の状況に合わせて選べます。
同封の返信用封筒で日本年金機構へ郵送するほか、お近くの年金事務所や街角の年金相談センターの窓口でも提出できます。
障害基礎年金のみを受けている方は、お住まいの市区町村役場の窓口でも提出が可能です。
出典:日本年金機構「障害状態確認届(診断書)が届いたとき」
更新手続きの流れ(3ステップ)

更新の手続き自体はシンプルで、大きく3つのステップで進みます。
後述の注意が必要なケースに当てはまらなければ、ご自身で進められる内容です。
①書類を受け取る
まずは日本年金機構から障害状態確認届を受け取ります。
おおよその発送時期は、検索で「年金機構 年間予定」と調べると見られる「主な行事・通知書発送の年間予定表」で確認できます。
発送予定の翌週末を過ぎても届かない場合は、年金事務所へ相談すると安心です。
届かない原因のひとつに引っ越しがありますが、マイナンバーを登録している方は住民票を異動していれば新しい住所に届きます。
登録していない方は、引っ越し後すみやかに住所変更届を提出してください。
②受診と診断書作成の依頼(現症日3か月以内ルール)
ここが更新で最も注意したいポイントです。診断書には「提出期限前3か月以内」の障害の状態を記載してもらう必要があります。
診断書には、提出期限前3か月以内に受診した日の障害の状態を記載してもらう必要があります。
書類が届くのは提出期限の3か月前のため、届いてすぐ作成を依頼すると、この対象期間より前の状態で記載されてしまうことがあります。
受診日が対象期間内かどうか不安な場合は、医療機関や年金事務所に確認しましょう。
主治医は治療の専門家であって、この3か月ルールをご存じでない場合もあります。
そのため、対象期間内に受診し、その時点の状態を記載してもらうようにすると安心です。
③内容を確認して提出
診断書が完成したら、内容を確認してから提出します。
問題がなければコピーを取り、原本を返信用封筒で郵送します。
控えを残しておくと、後の確認や転院時に役立ちます。
提出後は、おおむね3か月ほどで審査結果が届きます。
最初の請求(裁定請求)に比べ、更新の手続きは準備する書類が少なくシンプルです。
更新で支給停止を防ぐためのポイント
更新は、障害状態確認届(診断書)を中心とした書面審査です。
だからこそ、いくつかのポイントを押さえることで、納得のいく結果につながりやすくなります。
早めに動き、提出期限を守る
更新では、早めの行動と期限の厳守が何より大切です。
提出期限を過ぎると年金の支払いが止まってしまうことがあります。
準備期間は3か月ありますが、後回しにするとあっという間に期限が来てしまいます。
早めに動けば心の余裕も生まれ、診断書に訂正が必要になった場合にも対応しやすくなります。
診断書の内容を必ず確認する
郵送前に、診断書がご自身の障害の状態を適切に反映しているかを確認しましょう。
自覚している症状と診断書の記載にずれがあると、納得のいかない結果につながることがあります。
適切に審査してもらうためには、現在の状態が正しく伝わる診断書であることが重要です。
診断書の重要性については、障害年金の申請は「診断書」で9割が決まるもあわせてご覧ください。
必要に応じて補足資料を添える

診断書だけでは伝わりにくい事情がある場合は、補足資料を添えることを検討しましょう。
なお、再認定で下位等級や非該当を検討する際には、前回提出した資料の確認や、本人・家族・医師への照会が行われることもあるとされています。
更新では、病歴・就労状況等申立書の提出は不要です(これは主に初回請求のときに提出する書類です)。
ただし、前回の審査以降の日常生活の様子や就労の状況など、診断書だけでは伝わりにくい事情がある場合は、任意の補足資料(別紙にまとめた申立書)として添えることはできます。
補足資料が審査にどの程度影響するかを断定することはできませんが、何もない場合に比べて状況をより詳しく伝えられます。
書き方の考え方は病歴・就労状況等申立書の書き方も参考になります。
主治医の指示に従って通院を続ける

障害年金は、治療を続けてもなお障害が残っている状態に対して支給される制度です(知的障害や手足の欠損など、治療を要しない障害を除きます)。
「通院していないが更新を通したい」というご相談をいただくことがありますが、自己判断で通院や治療をやめている場合、障害の程度が軽いと判断される一因になり得ます。
治療方針にご不安があるとしても、まずは主治医とご相談のうえ、必要な通院・治療を続けることが大切です。
更新の審査結果と通知(3つのパターン)

更新の審査結果は、大きく「等級維持」「等級アップ」「等級ダウン・支給停止」の3つに分かれます。
それぞれ届く通知と、年金額に反映される時期が異なります。
等級維持(従来どおり)
これまでと同じ等級で引き続き年金を受け取れるパターンです。
結果は「次回の診断書の提出について(お知らせ)」というハガキで届きます。
このハガキが届けば、これまでどおりの等級で更新が認められたということです。
年金はこれまでどおり、偶数月の15日に振り込まれます。
等級アップ
前回より障害の状態が重くなったと判断された場合、等級が上がることがあります。
等級が上がると「支給額変更通知書」が届きます。
改定後の金額は、提出期限の翌月分から適用されます。
結果通知が届くのは提出期限の数か月後になりますが、待っている間に経過した月分の差額は、後からまとめて振り込まれます。
等級ダウン・支給停止
障害の程度が軽くなったと判断されると、等級が下がったり、支給が止まったりすることがあります。
このパターンでも「支給額変更通知書」が届きます(等級アップのときと同じ通知書のため、内容をよくご確認ください)。
減額または支給停止が反映される時期は、一般的に、提出期限の翌月から数えて4か月目の分からとされています(例:8月末が期限の場合、12月分から)。
なお、毎年6月頃に届く「年金額改定通知書」は、物価などに応じた毎年度の金額調整のお知らせで、更新の結果とは別のものです。
混同しないようご注意ください。
状況が変わった方が更新で注意したいこと

前回の申請時から状況が変わった方は、更新で特に注意が必要です。
ここでは代表的な3つのケースを取り上げます。
転院した方
前回と更新時で病院が変わっている場合は注意が必要です。
病院によって診断書の書き方や評価は異なり、同じ症状でも「改善した」と受け取られることがあります。
ただし、転院が必ず不利になるわけではありません。
大切なのは、転院先の主治医にこれまでの経過をしっかり伝えることです。
紹介状や、過去に提出した診断書のコピー・病歴・就労状況等申立書を持参すると、現在の治療にも役立ちます。
早めに障害年金の更新について主治医に相談しておきましょう。
働き始めた方
就労に関するご相談は、更新の中でも特に多くいただきます。
障害年金は「障害によって生活や就労にどれだけ支障が出ているか」が見られます。
うつ病などの精神の障害では、「働けている=障害の状態が良くなった」と受け取られる可能性があります。
しかし、職場の配慮を受けてようやく勤務している、症状の波の中で体調の良いときだけ働いているなど、働けていても制限がないとは限りません。
仕事の内容や受けている配慮など、「なぜ働けているのか」を診断書や補足資料で具体的に伝えることが重要です。
詳しくは働きながら障害年金をもらえる人をご覧ください。
一人暮らしを始めた方
一人暮らしを始めた方も、精神の障害の場合は注意が必要です。
診断書では症状が重いとされていても、一人暮らしをしていると「実際は軽いのでは」と見られる可能性があります。
実際には、家族と離れることでかえって安定している、障害福祉サービスや訪問看護を利用してなんとか生活できている、といった事情を抱える方も少なくありません。
「なぜ一人暮らしができているのか」を主治医に伝え、診断書に反映してもらうことが大切です。
詳しくは一人暮らしで障害年金をもらえる人をご覧ください。
更新の結果に納得できないときの選択肢

更新の結果、等級が下がったり支給が止まったりして、納得がいかないこともあります。
状況に応じて、いくつかの選択肢があります。
審査請求(不服申立て)
決定の内容に不服がある場合は、審査請求という不服申立ての手続きがあります。
審査請求は、原則として処分があったことを知った日の翌日から3か月以内に、社会保険審査官に対して行います。
認められれば、止まっていた障害年金をさかのぼって受け取れる場合があります。
ただし、決定を覆すハードルは低くありません。
手続きや見通しについては、社会保険労務士などの専門家にご相談されることをおすすめします。
支給停止後に悪化したとき(支給停止事由消滅届)
更新で支給が止まった後に、再び障害の状態が重くなった場合の手続きです。
支給が止まっても、障害年金を受ける権利(受給権)はすぐにはなくなりません。
障害の状態が等級に該当しなくなってから3年を経過した時点と、65歳に達した時点の、いずれか遅い方までは受給権が残ります。
その間に再び障害の程度が重くなって等級に該当した場合は、「老齢・障害給付 受給権者支給停止事由消滅届」に診断書を添えて提出することで、改めて審査を受けられます。
出典:国民年金法第35条・厚生年金保険法第53条(e-Gov法令検索)
等級が据え置かれた結果に備える(更新時の額改定請求書の同時提出)
「3級のままで2級にならなかった」など、等級が上がらなかったことへの不服には、通常そのままでは審査請求ができません。
そこで、更新の際に障害状態確認届とあわせて「障害給付 額改定請求書」を提出しておく方法があります。
こうしておくと、等級が据え置かれた場合でも不服申立てができるようになります。
なお、額改定請求は、原則として障害の程度の診査を受けた日(前回の更新審査など)から1年を経過した後に行えます。
ただし、一定の明らかな障害の状態に該当する場合は、1年を待たずに請求できる例外があります。
更新は前回の審査から1年以上が経過しているのが通常のため、更新のタイミングで額改定請求を行うこと自体は妨げられません。
障害年金の更新でよくあるご質問
最後に、更新に関してよくいただくご質問にお答えします。
Q:更新期間中に障害が治った・大きく軽くなった場合、手続きは必要ですか?
障害の程度が軽くなり、障害年金を受ける程度(障害等級)に該当しなくなった場合は、年金は支給停止となります。
この場合は「障害給付受給権者 障害不該当届」の提出が必要です。
提出先は年金事務所や街角の年金相談センターで、障害基礎年金のみを受けている方は市区町村役場の窓口でも提出できます。
症状が改善してきた場合は、自己判断せず、まず年金事務所にご相談ください。
出典:日本年金機構「障害の程度が軽くなり年金を受ける程度でなくなったとき」
Q:年金生活者支援給付金にも更新は必要ですか?
障害基礎年金を受けている方が対象となる年金生活者支援給付金は、支給要件を満たしていれば、原則として毎回の更新手続きなく受け続けられます。
Q:主治医がパソコンで作成した診断書でも大丈夫ですか?
問題ありません。近年はパソコンで作成されることがほとんどです。
その場合、障害状態確認届の様式ではなく通常の診断書の様式で受け取ることがありますが、その際は、空欄のままの障害状態確認届も一緒に提出してください。
Q:65歳以降も更新は必要ですか?
障害年金は障害の状態に対して支給されるため、65歳を超えても更新(障害の状態の確認)が必要です。
なお65歳以降は、老齢年金との関係で受け取り方の選択肢が広がります。
詳しくは障害年金受給中の方へ・老後の年金をご覧ください。
Q:更新期間(次回までの年数)に不満がある場合は?
更新期間そのものに対しては、不服申立てはできないことになっています。
期間が短いとご不安に感じる方もいらっしゃいますが、期間の長短だけで結果の良し悪しが決まるものではありません。
障害年金の更新に関する事例
弊事務所では、障害年金の更新手続きのご相談やサポートを数多く手がけてきました。
以下は、関連する事例の一部です。
- うつ病・注意欠陥多動性障害|障害厚生年金2級(更新前にフルタイムでパートを始めた事例)
- うつ病|障害基礎年金2級(一人暮らしと就労を始めた後の更新の事例)
- 双極性障害|障害基礎年金2級(一般雇用で就労を始めた後の更新の事例)
※個別事案により判断は異なります。
まとめ

障害年金の更新は、障害状態確認届を提出して障害の状態を確認してもらう手続きです。
提出期限は誕生月の末日、現症日は提出期限前3か月以内という点を押さえ、診断書が届いたら、まず受診してから作成を依頼するのが安心です。
状況に変化があった方は、その事情を診断書や補足資料で具体的に伝えることが大切です。
万が一支給が止まった場合も、審査請求や支給停止事由消滅届など、とり得る手段があります。
更新の手続きにご不安がある方は、わくわく社会保険労務士法人(全国障害年金サポートセンター)までお気軽にお問い合わせください。
※本記事は2026年6月時点の年金法令・障害認定基準・運用に基づき作成しています。法令改正等により内容が変更される可能性があるため、最新の情報は日本年金機構の公式サイト等でご確認ください。個別の事案については社会保険労務士・弁護士等の専門家へのご相談を推奨します。医学的判断は主治医にご確認ください。
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