
障害年金を申請したいけれど、何から始めればよいかわからない、必要書類が多くて手続きが複雑そうで踏み出せない、というお声をよくいただきます。
障害年金の申請は、初診日の確認から書類の準備、年金事務所への提出まで複数の段階を順に進める必要があり、書類同士の整合性も問われる手続きです。
途中でつまずく場面も少なくありません。
本記事では、わくわく社会保険労務士法人(全国障害年金サポートセンター)の社労士が、障害年金の申請から受給までの流れを7ステップに整理してご説明します。
令和7年6月1日に施行された申請書類の様式変更にも対応した最新内容です。
目次
障害年金とは|2つの制度と等級の違い
障害年金は、病気やけがで日常生活や労働に支障がある方が受給できる公的年金制度の総称です。
加入していた年金制度により「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2種類があります。
対象となる等級や支給対象者が制度ごとに異なるため、まずは制度の全体像から押さえていきましょう。
障害基礎年金(国民年金加入者対象・1級と2級)
障害基礎年金は、初診日に国民年金に加入されていた方や、20歳前または60歳以上65歳未満で国内在住の年金未加入期間に初診日がある方が対象です。
支給対象となる等級は 1級と2級のみ で、3級は障害基礎年金には存在しません。
そのため、3級相当の症状にとどまる場合、初診日に国民年金加入中の方は原則として支給対象とならない点に注意が必要です。
障害厚生年金(厚生年金加入者対象・1級〜3級+障害手当金)
障害厚生年金は、初診日に厚生年金に加入されていた方(会社員・公務員など)が対象です。
等級は 1級から3級 まであり、3級に至らない一定の障害状態が残り、初診日から5年以内に治った場合には一時金として「障害手当金」が支給されるケースもあります。
なお、初診日が厚生年金加入中の方が1級・2級と認定された場合は、障害基礎年金と障害厚生年金の両方が併給されます。
3級と認定された場合は障害厚生年金のみが支給対象となり、障害基礎年金は併給されません。
申請前に確認したい3つの受給要件
障害年金を受給するには、3つの要件をすべて満たす必要があります。
どれか1つでも欠けると、症状が重い方であっても支給対象になりません。
申請準備に入る前に、自身が要件を満たしているかを確認しておくことが大切です。
①初診日要件
初診日とは、障害の原因となった傷病で初めて医師または歯科医師の診療を受けた日のことです。
この初診日にどの年金制度に加入していたかによって、受給する年金の種類(障害基礎年金または障害厚生年金)が決まります。
そのため、申請準備の最初のステップとして初診日の特定が重要となります。
②保険料納付要件
原則として、初診日の前日において、初診日のある月の前々月までの被保険者期間で、保険料納付済期間と保険料免除期間を合算した期間が3分の2以上あることが必要です。
特例として、初診日が 令和18年(2036年)3月末日まで にあり、かつ初診日において65歳未満である場合は、初診日のある月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければ要件を満たします。
20歳前の年金未加入期間に初診日がある方は、保険料納付要件は問われませんが、本人の前年所得による支給制限があります。
③障害認定基準該当
障害認定日(原則として初診日から1年6ヶ月を過ぎた日。
ただし、1年6ヶ月以内に傷病が治った、または症状が固定した場合はその日)において、障害認定基準に定める等級に該当することが必要です。
認定日に該当しなかった場合でも、その後症状が悪化して認定基準に該当すれば「事後重症請求」が可能です。
ただし、事後重症請求は 原則として65歳の誕生日の前々日まで に請求書を提出する必要があり、年金は請求日の翌月分から支給されます。
受給要件の詳細は 障害年金を受け取るための条件とは で詳しくご説明しています。
申請から受給までの7ステップ
障害年金の申請は、初診日の確認から書類提出までの準備段階で2〜4ヶ月、提出後の審査で3〜4ヶ月、決定通知から初回振込までさらに1〜2ヶ月程度の期間を要します。
本セクションでは申請から受給までを7ステップに整理してご説明します。
各段階で何をすべきかを把握しておけば、手続き全体の見通しが立ちやすくなります。
Step1 — 初診日を確認する
最初に行うのは、障害の原因となった傷病で最初に医療機関を受診した日(初診日)の特定です。
カルテや診察券、領収書、お薬手帳など、当時の受診を裏付ける資料を可能な限り集めます。
長期間が経過しているケースでは、転医を繰り返しているため、紹介状の有無や記憶の照合が手がかりになります。
Step2 — 保険料納付要件を確認する
初診日が特定できたら、その日における保険料納付状況を確認します。
年金事務所では「年金加入記録」を確認でき、納付済期間・免除期間・未納期間を整理できます。
要件を満たしているかは年金事務所の窓口でも判定してもらえるため、まずは確認の予約を取りましょう。
Step3 — 必要書類の様式を取得する
要件確認が済んだら、申請に必要な書類の様式を入手します。
年金請求書や受診状況等証明書、診断書などの所定様式は、年金事務所、街角の年金相談センター、市区町村役場で受け取れます。電子申請(e-Gov)も利用可能です。
なお、年金請求書は 初診日に国民年金加入中の方は様式第107号、初診日に厚生年金加入中の方は様式第104号 を使用します。
傷病に応じた診断書様式(8種類)も間違いなく受け取ることが大切です。
Step4 — 受診状況等証明書を取得する
初診日を客観的に証明するため、初診医療機関に「受診状況等証明書」の作成を依頼します。
カルテの保存期間(医師法第24条により原則5年)を過ぎている、医療機関が閉院しているなどで証明書が取得できない場合は、「受診状況等証明書が添付できない申立書」と当時の参考資料を組み合わせて代替します。
なお、初診の医療機関で診断書も作成してもらう場合は、受診状況等証明書の提出を省略できる運用があります。
Step5 — 診断書を主治医に依頼する
現在通院されている医療機関の主治医に、所定様式の診断書作成を依頼します。
診断書は請求の方法によって必要な時点が異なります。
障害認定日請求 の場合は、障害認定日以後3ヶ月以内の現症の診断書が必要です。
障害認定日と請求日が1年以上離れている場合 は、これに加えて請求日前3ヶ月以内の現症診断書も必要となります。
事後重症請求 の場合は、請求日前3ヶ月以内の現症診断書が必要です。
診断書の様式は傷病に応じて8種類から選びます。完成までの目安は1〜3ヶ月程度で、大学病院などではさらに時間を要する場合もあります。
日常生活や就労の実態を主治医に正確にお伝えいただくことが、適切な診断書作成につながります。
診断書の役割については 医師の診断書(障害年金用)とは でも解説しています。
Step6 — 病歴・就労状況等申立書を作成する
発症から現在までの病歴、通院歴、就労状況、日常生活の様子を時系列で記載する書類です。
診断書の内容を補強する重要な書類であり、本人または家族、社労士が作成します。
診断書の記載と矛盾しない内容で、医師が把握しにくい場面(自宅での状態、家族の援助内容、過去の就労状況の変遷など)を具体的に記すことがポイントです。
書き方の詳細は 【自分で書ける】病歴・就労状況等申立書 でご説明しています。
Step7 — 年金請求書とその他必要書類を年金事務所等へ提出する
すべての書類が揃ったら、年金事務所または市区町村役場に提出します。
提出窓口は初診日における年金制度の加入状況により異なります。
初診日が国民年金第1号被保険者期間中(自営業・学生・無職の方等)または20歳前 の場合は、住所地の市区町村役場が窓口となります。
初診日が国民年金第3号被保険者期間中(会社員・公務員の被扶養配偶者の方等) の場合は、市区町村役場ではなく、年金事務所または街角の年金相談センターが窓口です。
初診日が厚生年金加入中 の場合も、年金事務所または街角の年金相談センターに提出します。
書類に不備があると差し戻しや追加提出を求められ、審査開始が遅れる原因となるため、提出前のチェックが重要です。
提出後は受付印を押した請求書控えを必ず保管しておきましょう。
障害年金請求に必要な書類一覧(令和7年6月1日施行の変更点を含む)
障害年金請求で必要な書類は、申請者の状況により異なります。
本セクションでは現行(令和7年6月1日施行後)の書類体系を整理し、全員が原則準備するもの、ケースに応じて必要になるもの、令和7年6月1日施行で運用が変わった書類を整理してご紹介します。
全員が原則準備する書類
| 書類 | 内容 |
|---|---|
| 年金請求書(障害基礎年金:様式第107号 / 障害厚生年金:様式第104号) | 申請の中核となる書類。令和7年6月1日施行で様式変更あり |
| 診断書(障害年金用) | 主治医が作成。傷病に応じて8種類の様式から選択 |
| 病歴・就労状況等申立書 | 本人・家族・社労士が作成 |
| 受診状況等証明書 | 初診時の医療機関と診断書を作成する医療機関が異なる場合に必要(同一の場合は省略可) |
| 基礎年金番号通知書または年金手帳 | 加入記録の確認用 |
| 戸籍謄本・戸籍抄本・住民票等 | 請求者の生年月日確認用(マイナンバーの記入・登録により省略可となる場合あり) |
| 受取先金融機関の通帳またはキャッシュカードの写し等 | 年金の振込先確認用(公金受取口座を利用する場合は省略可) |
ケースに応じて必要になる書類
配偶者がいらっしゃる方や子を扶養されている方は、続柄・生計維持関係を確認するための戸籍謄本や住民票、配偶者の所得証明書が必要になる場合があります。
初診日の証明が困難な場合は「受診状況等証明書が添付できない申立書」を作成し、初診日を推定・確認できる参考資料を組み合わせて提出します。
参考資料には、当時の診察券、入院記録、身体障害者手帳、交通事故証明、労災関係資料、お薬手帳、第三者からの申立書などがあります。
ケースに応じて第三者からの申立書(原則2名以上)が必要になる場合もありますが、必要となる資料は事案により異なりますので、年金事務所でご確認いただくと確実です。
請求が遅れた事情がある場合は「年金裁定請求の遅延に関する申立書」を、子の加算対象が請求書本体に書ききれない場合は「加給年金額または子の加算額に係る別紙様式」(令和7年6月1日新設)を用います。
令和7年6月1日施行の主な変更
令和7年6月1日施行の施行規則改正により、申請書類の運用に複数の変更がありました。
最も重要な変更は、従来「障害給付 請求事由確認書」として別途添付していた書類が、年金請求書(様式第107号)本体の「事後重症請求に関する確認事項」欄に統合された点です。
障害認定日請求と事後重症請求をあわせて行う場合の意思表示は、現在は請求書本体で行います。
また、マイナンバーを年金請求書に記入することで、戸籍謄本・住民票などの添付を原則省略できる運用が広がりました。
公金受取口座への振込を選択する場合は、振込先口座の通帳コピーや金融機関の証明も不要です。
なお、旧様式での提出も引き続き受け付けられる扱いとなっています。
申請後の審査と受給開始までの目安
書類を提出してから実際に年金が振り込まれるまでには、一定の期間を要します。
本セクションでは審査期間と初回振込のスケジュール感を整理します。
審査期間(請求書提出から約3〜4ヶ月)
日本年金機構の認定医による書類審査は、サービススタンダードでは原則3ヶ月程度を目標とされていますが、実務上は3〜4ヶ月程度かかることが一般的です。
書類に不備がある場合、医療機関への照会が発生した場合、初診日の確認に追加調査が必要な場合などでは、さらに時間を要することもあります。
受給が決定すると「年金証書(裁定通知書)」が、不支給の場合は「不支給決定通知書」がご自宅に届きます。
初回振込と以降の振込日
年金証書到着から概ね40〜50日後に、初回の年金が指定口座に振り込まれます。
初回振込では、受給権発生月(障害認定日請求の場合は障害認定日の翌月分から、事後重症請求の場合は請求日の翌月分から)直近の偶数月までの未支給分がまとめて支払われます。
以降は偶数月(2月・4月・6月・8月・10月・12月)の15日に、前2ヶ月分が振り込まれます(15日が土日祝の場合は直前の営業日)。
請求書提出から初回振込まで の期間は、障害基礎年金で約4ヶ月半、障害厚生年金で約5ヶ月が一般的な目安です。
申請でつまずきやすい3つのポイント
障害年金の申請では、特定の段階で多くの方が手こずるポイントがあります。
本セクションでは弊事務所が長年の申請サポートを通じて把握している、つまずきやすい3つの論点を整理します。
初診日の証明が困難な場合
初診から長期間が経過しているケースでは、カルテが廃棄されていたり、医療機関が閉院していたりして、受診状況等証明書が取得できないことがあります。
このような場合は、「受診状況等証明書が添付できない申立書」を作成し、当時の診察券、入院記録、身体障害者手帳、お薬手帳、第三者からの申立書などの参考資料を組み合わせて初診日を立証します。
20年以上前の初診日でも、複数の補強資料が揃えば認められた事例があります。
診断書の記載内容と日常生活実態のズレ
診断書は審査の中核となる書類ですが、診察室での短時間の様子だけでは、日常生活で実際に困っている状況が伝わりきらないことがあります。
主治医とのコミュニケーションの中で、自宅での状態や家族の援助の有無、就労中であれば職場での配慮内容などを具体的にお伝えいただくことが、適切な診断書作成につながります。
診断書の重要性については 障害年金の申請は「診断書」で9割が決まる でも詳しく解説しています。
病歴・就労状況等申立書の書き方の難しさ
病歴・就労状況等申立書は、発症から現在までを時系列で正確に記す必要があり、ご本人やご家族が書こうとして手が止まってしまうケースが多い書類です。
診断書の記載と矛盾せず、かつ医師が把握しにくい場面の情報を補完する必要があり、書き慣れていないと過不足のある記載になりがちです。
ご家族が同居されていて本人の日常の様子を把握されている場合は、ご家族の視点で書面化することが内容の充実につながるケースもあります。
書き方のコツや記入例は 【自分で書ける】病歴・就労状況等申立書 でご説明しています。
障害年金の申請に関するよくあるご質問
申請を検討されている方からよくお寄せいただく質問をまとめました。
Q1: 申請から受給まで、トータルでどのくらいかかりますか?
書類の準備を開始してから初回振込まで、合計すると半年〜1年程度が一般的な目安です。
内訳は、書類準備に2〜4ヶ月、請求書提出後の審査に3〜4ヶ月、年金証書到着から初回振込まで約40〜50日です。
初診日が古いケースや書類の取り寄せに時間を要するケースでは、さらに長くなる場合もあります。
Q2: 自分で申請するのと社労士に依頼するのとではどう違いますか?
ご自身で申請されることも当然可能です。
社労士に依頼するメリットは、書類の整合性チェックや病歴・就労状況等申立書の作成支援、医師への診断書依頼の段取りまで含めたサポートが受けられる点です。
費用の目安については 障害年金の申請を社労士に依頼した場合の費用 でご説明しています。
Q3: 申請が不支給だった場合はどうしたらよいですか?
不支給決定に納得できない場合は、決定を知った日の翌日から3ヶ月以内に「審査請求」を行うことができます。
それでも認められない場合は、決定書の謄本が送付された日の翌日から2ヶ月以内に再審査請求が可能で、その先には訴訟という選択肢もあります(訴訟段階は弁護士へのご相談をお勧めします)。
Q4: 申請に費用はかかりますか?
年金請求自体に手数料はかかりません。
診断書の作成料(医療機関により概ね5,000円〜10,000円程度)、戸籍謄本等の取得費用が主な実費となります。
Q5: 障害者手帳を持っていれば自動的にもらえますか?
障害者手帳と障害年金は別制度です。
手帳の有無や等級にかかわらず、障害年金は本記事でご説明した流れに沿って別途申請が必要です。
詳細は 障害年金と障害者手帳の関係 をご参照ください。
まとめ
障害年金の申請は、初診日の確認から書類の準備、年金事務所への提出まで7ステップに整理して進めることで、全体の見通しが立てやすくなります。
事後重症請求には65歳の誕生日の前々日までという期限があり、令和7年6月1日施行の様式変更により請求事由確認書の本体統合やマイナンバー登録による添付書類省略などの運用変更がある点にもご留意ください。
書類の準備や記載内容にお悩みの方も、ステップごとに着実に進めていけば、必要な書類は揃えていけます。
初めての障害年金申請でお悩みの方は、わくわく社会保険労務士法人(全国障害年金サポートセンター)までお気軽にお問い合わせください。
※本記事は2026年5月時点の年金法令・障害認定基準に基づき作成しています。法令改正等により内容が変更される可能性があるため、最新の情報は 日本年金機構の公式サイト 等でご確認ください。個別の事案については社会保険労務士・弁護士等の専門家へのご相談を推奨します。医学的判断は主治医にご確認ください。
はじめての人にも分かりやすい障害年金の基礎知識
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