受診状況等証明書が添付できない申立書

はじめに

障害年金を申請しようとしたら、初診の病院から「カルテはもう残っていません」と言われてしまった。そのようなご相談は決して珍しくありません。初診から長い年月が経っていたり、当時の病院がすでに廃院していたりすると、初診日を証明する書類がそろわないことがあります。

このようなときに使うのが「受診状況等証明書が添付できない申立書」です。本記事では、この書類がどのようなものか、どう書けばよいか、そして初診日を認めてもらうために何を準備すればよいかを、順を追って解説します。

受診状況等証明書が添付できない申立書とは

受診状況等証明書が添付できない申立書とは、初診の医療機関から「受診状況等証明書」を取得できないときに、その理由を申請者ご本人(または家族)が申し立てるための書類です。

どんな書類か(受診状況等証明書との違い)

障害年金の初診日は、原則として初診の医療機関が作成する「受診状況等証明書」で確認します。しかし、カルテの廃棄や廃院などにより、この受診状況等証明書を用意できないケースがあります。

そうした場合に、「証明書を添付できない理由」を申請者側が説明する書類が、受診状況等証明書が添付できない申立書です。よく似た名前ですが、医療機関が作る「受診状況等証明書」とは 別の書類 である点にご注意ください。なお、書類名は「理由書」ではなく「申立書」が正式名称です。

この申立書だけでは初診日は認められない

ここが最も大切なポイントです。初診日は、ご本人の自己申告だけで認められることはありません。客観的な資料によって、初診日または初診の時期を裏づける必要があります。

つまり、受診状況等証明書が添付できない申立書を1枚提出しただけでは、初診日の証明にはなりません。後述する 参考資料 とセットで提出して、初めて意味を持つ書類だとお考えください。

なぜこの申立書が必要になるのか(初診日証明の仕組み)

障害年金では、初診日によって、受給できるかどうかや、加入していた年金制度が決まります。そのため、初診日は原則として医療機関の証明によって確認することになっています。初診日の位置づけは 障害年金の受給要件 でも詳しく解説しています。

初診日の証明は原則「受診状況等証明書」

初診日とは、障害の原因となった傷病について、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日を指します。初診日の確認は、初診時の医療機関が作成する受診状況等証明書で行うのが原則です。

なお、申請書類でよく混同されるのが「発病日」と「初診日」です。発病日は、傷病が発病したと考えられる年月日であり、初めて医師または歯科医師の診療を受けた初診日とは別の概念です。両者は一致しないことも多いため、それぞれ正確に区別して記入する必要があります。

受診状況等証明書が取得できない主なケース

受診状況等証明書を用意できない代表的な理由が、カルテ(診療録)の廃棄です。診療録の保存義務は医師法第24条第2項により5年間とされているため、初診から長い年月が経っていると、記録がすでに処分されていることがあります。

また、初診の医療機関が廃院・統廃合しているケースもあります。なお、当時の担当医が在籍していない場合でも、診療録や受付簿などの記録が残っていれば作成してもらえることがあり、記録自体が残っていない場合に証明書の作成が難しくなります。

初診と診断書作成の医療機関が同じ場合は不要

初診の医療機関と、障害年金用の診断書を作成してもらう医療機関が同じ場合は、原則としてこの申立書も受診状況等証明書も必要ありません。診断書のなかで初診日も確認できるためです。診断書の役割については 障害年金の申請は診断書で9割が決まる もあわせてご覧ください。

長く同じ病院に通院されている方は、まずこのケースに当てはまらないかをご確認ください。当てはまらない(初診の病院と現在の病院が異なる)場合に、初診日の証明をどうそろえるかを検討していくことになります。

申立書の書き方(記入項目と記入のポイント)

ここからは、受診状況等証明書が添付できない申立書の記入項目を順に見ていきます。様式は日本年金機構が定めた定型のもので、自由形式ではなく、記入欄やチェック欄に沿って記載していきます。様式の形式面に絞って解説し、医学的な判断には触れません。

基本情報の記入欄(傷病名・医療機関名・所在地・受診期間)

まず、初診の医療機関に関する基本情報を記入します。傷病名の欄には、その医療機関で診断された病名を記入します。

医療機関名の欄には病院・クリニックの名称を、所在地の欄にはその住所を記入します。受診期間がわかる場合は、いつ頃その医療機関にかかっていたかも記載します。記憶があいまいな場合は、わかる範囲で記入して差し支えありません。

「添付できない理由」と「確認方法」の記入

次に、受診状況等証明書を添付できない理由を記入します。「医療機関が廃院した」「カルテが廃棄されていた」など、該当する理由を選んでチェックします。

あわせて、その理由を どのように確認したか(例:電話で問い合わせた)と、確認した年月日を記入します。当てはまる選択肢がない場合は、「その他」を選び、具体的な事情を自由記入で補います。

「添付できる参考資料」のチェック欄

申立書の下半分には、初診の受診状況を裏づける参考資料を持っているかどうかをチェックする欄があります。手元に該当する資料がある場合は、その項目にチェックを入れ、コピーを添付します。

参考資料が一つもない場合は「添付できる参考資料は何もない」という選択肢にチェックを入れることになりますが、この場合は初診日が認められにくくなります。提出された複数の資料を照らし合わせて初診日が判断されるため、できる限り複数の参考資料をそろえることが重要です。

初診日を裏づける参考資料の集め方

受診状況等証明書が添付できない申立書では、添付する 参考資料こそが要 です。申立書本体よりも、初診の時期がわかる客観的な資料をいかにそろえられるかが、初診日認定の鍵を握ります。

参考資料として認められる主なもの

日本年金機構の様式では、参考資料として次のようなものが挙げられています。手元にあるものがないか、ご自宅や保管書類を確認してみてください。

区分参考資料の例
手帳類身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳
診断書類身体障害者手帳等の申請時の診断書、生命保険・損害保険・労災保険の給付時の診断書
健診・記録事業所等の健康診断の記録、母子健康手帳、健康保険の給付記録(レセプトを含む)
受診の痕跡お薬手帳・糖尿病手帳・領収書・診察券(可能な限り診察日や診療科がわかるもの)
学校関係小学校・中学校等の健康診断の記録や成績通知表、盲学校・ろう学校の在学証明・卒業証書
証言第三者証明

(出典:日本年金機構「受診状況等証明書が添付できない申立書」)

このほかにも、紹介状や診療経過の要約(医療情報サマリー)、電子カルテの記録などが参考になる場合があります。これらの資料の整合性をふまえて、日本年金機構が総合的に初診日を判断します。

2番目以降の医療機関への依頼(順次方式)

初診の病院(仮にA病院とします)で受診状況等証明書を取得できない場合は、まずA病院についての申立書を作成します。そのうえで、2番目に受診した医療機関(B病院)に受診状況等証明書の作成を依頼します。

B病院にも記録が残っていなければ、B病院についても申立書を作成し、3番目の医療機関へ……と、受診状況等証明書を取得できるところまで順にさかのぼっていく方法です。古い記録ほど一つ前の医療機関に手がかりが残っていることもあるため、あきらめずに確認していくことが大切です。

参考資料がないときの第三者証明

手元の参考資料が乏しい場合に、初診の時期を補強する手段の一つが「第三者証明」です。第三者証明は、初診のころの受診状況を知る第三者に、その内容を申し立ててもらう書類です。

第三者証明とは

第三者証明は、平成27年(2015年)10月1日に施行された省令改正により、初診日を明らかにする書類を用意できない場合の参考資料として整理されました(厚生年金保険法施行規則等の一部を改正する省令〔平成27年厚生労働省令第144号〕)。

第三者証明を行えるのは、申請者の 三親等内の親族以外 の方です。したがって、親・きょうだい・祖父母・おい・めいなどは第三者として認められません。また、初診日頃に受診した医療機関の担当医師・看護師等の医療従事者による証明は、客観性が高い資料として扱われます。

20歳前に初診日がある場合と20歳以降の違い

第三者証明の扱いは、初診日が20歳前にあるか、20歳以降にあるかで異なります。20歳前に初診日がある障害基礎年金については、第三者証明2通、または初診日頃・20歳前の時期に受診した医療機関の医療従事者による第三者証明1通などにより、初診日が認められる場合があります。

一方、20歳以降に初診日がある場合は、原則として複数(2通)の第三者証明に加えて、診察券など初診日について参考となる他の資料を提出し、両者の整合性を確認したうえで初診日を判断するのが基本です。

ただし、初診日頃の受診状況を直接見て認識していた担当医師・看護師等の医療従事者による証明は、医証(医療機関による証明)と同等の資料として扱われ、他に参考資料がなくても、その証明のみで初診日が認められる場合があります。

なお、20歳前の初診日であっても、その初診日が厚生年金の加入期間中にある場合は、障害厚生年金の対象となるため、20歳以降に初診日がある場合と同様の初診日確認の取扱いになります。20歳前に就労して厚生年金に加入していた方は、この点にご注意ください。

申立書を提出するときの注意点

最後に、受診状況等証明書が添付できない申立書を提出する際に気をつけたい点を整理します。誤解したまま提出すると、初診日が認められず、申請がやり直しになることもあります。

「申立書だけ」では認められないことを理解する

年金事務所の窓口で「この申立書を出してください」と案内されると、これを書けば初診日が認められると受け取ってしまう方がいらっしゃいます。しかし、すでに述べたとおり、申立書は理由を説明する書類であり、それ自体が初診日の証明になるわけではありません。

申立書とあわせて参考資料を提出して、はじめて初診日の認定が検討されます。窓口で案内された際も、「どのような参考資料を添えればよいか」までセットで確認しておくと安心です。

書類間で日付が食い違うときは自己判断で合わせない

複数の書類を集めていくと、診察券と申立書、参考資料どうしで初診の時期がずれていることがあります。このようなとき、つじつまを合わせようと日付を機械的に書き換えるのは避けてください。

初診日は受給要件に直接かかわるため、根拠となる資料を確認したうえで、年金事務所や社会保険労務士などの専門家に相談しながら整理することをおすすめします。

初診日の証明で困った方の事例

弊事務所では、初診日が古く受診状況等証明書を取得できないケースの障害年金申請を数多くお手伝いしてきました。以下は、初診日の証明に苦労された方に関する事例の一部です。

  • 初診日が20年以上前で受給に至った方の事例
  • カルテ廃棄後に参考資料を集めて初診日が認められた事例

いずれのケースでも、申立書だけでなく、診察券や健診記録などの参考資料を丁寧に集めたことが手続きを前に進める助けになりました。ただし、初診日の認定は日本年金機構の審査によるものであり、※個別事案により判断は異なります。

よくあるご質問

初診日の証明や、受診状況等証明書が添付できない申立書について、よくお寄せいただくご質問にお答えします。

Q:申立書はどこで入手できますか?

日本年金機構の公式サイトからダウンロードできるほか、お近くの年金事務所・街角の年金相談センターの窓口でも入手できます。様式に沿って、初診の医療機関の情報や添付できない理由を記入します。

Q:参考資料が一つも見つからない場合はどうすればよいですか?

まずは、ご家族の保管書類や保険の記録、学校関係の記録なども含めて幅広く探してみてください。それでも見つからない場合は、第三者証明の活用や、2番目以降の医療機関への依頼(順次方式)を検討します。なお、受診状況等証明書を取得できる場合の作成費用は医療機関によって異なります。詳しい進め方は当事務所までご相談ください。

Q:初診日がかなり古くても障害年金は請求できますか?

初診日が古い場合でも、初診の時期を客観的に裏づけられれば請求は可能です。初診日が20年以上前のケースについては 初診日が20年以上前で障害年金は請求できる? を、申立書全般の書き方は 病歴・就労状況等申立書の書き方 もあわせてご覧ください。

まとめ

受診状況等証明書が添付できない申立書について、要点を整理します。

  • この申立書は、初診の医療機関から受診状況等証明書を取得できない理由を申し立てる書類で、それ単体では初診日の証明にならない
  • 初診日を認めてもらうには、診察券・お薬手帳・健診記録などの 参考資料 を、できる限り複数そろえることが重要
  • 参考資料が乏しいときは、第三者証明や2番目以降の医療機関への依頼(順次方式)も検討する

障害年金の制度全体については 障害年金とは をご覧ください。初めての障害年金申請で初診日の証明にお悩みの方は、わくわく社会保険労務士法人(全国障害年金サポートセンター)までお気軽にお問い合わせください。


※本記事は2026年6月時点の年金法令および日本年金機構の運用に基づき作成しています。法令改正等により内容が変更される可能性があるため、最新の情報は 日本年金機構の公式サイト 等でご確認ください。個別の事案については社会保険労務士・弁護士等の専門家へのご相談を推奨します。医学的判断は主治医にご確認ください。