障害年金の診断書とは|種類・重要性と準備のポイントを解説

はじめに

はじめに

「障害年金を申請したいけれど、診断書ってどう準備すればいいの?」と不安に感じている方は少なくありません。

診断書は医師が作成する書類ですが、実は申請される方ご自身の関わり方も大切になります。

この記事では、障害年金の診断書とは何か、どんな種類があるのか、なぜ重要とされるのか、そして準備するときのポイントを、はじめて調べる方やご家族にもわかりやすく解説します。

障害年金の診断書とは

障害年金の診断書とは

障害年金の診断書は、医師又は歯科医師が日本年金機構の所定様式で作成する、障害の状態を証明するための書類です。

障害年金を申請(裁定請求)する際には、年金請求書に診断書を添付します。

傷病の種類や障害の状態を、認定の基準に沿って客観的に示すための中心的な書類です。

診断書を作成できるのは医師又は歯科医師に限られ、ご本人や社会保険労務士が記入することはできません。

ここで注意したいのは、障害年金の診断書は、障害者手帳や自立支援医療(精神通院医療)で使う診断書とは別物だという点です。

また、記載する項目は様式によって異なります。

たとえば精神の障害用の診断書では、教育歴・職歴・日常生活の状況・ICD-10コードなどを記載する欄があり、他の公的書類に比べて項目が多く詳細です。

一方、眼や肢体などの身体の障害用の様式では、視力や関節の動き、検査の数値といった臨床所見が中心になるなど、様式ごとに記載する内容が変わります。

なお、診断書はあくまで障害の状態を示す書類であり、障害年金を受け取るにはこのほかに初診日や保険料納付などの要件があります。

受給の要件については 障害年金を受け取るための条件 もあわせてご覧ください。

なぜ診断書が重要なのか(障害年金の認定の仕組み)

なぜ診断書が重要なのか(障害年金の認定の仕組み)

障害年金では、診断書が等級判定の中心的な役割を担います。

このセクションでは、診断書がなぜ重要とされるのか、障害年金の認定の仕組みとあわせて解説します。

障害等級は「障害認定基準」に基づいて判定される

障害年金の等級は、国民年金・厚生年金保険障害認定基準(以下「障害認定基準」)に基づいて決定されます。

障害認定基準では、障害の程度(日常生活の制限の度合いや労働能力への影響)に応じて等級が定められています。

日本年金機構も、障害等級を適切に決定するために、診断書の内容ができる限り詳細かつ具体的に記載されていることが重要だとしています。

つまり、同じ傷病や似たような状態であっても、診断書に状態が十分に反映されているかどうかが、等級判定に影響します。

このことから、障害年金は「診断書で9割が決まる」とも言われることがあります。

ただし、最終的な認定は日本年金機構の審査により、認定医による医学的判断等を踏まえて行われるため、結果は個別の事案によって異なります。

(出典:日本年金機構「障害年金の診断書を作成する医師の方へ」

原則として「書類審査」だからこそ記載が重要

障害年金の審査は、提出された書類に基づいて行われるのが原則です(必要に応じて医療機関等への照会が行われることもあります)。

そのため、診断書をはじめとする書類に、障害の状態がどれだけ正確に表れているかが重要になります。

特に精神の障害などでは、調子の良いときの様子だけが診断書に反映されてしまうと、普段の生活の支障が十分に伝わらないことがあります。

具体的な症状や治療方針については主治医の医学的判断によりますので、気になる点は主治医にご相談ください。

障害年金の診断書の種類(8つの様式)

障害年金の診断書の種類(8つの様式)

障害年金の診断書は、障害の部位や種類に応じて、主に8種類の様式に分かれています。

このセクションでは、それぞれの様式と、複数の障害がある場合の取り扱いを解説します。

8区分の診断書様式

ご自身の傷病に応じて、次のいずれかの様式を使用します。

様式番号用途
様式第120号の1眼の障害用
様式第120号の2聴覚、鼻腔機能、平衡機能、そしゃく・嚥下機能、音声又は言語機能の障害用
様式第120号の3肢体の障害用
様式第120号の4精神の障害用(発達障害もこの様式を使用)
様式第120号の5呼吸器疾患の障害用
様式第120号の6-(1)循環器疾患の障害用
様式第120号の6-(2)腎疾患・肝疾患・糖尿病の障害用
様式第120号の7血液・造血器・その他の障害用

どの様式を使うか、どの時点の状態を記載するかは、傷病や請求内容によって異なります。

様式は日本年金機構のホームページからダウンロードできますが、判断に迷う場合は、診断書を作成してもらう前に年金事務所等で確認しておくと安心です。

様式ごとの詳しい内容は 障害年金の診断書にはどのような種類がありますか? でも解説しています。

複数の障害がある場合は複数の様式を併用することも

複数の障害がある場合は複数の様式を併用することも

1つの傷病でも、障害が複数の部位にまたがる場合は、複数の様式を併用することがあります。

たとえば、脳血管疾患による片麻痺と高次脳機能障害がある場合、肢体の障害用(様式第120号の3)と精神の障害用(様式第120号の4)の2枚を提出するケースがあります。

どの様式が適切かは状態によって異なるため、迷われる場合は年金事務所等にご相談ください。

状態を最も的確に表せる様式を選ぶことが、適切な認定につながります。

診断書はいつの時点・何枚必要か(現症日と請求方法)

診断書には「いつの時点の状態を記載するか」という現症日のルールがあり、請求方法によって必要な枚数も変わります。

このセクションでは、その考え方の概要を解説します。

「現症日」と3か月以内のルール

「現症日」と3か月以内のルール

診断書では、作成した日ではなく、障害の状態を確認した日である「現症日」が重要になります。

まず前提として、障害認定日とは、原則として初診日から1年6か月を経過した日(その期間内に症状が固定した場合はその日)を指します。

障害認定日による請求では、原則として障害認定日より3か月以内の現症を記載した診断書が必要です。

一方、事後重症による請求(障害認定日には等級に該当しなかったものの、その後症状が悪化して等級に該当した場合の請求)では、請求日前3か月以内の現症を記載した診断書が必要です。

事後重症による請求は、原則として65歳の誕生日の前々日までに行う必要があり、支給は請求した月の翌月分からとなります。

「作成日が新しければよい」というわけではない点に注意が必要です。

請求方法によって必要な枚数が変わる

請求方法によって必要な枚数が変わる

必要な診断書の枚数は、請求方法によって異なります。

障害認定日による請求のうち、障害認定日と請求日が1年以上離れている場合は、障害認定日より3か月以内の現症の診断書に加えて、請求日前3か月以内の現症の診断書もあわせて2通必要になります。

これは、障害認定日当時の状態と請求日時点の状態の両方を確認する必要があるためです。

診断書を準備するときのポイント

診断書は医師が作成するものですが、申請される方やご家族の関わり方によって、状態が正しく伝わるかどうかが変わります。

このセクションでは、準備のポイントを整理します。

作成を依頼する前に年金事務所等へ相談する

作成を依頼する前に年金事務所等へ相談する

診断書の作成を主治医に依頼する前に、まず年金事務所等へ相談しておくことをおすすめします。

障害年金には受給要件があり、使用する診断書の種類や記入してもらう症状の日付も、請求内容によって異なります。

日本年金機構も、診断書を作成する前に必ず年金事務所等に相談するよう案内しています。

順序を整えておくことで、せっかく作成した診断書が使えなかった、といった事態を防ぎやすくなります。

なお、診断書の作成費用は医療機関によって異なり、健康保険の対象外(自費)です。

金額は医療機関ごとに異なるため、依頼される際にご確認ください。

ご本人・ご家族からの情報提供が大切

ご本人・ご家族からの情報提供が大切

診断書には、主治医が診察だけでは把握しきれない情報を記載する欄があります。

たとえば、学生時代に普通学級だったか特別支援学級だったか、複数の医療機関に通院していた場合のそれぞれの治療内容、これまでの職歴など、ご本人やご家族でなければわからない情報も少なくありません。

普段の診察で伝えきれていない日常生活の支障があれば、診断書の作成前に主治医にお伝えしておくとよいでしょう。

こうした日常生活や就労の状況を時系列で整理して伝える書類として、病歴・就労状況等申立書があります。書き方のポイントは 病歴・就労状況等申立書の書き方 で詳しく解説しています。

書類作成にご不安がある場合は、社会保険労務士に相談する方法もあります。

受け取ったら記載内容を確認する

受け取ったら記載内容を確認する

診断書は項目が多く、記載漏れが生じることもあります。

受け取った際には、傷病名や現症日などの基本的な項目が空欄になっていないかを確認し、漏れがある場合は主治医に加筆を依頼することが大切です。

精神の障害用の診断書では、ICD-10コードや日常生活の状況の記載もあわせて確認しておくとよいでしょう。

また、受診状況等証明書や病歴・就労状況等申立書と内容に食い違いがないかも確認しておくと安心です。

診断書の準備が受給につながった事例

診断書の準備が受給につながった事例

弊事務所では、さまざまな傷病の方の障害年金申請をお手伝いしてきました。

ここでは、診断書の準備や主治医との連携が認定につながった傾向についてご紹介します。

たとえば、普段の診察では伝えきれていなかった日常生活の支障を、ご本人やご家族が整理して主治医にお伝えし、その内容が診断書に反映されたことで、状態が正しく伝わったケースがあります。

また、障害認定日による請求で、現症日を適切に設定して必要な診断書をそろえられたケースもあります。

弊事務所の支援事例も公開しておりますので、あわせてご参照ください。

※個別事案により判断は異なります。

よくあるご質問

よくあるご質問

診断書についてよく寄せられるご質問にお答えします。

Q: 診断書は誰が作成できますか?

障害年金の診断書を作成できるのは、医師又は歯科医師に限られます。

日本年金機構が定める障害ごとの所定の様式で作成してもらう必要があり、ご本人や社会保険労務士が記入することはできません。

Q: 診断書の作成費用はいくらかかりますか?

作成費用は医療機関によって異なり、健康保険の対象外です。

金額は医療機関ごとに異なるため、依頼される際にご確認ください。

Q: 診断書に記載漏れがあったらどうすればよいですか?

障害年金の診断書は項目が多く、記載漏れが生じることもあります。

提出前に内容を確認し、漏れがある場合は主治医に加筆を依頼することが大切です。

受診状況等証明書や病歴・就労状況等申立書と内容に食い違いがないかも、あわせて確認しておくとよいでしょう。

まとめ

まとめ

障害年金の診断書は、医師又は歯科医師が所定の様式で作成する、認定の中心となる重要な書類です。

本記事のポイントを振り返ります。

  • 診断書は障害認定基準に基づく等級判定の中核となり、記載内容が結果に影響します
  • 様式は障害の種類に応じて8区分あり、記載する項目は様式ごとに異なります
  • 「現症日」と請求方法によって、必要な時点・枚数(認定日と請求日が1年以上離れる場合は2通)が変わります
  • 主治医に正確に状態を伝えるため、ご本人・ご家族からの情報提供が大切です

初めての障害年金申請で診断書の準備にお悩みの方は、わくわく社会保険労務士法人(全国障害年金サポートセンター)までお気軽にご相談ください。


※本記事は2026年6月時点の年金法令・障害認定基準に基づき作成しています。法令改正等により内容が変更される可能性があるため、最新の情報は 日本年金機構の公式サイト 等でご確認ください。個別の事案については社会保険労務士・弁護士等の専門家へのご相談を推奨します。医学的判断は主治医にご確認ください。

わくわく社会保険労務士法人

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