うつ病で障害年金を申請される場合の注意点などは『【社労士が解説】うつ病で障害年金を申請するポイント』でも詳しくご説明していますので、是非ご参照ください。
目次
対象者の基本データ
病名 | 鬱病(うつびょう) |
---|---|
性別 | 男性 |
支給額 | 年額 約79万円 遡及金額 約390万円 |
障害の状態 |
|
申請結果 | 障害基礎年金2級 |
ご相談までの経緯
ご相談者様は、幼少期より父親からDVを受けていました。
それで、父親から離れるために、県外の大学に進学し一人暮らしを始めることになります。
しかし、人との関りが苦手で大学も中退しました。
その後も、実家に戻る気にもならず、一人暮らしを続けることになります。
漠然とした不安感や気分の落込みも続き、希死念慮も出現したことで受診することにしました。
受診しながら、生活のためにアルバイトをしますが、長続きせず、短期間での転職を繰り返します。
常に、経済的な不安をお持ちでしたが、実家に帰ることもできず、将来の事を悩んでおられました。
たまたま、ネットで障害年金の事を知りますが、まず、自分が受給の可能性があるかを知りたく、弊社にご相談頂きました。
申請結果
ご相談者様は、幼少期の父親からの暴言・暴力がトラウマとなり、家族と同居することができず、15年前から「一人暮らし」を続けておられます。
日常生活においては家事だけでなく清潔保持もままならず、主治医からは、福祉サービスの利用を勧められていますが、対人交流が苦手で受け入れることができません。
大学も中退し、生活のためのアルバイトさえ長続きできず、閉居がちな生活をされているご様子から受給の可能性は高いと判断しました。
しかし、精神のご病気で障害年金を申請する場合は、「一人暮らし」がハードルを上げてしまいます。(ポイント①)
何故なら「一人暮らし」ができているということで、衣食住など身の回りの事が自分でできていると判断されてしまう可能性があるからです。
そこで、診断書依頼の際は、医師に、「一人暮らし」に至った理由、そして、日常生活が破綻している状況など、ご相談様からヒアリングした内容を詳しくお伝えしました。(ポイント②)
完成した診断書には、病気に対する家族の理解がなく余儀なく「一人暮らし」をしている事、就労も不定期なフリーターしかできない事等の記載は正確にされていましたが、「日常生活は徐々に困難になりつつあるが、単純な生活は送れている」という誤った情報も記載がされていました。
医師に確認すると、勘違いで記載したとの事でしたので、医師に削除のお願いをしました。
そして、「日常生活は徐々に困難になりつつあるが、単純な生活は送れている」の文言を削除していただいた後、申請しました。
審査の結果、無事、「障害基礎年金2級」に認定され、過去5年間の遡及も認められました。(ポイント③)
【ポイント1】単身の精神疾患の審査について
うつ病や発達障害などの精神疾患で障害年金を請求しようとする場合、単身で生活している場合は注意が必要です。
というのも、精神による障害年金は日常生活をどの程度周りから助けてもらっているかが審査の基準になるためです。
もし、このような一人暮らしに該当する場合は、やむを得ない理由や身内・友人その他福祉サービスの利用状況などを訴えることで認定の可能性があります。
一人暮らしの申請事例は以下のページでご紹介していますので、ご参照下さい。
【ポイント2】医師への診断書作成依頼
「障害年金の請求を考えている」ことを医師にあらかじめ相談しておかれると、診断書の作成がとてもスムーズです。
中には、医師から障害年金の請求を勧められて当事務所へご相談にお見えになる方もいらっしゃいますが、そうではない場合、いきなり診断書作成を医師にお願いすると、作成することを躊躇されることがあります。
障害年金制度や障害年金用の診断書の作成に馴染みがないという医師もいらっしゃる場合があります。
障害年金の請求には、医師に診断書を書いていただく必要があるので、できる限りの協力を得られるとよいですね。
【ポイント3】認定日請求で過去の分を受給
何らかの理由で障害年金の請求が遅れてしまったり、手続きを忘れていた場合には認定日請求(遡及請求)という方法があります。
認定日請求(遡及請求)とは、障害認定日(原則的には初診日から1年6ヶ月後)の状態が定められた症状に該当すると、貰い忘れていた障害年金を一括で受け取れる可能性があります。
なお、遡って受給ができるのは時効の関係上、最大で5年までと決められています。
認定日請求(遡及請求)の事例は以下のページでご紹介していますので、ご参照下さい。
以下の動画でも遡及請求のポイントをご説明していますので是非ご覧ください。
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