障害年金の初診日は調べられる?確認方法と証明できない場合の対処法

障害年金の請求において「初診日」はとても重要なポイントです。

しかし、「自分の障害の初診日がいつだったかわからない」「昔のことで記録もなく、どう調べればいいのか?」と悩む方も少なくありません。

結論からいえば、初診日を特定したり証明したりする方法はあります

本記事では、初診日の基本と重要性、初診日の調べ方、そして証明が難しい場合の対処法について、わかりやすく解説します。

初診日とは

初診日とは

初診日とは、「障害の原因となった傷病について、初めて医師(または歯科医師)の診療を受けた日」のことです。

簡単に言えば、今の障害の原因となった病気やケガで最初にお医者さんにかかった日が初診日になります。

例えば同じ病気で転院を繰り返している場合は、一番最初に受診した医療機関での受診日が初診日となります。

接骨院や鍼灸院、マッサージなど医師以外の施術を受けた日は初診日には含まれませんので注意しましょう(その後に医師に診てもらった日が初診日となります)。

健康診断を受けた日(健診日)は、原則として初診日には取り扱いません。

ただし、最初に治療目的で受診した日を証明できないなどの事情があり、健診結果が「直ちに治療が必要」と判断できる内容で、本人が申立てる場合には、例外的に健診日を初診日として取り扱うことがあります。(参考:厚生労働省ホームページ『「障害年金の初診日を明らかにすることができる書類を添えることができない場合の取扱いについて」の一部改正について〔国民年金法〕

では、なぜ初診日がそれほど重要なのでしょうか?

その理由は、障害年金の受給要件が初診日を基準に決まっているからです。

障害年金の手続きでは大きく3つのポイントがありますが、その最初のポイントが「初診日が明らかであること」です。

初診日がはっきりしないと、以下のような受給要件を満たせるか確認できません。

相当因果関係

なお「初診日」は、必ずしも“最終的に診断された病名”で最初に受診した日とは限りません。前の疾病や負傷がなければ後の疾病が起こらなかったといえるなど、前後の傷病に相当因果関係があると認められる場合は、前の傷病で最初に医師(歯科医師)の診療を受けた日が、後の傷病の初診日として扱われます。初診日が変わると、年金の種類や納付要件の判定が変わるため、早い段階で年金事務所等で確認しておくと安心です。(※参考:『相当因果関係とは』)

加入期間の確認と年金種別の決定

障害年金を受け取るには、原則として、初診日に国民年金・厚生年金(共済含む)などの被保険者であることが受給要件となります。

ただし障害基礎年金では、初診日が「国民年金加入期間」のほか、「20歳前」または「日本国内に住んでいる60歳以上65歳未満で年金制度に加入していない期間」にある場合も対象となり得ます(※繰上げ老齢基礎年金を受給している方等は別途確認が必要です)。

初診日に加入していた制度によって受け取れる年金の種類(障害基礎年金か障害厚生年金か)が異なります。

例えば、初診日に会社員で厚生年金に入っていれば障害厚生年金の対象になりますし、自営業等で国民年金のみなら障害基礎年金となります。(※20歳前の傷病による障害基礎年金は、所得に応じて支給停止(全額または一部)となる場合があります(所得制限・支給調整のルールあり)。)

なお、初診日が20歳前であっても、その初診日が厚生年金保険の加入期間である場合は、障害厚生年金の対象となります。

保険料納付要件の判断

初診日の前日までに一定期間の年金保険料を納めていること(納付要件)が受給条件になりますが、その納付要件を満たしているかどうかは初診日時点の状況で判断されます

納付要件は「保険料を納めた期間」だけでなく、「保険料免除期間」等も含めて判定されます。

具体的な判定方法(3分の2要件や特例の有無など)は初診日や年齢等により変わるため、年金事務所等で確認しましょう。(参考:日本年金機構ホームページ『障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額』)

なお、20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある障害基礎年金は、納付要件は不要です。

障害認定日(障害状態の固定時期)の確定

初診日から原則1年6か月後が「障害認定日」と呼ばれる日になります(例外として症状がその前に固定した場合はその日が認定日)。

この障害認定日を基準に障害の程度を判断し、年金の受給等級が決まります。

初診日が確定してはじめて、障害認定日も確定します。もし初診日があやふやだと、本来受け取れるはずの時期や等級での年金を逃してしまう可能性もあります。


以上のように、初診日は障害年金請求の土台となる非常に重要な日付です。

初診日が特定できなかったり証明できなかったりすると、残念ながら障害年金は不支給(受け取れない)になってしまうケースがほとんどです。

そのため、請求者・ご家族の方はまず「初診日を確実に突き止めること」、そして「初診日を客観的な資料で証明すること」が必要になるわけです。

初診日の確認方法(自分の初診日を調べるには)

「初診日がいつか思い出せない」「カルテが残っていないと言われた」といった場合でも、あきらめる必要はありません。初診日を調べるためにできることを順番に見ていきましょう。

1. 受診した医療機関を特定する

受診した医療機関を特定する

まずはどの医療機関で初めて受診したかを思い出すことが出発点です。

長年にわたる病気の場合、記憶があいまいになっているかもしれませんが、当時の状況を振り返ってみましょう。

家族や友人に当時のことを聞いてみるのも有効です。「〇〇科のクリニックだった」「△△病院に紹介状を書いてもらった」など、些細な手がかりでも構いません。

手元に過去の診療明細書や領収書、お薬手帳などが残っていれば大きなヒントになります。

それらには受診日や医療機関名が記載されているため、初診日の特定に役立ちます。

特にお薬手帳には日付と薬の情報が載っているので、初めてその病気の薬を処方された日付がわかれば初診日に近い情報と言えるでしょう。

2. 健康保険の診療記録(レセプト)を確認する

健康保険の診療記録(レセプト)を確認する

もし「初診日は思い当たる病院がない」「手元に資料が残っていない」という場合でも、健康保険の記録をたどる方法があります。

日本では医療保険の診療報酬明細(いわゆるレセプト)が一定期間保存されています。

初診日が5年以内であれば、加入している健康保険者(市区町村の国民健康保険、協会けんぽ、健康保険組合など)に対してレセプトの開示請求を行い、自分が過去に受診した医療機関や日付の情報を入手できる可能性があります。

レセプトには医療機関名や受診日、診療科目などが記録されているため、そこから初診日を割り出せることがあります。

開示請求の方法は保険者によって異なりますが、市区町村や健康保険組合の窓口に問い合わせれば手続き方法を教えてもらえます。

レセプト開示で確認できる範囲は、原則として「過去5年分」が目安です(開示対象の範囲が原則過去5年間分とされているため)。(参考:厚生労働省ホームページ『診療報酬明細書等の開示に係る取扱要領について〔健康保険法〕』)

過去5年を超える受診歴は、保険者側で確認できない又は開示対象外となる可能性があるので、領収書やお薬手帳など他の資料も併用すると確実です。

3. 医療機関に証明書を発行してもらう

医療機関に証明書を発行してもらう

初診日に受診したと思われる医療機関が判明している場合は、その病院またはクリニックに直接問い合わせてみましょう。

カルテ(診療記録)が残っていれば、初診日を証明する書類を発行してもらうことができます。

障害年金の請求用には「受診状況等証明書」といい、所定の様式で初診日や当時の診療情報を証明する書類を作成してもらうことになります。

通常、この証明書には氏名や生年月日、初診年月日、最終受診日(終診日)などが記載されます。

もし初診時の医療機関で診断書を書いてもらえる場合には、その診断書自体が初診日を明らかにする資料として提出できるケースもあります。

たとえば、初診医が現在も主治医で障害年金用の診断書を書いてもらう場合、その診断書に初診日が記載されますので、別途証明書を用意せずとも初診日証明として扱われることがあります。

ただし医療機関によってはカルテの保存期間に限りがあります。

診療録(カルテ)の保存は法令上「5年」が基本ですが、保存期間の起算点は「初診日」ではなく、記録の完結(終診)との関係で運用されます。(参考:厚生労働省資料『診療録の保存年限に係る現行法令上の規定について』)

そのため、初診日が古いというより「その医療機関での最終受診から長期間経っている」場合に、記録が残っていない可能性が高くなります(※医療機関によっては5年以上保管している場合もあります)。

特に個人病院やクリニックでは古い記録を処分してしまっていることもあります。

問い合わせた際に「記録が残っていない」と言われた場合は、次のステップに進みましょう。

4. 初診日の証明が難しい場合の対処法

初診日の証明が難しい場合の対処法

初診の病院が閉院していたり、カルテが見つからないなど、正式な証明書を入手できない場合でも、まだ手は残されています。

次の章で詳しく説明しますが、第三者の証明や別の資料を組み合わせることで初診日を推定し、年金事務所に認めてもらう方法があります。

この段階では、「証明書が取れなかったら障害年金は諦めるしかない」と落ち込まずに、集められる資料をリストアップしておきましょう。

後述するように診察券や古い手帳、他院の記録なども立派な手がかりになります。

以上が初診日を調べる主な手順とポイントです。

まとめると、まず手元の情報で医療機関と日付の手がかりを探し、健康保険のデータも活用し、それでも正式な記録が得られない場合は他の証拠を用意するという流れになります。

初診日の証明方法と証明できない場合の対応

障害年金を請求する際には、原則として初診日を証明できる資料を提出しなければなりません。

通常もっとも確実なのは前述の「受診状況等証明書」ですが、先述のように用意できないケースもあります。

この章では、初診日を証明するための方法と、証明書類が用意できない場合の対処法について解説します。

通常の初診日証明に用いられる書類

受診状況等証明書(初診証明)

初診日当時の医療機関で作成してもらう公式の証明書です。

氏名、初診日、終診日(その病院で最後に受診した日)などが記載され、障害年金の請求にはこれを提出するのが基本です。

初診の病院に依頼し、医師または事務担当者に作成をお願いしましょう(用紙は年金事務所や日本年金機構のサイトで入手できます)。

診断書

通常、障害年金請求時には主治医に現在の障害状態について診断書を書いてもらいますが、この診断書の中にも初診日欄があります。

初診医がそのまま現在の主治医である場合は、この診断書によって初診日を証明できることがあります。

ただし初診医と主治医が異なる場合や、診断書だけでは初診日を客観的に裏付ける資料が不足すると判断された場合は、別途受診状況等証明書の提出を求められることがあります。

上記二つが用意できれば理想ですが、現実には初診から時間が経っていたり、カルテが廃棄されていたりして用意できない場合があります。

こうした場合のために、年金制度では代替手段が設けられています。

初診日の証明書類が用意できない場合の代替手段

初診医療機関の証明が得られない場合でも、あきらめてはいけません。

年金事務所には「初診日の証明書類を添付できない場合の特例的な取り扱い」があり、他の資料によって合理的に初診日を推定できれば認めてもらえる可能性があります。

具体的な対応策は次のとおりです。

「受診状況等証明書が添付できない申立書」の提出

「受診状況等証明書が添付できない申立書」の提出

日本年金機構の「受診状況等証明書が添付できない申立書(様式2)」に、「〇年〇月頃に△△病院を受診したが、閉院して記録が入手できない」等の証明書類が提出できない理由や経緯を記入して提出します。

まずこの申立書を用意して提出することで、「正式な証明書類が出せない理由」を公的に示します。

客観的な参考資料の収集・提出

客観的な参考資料の収集・提出

初診日を裏付けるために、手元にあるあらゆる客観的資料を提出します。

たとえば以下のようなものが有効です。

  • 診察券や患者IDカード: 初診時に発行された病院の診察券が残っていれば、有力な証拠になります。診察券には初診日までは書いていなくとも、その医療機関にかかった事実を示す客観資料です。
  • 古い領収書や会計明細: 金額部分はともかく、受診日や病院名が記載された領収書類は初診日の時期や医療機関を示す証拠になります。
  • お薬手帳、処方箋の控え: 初診当時の処方箋や薬手帳の記録が残っていれば、「いつ頃どんな薬をもらったか」から初診時期を推定できます。
  • 健康診断結果の写し: 初診に至るきっかけが健康診断だった場合、その健診結果に「要精密検査」等の記載があれば初診日の参考になります。
  • 身体障害者手帳取得時の診断書コピー: 障害者手帳を過去に取得している場合、その診断書に初診日や病歴の記載があることがあります。
  • 入院記録や紹介状の写し: 他院へ転院している場合は、転院先の病院での最初の受診日を証明する書類(受診状況等証明書)も併せて提出します。紹介状の写しなどがあれば、前医の受診歴が書かれている場合もあります。
  • 第三者からの証明書: 第三者が「〇年頃に△△病院を受診していた」ことを証明する書面も有効です。原則として「2名の第三者」による証明が必要です。なお、請求者の三親等内の親族は第三者証明を行えません。また、初診日頃に受診した医療機関の担当医・看護師等の医療従事者が証明できる場合は、医療従事者による第三者証明(1通)で足りる取扱いもあります。

健康保険の利用履歴

前述のレセプト情報も重要な資料です。5年以内であれば取得したレセプト明細も添付しましょう。

たとえ初診日の特定が難しくても、「〇年〜〇年の間に△△科で治療を受けている」という期間の情報は参考資料になります。

これらの資料をできる限り多く集めて提出することで、年金事務所(日本年金機構)の審査担当者が「総合的に見てこの人の申し立てる初診日に間違いなさそうだ」と判断すれば、書類審査で初診日が認められる仕組みです。


平成27年10月1日から、初診時の医療機関の証明を得ることが難しい場合でも、第三者証明や参考資料など一定の書類によって初診日を確認する取扱いが拡充されています。(参考:日本年金機構ホームページ『障害年金の初診日を 確認する方法が広がります』)

ただし、どの書類でも必ず認められるわけではなく、提出資料の客観性・整合性が審査で確認されます。

審査のポイント

年金事務所は、提出された第三者証明や参考資料の整合性をチェックします。証言と資料の内容に食い違いがなく、客観性・信憑性が高いと判断されれば初診日と認定されます。その一方で、医療機関が作成した資料であっても請求者の申立てをそのまま書いたようなもの(例えば医師が口頭の聞き取りだけで書いたメモなど)は適当ではないとされています。あくまで客観的な証拠であることが重要です。

【ケース別】初診日の証明・調査方法まとめ

読者の方の状況に応じて、初診日を確認・証明する方法をまとめました。ご自身のケースに当てはまるものをご参照ください。

ケース・状況初診日の調べ方・証明方法
初診の病院が判明しており、カルテがある場合
(例:まだ通院中、記録が残っていると言われた)
病院に依頼して受診状況等証明書を作成してもらいます。
主治医に障害年金用の診断書を書いてもらう場合は、その診断書に初診日を記載してもらうことでも証明可能です。
初診の病院はわかっているが、カルテがない場合
(例:5年以上前で病院から記録が破棄された・閉院した)
年金事務所所定の「受診状況等証明書が添付できない申立書」を提出し、併せて診察券や領収書、お薬手帳、他院の記録など初診日を裏付ける資料をできるだけ提出します。
友人や家族(3親等内親族を除く)など第三者の証明書も2通以上用意できれば提出します。
これらにより総合的に初診日を推定してもらいます。
初診で受診した医療機関がわからない場合
(例:昔のことで病院名も覚えていない)
手元の資料や記憶を手がかりに病歴を洗い出します。
まず過去の領収書やお薬手帳を探し、心当たりのある地域の病院名をリストアップしましょう。
それでも不明な場合、健康保険者にレセプト開示請求を行って直近5年程度の医療機関受診歴を確認します。
可能性のある医療機関が判明したら、その病院に問い合わせて記録の有無を確認します(記録があれば上記の証明書発行依頼へ)。
初診日が直近5年以内の場合
(例:比較的最近の初診だが詳細な日付が不明)
健康保険の診療明細(レセプト)を請求すれば、いつどの病院を受診したか確認できます。
その情報から初診日を確定し、該当病院に証明書発行を依頼しましょう。
領収書やお薬手帳が残っている場合はそれも初診日の裏付けになります。
病気が一度治って再発した場合
(例:10年前にも同じ病気になったが治癒し、最近再発)

社会的治癒が認められる場合、再発時の受診日を新たな初診日とすることが可能です。
社会的治癒とは、医学的には治癒に至っていなくても、軽快と再度の悪化との間に、相当の期間にわたり症状がなく、医療(予防的医療を除く。)を行う必要がなくなり、通常の勤務に服していたと認められる場合などに、いったん治癒したものとして取り扱う考え方です。
該当するかどうかは個別事情で判断されるため、年数だけで一律に決まるわけではありません。
社会的治癒と判断された場合は、以前の初診日ではなく再発後の初診日で障害年金請求を行うことになります。

上記の表を参考に、ご自身の状況に合った対処法を取ってみてください。

特に初診から長い年月が経っている場合、記憶も資料も薄れて苦労されるかもしれません。

しかし、年金事務所もできるだけ請求者の負担を軽減し、公平に救済する観点から様々な証明方法を認めています。

大切なのは「可能な限りの証拠を集めて提出すること」です。

まとめ

まとめ

初診日は障害年金の要とも言える大事な日です。請求者ご本人やご家族で過去の記録を丹念に洗い出し、必要に応じて保険者や関係者の力も借りながら、初診日の特定と証明に努めましょう。

たとえ正式な証明書が手に入らなくても、代わりとなる資料を揃えることで道は開ける可能性があります。

不明点があれば年金事務所や専門家へ遠慮なく相談し、適切な助言を受けると安心です。

当事務所へもお気軽にご相談ください。

この記事が、障害年金申請を検討している皆様の不安解消の一助になれば幸いです。

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