障害認定日とは

障害年金の申請手続きを考える際によく出てくるのが「障害認定日」という言葉です。

これは、障害年金を受け取るうえで非常に重要な節目となる日です。

本記事では、障害認定日とは具体的に何を指すのか、その決まり方(原則と例外)、障害年金の請求との関係、そして申請時期に関する注意点などを専門家の視点でわかりやすく解説します。

障害認定日とは

障害認定日とは

障害認定日とは、一言でいえば「この日から障害年金の申請が可能になるという基準日」のことです。

障害の状態を法律上判断するための基準日であり、その日における障害の程度によって障害年金を受け取れるかどうかが決まります。

基本的には、障害の原因となった病気やケガについて最初に医師の診察を受けた日(初診日)から 1年6か月を経過した日 が「障害認定日」となります。

例えば、2024年4月1日にその傷病の初診を受けた場合、原則の障害認定日は 2025年10月1日です。

※初診日が月末(例:8月31日)の場合など、1年6か月後に同じ日付が存在しないときは、日本年金機構の定める取り扱いに従い、近い日付(例:2月28日など)が障害認定日となります。

なお、初診日から1年6か月以内に病気やケガの症状が治癒または固定(これ以上良くも悪くもならない状態)した場合は、その日が障害認定日となります。

これは、症状が早期に固定した場合には、その時点で障害の程度を判断できるためです。

また、初診日が20歳前で、 かつ「初診日から1年6か月を経過した日」が20歳の誕生日の前日より前に来る場合 には、障害認定日は 20歳の誕生日の前日 とされます。(例:初診日が18歳5か月のときなど)

※20歳未満で初診を迎えた障害については、原則20歳にならないと障害基礎年金の受給資格が発生しないため、その時点(20歳到達時)を障害認定日とする特例です。

一方で、初診日が19歳台のように、1年6か月を経過した時点で既に20歳を過ぎている場合には、原則どおり「初診日から1年6か月を経過した日」が障害認定日になります。

障害認定日の意味と役割

障害認定日は「障害状態を判断する基準日」と述べましたが、なぜ初診日から1年6か月なのでしょうか。

これは、多くの傷病では発症から約1年半ほど経過すると、その後の回復見込みや障害の程度がある程度固定されることが多いためです。

言い換えると、1年6か月は症状の経過観察期間とも言えます。

もしそれより早く症状が固定してしまった場合は、その時点で障害の状態を判断するのが合理的ですし、逆に1年6か月経っても症状が残っていればその時点で障害状態が継続していると判断できます。

また後述するように、人工透析の開始や心臓ペースメーカーの装着など、明らかに重い障害状態に至ったことが早期に分かるケースでは、例外的に1年6か月を待たず障害認定日を早めることが認められています。

障害認定日の決まり方(原則と例外)

前述のとおり、原則的な障害認定日は「初診日から1年6か月経過した日」です(初診日当時20歳未満の場合は20歳到達日)。

しかし、傷病によっては例外的に障害認定日が早まる場合があります。

以下に、障害認定日の原則例外をまとめます。

  • 原則的な障害認定日: 初診日からちょうど1年6か月が経過した日(症状がその時点で継続している場合)。もし1年6か月より前に症状が治った(症状固定した)場合は、その治った日が障害認定日になります。
    : 2024年4月1日初診 → 2025年10月1日が障害認定日(1年6か月後の日)。
  • 障害認定日が早まる例外ケース: 初診日から1年6か月を迎える前に重い障害状態が明確になった場合には、以下のような特定の医療行為等を行った日を障害認定日とすることができます。これは厚生労働省の定めるガイドラインに沿ったもので、障害の状態が早期に判断できるケースに該当します。(参考:日本年金機構ホームページ『障害認定日』)
障害認定日が早まる例外ケース1
障害認定日が早まる例外ケース2

表:障害認定日が早まる主なケース(初診日から1年6か月以内に該当した場合)

ケース(症状や医療行為)認定日とみなされる日
人工透析を開始した場合初めて透析を受けた日から 3か月経過した日
人工骨頭または人工関節を挿入置換した場合挿入置換した日
心臓ペースメーカー植込み型除細動器(ICD)・人工弁を装着した場合装着した日
人工肛門を造設した、または尿路変更術を施した場合手術した日から 6か月経過した日
新膀胱を造設した場合造設(手術)した日
手足の切断・離断による障害が生じた場合切断・離断した日(※障害手当金の場合は創面が治癒した日)
喉頭の全摘出をした場合全摘出した日
在宅酸素療法を開始した場合療法を開始した日
その他、症状が明らかに症状固定した場合症状が固定した日(これ以上改善の見込みがないと医師が判断した日)

上記のような例外に該当すると、障害認定日が原則よりも早まります。

ただし注意点として、これらの特例となる医療行為が行われた日が初診日から1年6か月経過した日より後である場合は、障害認定日は原則通り初診日から1年6か月経過後の日となります。

つまり、例外的なケースであってもそのタイミングが遅すぎれば、結局は1年6か月後が認定日になるということです。

症状固定した日

また、「症状固定した日」とは例えば脳血管疾患(脳卒中など)でリハビリを続けてもそれ以上良くも悪くもならない状態になった場合や、重度の意識障害で長期間寝たきりの状態になった場合などが該当します。

こうしたケースでは担当医の判断により「症状固定日」が定められることがありますが、実際の認定では慎重に判断されることに留意してください。

障害認定日はなぜ重要なのか?

障害認定日はなぜ重要なのか?

障害認定日が重要視されるのは、この日を基準に障害年金を受給できるかどうかが判断されるためです。

先述の通り、障害認定日以降でないと障害年金の請求は行えません。

裏を返せば、障害認定日より前にいくら障害の状態が重くてもまだ申請できないということです。

では、障害認定日当日にどのような状態であれば年金がもらえるのでしょうか?

ここでポイントとなるのが障害等級です。

障害年金には障害の程度に応じて等級が定められており、障害基礎年金は1級・2級、厚生年金加入中の病気やケガによる障害厚生年金は1級〜3級 が対象となります。

簡単に言えば、障害認定日の時点でこれらの障害等級に該当していれば、(初診日や保険料納付の条件も満たす限り)障害年金を受給する権利が生じます。

反対に、障害認定日時点ではまだ障害が軽く等級に該当しない場合、その時点では受給権が発生しません。

さらに重要なのは、障害認定日を基準とした障害年金の支給開始時期です。

この日以降の申請であれば、条件を満たしている限り障害年金を受け取ることができますが、受給開始のタイミングや受け取れる金額の範囲は請求の方法によって変わってきます。

大きく分けて次の2パターンがあります。

障害年金の申請方法
  1. 認定日による請求(遡及請求) – 障害認定日当時に障害等級に該当する状態であった場合に、その障害認定日まで支給開始時期をさかのぼって年金を受け取る請求方法です。後述しますが、過去にさかのぼれる期間には制限(時効)があり、最大で5年分までが一括支給されます。
  2. 事後重症による請求 – 障害認定日時点では障害等級に該当しなかったものの、その後病状が悪化して等級に該当した場合に、現在の状態で年金を請求する方法です。この場合、障害年金は請求した月の翌月分から支給が開始され、過去の期間に遡って受け取ることはできません。なお、事後重症による請求ができるのは、原則として65歳の誕生日の前々日までです。この日を過ぎると、現在の症状が重くなっていても、新たに事後重症請求を行うことはできません(ただし、条件を満たせば過去の障害認定日までさかのぼって「認定日請求」ができるケースはあります)。

認定日請求と事後重症請求の違いを表にまとめます。

表:認定日による請求と事後重症による請求の違い

請求方法障害認定日当時の状態と支給開始時期
認定日による請求(遡及請求)障害認定日時点で障害等級に該当する障害状態だった場合に行う請求。
年金は障害認定日の翌月分から受け取ることができます。
仮に認定日から時間が経ってから請求しても、診断書など当時の証拠が揃えば最長で5年分までさかのぼって一括支給されます。
ただし、たとえ障害認定日が5年以上前であっても、実際にさかのぼって支給されるのは時効により直近5年分までです。
事後重症による請求障害認定日時点では等級非該当だったものの、その後悪化して障害等級に該当した場合の請求。
年金は請求した月の翌月分から支給開始となり、それ以前の期間について遡及して受け取ることはできません
事後重症による請求ができるのは、原則として65歳の誕生日の前々日までです。

認定日による請求の場合は、障害認定日から受給権が発生しているため、後から請求しても年金を遡って受け取れる可能性があります。

一方、事後重症請求の場合は認定日には権利がなく、請求したとき初めて受給権が発生します。

そのため、原則として早く請求するほど有利です。

同じ障害状態でも、請求が遅れると受け取れない過去分が発生する可能性がある点に注意しましょう。

(※事後重症請求に関しましては『事後重症請求とは』のページで詳しくご説明していますので、ご参照下さい。)

障害認定日を過ぎてからの申請はできる?

障害認定日を過ぎてからの申請はできる?

では、「障害認定日から何年も経ってしまったが、今からでも障害年金を申請できるのか?」という疑問について確認します。

結論から言えば、障害認定日を過ぎていても申請は可能です。

たとえ認定日から数年経過していても、諦める必要はありません。

ただし、年金には時効があり過去5年分までしかさかのぼって受け取ることができません。

例えば認定日が10年前だった場合でも請求自体はできますが、実際に支給されるのは直近5年分までとなります。

したがって、可能であればできるだけ早く手続きを進めることが重要です。

もう一点、障害認定日での診断書(障害状態を証明する書類)の用意についても注意が必要です。

障害認定日による遡及請求を行うには、障害認定日時点の医師の診断書を取得する必要があります。

しかし実際には、認定日当日に必ずしも通院していなかったケースもあるでしょう。

もし障害認定日時点で診察記録や診断書が得られない場合、残念ながら障害認定日まで遡っての申請は難しくなります。

その場合には先述の事後重症による請求(現在の症状での請求)を行い、将来分のみの年金を受給する形となるのが一般的です。

したがって、障害認定日前後にはできるだけ医師の診断を受けて記録を残しておくことが望ましいと言えます。

まとめ

まとめ

障害年金における障害認定日は、受給資格の発生時期と障害状態の評価に直結する大切な日です。

原則は初診日から1年6か月後ですが、症状や治療内容によっては例外的に早まるケースもあります。

障害認定日当日に障害等級に該当していれば、認定日以降に請求することでその翌月分から年金を受け取ることができます。

仮に請求が遅れても、5年以内であれば遡及して受け取ることも可能です。

一方、認定日時点で該当しなかった場合でも、後に状態が悪化すれば事後重症として現在から年金を受け取る道も残されています。

いずれの場合も、「自分は障害年金の対象になるのだろうか」「いつ請求すればいいのだろうか」と感じたら、まずは公的機関の窓口や専門家に相談し、必要な情報を早めに集めることをおすすめします。

障害認定日という基準日を正しく理解し、適切なタイミングで手続きを行うことで、安心して障害年金を受給できるように備えておきましょう。

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