
精神障害者保健福祉手帳の2級を取得されて、「これで実際にいくら受け取れるのだろう」と調べておられる方は多くいらっしゃいます。
手帳が届いても、お金が振り込まれる案内が同封されているわけではないため、戸惑われるのも当然です。
結論から申し上げますと、手帳そのものから直接お金が支給される仕組みはありません。
手帳をお持ちの方が受け取れるお金の中心は、別に申請する障害年金です。
本記事では、精神障害者保健福祉手帳2級をお持ちの方が使える可能性のあるお金の制度を、令和8年度(2026年度)の金額で整理します。
給付・減免・控除の3つに分けて、社会保険労務士法人の視点から順に解説します。
精神障害者手帳2級でもらえるお金の全体像
精神障害者手帳2級でもらえるお金は、大きく「申請すればお金が入る給付」「支出が減る減免・割引」「税金が軽くなる控除」の3つに分かれます。
手帳と連動するものと、手帳とは別に審査があるものが混在している点が、分かりにくさの原因です。まずは全体像を押さえましょう。
手帳そのものからお金が支給されるわけではない
精神障害者保健福祉手帳は、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に基づく制度で、一定の精神障害の状態にあることを認定する証明書としての役割を持ちます。
手帳を交付されたこと自体を理由に、毎月の現金が支給される制度ではありません。
一方で、手帳を持っていることが別の制度を利用するための条件になっている場面は数多くあります。
税金の控除や交通機関の割引がその代表例です。
「手帳=お金」ではなく、「手帳=各種制度の入口」と捉えていただくと、制度を整理しやすくなります。
「給付」「減免・割引」「控除」の3種類に整理する
手帳2級の方が関わる可能性のある制度を、性質ごとに分けると次のとおりです。
| 区分 | 制度 | 令和8年度の目安 | 申請先 |
|---|---|---|---|
| 給付 | 障害基礎年金2級 | 年額847,300円(月額換算約70,608円)+子の加算 | 年金事務所・市区町村の年金窓口 |
| 給付 | 障害厚生年金(1級・2級は上乗せ) | 障害基礎年金+報酬比例の年金額(個人差あり) | 年金事務所 |
| 給付 | 障害年金生活者支援給付金(2級) | 月額5,620円 | 年金事務所等 |
| 給付 | 特別障害者手当 | 月額30,450円 | 市区町村の福祉窓口 |
| 減免 | 自立支援医療(精神通院医療) | 自己負担が原則1割 | 市区町村の窓口 |
| 減免 | 鉄道・バス等の運賃割引 | 事業者により異なる | 各事業者 |
| 減免 | NHK受信料の免除 | 条件により全額免除 | NHK |
| 控除 | 障害者控除(所得税) | 27万円 | 年末調整・確定申告 |
| 控除 | 障害者控除(住民税) | 26万円 | 同上 |
※金額はすべて令和8年度(2026年度)のものです。障害基礎年金の額は昭和31年4月1日以前にお生まれの方は別額(2級844,900円、1級1,056,125円)となります。障害厚生年金3級の最低保障額635,500円(昭和31年4月1日以前生まれは633,700円)も同様に別額が定められています。
このうち、金額として最も大きいのは障害年金です。
ただし障害年金は手帳とは別の審査があり、手帳2級だから自動的に受け取れるものではありません。
以降で順に見ていきます。
精神障害者保健福祉手帳2級とは
まず、手帳2級がどのような状態を指すのかを確認します。
ここを押さえておくと、後半で解説する障害年金の等級との違いが理解しやすくなります。
等級の判定は、精神疾患の病名ではなく、日常生活や社会生活にどの程度の制限があるかによって行われます。
2級の判定基準
精神障害者保健福祉手帳の等級は1級から3級まであり、2級は中間に位置します。
厚生労働省の判定基準では、2級は日常生活が著しい制限を受けるか、または日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものとされています。
この「著しい制限」とは、必ずしも他人の助けを借りる必要はないものの、日常生活を送ることが困難な程度を指すと説明されています。
(出典:厚生労働省「精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定基準について」)
判定は、精神疾患の存在と能力障害の状態の両面から総合的に行われます。
同じ病名でも、生活への影響の程度によって等級が変わることがあります。
具体的な症状の評価は医師の診断書に基づいて行われますので、ご自身の状態がどう評価されるかは主治医にご確認ください。
手帳の等級と障害年金の等級は連動しない
ここが最も誤解されやすい点です。
障害者手帳と障害年金は、根拠となる法律も、目的も、認定を行う機関も異なる別々の制度です。
手帳は都道府県知事等が交付し福祉サービスの利用を支えるもの、障害年金は日本年金機構が認定し年金を支給するものです。
提出する診断書の様式も、審査に用いる基準も別々に定められています。
そのため、手帳と障害年金で等級が一致しないことは珍しくありません。
手帳2級の方が障害年金では2級に認定されることも、認定されないこともありますし、逆に手帳がなくても障害年金を受給されている方もいらっしゃいます。
制度の違いそのものについては 【知らないとマズい】「障害年金」と「障害者手帳」の関係 で、手帳制度の全体像については 精神障害者保健福祉手帳とは?わかりやすく解説します で詳しく解説しています。
障害年金でもらえる金額(令和8年度)
手帳2級の方が受け取れる可能性のあるお金のうち、金額が最も大きいのが障害年金です。
障害年金の額は、認定された等級と、初診日にどの年金制度に加入していたかで決まります。
手帳の等級で決まるわけではない点にご注意ください。
ここでは令和8年度(2026年度)の金額でご説明します。
障害基礎年金の金額と子の加算
初診日が国民年金の加入期間中などにある方が対象となるのが障害基礎年金です。
等級は1級と2級のみで、3級はありません。
| 等級 | 昭和31年4月2日以後生まれ | 昭和31年4月1日以前生まれ |
|---|---|---|
| 1級 | 年額 1,059,125円(月額換算約88,260円) | 年額 1,056,125円(月額換算約88,010円) |
| 2級 | 年額 847,300円(月額換算約70,608円) | 年額 844,900円(月額換算約70,408円) |
生計を維持されているお子さまがいる場合は、子の加算額が上乗せされます。
2人目までは1人につき年額243,800円、3人目以降は1人につき年額81,300円です。
対象となる子は、18歳になった後の最初の3月31日までの子、または20歳未満で障害等級1級・2級の状態にある子です。
1級の額は2級の1.25倍で計算されます(847,300円 × 1.25 = 1,059,125円)。なお年金額は年額が公式の基準で、月額は端数処理を行った参考値です。
実際の支払いは原則として偶数月の15日に、前月までの2か月分がまとめて行われます。15日が土曜・日曜または祝日にあたる場合は、その直前の平日に支払われます。
(出典:日本年金機構「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額」/令和8年4月分から)
等級別の金額をより詳しく確認されたい方は 【2026年度(令和8年度)】障害年金でもらえる金額はいくら? もあわせてご参照ください。
初診日が厚生年金加入中なら障害厚生年金が上乗せされる
会社員やパート勤務などで厚生年金の被保険者期間中に初診日がある方は、障害厚生年金の対象となります。
等級は1級から3級まであります。
見落とされやすいのですが、1級・2級に認定された場合は、障害基礎年金に加えて障害厚生年金も支給される二階建てになります。
「2級だから847,300円だけ」ではありません。
| 等級 | 支給される内容 |
|---|---|
| 1級 | 障害基礎年金1級 + 報酬比例の年金額 × 1.25 + 配偶者加給年金額 |
| 2級 | 障害基礎年金2級 + 報酬比例の年金額 + 配偶者加給年金額 |
| 3級 | 報酬比例の年金額のみ(最低保障額あり) |
報酬比例の年金額は、これまでの標準報酬額と加入期間によって計算されるため、お一人おひとり金額が異なります。
加入期間が300月(25年)未満の場合は300月とみなして計算され、障害認定日の属する月より後の被保険者期間は計算の基礎に含まれません。
配偶者加給年金額は令和8年度で年額243,800円です。
ただし、生計を維持されている65歳未満の配偶者がいる場合の加算であり、配偶者ご自身が被保険者期間20年以上等の老齢厚生年金・退職共済年金を受け取る権利があるときや、障害年金を受けられる間は支給停止となります。
3級の最低保障額は令和8年度で年額635,500円(昭和31年4月1日以前生まれの方は633,700円)です。
なお、65歳以降に厚生年金加入中の初診日がある場合など、1級・2級でも障害基礎年金が支給されないケースもあります。
ご自身がどの制度の対象になるかは、初診日の加入状況によって変わります。
(出典:日本年金機構「障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額」/令和8年4月分から)
障害年金生活者支援給付金
障害基礎年金を受けている方で前年の所得が一定額以下の場合、障害年金生活者支援給付金が上乗せされます。
令和8年度の額は、1級で月額7,025円、2級で月額5,620円です。
所得の基準は、前年の所得額が「4,794,000円 + 扶養親族の数 × 38万円」以下であることです(同一生計配偶者のうち70歳以上の方または老人扶養親族は48万円、特定扶養親族または16歳以上19歳未満の扶養親族は63万円で計算します)。
なお、障害年金等の非課税収入は、この判定に用いる所得には含まれません。
障害基礎年金2級を受給されている方であれば、月額換算約70,608円に給付金5,620円が加わり、月あたりの合計はおおむね76,000円程度になります(給付金の所得要件を満たす場合)。
ただし、この給付金は障害年金とは別に手続きが必要です。
年金の請求と同時に案内される場合もありますが、手続きをしていないと支給されません。受給されている方は、一度ご自身の状況をご確認ください。
手帳2級でも障害年金を受給できるとは限らない理由
手帳2級をお持ちの方から「年金も2級がもらえると思っていた」というご相談をよくいただきます。
障害年金には手帳とは別の要件があり、そこを満たしているかどうかが結論を左右します。
不安を感じられるかもしれませんが、まずは要件を一つずつ確認することが第一歩です。
障害年金には3つの受給要件がある
障害年金を受給するには、次の3つをすべて満たす必要があります。
① 初診日要件
障害の原因となった病気やけがで初めて医師の診療を受けた日(初診日)が、次の期間にあることが必要です。
- 障害基礎年金:国民年金の加入期間、または20歳前・日本国内に住んでいる60歳以上65歳未満で年金制度に加入していない期間(老齢基礎年金を繰上げ受給している方を除きます)
- 障害厚生年金:厚生年金保険の被保険者期間中
なお、20歳前であっても厚生年金の被保険者期間中に初診日がある場合は障害厚生年金の対象となり、1級から3級まで判断されます。
② 保険料納付要件
初診日の前日において、初診日がある月の前々月までの被保険者期間のうち、保険料納付済期間と免除期間を合わせた期間が3分の2以上あることが必要です。
ただし、初診日が令和18年3月末日までのときは、初診日において65歳未満であれば、初診日の前日において初診日がある月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければよいとされています(特例)。
また、20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、保険料納付要件は不要です。
この場合は本人の所得による支給制限が別途設けられており、扶養親族がいない方で、前年所得が3,761,000円を超えると2分の1が支給停止、4,794,000円を超えると全額が支給停止となります。
扶養親族がいる場合は1人につき所得制限額に38万円が加算されます(老人控除対象配偶者・老人扶養親族は48万円、特定扶養親族または19歳未満の控除対象扶養親族は63万円)。所得による支給停止の対象期間は10月分から翌年9月分までです。
(出典:日本年金機構「20歳前の傷病による障害基礎年金にかかる支給制限等」)
③ 障害状態要件
障害認定日(原則として初診日から1年6か月を経過した日。1年6か月以内に症状が固定した場合はその日)に、障害等級表に定める状態に該当していることが必要です。
要件の詳細は 障害年金を受け取るための条件とは で解説しています。
手帳2級=障害年金2級ではない
3つの要件を満たしていても、障害状態の評価は障害年金の認定基準によって別途行われます。
精神の障害については、厚生労働省が「国民年金・厚生年金保険 精神の障害に係る等級判定ガイドライン」(平成28年9月1日実施)を定めており、診断書の日常生活能力の判定・程度をもとに等級の目安が示されたうえで、就労状況や療養状況などを含めて総合的に判断されます。
なお、このガイドラインの対象は精神障害および知的障害であり、てんかんは対象傷病から除かれています。
てんかんについては、障害認定基準で発作の重症度や頻度等を踏まえて判定することが別途定められているためです。
手帳と障害年金は、目的も提出書類も認定基準も異なります。どちらが厳しいという性質のものではなく、評価する切り口が違うために等級が一致しないことがあるとご理解ください。
手帳3級の方の場合については 精神障害者手帳3級では障害年金はもらえない? で解説しています。
障害年金以外に受け取れる可能性のある手当
障害年金以外にも、要件を満たせば現金が支給される制度があります。
ただし、いずれも手帳の等級そのものが支給の条件になっているわけではない点に注意が必要です。
特別障害者手当
特別障害者手当は、精神または身体に著しく重度の障害を有するため、日常生活において常時特別の介護を必要とする状態にある在宅の20歳以上の方に支給される国の手当です。
令和8年4月からの支給月額は30,450円で、原則として2月・5月・8月・11月に前月分までがまとめて支払われます。
ここで重要なのは、手帳の等級は支給要件ではないということです。
認定は、常時特別の介護を必要とする状態にあるかどうかで判断されます。
手帳2級をお持ちであることをもって対象になるわけではありませんので、ご注意ください。
また、次の場合は支給されません。
- 病院または診療所に継続して3か月を超えて入院している場合
- 施設等に入所している場合
- 本人・配偶者・扶養義務者の前年所得が一定額を超える場合(本人・扶養親族なしの場合は3,661,000円)
該当しそうな場合は、お住まいの市区町村の福祉窓口にご相談ください。
(出典:厚生労働省「特別障害者手当について」)
自治体独自の手当・助成
国の制度とは別に、自治体が独自に実施している手当があります。
「心身障害者福祉手当」「重度心身障害者医療費助成」などの名称で、月数千円から1万円程度の手当や医療費の助成が行われている地域があります。
これらは名称・対象等級・所得要件・金額が自治体ごとに大きく異なります。
精神障害者保健福祉手帳2級を対象に含めている自治体もあれば、身体・知的の重度の方に限っている自治体もあります。
お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口で、「手帳2級で対象になる手当や助成はあるか」と確認されることをおすすめします。
支出を減らせる制度(医療費・税金・交通・公共料金)
受け取るお金だけでなく、出ていくお金を減らす制度も家計への効果は大きくなります。
手帳2級の方が使いやすい代表的な制度を整理します。
手続きをしないと適用されないものばかりですので、一度ご確認ください。
自立支援医療(精神通院医療)
精神疾患の通院医療費の自己負担が、通常の3割から原則1割に軽減される制度です。
診察代のほか、処方される薬代や精神科デイケア、訪問看護なども対象になります。
さらに、世帯(同じ公的医療保険に加入する方)の所得区分と「重度かつ継続」に該当するかどうかに応じて、1か月あたりの自己負担上限額が設定されます。
| 所得区分 | 上限月額 |
|---|---|
| 生活保護世帯 | 0円 |
| 市町村民税非課税・本人の収入が年826,500円以下 | 2,500円 |
| 市町村民税非課税(上記以外) | 5,000円 |
| 市町村民税課税(所得割23万5千円未満) | 総医療費の1割または医療保険の自己負担限度額(「重度かつ継続」に該当する場合は5,000円または10,000円) |
| 市町村民税所得割23万5千円以上 | 原則として自立支援医療の対象外(「重度かつ継続」に該当する方には特例措置があります) |
※低所得1と低所得2を分ける収入の基準額は、障害基礎年金2級の額に合わせて見直されており、2026年7月以降の申請では826,500円(2025年7月から2026年6月までの申請では809,000円)です。判定に用いる収入の範囲は給与収入だけではありませんので、詳細はお住まいの自治体の窓口でご確認ください。
この制度は手帳がなくても利用できます。
また、手帳と同時に申請する場合、診断書を省略できる自治体もあり、負担を減らせます。
申請先はお住まいの市区町村の窓口です。
(出典:厚生労働省「自立支援医療(精神通院医療)について」「自立支援医療における患者負担の基本的な枠組み」)
障害者控除(所得税27万円・住民税26万円)
精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている方は、所得税・住民税の障害者控除の対象となります。
| 手帳の等級 | 区分 | 所得税 | 住民税 |
|---|---|---|---|
| 1級 | 特別障害者 | 40万円 | 30万円 |
| 2級・3級 | 障害者 | 27万円 | 26万円 |
手帳2級の方は「障害者」区分で、所得税27万円・住民税26万円の控除を受けられます。
特別障害者となるのは手帳1級の方のみです。
控除はご本人が働いている場合だけでなく、ご家族の扶養に入っている場合はその扶養者が申告することもできます。
会社員の方は年末調整、自営業の方は確定申告で申告します。
なお、個別の税額計算や申告方法のご相談は税理士または税務署の所管となりますので、詳細はそちらへお問い合わせください。
(出典:国税庁「No.1160 障害者控除」/地方税法第314条の2)
鉄道・バス等の運賃割引
令和7年(2025年)4月1日から、JRグループ等において精神障害者保健福祉手帳をお持ちの方の旅客運賃割引が開始されました。
これは比較的新しい変更で、ご存じない方も多い制度です。
割引を受けるには、手帳に「旅客鉄道株式会社等旅客運賃減額 第1種/第2種」の区分が記載されていることが必要です。
区分は次のように対応しています。
- 第1種:精神障害者保健福祉手帳1級
- 第2種:精神障害者保健福祉手帳2級・3級
つまり手帳2級の方は第2種にあたります。JRの場合、第2種の方がお一人で利用される際は、片道の営業キロが100キロを超える普通乗車券が5割引になります(私鉄等ほかの鉄道会社線にまたがる場合を含みます)。
注意点として、次の場合は割引を受けられません。
- 手帳に運賃減額区分の記載がない
- 手帳に顔写真が貼付されていない
- 手帳の有効期限が切れている
令和6年以前に交付された手帳には区分が記載されていないことがあります。
その場合は、市区町村の窓口で記載やスタンプの手続きができます。ご家族や医療機関の職員が代行することも可能です。
介護者の方を含む割引は、原則として第1種の方が対象です。
ただし、12歳未満の第2種障害者とその介護者については定期乗車券が5割引になります(小児定期乗車券を除きます)。
私鉄・バス・タクシー・航空各社にも割引制度がありますが、対象や割引率は事業者ごとに異なりますので、ご利用前に各社の案内をご確認ください。
なお、高速道路などの有料道路の障害者割引は、精神障害者保健福祉手帳のみでは対象になりません。
ご本人が運転される場合は身体障害者手帳の交付を受けている方、介護される方が運転される場合は身体障害者手帳または療育手帳をお持ちの重度の方が対象です。
自治体や道路事業者が独自の制度を設けている場合は、別途ご確認ください。
(出典:JR東日本「障害者割引制度のご案内」/NEXCO各社「有料道路における障害者割引制度」)
NHK受信料・携帯電話等の減免
NHKの放送受信料は、手帳をお持ちの方が世帯構成員におり、かつ世帯全員が市町村民税非課税である場合に全額免除となります。
半額免除は、次のいずれかに該当する方が世帯主かつ受信契約者である場合に限られます。
- 視覚または聴覚の障害により身体障害者手帳の交付を受けている方
- 身体障害者手帳1級・2級、重度の知的障害と判定された方、精神障害者保健福祉手帳1級の方
つまり、精神障害者保健福祉手帳2級の方は半額免除の対象には含まれません。
一方、全額免除は世帯全体の課税状況で判断されるため、こちらは手帳2級の方も対象になり得ます。
このほか、携帯電話各社の障害者向け割引プラン、水道料金や公営住宅家賃の減免、公共施設の入場料割引などがあります。
水道料金や住宅家賃の減免は自治体ごとの制度ですので、窓口でご確認ください。
手帳2級の方が障害年金を受給された事例
弊事務所では、精神疾患で障害年金を申請される方のサポートを多く手がけています。実際に受給に至った事例をご紹介します。就労状況やご家族の状況はさまざまです。
- うつ病|障害基礎年金2級(精神疾患で一人暮らしの事例)
一人暮らしをされている方の事例です。精神の障害年金では日常生活をどの程度周囲から援助されているかが評価されるため、単身での生活状況をどう伝えるかが論点になりました。 - うつ病|障害厚生年金2級(週40時間フルタイムで就労している事例)
フルタイムで勤務されながら受給に至った事例です。就労していることだけを理由に受給できないと決まるわけではありません。 - うつ病・注意欠陥多動性障害|障害厚生年金2級(フルタイムでパート勤務している事例)
複数の傷病をお持ちの方が、就労開始後の更新を迎えられた事例です。 - 中等症うつ病エピソード|障害基礎年金2級(過去に別の傷病で不支給だった事例)
過去にご自身で申請されて不支給となった後、あらためて請求し受給に至った事例です。
※個別事案により判断は異なります。
よくあるご質問
手帳2級をお持ちの方から実際にいただくことの多いご質問をまとめました。
Q. 精神障害者手帳2級なら、障害年金2級を受け取れますか?
手帳2級であることが、障害年金2級の認定を保証するものではありません。
障害年金は初診日要件・保険料納付要件・障害状態要件をそれぞれ満たす必要があり、障害状態の評価も年金独自の認定基準で行われます。
手帳2級の方が年金では2級に認定されないことも、不支給となることもあります。
なお、3級があるのは障害厚生年金のみです。
初診日が厚生年金加入中であれば3級と認定されることもありますが、初診日が国民年金の加入期間中などで障害基礎年金の対象となる場合は、1級・2級に該当しなければ支給の対象になりません。
最終的な判断は日本年金機構の認定によります。
Q. 働きながらでも障害年金を受け取れますか?
働いていることだけを理由に受給できないと決まるわけではありません。
精神の障害では、就労の有無だけでなく、就労の形態、職場での援助の状況、勤務時間などを含めて総合的に判断されます。
障害者雇用や就労支援事業所を利用されている場合も評価の対象になります。
詳しくは 障害年金2級(精神疾患)でどれくらい働ける? および 「働きながら障害年金をもらえる人」 をご参照ください。
Q. 障害者手帳を持っていなくても、障害年金は申請できますか?
申請できます。
障害年金の請求に障害者手帳は必要書類とされていません。
手帳をお持ちでない方が受給されている例も多数あります。
Q. 障害年金が不支給だった場合はどうすればよいですか?
不支給決定に納得できない場合は、審査請求を行うことができます。
期限は処分があったことを知った日の翌日から3か月以内です。
その決定にも不服がある場合は、決定書の謄本が送付された日の翌日から2か月以内に再審査請求を行えます。
また、あらためて事後重症請求を行うという選択肢もあります。
ただし事後重症請求は、障害認定日の時点では等級に該当しなかったものの、その後症状が悪化して現在は等級に該当しており、初診日要件・保険料納付要件も満たしている場合の手続きです。
初診日を証明できなかった、保険料納付要件を満たしていなかった、といった理由による不支給の場合は、事後重症請求をやり直しても同じ結果になることがあります。
また、審査請求は不支給決定そのものの誤りを争う手続きであるのに対し、事後重症請求は請求した日の翌月分からの支給となり、さかのぼって受け取ることはできません。
不支給の理由を確認したうえで、どの手続きが適しているかを判断することが大切です。
事後重症請求は、原則として65歳の誕生日の前々日までに請求書を提出する必要があります。
なお、日本年金機構では、令和6年度以降の不支給事案についての点検は完了しており、14,841件の点検のうち444件(約3.0%)が支給に変更されています。
一方、目安より下位の等級で支給されている事案等については、引き続き点検が行われています(いずれも速報値・令和8年6月30日公表時点)。
詳細は 日本年金機構「障害年金の認定状況について」 をご確認ください。
Q. 障害年金を受給すると、手帳の等級は変わりますか?
精神障害を支給事由とする年金を受給されている場合、年金証書等の写しを添えて手帳を申請すると、原則として年金と同じ等級で手帳が交付されます。
ただし手帳は申請主義のため、申請しなければ交付されません。
詳しくは 精神の障害年金を受給していると同じ等級の障害者手帳が取得できる? をご参照ください。
まとめ
精神障害者手帳2級でもらえるお金について、要点を整理します。
- 手帳そのものから直接お金が支給される制度はありません。受け取れるお金の中心は、別に申請する障害年金です。
- 令和8年度の障害基礎年金2級は年額847,300円(昭和31年4月1日以前生まれの方は844,900円)。初診日が厚生年金加入中で障害基礎年金の受給要件も満たす場合は、原則として障害基礎年金に障害厚生年金が上乗せされます(65歳以後の初診など例外があります)。
- 障害基礎年金を受けている方で、前年所得が「4,794,000円+扶養親族の数に応じた加算額」以下であれば、別途の手続きにより障害年金生活者支援給付金(令和8年度は2級で月5,620円)を受け取れます。
- 特別障害者手当(月30,450円)は手帳の等級が要件ではなく、常時特別の介護を必要とする状態が要件です。
- 手帳2級では、障害者控除27万円(住民税26万円)、自立支援医療、令和7年4月に始まった鉄道運賃割引(第2種)などで支出を減らせます。一方、NHK受信料の半額免除は手帳1級の方が対象で、有料道路の障害者割引は精神障害者保健福祉手帳のみでは対象になりません。
- 手帳の等級と障害年金の等級は連動しません。受給の可否は障害年金の認定基準への該当性で判断されます。
障害年金の申請でご不安がある方や、過去に不支給となった方のご相談も承っております。わくわく社会保険労務士法人(全国障害年金サポートセンター)までお気軽にお問い合わせください。
※本記事は2026年7月時点の年金法令・障害認定基準に基づき作成しています。法令改正等により内容が変更される可能性があるため、最新の情報は日本年金機構の公式サイト等でご確認ください。個別の事案については社会保険労務士・弁護士等の専門家へのご相談を推奨します。医学的判断は主治医にご確認ください。
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