障害年金を自分で申請する方法

はじめに

はじめに

「費用をかけずに、障害年金を自分で申請したい」とお考えの方は少なくありません。

社会保険労務士に依頼すると報酬が発生するため、まずは自分でできないか検討される方が多いです。

結論として、要件と手順を押さえれば、障害年金はご自身で申請することが可能です。

ただし、初診日の確認や書類の準備など、いくつか押さえておきたいポイントがあります。

この記事では、障害年金を自分で申請する場合の流れ、必要書類、つまずきやすい点、そして自分での申請が難しいケースまで、わかりやすく解説します。

障害年金は自分でも申請できる

障害年金は自分でも申請できる

障害年金の請求(申請)は、本人または家族がご自身で行うことができます。

社会保険労務士への依頼は必須ではありません。

年金は要件を満たしても自動で振り込まれるものではなく、ご自身で「年金請求」の手続きをする必要があります。

手順を理解すれば、自分で申請して受給されている方も多くいらっしゃいます。

なお、家族が書類作成を手伝うことはできますが、家族が代理人として年金相談や手続きを行う場合は、原則として本人が作成した委任状や本人確認書類が必要です。

一方で、手続きは書類が多く専門的な面もあります。

体調や状況によっては無理をせず、専門家に相談する選択肢も持っておくと安心です。

本記事の後半では、自分で進めやすいケースと、相談を検討した方がよいケースの線引きもご紹介します。

自分で申請する場合の全体の流れ

まずは全体像をつかむことが大切です。

障害年金の申請は、大きく7つのステップに分けて考えると迷いにくくなります。

ここで全体の流れを俯瞰してから、各ステップを順に確認していきましょう。

申請から受給までの7ステップ

申請から受給までの7ステップ

障害年金を自分で申請する場合の一般的な流れは、次のとおりです。

ステップ内容
① 受給要件の確認初診日・保険料納付・障害状態の3要件を確認
② 初診日の特定最初に受診した医療機関・日付を客観資料で確認
③ 年金事務所へ相談納付要件の確認、請求書・様式一式を受け取る
④ 診断書の依頼傷病に応じた様式で主治医に作成を依頼
⑤ 申立書の作成病歴・就労状況等申立書を自分で作成
⑥ 書類の提出提出先(制度により異なる)へ請求書一式を提出
⑦ 審査・結果日本年金機構の審査を経て結果が通知される

各ステップを丁寧に進めることが、不備のない申請につながります。

申請手続き全体の流れは、障害年金の申請フローでも解説しています。

申請にかかる期間の目安

書類の収集から結果の通知までは、一般的に数か月程度かかることが多いです。

診断書の作成依頼や初診日の確認に時間を要すると、さらに長引くこともあります。

特に、障害認定日より後に症状が悪化して請求する「事後重症による請求」では、請求が遅れるほど受給開始の時期も遅くなります。

準備に時間がかかりそうな場合は、早めに動き出すことが大切です。

【ステップ1】受給要件を確認する

【ステップ1】受給要件を確認する

最初に確認すべきは、ご自身が障害年金の受給要件を満たしているかどうかです。

ここを外すと先に進めないため、申請の土台となる部分です。

あわせて、すべての出発点となる「初診日」を特定します。

3つの受給要件

障害年金には、次の3つの受給要件があります。

いずれも満たす必要があります。

  1. 初診日要件:障害の原因となった傷病について、初めて医師(または歯科医師)の診療を受けた日(初診日)が、所定の期間にあること。障害基礎年金では、初診日が①国民年金の加入期間、②20歳前、③日本国内に住む60歳以上65歳未満で年金制度に加入していない期間、のいずれかにあること。障害厚生年金では、初診日が厚生年金保険の被保険者期間中にあることが要件です。
  2. 保険料納付要件:初診日の前日時点で、一定の保険料を納付・免除していること
  3. 障害状態要件:障害認定日などに、障害等級に該当する状態であること

保険料納付要件は、原則として「初診日のある月の前々月までの加入期間のうち、3分の2以上が納付または免除」されていることです。

ただし、初診日が令和18年(2036年)3月末日までにある場合は、特例として、初診日において65歳未満であり、初診日の前日時点で、初診日のある月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければ要件を満たすとされています(日本年金機構)。

なお、初診日が20歳前にある場合の障害基礎年金は、原則として保険料納付要件は問われません。

ただし、本人の所得が一定額を超えると、全額または半額が支給停止される所得制限があります。

国民年金法第30条
障害基礎年金は、(中略)その疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病(以下「傷病」という。)について初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日(以下「初診日」という。)において(後略)

(出典:e-Gov法令検索『国民年金法』)

受給要件の詳細は、障害年金を受け取るための条件をご参照ください。

【ステップ2】初診日を特定する方法

【ステップ2】初診日を特定する方法

初診日は、障害年金の審査において最も重要な基準の一つです。

「いつ」「どの医療機関で」最初に受診したかを、記憶だけに頼らず客観的な資料で確認することが望ましいです。

手がかりになるのは、お薬手帳・診察券・領収書・通院記録などです。

これらを手元に集めて、初診日を確かめましょう。

初診の医療機関のカルテが廃棄されているなどで証明が難しい場合は、「受診状況等証明書が添付できない申立書」と参考資料を組み合わせて対応します。

なお、当時の担当医が在籍していなくても、診療録や受付簿などの記録が残っていれば証明書を作成できる場合があります。

「受診状況等証明書が添付できない申立書」に関しましては、『初診日が証明できない時は?|受診状況等証明書が添付できない申立書』のページで詳しく説明していますのでご参照ください。

【ステップ3】年金事務所への相談

【ステップ3】年金事務所への相談

要件と初診日の見込みが立ったら、年金事務所へ相談に行きます。

ここでは、自力申請の方がつまずきやすい窓口対応と診断書の手配について解説します。

最寄りの年金事務所や街角の年金相談センターでは、申請に必要な相談ができます。

具体的には、次のような対応をしてもらえます。

  • 保険料納付要件を満たしているかの確認
  • 年金請求書・診断書様式・病歴・就労状況等申立書など必要書類一式の受け取り
  • 請求方法(障害認定日による請求/事後重症による請求)についての案内

なお、提出は窓口のほか、e-Govを利用した電子申請も可能です。

電子申請では、所定の送付書を選択し、PDFまたはJPEG形式で保存した年金請求書等を添付します。

電子証明書等の準備が必要なため、事前に日本年金機構の案内をご確認ください(日本年金機構)。

【ステップ4】診断書の依頼

【ステップ4】診断書の依頼

診断書は主治医が作成する書類で、審査において重要な役割を持ちます。

自分で用意するのではなく、年金事務所などで受け取った所定の様式を主治医に渡して作成を依頼します。

診断書の様式は、傷病に応じて8つの区分に分かれています(精神、肢体、眼、聴覚など)。

請求方法によって、必要な診断書が変わります。

障害認定日による請求では、原則として障害認定日より3か月以内の現症を記載した診断書が必要で、認定日と請求日が1年以上離れている場合は、請求日前3か月以内の現在の診断書も併せて必要です。

事後重症による請求では、現在の障害状態を示す診断書が中心になります。

診断書の記載内容そのものは医学的な判断にかかわるため、具体的な症状や記載については主治医とご相談ください。

弊事務所がお手伝いできるのは、様式の選び方や提出の段取りといった形式面です。

診断書の役割については、障害年金の申請は「診断書」で決まるもあわせてご覧ください。

【ステップ5】病歴・就労状況等申立書を書く

【ステップ5】病歴・就労状況等申立書を書く

病歴・就労状況等申立書は、申請者ご本人(または家族)が作成する書類です。

発症から現在までの経過や日常生活の状況を伝える、自力申請における最大の山場といえます。

この申立書は、診断書を補強する役割を持ちます。

発症から現在までの受診歴や、日常生活で感じている不自由さを、時系列に沿って記載します。

書く際には、発病日(自覚症状が現れた日)と初診日(初めて診療を受けた日)を区別することが大切です。

両者は別の概念のため、混同しないようにしましょう。

また、受診していない空白期間がある場合は、その間の状況も具体的に記すと経過が伝わりやすくなります。

日常生活の欄では、どのような場面でどの程度困っているかを、ご自身の実感に沿って記入します。

書き方の具体例は、【自分で書ける】病歴・就労状況等申立書で詳しく解説しています。

【ステップ6】書類の提出と審査・結果

【ステップ6】書類の提出と審査・結果

書類がそろったら、提出して審査を待ちます。

ここでは提出先と、提出後の流れ、結果が不支給だった場合の選択肢を確認します。

提出先は、請求する年金の種類や初診日の加入状況によって異なります。

障害基礎年金は、原則として住所地の市区町村役場の窓口に提出します。

ただし、初診日が国民年金第3号被保険者期間中(会社員などに扶養される配偶者)の場合は、お近くの年金事務所または街角の年金相談センターに提出します。

障害厚生年金は、年金事務所または街角の年金相談センターに提出します。

請求に使う年金請求書は、障害基礎年金は様式第107号、障害厚生年金・障害手当金は様式第104号です。

なお、令和7年6月1日施行の様式変更により、添付書類が一部簡素化されています。

単身者でマイナンバーが登録されている場合や、請求書にマイナンバーを記入する場合は、戸籍謄本等の添付が原則不要になりました。

また、公金受取口座を利用する場合は通帳のコピーが不要です。

ただし、共済組合等へ提出する場合などは別途書類が必要になることがあります。

【ステップ7】審査・結果

【ステップ7】審査・結果

提出後は、日本年金機構の審査を経て結果が通知されます。

なお、事後重症による請求には、65歳の誕生日の前々日までに請求する必要があるという期限があります。

万が一、不支給となった場合でも、症状の悪化に応じた再請求や、結果に不服がある場合の審査請求といった選択肢があります。

審査請求には期限があるため、結果通知が届いたら早めに確認しましょう。

自分で申請するメリットと注意点

自分で申請するメリットと注意点

自分で申請するか、社会保険労務士に依頼するかは、多くの方が迷うところです。

ここでは自力申請のメリットと注意点を簡潔に整理します。

メリット

  • 費用がかからない:社会保険労務士への報酬が不要で、経済的な負担を抑えられます
  • 自分のペースで進められる:体調に合わせて作業を調整できます
  • 制度への理解が深まる:更新や将来の手続きにも役立ちます

注意点

  • 時間と労力がかかる:書類収集や窓口とのやり取りに手間がかかります
  • 書類不備のリスク:初診日の証明や診断書の内容に不備があると、結果に影響する場合があります

どちらが向いているかは状況によって異なります。

詳しい比較は障害年金申請は社労士に依頼すべき?自力申請との違い、費用の目安は障害年金の申請を社労士に依頼した場合の費用で解説しています。

自分での申請が難しいケース

自分での申請が難しいケース

ご自身での申請が可能な一方で、状況によっては専門家への相談を検討した方がよい場合もあります。

次のようなケースでは、手続きが複雑になりやすい傾向があります。

  • 初診日が古く、当時の医療機関のカルテが残っていないなど、初診日の証明が難しい場合
  • 複数の傷病があり、併合認定などの判断が関わる場合
  • 過去に申請して不支給となり、審査請求を検討している場合
  • 体調的に、書類作成や窓口への通院を続けることが難しい場合

これらに当てはまる場合でも、必ずしも不支給になるわけではありません。

ただ、判断に迷う点が多い場合は、無理をせず相談先を持っておくと安心です。

よくあるご質問

ここでは、自分で申請される方からよくいただくご質問にお答えします。

Q:自分で申請して不支給だった場合、やり直せますか?

症状が悪化した場合の再請求や、結果に不服がある場合の審査請求という選択肢があります。

審査請求には期限が定められているため、結果通知の内容を早めに確認することが大切です。

Q:申請に費用はかかりますか?

社会保険労務士に依頼しなければ報酬は発生しませんが、診断書の作成料などの実費はかかります。

金額は医療機関によって異なります。社会保険労務士に依頼する場合の費用は、社労士に依頼した場合の費用をご参照ください。

Q:途中から社会保険労務士に依頼できますか?

申請の途中段階からでも相談は可能です。

初診日の証明や書類作成で行き詰まった場合に、専門家に切り替える方もいらっしゃいます。

まとめ

障害年金は、要件と手順を押さえればご自身で申請することが可能です。

ポイントは、①3つの受給要件と初診日を確認する、②年金事務所などで相談し書類をそろえる、③診断書と病歴・就労状況等申立書を丁寧に準備する、という流れを一つずつ進めることです。

初診日の証明が難しい場合や複数の傷病が関わる場合など、判断に迷うときは無理をせず相談先を持っておくと安心です。

障害年金申請のご相談は、わくわく社会保険労務士法人(全国障害年金サポートセンター)までお気軽にお問い合わせください。


※本記事は2026年6月時点の年金法令・障害認定基準に基づき作成しています。法令改正等により内容が変更される可能性があるため、最新の情報は日本年金機構の公式サイト等でご確認ください。個別の事案については社会保険労務士・弁護士等の専門家へのご相談を推奨します。医学的判断は主治医にご確認ください。

まとめ

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