
目次
はじめに
障害年金の申請を社労士に相談したところ、「うちでは難しい」「受任できません」と断られてしまい、どうすればよいか分からず不安を感じている方は少なくありません。
断られると「自分はもう障害年金を受給できないのではないか」と感じてしまいがちです。
しかし、社労士が依頼を断る理由はさまざまで、必ずしも「受給できない」という意味とは限りません。
本記事では、社労士が障害年金の依頼を断る主な理由、「断られた」と「もらえない」の違い、そして断られた後にできることや事務所の選び方を、順を追って解説します。
【結論】社労士に断られても、受給を諦める必要がないケースは多い
まず結論からお伝えします。
社労士に障害年金の依頼を断られても、すぐに受給を諦める必要がないケースは少なくありません。
社労士が依頼を断る理由は、専門外であったり、繁忙で手が回らなかったり、初診日の証明が難しいと判断されたりと多岐にわたります。
これらは「その事務所では受任が難しい」という判断であって、「日本年金機構の審査で受給できない」と決まったわけではありません。
実際、ある事務所で断られた方が、別の事務所で受任されて受給に至るケースもあります。
ただし、保険料納付要件など制度上の客観的な要件を満たさない場合は、どの事務所に相談しても受任が難しいことがあります。
この点は後ほど詳しく解説します。
社労士が障害年金の依頼を断る主な理由
社労士が依頼を断る理由を知ることは、次にどう動けばよいかを考えるうえで役立ちます。
ここでは代表的な理由を、制度面の理由と事務所側の事情に分けて整理します。
理由によって、その後の選択肢が変わってくるためです。
制度上の要件に不安がある場合(初診日の証明・保険料納付要件)
障害年金には、初診日要件・保険料納付要件・障害認定基準への該当という3つの基本要件があります。
このうち、初診日を証明する資料(カルテ等)が残っていない場合や、初診日の前日において、初診日のある月の前々月までの保険料納付状況から納付要件を満たさない見込みがある場合に、受任を見送る社労士は少なくありません。
なお、20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、納付要件は問われません。
特に初診日が古く、当時の医療機関でカルテが廃棄されているようなケースは、証明のハードルが上がります。
ただし、初診日の証明が難しくても、診察券や第三者証明などの代替資料で道が開ける場合もあります。
受給要件の全体像については、障害年金を受け取るための条件とはもあわせてご確認ください。
事務所側の事情(専門外・繁忙・遠方など)
社労士の業務範囲は幅広く、障害年金を専門的に扱っていない事務所も多くあります。
障害年金の裁定請求書の作成や提出代行などを、他人の依頼を受けて報酬を得て業として行うことは、原則として社労士(社会保険労務士法人)の業務とされていますが、ご本人が自分で請求すること自体は可能です。
また、すべての社労士が障害年金に精通しているわけではありません。
そのため、「障害年金は専門外なので」という理由で断られることがあります。
また、年度替わりや申請が集中する時期は繁忙となり、一時的に新規の依頼を受けられないこともあります。
これらは依頼者ご自身の状態とは関係のない、事務所側の事情による判断です。
見通しや進め方の方針が合わなかった場合
費用や進め方、見通しの説明について、依頼者と社労士の間で考え方が合わず、受任に至らないこともあります。
これは一方が悪いというより、方針の相性の問題であることが多いです。
別の事務所では、説明や進め方が合って受任されるという場合もあります。
「断られた」と「もらえない」は違います
ここで大切なのは、「社労士に断られた」ことと「障害年金をもらえない」ことは、まったく別であるという点です。
混同しやすいため、整理しておきます。
社労士が受任するかどうかは、各事務所の方針・得意分野・繁忙状況などに基づく判断です。
一方、障害年金を受給できるかどうかは、最終的に日本年金機構の認定によって決まります。
つまり、社労士の受任判断は、年金機構の支給・不支給の結果とイコールではありません。
そのため、ある事務所で断られても、障害年金を専門に扱う別の事務所では「やってみましょう」と受任されることもあります。
ただし、注意点もあります。
保険料納付要件を満たしていない場合のように、制度上の要件を客観的に満たさないケースでは、どの事務所に相談しても受任が難しく、申請しても受給につながりにくいことがあります。
この場合は「断られた」のではなく「制度の壁」がある状態だといえます。
ご自身がどちらの状況にあるのかを確認することが、次の一歩につながります。
社労士に障害年金を断られた後にできること
社労士に断られても、できることはあります。
状況に応じて、次のような選択肢を検討してみてください。
障害年金を専門とする別の社労士に相談する
最初に相談した事務所が障害年金を専門としていなかった場合、障害年金を主力として扱う社労士に改めて相談すると、見立てが変わることがあります。
専門の事務所では、初診日の証明方法や書類の整え方に関する経験が蓄積されています。
相談の際は、障害年金の実績や得意分野を確認するとよいでしょう。
ご自身で申請する選択肢もある
障害年金の請求は、社労士に依頼せず、ご自身で申請することも可能です。
初診日の証明に問題がなく、必要書類を整えられる場合は、自力での申請も選択肢になります。
社労士に依頼する場合と自力で申請する場合の違いについては、障害年金申請は社労士に依頼すべき?自力申請との違いで詳しく解説しています。
初診日・保険料納付要件など制度要件を整理する
断られた理由が制度面にある場合は、まず初診日と保険料納付要件を改めて整理することが大切です。
初診日がいつになるか、その時点の加入制度(国民年金か厚生年金か)、納付状況はどうだったかを確認することで、現状が見えてきます。
これらの基本要件は、障害年金を受け取るための条件とはで確認できます。
すでに不支給になっていた場合は再請求・審査請求を検討する
申請後に不支給となっていた場合は、再請求や審査請求といった選択肢があります。
審査請求は、不支給の決定があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内に、社会保険審査官へ行う必要があります。
その結果にさらに不服がある場合は、決定書が送付された日の翌日から起算して2か月以内に、社会保険審査会へ再審査請求ができます。
なお、審査請求の対象は年金の決定に関する不服に限られます。
これらの不服申立てを経てもなお争う場合の訴訟は、弁護士の業務領域となります。
審査請求の流れは障害年金の不服申立て(審査請求・再審査請求)とはで、不支給後の選択肢全般は障害年金の不支給決定に納得がいかない場合の選択肢でご確認いただけます。
障害年金に強い社労士の選び方
断られた後、改めて社労士を探す際には、いくつかの視点で選ぶと安心です。
ここでは障害年金を依頼する社労士を選ぶときのポイントを整理します。
確認しておきたいのは、主に次の点です。
- 障害年金を専門または主力として扱っているか
- 過去の事例や実績が開示されているか
- 相談時に見通しや費用を丁寧に説明してくれるか
費用の目安については、障害年金の申請を社労士に依頼した場合の費用もご参照ください。
なお、「認定率100%」「必ず受給できます」といった表現には注意が必要です。
障害年金は日本年金機構の審査によって結果が決まるため、結果を保証することはできません。
誇大な表現を避け、誠実に見通しを説明する事務所を選ぶことをおすすめします。
「他の事務所で断られた方」が当事務所で受給に至った事例
弊事務所(全国障害年金サポートセンター)にも、他の事務所で断られた後にご相談いただいたケースがあります。
たとえば、初診日の証明が難しいと言われて断られた方、フルタイムで働いていることを理由に断られていた方、一度不支給となり他の事務所では受任を見送られた方など、状況はさまざまです。
こうした経緯でご相談いただいた方の声も掲載しています。
申請事例
【事例537】うつ病|障害基礎年金2級(精神疾患で一人暮らしの事例)
【事例232】遅発性ジストニア|障害基礎年金2級(相当因果関係が認められた事例)
依頼者様の声
【障害年金申請者様の声】N.Y 様(2024年10月12日)
【障害年金申請者様の声】H.C 様(2024年4月21日)
【障害年金申請者様の声】T.M様(2024年2月13日)
※個別事案により判断は異なります。
よくあるご質問
障害年金を社労士に断られた方からよくいただくご質問にお答えします。
Q. 一度断られたら、他の事務所でも断られますか?
必ずしもそうとは限りません。社労士が断る理由は事務所ごとの方針や繁忙状況によることも多く、別の事務所では受任される場合があります。
ただし、保険料納付要件を満たさないなど制度上の要件に関わる場合は、どの事務所でも受任が難しいことがあります。
Q. 自分で申請しても問題ありませんか?
問題ありません。
障害年金はご自身で申請することも可能です。書類の整え方に不安がある場合は、専門の社労士に相談する方法もあります。
Q. すでに不支給になった後でも相談できますか?
ご相談いただけます。
再請求や審査請求といった選択肢があるため、不支給通知や提出書類を手元に用意したうえでご相談ください。
どこに相談すればよいか迷う場合は、障害年金はどこに相談すればよいですか?も参考になります。
まとめ
社労士に障害年金を断られても、受給を諦める必要がないケースは少なくありません。
断られる理由は、初診日の証明の難しさや事務所側の事情などさまざまで、「断られた」ことと「もらえない」ことは別だからです。
まずはご自身の初診日や保険料納付要件を整理し、必要に応じて障害年金を専門とする社労士に改めて相談することをおすすめします。
すでに不支給となっていた場合も、再請求や審査請求という選択肢があります。
他の事務所で断られた障害年金のご相談も、わくわく社会保険労務士法人(全国障害年金サポートセンター)までお気軽にお問い合わせください。
※本記事は2026年6月時点の年金法令・障害認定基準に基づき作成しています。法令改正等により内容が変更される可能性があるため、最新の情報は日本年金機構の公式サイト等でご確認ください。個別の事案については社会保険労務士・弁護士等の専門家へのご相談を推奨します。医学的判断は主治医にご確認ください。
障害年金の申請に関するお問い合わせ
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