難聴でもらえる障害年金の金額はいくら?

障害年金に関してよくある「難聴でもらえる障害年金の金額はいくら?」という質問にお答えします。

難聴の場合、聴力の程度が一定の基準に達していれば、障害年金を受給できる可能性があります。

ただし、受け取れる金額は、初診日に加入していた年金制度(国民年金か厚生年金か)と障害等級によって変わります。

この記事では、難聴でもらえる障害年金の金額を令和8年度(2026年度)の最新額で示したうえで、等級ごとの認定基準、申請のポイント、実際の受給事例までを順にご説明します。

難聴でもらえる障害年金の金額(令和8年度)

難聴で受給できる障害年金は、初診日に加入していた年金制度によって「障害基礎年金」と「障害厚生年金」に分かれます。

まずは結論として、等級ごとのおおよその金額をご確認ください。

障害基礎年金は1級・2級の定額制、障害厚生年金は報酬比例(加入期間や報酬で変動)が中心です。

なお、本記事の金額はすべて令和8年度(2026年度)のものです。

子の加算や配偶者の加算などを含む金額の詳細は、令和8年度(2026年度)の障害年金額もあわせてご覧ください。

障害基礎年金の金額(令和8年度)

初診日に国民年金に加入していた方(自営業・無職・専業主婦(夫)など)や、20歳前に初診日がある方は、障害基礎年金の対象です。

障害基礎年金には1級・2級があり、定額で支給されます。

等級年額(令和8年度)月額換算
1級1,059,125円 +子の加算88,260円
2級847,300円 +子の加算70,608円

※生計を維持している子がいる場合は、人数に応じて子の加算が上乗せされます。

障害基礎年金には3級はありません。

※上記は昭和31年4月2日以後生まれの方の金額です。

昭和31年4月1日以前生まれの方は、1級が年額1,056,125円、2級が年額844,900円です。

障害厚生年金の金額(令和8年度)

初診日に厚生年金に加入していた方(会社員・公務員など)は、障害基礎年金に上乗せして障害厚生年金を受給できます。

等級によって構成が変わります。

1級は、障害基礎年金1級に加えて、報酬比例の年金額の1.25倍(該当する場合は配偶者の加給年金額)が上乗せされます。

2級は、障害基礎年金2級に報酬比例の年金額(該当する場合は配偶者の加給年金額)が上乗せされます。

3級は報酬比例の年金額のみ(最低保障あり)で、障害基礎年金や子の加算・配偶者の加算は付きません。

報酬比例部分は加入期間や過去の報酬で決まるため、金額は人によって異なります。

3級の最低保障額を含む具体的な金額は、令和8年度(2026年度)の障害年金額にまとめています。

難聴の障害年金の等級と認定基準

難聴の障害年金は、病名そのものではなく「聴力の程度」で等級が判定されます。

聴覚の障害は、検査数値で基準が定められている点が特徴です。

聴覚の障害は、純音による聴力レベル値(純音聴力レベル値)と、語音による聴力検査値(語音明瞭度)の2つの数値で認定されます。

それぞれの等級の基準は、次のとおりです。

等級別の認定基準(早見表)

下表は「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準(第2節 聴覚の障害)」に基づく等級の目安です。

法令上の表現と、認定基準上の具体的な数値を並べています。

等級障害の状態(法令上)認定基準上の判定
1級両耳の聴力レベルが100デシベル以上のもの両耳の平均純音聴力レベル値が100dB以上
2級両耳の聴力レベルが90デシベル以上のもの両耳の平均純音聴力レベル値が90dB以上、又は80dB以上かつ最良語音明瞭度が30%以下
3級(障害厚生年金のみ)両耳の聴力が、40センチメートル以上では通常の話声を解することができない程度に減じたもの両耳の平均純音聴力レベル値が70dB以上、又は50dB以上かつ最良語音明瞭度が50%以下
障害手当金(障害厚生年金のみ)一耳の聴力が、耳殻に接しなければ大声による話を解することができない程度に減じたもの一耳の平均純音聴力レベル値が80dB以上

※障害手当金は、年金ではなく一時金です。厚生年金加入中に初診日があり、初診日から5年以内に治った日に一定の障害が残った場合に支給されます。

等級は純音聴力レベルと語音明瞭度の組み合わせで判定されるため、やや複雑です。

ご自身の検査値で等級に該当するかどうかは、認定基準と照らして専門家にご確認いただくと安心です。

(出典:日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」第2節 聴覚の障害、令和4年4月1日改正)

純音聴力レベル・語音明瞭度とは

聞き慣れない言葉のため、検査の概要だけ簡単に整理します。

診断や治療の判断は主治医にご確認ください。

純音聴力検査は、オージオメータという機器で「どのくらいの大きさの音から聞こえるか」を測る検査で、数値(デシベル)が大きいほど聞こえにくいことを表します。

語音明瞭度は「言葉(語音)をどれだけ正しく聞き取れるか」を割合で示すもので、こちらは数値が小さいほど聞き取りにくいことを意味します。

障害基礎年金に3級はない

等級を見るうえで大切なのが、初診日にどの年金制度に加入していたかです。

3級と障害手当金は、障害厚生年金にしかない区分だからです。

そのため、初診日に国民年金だった方は、聴力が3級相当でも障害基礎年金の対象にはなりません。

逆に、初診日に厚生年金に加入していた方は、3級・障害手当金まで対象が広がります。詳しい仕組みは障害年金を受け取るための条件とはでご確認いただけます。

難聴で障害年金を受給するうえで押さえたい点

難聴の申請では、「補聴器をつけているともらえないのでは」「身体障害者手帳の等級と同じでは」といった疑問がよく聞かれます。

誤解しやすい点を整理します。

補聴器・人工内耳を外した状態で測定される

障害認定のための聴力検査は、補聴器や人工内耳を外した状態で行われます。

日常生活で補聴器を使っている方でも、外した状態の聴力が基準に該当すれば、障害年金を受給できる可能性があります。

身体障害者手帳の等級とは判定基準が異なる

身体障害者手帳と障害年金は別の制度で、等級の基準も異なります。

手帳が交付されていても障害年金の等級に届かないことや、その逆のケースもあります。

両者の関係は障害年金と障害者手帳の関係で解説しています。

就労していても受給できる場合がある

聴覚の障害は検査数値で判定されるため、就労していること自体が直ちに不支給の理由になるわけではありません。

筆談や周囲の配慮を受けながら勤務されているケースなどでは、就労中でも認定された例があります。

ただし、個別事案により判断は異なります。

難聴の障害年金 申請のポイント(診断書・申立書)

難聴の申請では、聴力の検査値を正確に示すことと、日常生活でどのような支障があるかを伝えることが重要になります。

書類の形式面のポイントを整理します。

聴覚の診断書と検査値の添付

聴覚の障害は、聴覚用の診断書(様式第120号の2)に、純音聴力レベル・最良語音明瞭度・オージオグラム・語音明瞭度曲線などの検査結果を記載してもらいます。

なお、聴覚の障害で障害年金を受給していない方が1級に該当する診断を受ける場合は、オージオメータによる検査に加えて、聴性脳幹反応検査等の他覚的聴力検査を実施し、その結果(検査所見・記録データのコピー等)を提出することとされています。

検査内容は医療機関の判断によりますので、主治医にご相談ください。

病歴・就労状況等申立書で日常生活の支障を伝える

検査数値に加えて、日常生活や就労でどのような支障があるかを伝える書類が、病歴・就労状況等申立書です(初回請求時に作成します)。

意思疎通に筆談やジェスチャーが必要、電話対応ができないといった具体的な困りごとを整理して記載することが大切です。

書き方は自分で書ける病歴・就労状況等申立書で詳しくご説明しています。

「難聴では難しい」と言われたケース・遡及請求

「難聴で申請しても通らないのでは」と不安に思う方もいらっしゃいます。

不支給になりやすい傾向と、過去分をさかのぼって請求できる遡及請求について整理します。

等級非該当・不支給になりやすい傾向

聴覚の障害は数値基準が明確なため、検査値が等級の基準にわずかに届かない場合に非該当となることがあります。

また、初診日が証明できない、検査値の記載が不十分といった書類面の不備で、本来の等級に結びつかないケースもあります。

一般的な「もらえない」理由は障害年金をもらえない人で解説しています。

遡及請求(過去分)の可能性

障害認定日(初診日から1年6か月を経過した日。

1年6か月以内に症状が固定した場合はその日)の時点で基準に該当していたことを示せる場合、過去分にさかのぼって受給できる遡及請求ができることがあります。

実際に、まとまった額が一括で支給された例もあります。遡及請求の要件は障害年金の遡及請求をご確認ください。

難聴で障害年金を受給した事例

弊事務所では、難聴(感音性難聴など)の方の障害年金申請を多く手がけています。

実際にサポートし、受給が決まったケースの一部をご紹介します。

なお、受給金額は支給決定時点の金額です。

両側重度感音難聴の男性のケースでは、補聴器をつけながら正社員として就労し、筆談やジェスチャーで意思疎通を図っていた状況(身体障害者手帳3級)が考慮され、障害厚生年金2級(年額 約128万円)が認められました。

感音性難聴の自営業の男性のケースでは、両耳の聴力レベルが90dB以上で意思伝達に筆談が必要だった状況から障害基礎年金2級(年額 約78万円)が認められ、遡及請求により過去分(約416万円)が一括で支給されました。

両側感音性難聴の女性のケースでは、聴力レベルが両耳とも50dB以上、最良語音明瞭度が両耳とも50%以下(身体障害者手帳4級・初診日が不明確)という状況で、障害厚生年金3級(年額 約59万円)が認められました。

このように、就労状況・聴力の程度・初診日の状況はさまざまです。

ほかにも難聴での受給事例を多数ご紹介しています。※個別事案により判断は異なります。

難聴の障害年金に関するよくあるご質問

難聴の障害年金について、検索でよく見られる疑問にお答えします。

Q. 補聴器をつけていても受給できますか?

聴力検査は補聴器や人工内耳を外した状態で行われるため、補聴器を使用していること自体は受給の妨げになりません。

外した状態の聴力が認定基準に該当するかどうかで判断されます。

Q. 片耳だけの難聴でも対象になりますか?

障害年金の等級(1〜3級)は、原則として両耳の聴力で判定されます。

片耳のみの聴力低下については、障害手当金(障害厚生年金の一時金)の対象となる基準が定められています。

詳しくは上表の認定基準をご確認ください。

Q. 子の加算や配偶者の加算はいくらですか?

子の加算は障害基礎年金(1・2級)に、配偶者の加給年金額は障害厚生年金(1・2級)に上乗せされます。

子の加算の対象となるのは、原則として18歳到達年度の末日までの子などです。

令和8年度の具体額は令和8年度(2026年度)の障害年金額にまとめています。

まとめ

難聴の障害年金は、聴力の程度(純音聴力レベルと語音明瞭度)で等級が判定され、令和8年度の障害基礎年金は1級が年額1,059,125円、2級が年額847,300円です(昭和31年4月2日以後生まれの方の場合)。

3級・障害手当金は障害厚生年金のみの区分で、初診日に加入していた年金制度によって対象範囲が変わります。

補聴器を外した状態で測定される点や、検査値の記載・日常生活の支障の伝え方が結果を左右します。

難聴で障害年金の申請を検討されている方は、わくわく社会保険労務士法人(全国障害年金サポートセンター)までお気軽にご相談ください。


※本記事は2026年6月時点の年金法令・障害認定基準に基づき作成しています。法令改正等により内容が変更される可能性があるため、最新の情報は日本年金機構の公式サイト等でご確認ください。個別の事案については社会保険労務士・弁護士等の専門家へのご相談を推奨します。医学的判断は主治医にご確認ください。

難聴で障害年金の申請を検討されている方はお気軽にご相談下さい。

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