目次
ICD-10コードとは
精神疾患で障害年金を申請する際は、診断書の病名の横にあるICD-10コード記入欄へコードの記載が必要になります。
詳しくは『ICD-10コードとは』のページでご説明していますのでご参照下さい。
精神および行動の障害のICD-10コード | ||
F0 | 症状性を含む器質性精神障害 | F0の申請事例 |
---|---|---|
F1 | 精神作用物質使用による精神及び行動の障害 | F1の申請事例 |
F2 | 統合失調症,統合失調症型障害及び妄想性障害 | F2の申請事例 |
F3 | 気分[感情]障害 | F3の申請事例 |
F4 | 神経症性障害,ストレス関連障害及び身体表現性障害 | F4の申請事例 |
F5 | 生理的障害及び身体的要因に関連した行動症候群 | F5の申請事例 |
F6 | 成人のパーソナリティおよび行動の障害 | F6の申請事例 |
F7 | 知的障害 | F7の申請事例 |
F8 | 心理的発達の障害 | F8の申請事例 |
F9 | 小児および青年期に通常発症する行動および情緒の障害 特定不能の精神障害 |
F9の申請事例 |
神経症性障害, ストレス関連障害及び身体表現性障害(F40-F48)
除外:F91.-の行為障害を伴う場合(F92.8)
F4 神経症性障害, ストレス関連障害及び身体表現性障害の申請事例
神経症性障害, ストレス関連障害及び身体表現性障害の申請事例一覧
F40 恐怖症性不安障害
現実には危険のない状況であるのに, 一定の明確な状況においてだけ, 又は主としてそういう状況で不安が誘発される一群の障害である。
その結果として, それらの状況は特徴的に回避され, 又は恐怖をもって耐え忍ばれる。
患者の関心は動悸や失神しそうだと言うような個々の症状に集中しており, しばしば死や自制喪失や狂気への二次的恐怖に関連している。
恐怖症状況へ入ることを頭で考えただけでも, 通常は予期不安が発生する。
恐怖症性不安はうつ病としばしば共存する。
恐怖症性不安とうつ病エピソードという二つの診断が必要なのか, 又はどちらかただ一つの診断で良いのかは二つの病態の時間経過と相談の際の治療的配慮によって決定される。
F40 恐怖症性不安障害の申請事例
F40.0 広場恐怖(症)
かなり明確な一群の恐怖症であり, 次のものに対する恐怖を含む。
- 家を離れること
- 店,群衆及び人の集まる場所に入ること
- 列車やバス, 飛行機での一人旅
恐慌性<パニック>障害は現在と過去の両者のエピソードでしばしば特徴的に見られる。
うつ病症状と強迫症状と社会恐怖は副次的な症状としてしばしば見られる。
恐怖状況の回避は顕著に見られ, 恐怖症患者の中には恐怖状況を回避できるのでほとんど不安を感じないという人もいる。
- 恐慌性<パニック>障害の既往のない広場恐怖(症)
- 広場恐怖(症)を伴う恐慌性<パニック>障害
F40.0 広場恐怖(症)の申請事例
F40.1 社会恐怖(症)
他人に見つめられる(視線)恐怖は, 社交状況の回避に導く。
より広い範囲におよんだ社会恐怖(症)は通常自尊心低下と批判恐怖に関連している。
赤面, 手指振戦,吐き気, 又は尿意促迫が見られることがある。
患者は時として不安の二次的徴候の一つを根本の問題だと信じてしまうことがある。
症状は恐慌<パニック>発作へと進行する。
- 対人恐怖(症)
- 社会神経症
F40.2 特定の[個別的]恐怖(症)
非常に特異的な状況に限定された恐怖症で, 次のようなことへの接近状況が恐怖症を生じる:特別の動物, 高所, 雷, くらやみ, 飛行, 閉所, 公衆便所での排尿や排便,特定の食物を食べること, 歯科受診, 又は出血・負傷の光景。
誘発状況には個人差があるが, それに接触すると, 広場恐怖(症)や社会恐怖(症)の場合のように,恐慌<パニック>を誘発する可能性がある。
- 高所恐怖(症)
- 動物恐怖(症)
- 閉所恐怖(症)
- 単一<単純>恐怖(症)
除外
- 醜形恐怖(症)(非妄想性)(F45.2)
- 疾病恐怖(症)(F45.2)
F40.8 その他の恐怖症性不安障害
F40.9 恐怖症性不安障害, 詳細不明
- 恐怖症 NOS
- 恐怖状態 NOS
F41 その他の不安障害
不安の出現が主要な症状であり, それはどんな特別な環境状況にも限定されていない。
抑うつや強迫症状さらには恐怖症性不安の何らかの要素すら存在することがあるが, そ
れらの症状は明らかに二次性又はより軽症である。
F41 その他の不安障害の申請事例
F41.0 恐慌性<パニック>障害 [挿間性発作性不安]
本質的特徴は, 反復する高度の不安発作と恐慌<パニック>であり, それは特別の状況又は一定の環境に限定されないので, 予知不能である。
他の不安障害と同じように, 主要な症状としては突然始まる動悸, 胸痛, 窒息感, めまい及び非現実感(離人症又は現実感消失)がある。
また, 死んでしまうとか, 自制心を失うとか, 気が狂いそうだという二次的な恐怖もしばしばある。
もしも患者が発作の発症時にうつ病性障害であれば, 恐慌性<パニック>障害を主要診断とするべきではない。
そのような場合には, 恐慌<パニック>発作はおそらくうつ病に二次性のものであろう。
- 恐慌<パニック>発作
- 恐慌<パニック>状態
除外
広場恐怖(症)を伴う恐慌性<パニック>障害(F40.0)
F41.1 全般性不安障害
全般性で持続性の不安であり, それは特別の環境状況において非常に優勢であったとしても, その環境状況に限定されることはない(つまり“浮動性”である)。
主要症状は変動するが, それに含まれる訴えとしてはいつも神経がいらいらする, 身震いがする,筋肉の緊張感, 発汗, 頭がふらふらする, 動悸, めまい, 心窩部不快感などがある。 患者又は親類縁者が近い内に病気になるとか事故に遭うとかいう恐怖その他の心配ごとがしばしば述べられる。
- 不安神経症
- 不安反応
- 不安状態
除外
- 神経衰弱(F48.0)
F41.2 混合性不安抑うつ障害
本項目は不安と抑うつの症状が両者とも存在する場合に用いられるべきである。
しかし不安と抑うつのどちらも明らかに優勢とは言えず, どちらのタイプの症状も個別に考えた場合一方の診断を付けるほどには重症ではない。
不安と抑うつの両者の症状が存在して, 個々の診断を付けるのに十分なほどに重症である場合には, 両者の診断名が記録されるべきであり, 本項目は用いられるべきでない。
- 不安抑うつ(軽症又は非持続性)
F41.2 混合性不安抑うつ障害の申請事例
F41.3 その他の混合性不安障害
F42-F48 に記載されるその他の障害の諸特徴が混在する不安症状。
もし別々に見れば, 症状のどの型も診断を下すには十分なものではない。
F41.8 その他の明示された不安障害
- 不安ヒステリー
F41.9 不安障害, 詳細不明
- 不安 NOS
F42 強迫性障害<強迫神経症>
本質的特徴は反復する強迫思考又は強迫行為である。
強迫思考は患者の心に繰り返し繰り返し決まりきった形で浮かんで来る考えや, イメージ又は衝動である。
それはほとんど常に患者を悩ませるものであり, 患者はしばしばそれに抵抗するが, 成功しない。
強迫思考は不随意的であり, しばしば不愉快なものであるが, 患者自身の考えだと認識されている。
強迫行為又は強迫儀式は決まりきった行動を繰り返し繰り返し反復するものである。
それらは元来楽しいものではなく, もともと有益な仕事をやり遂げるといったものではない。
その働きは, 客観的にはありそうもないできごとが起こるのを防ぐことである。
ありそうもないできごととして, しばしば見られるのは他人から害を与えられるとか,患者が他人に害を与えてしまうということで, 患者は強迫行為をしなければそれが起こってしまうと心配するのである。
通常, 強迫行動は患者によって無意味で無駄なものだと認識されており, 抵抗する試みが繰り返してなされるが, 不安はほとんど変わらずに存在する。
この強迫行為に対して抵抗すると不安がより強くなる。
包含
- 制縛神経症
- 強迫神経症
除外
- 強迫性人格(障害)(F60.5)
F42 強迫性障害<強迫神経症>の申請事例
F42.0 主として強迫思考又は反復思考
強迫思考は考え, 精神的イメージ又は行為への衝動という形をとり, ほとんど常に患者
を悩ませるものである。 時には, その考えは些細な事だが日常生活では決定しなければならないことができなくなってしまうことに関連して, ものごとが決められず, 終わりなくそれに替わるものを考えていることになる。
強迫的反芻とうつ病との関係は特に密接であり,強迫障害の診断は反芻がうつ病エピソードのない時に生じて持続する場合にのみ選ばれるべきである。
F42.1 主として強迫行為 [強迫儀式]
強迫行為の大多数が関係しているのは清潔にすること(とくに手洗い), 潜在的に危険
な状況が進展しないことを確認するために反復照合すること, 又は整理整頓などである。
実際に現れる強迫行動の基礎にあるのは, 患者に対する危険又は患者により引き起こされる危険への恐怖であり, 強迫儀式は危険を避けるための無駄な試みないしは象徴的試みである。
F42.2 混合性強迫思考及び強迫行為
F42.8 その他の強迫性障害
F42.9 強迫性障害, 詳細不明
F42 強迫性障害<強迫神経症>の申請事例
F43 重度ストレスへの反応及び適応障害
本項目に含まれる障害は他のものとは異なっており, 単に症状学と経過を根拠にして同
定するだけではなく, 病因的影響を与える二つの要因のうちのどれか一つにもとづいて同定されるのである。
その二つの要因は, 急性ストレス反応を生じるような極端にストレスが強い生活上のできごと(ライフイベント), 又は適応障害を生じるような持続性の不愉快な環境状況に導く重要な生活上の変化である。
それより強くない心理社会的ストレス(“ライフイベント”)であっても, 本章中の他の場所に分類されている非常に広い範囲の障害の発病誘因となるか, 又はそれらの障害の存在に貢献することがあるが, その場合の軽いストレス(ライフイベント)の病因的重要性は必ずしも明確ではなく, 各症例では個別的なしばしば特異体質的な脆弱性に依存していることがわかるであろう。
つまり軽いストレス要因(ライフイベント)はそのような障害の発生と形を説明するのには必要でもないし十分でもない。
それに較べて, ここに集められた障害は常に急性重度ストレス又は持続性外傷体験の直接の結果として生じると考えられる。
ストレスの多いできごと又は持続性の不愉快な環境要因は一次性で最大の病因的因子であり, この障害はそのようなストレスがなければ生じなかったであろう。
本節の障害は, 重度な又は持続性のストレスへの不適応反応であると考えられ, そのことにおいて, それらは有効な対処機能を妨げ, それゆえ社会的機能の障害へと導いている。
F43 重度ストレスへの反応及び適応障害の申請事例
F43.0 急性ストレス反応
一過性の障害であり, その他にはいかなる明白な精神障害もないような人物において,極端な身体的及び精神的ストレスへの反応として発展するが, 通常は数時間又は数日以内に消退する。
個人の脆弱性と対処能力は急性ストレス反応の発生と重症度を決める役割を演じている。
症状は典型的な混合型で変化する病像を示し, 初期には“ぼうっとした”状態が見られ, 意識野の何らかの狭窄, 注意の狭小, 刺激を理解できないこと及び失見当(識)などが見られる。
この状態に続いて, 周囲の状況からさらに引きこもるか(解離性昏迷の程度まで-F44.2), 又は興奮と過動(逃走反応又は遁走<フーグ>)を示す。
恐慌<パニック>の不安における自律神経症状(心悸亢進, 発汗, 潮紅)は普通に見られる。 症状はストレスの多い刺激又はできごとの衝撃から数分以内に出現し, 2~3 日間(しばしば数時間以内)で消失する。
エピソードについては部分的又は完全な健忘(F44.0)を生じることがある。 症状が持続する場合には, 診断(及び治療)の変更を考慮するべきである。
- 急性危機反応
- ストレスへの急性反応
- 戦闘疲労
- 危機状態
- 心理的ショック
F43.1 外傷後ストレス障害
ほとんど誰にでも広範な苦悩を引き起こしそうで, 極端に脅威的又は破局的な性質を持った, ストレスの多いできごと又は状況(短期でも長期でも)に対する遅延又は遷延反応として生じる。
人格傾向(たとえば強迫的, 無力的)又は神経症の既往のような素質的要因はこの症候群の発生に対するいき<閾>値を低下させたり, その経過を増悪させることがあるが, それによって本症候群の発生を説明するには必要でもないし十分でもない。
典型的な症状としては, 払っても消えない思い出として外傷の再体験を反復するエピソード(”フラッシュバック”),“感情がない”感じと感情鈍麻が持続する背景に対して生じる夢又は悪夢, 他の人々からの孤立, 周囲への反応低下, 快楽消失,外傷を思い出させるような活動や状況を避けることがある。
通常は自律神経系の過剰覚醒状態, 及び驚愕反応亢進, 不眠などがある。
不安と抑うつが一般的に上述の自他覚症状に関連し, 自殺念慮も稀ではない。
外傷に続く発病の前に数週から数か月の範囲の潜伏期がある。
経過は変動するが, 大多数の症例では回復が期待できる。
一部の患者では, この病態は何年にもなる慢性経過を示すことがあり, 持続性の人格
変化(F62.0)へ移行することもある。
- 外傷神経症
F43.2 適応障害
自覚的苦悩と感情障害がある状態であり, 通常は社会的機能と役割遂行を損ない,生活上の重大な変化又はストレスの多い生活上のできごとへの適応期に生じる。
ストレス因子は個人の社会的ネットワークのまとまりを侵したり(死別, 別離体験), より広い社会的支持システム及び社会的価値システムを侵したり(移民, 難民状態), 又は発達過程での大きな過渡期や危機を表すものであったりする(学校へ行くこと, 親になること, 念願の個人的目標達成の失敗, 引退)。
個人の素質ないし脆弱性はこの適応障害の発生リスク及び症状の形成に重要な影響を与えるが, しかしこの病態はストレス因子なしに生じるものではない。
症状はさまざまであり, 抑うつ気分, 不安, 心配(これらの混合);困難に対処し, 将来の計画を立て, 又は現在の状況を維持することができないと感じることを含んでいる;同様に日常普通の決まった行動にも多少の障害がある。
行為障害が特に青年期では関連していることがある。 主要な症状は短期又は遷延性の抑うつ反応又はその他の感情と行為の障害であろう。
- (異)文化ショック<カルチャーショック>
- 悲嘆反応
- 小児<児童>のホスピタリズム<施設症>
除外
小児<児童>期の分離不安障害(F93.0)
F43.2 適応障害の申請事例
F43.21 遷延性抑うつ反応の申請事例
F43.8 その他の重度ストレス反応
F43.9 重度ストレス反応, 詳細不明
F44 解離性 [転換性] 障害
解離又は転換障害に共通することは, 過去の記憶, 同一性意識及び直接感覚の間の正常の統合身体的運動調節が部分的又は完全に失われることである。
解離性障害のすべての型は数週から数か月後には回復する傾向にあり, その発病が外傷性の生活上のできごとに関連する場合は特にそうである。
もしも発病が解決困難な問題や対人関係上の困難に関連する場合は, もっと慢性の障害, 特に麻痺や無感覚が生じることがある。
これらの障害は以前は“転換ヒステリー”の種々の形に分類されていた。
それらは心因性の起源と考えられ, 外傷性のできごと, 解決できない耐えられないような問題, 又は障害された人間関係の問題と時間的に密接に関連している。
症状は身体疾患にどのような症状があるかについての患者の考えをしばしば表している。
医学的診察や検査をしても既知の身体疾患や神経疾患は一つも見つからない。
さらに, 機能喪失は感情的葛藤や欲求の表現であるという証拠がある。
症状は心理的ストレスと密接な関係をもって発展し, 突然に出現する。
正常では随意的に支配されている身体機能の障害と感覚喪失だけがここに含められる。
疼痛及びその他の自律神経系が介在する複雑な身体感覚を含む障害は, 身体化障害(F45.0)として分類される。
後になって重大な身体的又は精神医学的な障害が現れる可能性を常に考えておくべきである。
包含
- 転換ヒステリー
- 転換反応
- ヒステリー
- ヒステリー精神病
除外
- 仮病 [意識的に装う] (Z76.5)
F44.0 解離性健忘
主要症状は記憶障害であり, 通常は重要な最近のできごとを忘れる。
それは器質性精神障害によるものではなく, 普通の物忘れや疲労で説明するのにはあまりにも重大である。
健忘は通常は事故や予期せぬ別離のような外傷体験が中心になっており, 普通は部分的で選択的である。
完全な全般性健忘は稀であり, 通常は遁走<フーグ>(F44.1)に見られる。
もしもその場合は, 遁走<フーグ>として分類すべきである。
この診断は器質性脳障害, 中毒, 高度の疲労がある場合にはしてはならない。
除外
- アルコールその他の精神作用物質による健忘障害(共通4桁項目.6 を伴うF10-
F19) - 健忘 NOS(R41.3)
- 前向性健忘(R41.1)
- 逆向性健忘(R41.2)
- 非アルコール性器質性健忘症候群(F04)
- てんかんの発作後健忘(G40.-)
F44.1 解離性遁走<フーグ>
遁走<フーグ>は解離性健忘のすべての特徴を有することに加えて, 普通の日常の範
囲を越えて目的のある旅行をする。
遁走<フーグ>の期間中のことについては健忘があるにもかかわらず, 遁走<フーグ>中の患者の行動は第三者的な観察者にとっては完全に正常に見える。
除外
- てんかんの発作後健忘(G40.-)
F44.2 解離性昏迷
解離性昏迷では随意運動の高度の減少又は欠如があり, 光, 音又は接触などの外的刺激に対しては正常に反応するが, 診察や検査では身体的原因の証拠が明らかにされない。
さらに, 最近のストレスが大きいできごとや問題という形で心理的原因の積極的証拠が存在する。
除外
- 器質性緊張病性障害(F06.1)
- 昏迷 NOS(R40.1)
- 緊張病性昏迷(F20.2)
- うつ病性昏迷(F31-F33)
- 躁病性昏迷(F30.2)
F44.3 トランス及び憑依障害
個人的同一性感覚の一時的喪失があり周囲のことは完全に自覚している障害。
ここには宗教的又は文化的に受け入れられる状況以外で生じた不随意な又は望まざるトランスだけを含める。
除外
- 下記に伴う状態:
・急性一過性精神病性障害(F23.-)
・器質性人格障害(F07.0)
・脳振とう<盪>後症候群(F07.2)
・精神作用物質中毒(共通4桁項目.0 を伴うF10-F19)
・統合失調症(F20.-)
F44.4 解離性運動障害
最も一般的なものは, 四肢の全部か一部を動かす能力の喪失である。
それは失調,失行, 無動, 失声, 構語障害, ジスキネジア, 発作又は麻痺のありとあらゆる種類によく似ている。
- 心因性失声
- 心因性発声障害
F44.5 解離性けいれん<痙攣>
解離性けいれん<痙攣>は運動という点ではてんかん発作に非常によく似ているが, 解
離性けいれん<痙攣>では咬舌, 転倒・転落による皮下出血及び尿失禁は稀であり,意識は保たれているか, 昏迷又はトランスの状態に置き換えられている。
F44.6 解離性無感覚及び感覚脱失
皮膚の無感覚領域の境界は, 医学的知識によるものとは異なり患者が身体機能について持っている考え方を反映したものとなっている。
感覚の種類の中には神経学的病巣からは生じないような解離性の消失があることがある。
感覚脱失の場合に感覚錯誤の訴えを伴うことがある。
解離障害では視覚と聴覚の完全な脱失が起こることは稀である。
- 心因性ろう<聾><難聴>
F44.7 混合性解離性 [転換性] 障害
- F44.0-F44.6 に明示された障害の組み合わせ
F44.8 その他の解離性 [転換性] 障害
- ガンサー<Ganser>症候群
- 多重人格
- 心因性錯乱
- 心因性もうろう状態
F44.9 解離性 [転換性] 障害, 詳細不明
F45 身体表現性障害
主要症状は検査所見に異常が無く, また医師がその症状には身体的根拠が無いと保証するにもかかわらず, 身体症状を反復して訴え, 絶えず医学的検査を要求する。
たとえ何らかの身体的障害が存在するとしても, それは患者の訴える症状の性質や程
度, あるいは患者の苦悩や症状へのとらわれを説明できない。
除外
- 解離性障害(F44.-)
- 毛むしり<hair-plucking>(F98.4)
- ラリング<“l”エル音障害>(F80.0)
- 舌もつれ<lisping>(F80.8)
- 爪かみ(F98.8)
- 他に分類される障害又は疾病に関連する心理的又は行動的要因(F54)
- 性機能不全, 器質性障害又は疾病によらないもの(F52.-)
- 指しゃぶり(F98.8)
- チック障害(小児<児童>期及び青年期)(F95.-)
- トウレット<Tourette>症候群(F95.2)
- 抜毛癖(F63.3)
F45.0 身体化障害
主要症状は, 少なくとも2年間続いている多種類の, 反復性でしばしば変化する身体症状である。
多くの患者は家庭医と専門医の両者からの医療と長くて複雑な接触の既往歴があり, その間に多くの検査をしても異常所見が無く, 試験的手術をしても有効でなかったことがある。
症状は全身のあらゆる部位や器官におよぶことがある。
この障害の経過は慢性で変動し, しばしば社会行動, 対人関係, 家族関係の行動に関連している。
短期間(2年以下)のさほど著明ではない症状の場合は, 分類困難な身体表現性障害(F45.1)として分類するべきである。
- ブリッケ<Briquet>障害
- 多様な心身障害
除外
- 仮病 [意識的に装う] (Z76.5)
F45.1 分類困難な身体表現性障害
身体表現性の訴えが多種類で変動し持続するが, 身体化障害の完全で典型的な臨床像を満たさない場合は, この分類困難な身体表現性障害の診断を考慮するべきである。
- 分類困難な心身障害
F45.2 心気障害
本質的特徴は, 一つ又はそれ以上の重症で進行性の身体疾患にり患しているという可能性に持続的にとらわれていることである。
患者は持続的な身体的愁訴又は自分の身体的外観への持続的とらわれが顕著である。
しばしば患者は正常又は普通の感覚や外観を異常で苦しいと説明する。
意識は通常身体のただ一つ又は二つの器官か器官系に集中される。
顕著な抑うつと不安がしばしば存在し, その追加診断が正当なこともある。
- 身体醜形恐怖
- 醜形恐怖(症)(非妄想性)
- 心気神経症
- 心気症
- 疾病恐怖(症)
除外
- 妄想性醜形恐怖(症)(F22.8)
- 身体の機能や形態についての固定性妄想(F22.-)
F45.3 身体表現性自律神経機能不全
患者が述べる症状は, あたかも主として又は完全に自律神経支配で調節されている器官すなわち, 心血管系, 胃腸系, 呼吸器系及び尿路性器系の身体疾患によるものであるかのようである。
症状には通常二つの型があり, どちらも器官や器官系の身体疾患を示すものではない。
第一は, 自律神経緊張の客観的徴候にもとづいて訴える症状であり, 心悸亢進, 発汗, 潮紅, 振戦などであって, 何らかの身体疾患の可能性についての恐怖苦悩を表現する。
第二は, 非特異的で変化する性質の自覚的愁訴であり, 走るような痛み, 灼熱感, 頭重感, 絞扼感, 膨満感や膨張感などを患者は特定の器官や器官系に結びつけて訴える。
- 心臓神経症
- ダ コスタ<Da Costa>症候群
- 胃神経症
- 神経循環無力症
- 下記の心因型:
・空気えん<嚥>下症
・咳
・下痢
・消化不良
・排尿障害
・鼓腸
・しゃっくり<吃逆>
・過換気
・頻尿
・過敏性腸症候群
・幽門けいれん<痙攣>
除外
- 他に分類される障害又は疾病に関連する心理的及び行動的要因(F54)
F45.4 持続性身体表現性疼痛障害
主要な愁訴は持続性で重症の苦しい疼痛についてであり, それは生理学的過程又は身体的障害によっては完全には説明できないものである。
それは感情的葛藤又は心理社会的問題に関連して発生しており, それらの心理社会的な問題が主な原因的影響を与えていると結論づける事は十分許されるであろう。
したがって症状は, 個人的又は医学的なサポートと注意によって著明に増大するのが常である。 うつ病性障害と統合失調症の経過中に生じた心因性起源と思われる疼痛はここに含めない。
- 精神痛
- 心因性背部痛
- 心因性頭痛
- 身体型疼痛障害
除外
- 背部痛 NOS(M54.9)
- 疼痛 NOS(R52.9)
- 急性疼痛(R52.0)
- 慢性疼痛(R52.2)
- 慢性難治性疼痛(R52.1)
- 緊張性頭痛(G44.2)
F45.8 その他の身体表現性障害
身体疾患によらない感覚, 機能及び行動のその他のあらゆる障害で, 自律神経系を介していない場合, 身体の特殊な器官系や部位に限定されている場合, またストレスの多いできごとや問題と時間的に密接に関係している場合である。
- 心因性:
・月経困難症
・えん<嚥>下困難, “ヒステリー球”を含む
・そう<掻>痒症
・斜頚 - 歯ぎしり
F45.9 身体表現性障害, 詳細不明
- 心身障害 NOS
F48 その他の神経症性障害
F48.0 神経衰弱
この障害の発現にはかなりの文化的相違があり, かなり重複する二つの主要な型がある。
第一の型では, 主な特徴は精神的作業の後に疲労性亢進を訴え, しばしば日常の仕事の処理能率や職業遂行能力のある程度の低下に関連している。
精神的易疲労性は, 気を散らすような考えや過去の記憶が入ってきて不愉快であり, 注意の集中が困難で, 全般に効率よく考えられないということに典型的に描写されている。
第二の型で強調されるのは, 身体やその活動力の無力感と, わずかな仕事の後でも疲れ切ってしまい, 筋肉の痛い感じがあり, リラックスできないことである。
両者の型において, その他の不快な身体感覚の種々のものが一般的に見られており, たとえば, めまい, 緊張性頭痛, 全身の不安定な感じなどである。
精神と身体の健康減退の心配, 焦燥感, 快感消失及び変動する軽度の抑うつと不安の両者の訴えなどはすべて一般的に見られる。
睡眠は入眠期と中間期がしばしば障害されるが, 睡眠過剰もまた著明に見られる。
- 疲労症候群
先行する身体疾患の分類が必要な場合は, 追加コードを使用する。
除外
- 無力症 NOS(R53)
- 燃えつき(状態)(Z73.0)
- 倦怠(感)及び疲労(R53)
- ウイルス感染後疲労症候群(G93.3)
- 精神衰弱(F48.8)
F48.1 離人・現実感喪失症候群
稀な障害であり, 患者は自分自身の精神活動, 身体及び周囲が質的に変化して,いわば非現実的で遠く離れたようで, 自動的な動きをするように思えると自発的に言う。
感情喪失及び自分の考え, 自分の身体又は周囲の現実世界から疎隔し分離している感じの訴えが, 種々の症状の中でも最もしばしば見られるものである。
そのような体験の性質が劇的であるにもかかわらず, 患者はそういった変化が非現実的なものだということはわかっている。
知覚は正常で感情表現能力も保たれる。
離人・現実感喪失症候群は統合失調症, うつ病性障害, 恐怖障害又は強迫障害などと診断される病態において出現することがある。
このような場合には診断は主要な障害の診断名にするべきである。
F48.8 その他の明示された神経症性障害
- ダート<Dhat>症候群
- 職業神経症, 書けい<痙>を含む
- 精神衰弱
- 精神衰弱性神経症
- 心因性失神
F48.9 神経症性障害, 詳細不明
- 神経症 NOS