うつ病で障害年金を申請される場合の注意点などは『【社労士が解説】うつ病で障害年金を申請するポイント』でも詳しくご説明していますので、是非ご参照ください。
目次
対象者の基本データ
病名 | 鬱病(うつびょう) |
---|---|
性別 | 女性 |
支給額 | 年額 約78万円 |
障害の状態 |
|
申請結果 | 障害基礎年金2級 |
ご相談までの経緯
学生の頃より勉強熱心で科目によって得手不得手はあったものの、努力でカバーし大学に進学。
卒業後は大学院に進みましたが、ゼミでの失敗や対人関係のトラブルを契機に精神状態が悪化し、食事や入浴も全くしなくなりました。
一度、実家に戻って、医療機関を受診され、入院加療を受け、復学し治療を続けながらなんとか卒業に至りました。
卒業後は専門学校に進学し資格を取得して病院勤務を始めましたが、3ヶ月で退職。
その後も複数の職に就きましたがいずれも短期間で転職を繰り返していました。
努力してきたことも社会生活における職業や役割にうまく繋がらず、生きづらさを感じ、過去への執着や後悔・トラウマ、他者から嫌われていると思い込んで自己嫌悪に陥るなど、悲観的な思考が強まっていきました。
就労に対する意欲も自信もなくなり、長期継続する抑うつ症状から次第に無為・自閉的となり、1日中着替えも行わず、布団の中にいることが多くなりました。
高齢の両親と同居し、日常生活の身の回りの事や経済的にも支援を受けていることから将来への不安に苛まれていました。
そんな中、主治医の先生とのカウンセリング時に障害年金制度を知り、先生から弊社への相談を勧められ、ご相談いただきました。
申請結果
障害年金を受給するためには以下の3つの要件を満たしている必要があります。
1⃣初診日要件・・・・・初診日時点で年金制度に加入していること(20歳前など例外もあります)
2⃣保険料の納付要件・・・・・初診日前の一定期間について年金を納めていること
3⃣障害状態に関する要件・・・・・障害の状態が認定基準に定める状態であること
ご相談者様より最初にご連絡をいただいた段階で3⃣障害状態については十分に満たしている状態にあると確信出来ましたが、病歴が長く、初診日から20年以上経過していることから1⃣初診日要件を満たしていることの確認の為、初診日の証明が出来るかどうかが請求のポイントになるだろうと感じました。(ポイント①)
その反面で病歴が長い分、複数の医療機関へ通院していた為、初診病院で初診日証明が取得できなくても、複数の証拠書類を積み上げることで証明が出来るのではないか・・・とも考えていました。
実際にお手続きを進めていくと初診病院では既にカルテは破棄されていましたが、2番目以降に受診した医療機関ではカルテが保管されており、初診病院からの紹介状や発病から初診に至るまでの契機について記載された書類など複数の証明を取得することができ、難なく初診日証明をクリアすることが出来ました。
初診日証明が整い、1⃣・2⃣の要件を満たしている事を確認し、3⃣の証明の為、現在通院中の病院へ診断書の作成を依頼し、
初診日証明や診断書の記載内容だけではわからない病歴経過について、病歴就労状況等申立書にて詳述し、申請しました。(ポイント②)
結果、「障害基礎年金2級」として認定されました。
初診日から長期経過していたり、複数の医療機関を転々としていて通院歴がよくわからないからといって諦めることは全くありません。
手続きにご不安がある場合はお気軽にご相談くださいませ。
【ポイント1】初診日の証明
障害年金は初診日主義とも言われています。
つまり、障がいがどんなに重たくても初診日の証明が出来なければ障害年金を受給することが出来ないということです。
カルテの法定保存期間が5年と定められている為、初診日の証明が出来ず悔しい思いをする方が多くおられるのも事実です。
そんな時でも証拠を積み上げて、間接的に初診日を証明出来たケースが多くありますので諦めない事が大切です!
【ポイント2】病歴就労状況等申立書
医証(受診状況等証明書、診断書など)には、ある一定の時点の情報しか記載されておらず、発症から現在までの全体の流れを読み取ることはできません。
これを補うために、「病歴就労状況等申立書」に、現在までの「病歴・治療歴」、「就労の状況」、「日常生活の状況」などを、5年ごとに区切って記載します。(転院した場合は、医療機関ごとに記載します。)
また、作成後は、医証との整合性も確認しましょう。
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