【事例184】変形性膝関節症(人工関節)|障害厚生年金3級(審査請求の事例)

変形性膝関節症(人工関節)|障害厚生年金3級

対象者の基本データ

病名 変形性膝関節症(りょうへんけいせいひざかんせつしょう)
性別 女性
支給額 年額 約59万円
障害の状態
  • 右股関節を人工関節に置換
  • 日常生活は股関節の動きに制限がある
申請結果 障害厚生年金3級

 

ご相談までの経緯

60歳のFさんは20歳より看護師として働いていました。

当時は病院にエレベータや介護ベットは無く、身体に負担の掛かる生活をしていたとのことです。

ある日、右足の股関節に違和感があり、先生との雑談中に相談をしたところ病院のレントゲンにて撮影することを指示されました。

当時は昭和40年代という事もあり、医療行為外で病院の設備を使えていたとのことです。

その結果、先生より「生まれつき股関節が弱いんだね。今は問題ないけど、出産のときが少し注意が必要だね」と言われました。

その後、平成8年まで出産、育児、復職という何ら問題のない日常を送っていました。

40歳の頃より、少しずつ痛みが現れ、この頃より整形外科に通院を開始しました。

日常生活に気をつけながら保存療法を行っていましたが、50歳頃より痛みに耐えられなくなり、人工股関節への置換術を行いました。

術後、障害年金を知り、自力で申請を行いましたが、不支給となりました

決定の内容に納得が行かなかったため、審査請求を視野にご相談に来られました。

 

申請結果

不服申立て(審査請求・再審査請求)を開始する場合は、その原因の追求から始めます。

今回の請求では、先天性の股関節脱臼として評価された事が原因と想定しました。

ここでまず股関節脱臼と障害年金の関係を整理すると、完全脱臼と亜脱臼により取り扱いが変わってきます。

完全脱臼したままで育った場合は生まれた日が初診日とされ、障害基礎年金の請求となってしまいます。

逆に亜脱臼のケースでは、厚生年金に加入中に変形性股関節症の初診日がある場合は障害厚生年金の対象となります。

人工関節は原則として3級認定となるため、今回は初診日を厚生年金の加入期間中として認めてもらう必要がありました。

そこで、幼少の頃から請求日までの生活や仕事の状況、症状の悪化した当時の様子が詳しく分かるような資料を準備しました。

また、学生時代の友人や20代の同僚に協力を頂き、当時の様子を第三者目線で補足してもらいました。

その結果、40歳頃の通院が初診として認められ、障害厚生年金3級を認定を得ることが出来ました。

 

【ポイント1】人工関節は原則3級

人工関節は「原則3級」と決められています。

ただし、症状によって上位等級(2級以上)に認定される可能性もあります。

また3級に該当するためには初診日に厚生年金や共済年金に加入していることが条件となります。

つまり、初診日が国民年金・20歳未満・第3号といった障害基礎年金が対象の場合は人工関節の手術のみでは障害年金の受給は出来ないというものになります。

 

【ポイント2】 決定内容に不満な場合の対処法

障害年金の決定に納得がいかない場合は審査請求を行う事が出来ます。

審査請求は不服となる決定(裁定請求の結果)を受け取った日の翌日から計算して3ヶ月以内にしなければなりません。

必要な書類については、決定書に記載されている地方厚生局社会保険審査官室へ電話をして送付してもらってください。

なお、この審査請求でも不服が解消しない場合は、さらに再審査請求へ進むことが可能となります。

 

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