障害年金の更新で落ちる確率はどれくらい?

「もうすぐ障害年金の更新だけれど、もし落ちてしまったらどうしよう」

更新を控えた方から、弊事務所にもこうしたご不安の声が多く寄せられます。

実は、障害年金の更新で支給が止まる方の割合は、最新の令和6年度のデータでも全体の約1.1%にとどまります。

多くの方が、これまでどおり受給を続けられています。

ただし、「等級が下がって減額される」ケースや、診断書の書かれ方ひとつで結果が変わってしまうケースもあり、油断はできません。

この記事では、更新で落ちる確率を最新の一次データで確認したうえで、支給停止・減額になる原因、落ちないために気をつけたいポイント、そして万一止まってしまったときの再開手続きまでを、順にご説明します。

障害年金の更新で落ちる(支給停止)確率は約1.1%【令和6年度】

まずは結論からお伝えします。障害年金の更新で「落ちる」とは、一般的に年金が止まる「支給停止」を指します。

これとは別に、等級が下がる「減額」もあります。最新の令和6年度データで、それぞれどのくらいの割合なのかを確認しましょう。

日本年金機構が公表している「障害年金業務統計(令和6年度決定分)」によると、更新(再認定)の決定は全体で304,456件ありました。

このうち、支給が止まった「支給停止」は3,241件で、割合にすると約1.1%です。

等級が下がる「減額改定」は2,451件で、約0.8%でした。

一方で、これまでどおり受給が続く「継続」は294,405件(約96.7%)、等級が上がる「増額改定」は4,359件(約1.4%)です。

つまり、約98.1%の方が、これまでと同じか、より手厚い内容で受給を継続されています。

障害基礎年金と障害厚生年金に分けると、次のとおりです。

令和6年度の更新(再認定)障害基礎年金障害厚生年金合計
決定総数194,621件109,835件304,456件
継続(維持)190,328件(97.8%)104,077件(94.8%)294,405件(96.7%)
増額改定1,643件(0.8%)2,716件(2.5%)4,359件(1.4%)
減額改定867件(0.4%)1,584件(1.4%)2,451件(0.8%)
支給停止1,783件(0.9%)1,458件(1.3%)3,241件(1.1%)

障害基礎年金に比べ、障害厚生年金は継続以外(増額・減額・支給停止)の割合がやや高めです。

これは、障害厚生年金が1級から3級まで等級の幅が広く、等級の変更(増額・減額)が生じやすいことが一因と考えられます。

なお、これらはあくまで全体の統計であり、個別の結果を保証するものではありません。

ご自身の更新がどうなるかは、提出する診断書の内容などによって個別に判断されます。

(出典:日本年金機構「障害年金業務統計(令和6年度決定分)」令和7年9月公表・令和7年10月31日一部訂正)

そもそも障害年金の更新(再認定)とは|永久認定と有期認定

そもそも、なぜ更新が必要な方とそうでない方がいるのでしょうか。

障害年金には、更新が不要な「永久認定」と、定期的な更新が必要な「有期認定」があります。

まずはこの仕組みと、更新の中心となる「障害状態確認届」について整理します。

永久認定(更新不要)と有期認定(1〜5年ごと)

障害の状態が固定して変わらないと見込まれる場合は「永久認定」となり、更新の手続きは不要です。

手足の切断など、回復が想定されない障害が代表例です。

令和6年度の新規裁定では、新たに支給が決まった件数のうち、永久認定(永久固定)はおよそ8.5%でした。

残る多くの方は「有期認定」で、1年から5年ごとに更新を行います。

ご自身がどちらかは、年金証書の「次回診断書提出年月日」の欄で確認できます。

提出年月日が記載されていれば有期認定、空欄であれば永久認定です。

障害状態確認届(更新用の診断書)の仕組み

有期認定の方は、更新の時期になると日本年金機構から「障害状態確認届」という書類が届きます。

これは更新用の診断書です。

提出が必要となる年の誕生月の末日が提出期限で、その3か月前の月末ごろに送付されます。

主治医に「診断書」欄を記入してもらい、期限までに日本年金機構へ提出して審査を受けます。

なお、診断書に記入する障害の状態は、提出期限前3か月以内のものとされています。

提出が遅れると年金が一時的に止まることもあるため、期限内の提出が大切です。

更新手続きの全体像は、障害年金の更新をわかりやすく解説した記事でも詳しくご説明しています。

更新で支給停止・減額になる主な原因

それでは、更新(再認定)の審査で支給停止や減額になるのは、どのような場合なのでしょうか。

主な原因は2つです。

症状そのものの変化だけでなく、診断書の書かれ方が結果を左右することもあります。

あわせて、20歳前傷病の方には、更新審査とは別に所得による支給停止もあるため、最後にご説明します。

【原因1】症状が軽くなったと判断された

最も基本的なのは、提出した障害状態確認届の審査で、障害の状態が認定を受けたときより軽くなったと判断されるケースです。

障害年金は、現在の障害の程度が認定基準上の等級に該当するかどうかで判断されます。

回復によって基準に該当しなくなれば、支給停止や減額となります。

【原因2】症状は変わらないのに診断書に反映されていない

注意したいのは、実際には状態が変わっていないのに、診断書の書かれ方によって「改善した」と受け取られてしまうケースです。

例えば、次のような状況です。

  • 薬が合わず、更新の時期にたまたま処方がなかった
  • リハビリや生活のために、配慮を受けながら就労を始めた
  • 事情があって一人暮らしをせざるを得なかった

「投薬なし」「就労中」「一人暮らし」といった事実だけが診断書に書かれると、審査では生活能力が回復したと判断されることがあります。

そのため、なぜ投薬がないのか、どのような配慮のもとで就労や一人暮らしをしているのかといった背景まで、診断書に正確に反映してもらうことが重要です。

【補足】20歳前傷病の方は所得による支給停止に注意(更新審査とは別)

20歳より前に初診日がある「20歳前傷病」で障害基礎年金を受けている方には、障害の状態とは別に、本人の所得による支給制限があります。

これは更新(再認定)の審査結果ではなく、毎年の所得に応じて判定される別の仕組みです。

前年の所得が4,794,000円を超えると全額が、3,761,000円を超えると2分の1が支給停止となります(いずれも扶養親族がいない場合。令和7年10月1日改正後の基準)。

停止される期間は、その年の10月分から翌年9月分までです。

これは障害の程度とは関係なく、所得が基準を下回れば再び支給されます。

詳しくは日本年金機構「20歳前の傷病による障害基礎年金にかかる支給制限等」をご確認ください。

更新で落ちないために気をつけたいポイント

更新で大切なのは、「認定を受けたときと現在の状態が比較される」という点を意識することです。

状態が変わっていないのであれば、それが正しく伝わる診断書にしてもらうことが、落ちないための基本になります。

まず、診断書を依頼する際は、日々の生活でどのような不自由があるかを、ご自身の言葉で主治医に具体的に伝えることをおすすめします。

診察の場では伝えきれない困りごとを、メモにまとめてお渡しになる方もいらっしゃいます。

特に、投薬・就労・一人暮らしなどに変化があった場合は、その背景や理由が診断書に反映されているかを確認しましょう。

診断書だけでは状況を伝えきれないと感じる場合は、別途、日常生活の状況をまとめた書類を添えることもできます。

就労を続けながら更新を迎える方は働きながら障害年金を受けられる方の解説記事、一人暮らしをされている方は一人暮らしと障害年金の解説記事もあわせてご参照ください。

なお、どのような診断書が適切かという医学的な判断は、主治医の先生にご相談ください。弊事務所がご依頼をお受けする場合も、事実が正確に伝わるための形式面のサポートを行っています。

もし更新で支給停止になったら|再開の手続き

万一、更新で支給停止になってしまっても、そこで終わりではありません。

状況に応じて、年金の再開や、決定への不服を申し立てる手続きが用意されています。

代表的な2つをご説明します。

再び悪化したとき|支給停止事由消滅届

いったん支給停止になった後、障害の状態が再び該当する程度に悪くなった場合は、「老齢・障害給付 受給権者支給停止事由消滅届」(支給停止事由消滅届)に診断書を添えて提出することで、支給の再開を求めることができます。

決定に納得できないとき|審査請求

更新の結果そのものに納得できない場合は、「審査請求」という不服申立ての手続きがあります。

原則として、決定があったことを知った日の翌日から3か月以内に行う必要があります。

なお、現在も受給を続けている方が「症状が重くなったので等級を上げてほしい」という場合は、これらとは別の「額改定請求」という手続きになります。

状況によって使う手続きが異なるため、迷う場合は年金事務所や専門家にご確認ください。

「審査が厳しくなった」と聞くけれど、更新も落ちやすくなった?

近年、「障害年金の審査が厳しくなった」という報道を目にして、更新も不安に感じている方が増えています。

この点について、最新の一次データをもとに、事実を正確に整理しておきます。

報道で「不支給が急増した」と取り上げられているのは、主に新規申請(新規裁定)に関するものです。

日本年金機構の統計では、新規申請で等級に該当せず不支給となった割合は、令和5年度の8.4%から令和6年度は13.0%へと上昇しました。

一方で、この記事のテーマである更新(再認定)の支給停止率は、令和6年度で約1.1%です。

令和4年度の約1.7%と比べても、むしろ低下しています。新規申請と更新は別の手続きであり、同じ「厳しくなった」という言葉でひとくくりにはできません。

こうした不支給の増加を受けて、厚生労働省は令和7年6月に調査報告書を公表し、過去の不支給事案などの点検を進めています。

日本年金機構の公表では、点検した不支給事案14,841件のうち444件(約3.0%)が支給と判断されました(令和8年3月末時点・速報値。日本年金機構「障害年金の認定状況について」)。

「精神障害は更新で落ちやすいのでは」というご質問もよくいただきます。

精神障害・知的障害は、障害認定基準とあわせて「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」に基づいて判断されますが、いずれの障害でも、最終的には症状・日常生活状況・就労状況などを総合して個別に判断されます。

傷病名だけで結果が決まるわけではありません。

更新を控えた方にとって大切なのは、過度に不安になることではなく、ご自身の状態が正確に伝わる診断書を整えることです。

不支給や「もらえない」に関する論点は、障害年金をもらえない人の解説記事でも扱っています。

障害年金の更新に関する事例

弊事務所では、更新や額改定に関するご相談・ご依頼も数多くお受けしています。

就労を続けながら更新を迎えられた方、いったん不支給となった後に状況を整えて受給につながった方など、状況はさまざまです。

実際にご依頼いただいた方からのご感想や事例は、お客様の声の一覧ページでご紹介しています。

※個別事案により判断は異なります。同じ障害名・等級でも、結果は一人ひとりの状況によって変わります。

まとめ

障害年金の更新で支給停止となる方の割合は、最新の令和6年度データでも約1.1%にとどまり、減額を含めても約1.9%です。

多くの方が継続して受給されています。

一方で、症状が変わっていなくても、診断書の書かれ方によって結果が左右されることがあります。

投薬・就労・一人暮らしなどに変化があった場合は、その背景まで正確に伝わるよう備えることが大切です。

万一支給停止になっても、支給停止事由消滅届や審査請求といった手続きがあります。

更新にご不安のある方は、お早めにご準備を進めましょう。

障害年金の更新に関するご相談は、わくわく社会保険労務士法人(全国障害年金サポートセンター)までお気軽にお問い合わせください。


※本記事は2026年6月時点の年金法令・障害認定基準・統計に基づき作成しています。法令改正等により内容が変更される可能性があるため、最新の情報は日本年金機構の公式サイト等でご確認ください。個別の事案については社会保険労務士・弁護士等の専門家へのご相談を推奨します。医学的判断は主治医にご確認ください。

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