目次
ICD-10コードとは
精神疾患で障害年金を申請する際は、診断書の病名の横にあるICD-10コード記入欄へコードの記載が必要になります。
詳しくは『ICD-10コードとは』のページでご説明していますのでご参照下さい。
精神および行動の障害のICD-10コード | ||
F0 | 症状性を含む器質性精神障害 | F0の申請事例 |
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F1 | 精神作用物質使用による精神及び行動の障害 | F1の申請事例 |
F2 | 統合失調症,統合失調症型障害及び妄想性障害 | F2の申請事例 |
F3 | 気分[感情]障害 | F3の申請事例 |
F4 | 神経症性障害,ストレス関連障害及び身体表現性障害 | F4の申請事例 |
F5 | 生理的障害及び身体的要因に関連した行動症候群 | F5の申請事例 |
F6 | 成人のパーソナリティおよび行動の障害 | F6の申請事例 |
F7 | 知的障害 | F7の申請事例 |
F8 | 心理的発達の障害 | F8の申請事例 |
F9 | 小児および青年期に通常発症する行動および情緒の障害 特定不能の精神障害 |
F9の申請事例 |
心理的発達の障害(F80-F89)
F80-F89 に包含される障害は:
a) 発症が常に乳幼児期か小児<児童>期
b) 中枢神経系の生物学的成熟と密接に結びついている機能の発達の障害又は遅れ
c) 寛解や再発の見られない不変の経過
の三点を共有している。
大部分の例では, 機能の障害は言語, 空間視能力, 運動の協応能力に及んでいる。
普通は遅滞又は機能障害は, それがはっきり認められ始めたもっとも早い時期から間断なく続いているが, その子供が成長するにつれて軽くなっていく。
ただし,軽度の欠陥は成人期においても残存する。
F8 心理的発達の障害の申請事例
F80 会話及び言語の特異的発達障害
正常な言語獲得パターンが発達の早期の段階から損なわれている障害である。
これらの病態は, 神経学的な異常, 構音機能自体の異常, 感覚の機能障害, 知的障
害<精神遅滞>又は環境要因に直接もとづくものではない。
この会話及び言語の特異的発達障害は, 読み書きが困難なことや対人関係の異常や情緒及び行動の障害のような, これと関連する問題から続発してくることもしばしばある。
F80.0 特異的会話構音障害
特異的な発達障害で, 言語音の使用が精神年齢に相応する水準以下であるが, しかし言語能力は正常な水準にある。
- 発達性:
・音韻障害
・発音困難症 - 構音障害
- 機能性構音障害
- ラリング<“l”エル音障害>
除外
下記にもとづく構音障害:
・失語(症) NOS(R47.0)
・失行(症)(R48.2)
・難聴(H90-H91)
・知的障害<精神遅滞>(F70-F79)
・表出性言語発達障害を伴うもの(F80.1)
・受容性言語発達障害を伴うもの(F80.2)
F80.1 表出性言語障害
特異的な発達障害で,表出言語使用の能力は精神年齢に相応する水準より著しく低いが,しかし言語理解は正常範囲である。構音の異常があることもないこともある。
- 発達性不全失語(症)又は失語(症),表出型
除外
- てんかんを伴う後天性失語(症)[ランドウ・クレフナー<Landau-Kleffner>症候群]
(F80.3) - 不全失語(症)及び失語(症):
・NOS(R47.0)
・発達性,受容型(F80.2) - 選択(性)かん<緘>黙(F94.0)
- 知的障害<精神遅滞>(F70-F79)
- 広汎性発達障害(F84.-)
F80.2 受容性言語障害
特異的な発達障害で、言語理解は精神年齢に相応する水準以下である。
実際には、すべての例で表出言語もやはり著しく損なわれており、語音の表現の異常もふつうに見られる。
- 先天性聴覚無知覚症
- 発達性:
・不全失語(症)又は失語(症), 受容型
・ウェルニッケ<Wernicke>の失語(症) - 語ろう<聾>
除外
- てんかんを伴う後天性失語(症)[ランドウ・クレフナー<Landau-Kleffner>症候群]
(F80.3) - 自閉症(F84.0-F84.1)
- 不全失語(症)又は失語(症):
・NOS(R47.0)
・発達型,表出型(F80.1) - 選択(性)かん<緘>黙(F94.0)
- ろう<聾>にもとづく言語の遅れ(H90-H91)
- 知的障害<精神遅滞>(F70-F79)
F80.3 てんかんを伴う後天性失語(症) [ランドウ・クレフナー<Landau-Kleffner>症候群]
正常な言語発達がなされてきた小児が, 受容と表出両者の言語的技能を失ってしまうが一般的知能は保たれている障害;この障害の発症時には脳波に発作性異常が見られ,大多数の症例ではてんかん発作が見られる。
発症は, ふつう3歳から7歳の間に見られ,技能喪失は数日ないし数週にわたって生ずる。
発作の発症と言語喪失との間の時間的な関連はさまざまで, 一方が他方に2, 3か月から2年の間をおいて前駆する。
病因としては, ある種の炎症性脳炎過程が示唆されている。 約3分の2の症例では,多少とも重症の受容性言語欠損が残る。
除外
- 失語(症)(下記によるもの):
・NOS(R47.0)
・自閉症(F84.0-F84.1)
・小児<児童>期崩壊性障害(F84.2-F84.3)
F80.8 その他の会話及び言語の発達障害
- 舌もつれ<lisping>
F80.9 会話及び言語の発達障害, 詳細不明
- 言語障害 NOS
F81 学習能力の特異的発達障害
技能獲得の正常なパターンが, 発達の早期から損なわれている障害である。
その障害は, 単に学習する機会が欠けてしまった結果でなく, 知的障害<精神遅滞>の結果のみによるものでもなく, また後天性の脳損傷や脳の疾患に由来するものでもない。
F81 学習障害の申請事例
F81.0 特異的読字障害
主要な特徴は読字能力の発達における特異的な重い機能障害であり, 精神年齢が低いことや視覚的能力の問題, 不十分な学校教育のみでは説明がつかない。
読字理解能力, 読字単語認識, 読字発語能力及び読字を要する課題の遂行がすべて障害されることもある。
書字困難が特異的読字障害に合併することはしばしばあり, 読字の面である程度の進歩があった後になっても, しばしば青年期にまで残存する。
特異的読字障害には, 会話と言語の発達障害の既往が見られることが多い。 学齢期を通じ, 情緒及び行動の混乱が合併して見られるのが普通である。
- 「読字の遅れ」
- 発達性読字障害
- 特異的読字遅滞
除外
- 失読(症) NOS(R48.0)
- 読字障害 NOS(R48.0)
- 情緒障害から二次的に生ずる読字困難(F93.-)
F81.1 特異的書字障害
この障害の主要な特徴は, 特異的読字障害の既往がないのに書字の能力発達に特異的な重い機能障害があることであり, それは精神年齢が低いことや視覚的能力の問題や不十分な学校教育のみでは説明がつかない。
スペルを口に出して言う能力と単語を正しく書く能力は両方とも障害される。
- 特異的書字遅滞(読字障害を伴わない)
除外
- 失書(症) NOS(R48.8)
- 書字困難:
・読字障害を合併するもの(F81.0)
・不適切な教育によるもの(Z55.8)
F81.2 算数能力の特異的障害
この障害は算数能力における特異的な機能障害で, 全般的な知的障害<精神遅滞>や不十分な学校教育のみでは説明することができないものを包含している。
欠陥は代数, 三角法, 幾何, 微積分などの, より抽象的な数学的能力よりは, むしろ加減乗除の基本的計算能力の習熟にかかわっている。
- 発達性:
・失算(症)
・計算障害
・ゲルストマン<Gerstmann>症候群
除外
- 失算(症) NOS(R48.8)
- 計算困難:
・読字又は書字障害に関連するもの(F81.3)
・不適切な教育によるもの(Z55.8)
F81.3 学習能力の混合性障害
これは定義の不明確な障害の残遺項目であり, 計算も, 読字又は書字もともに顕著に損なわれているが, しかしこの機能障害が全体的な知的障害<精神遅滞>や不適切な学校教育のみによっては説明がつかない。
本項目は, F81.2 と, F81.0 又はF81.1 のどちらかの, 両者の規準に合致している障害に対して用いるべきである。
除外
- 特定の:
・算数能力障害(F81.2)
・読字障害(F81.0)
・書字障害(F81.1)
F81.8 その他の学習能力発達障害
- 発達性表出性書字障害
F81.9 学習能力発達障害, 詳細不明
- 知識獲得能力低下 NOS
- 学習:
・不能 NOS
・障害 NOS
F82 運動機能の特異的発達障害
運動協同性の発達における重い機能障害を主要な特徴とする障害であり, 全般性知能障害やなんらかの特異的な先天性あるいは後天性の神経学的障害のみでは説明がつかない。
しかし, 大部分の症例については, 臨床的な検査により, 著しい神経発達未熟が認められる。
たとえば, 支持していない(四)肢に見られる舞踏病様運動又は鏡像運動, 及びそれに関連したその他の運動徴候や微細ないし粗大な運動協同性の機能障害の徴候である。
包含
- 不器用児症候群
- 発達性:
・協同障害
・律動障害
除外
- 歩行及び移動の異常(R26.-)
- 共調運動障害(R27.-)
・知的障害<精神遅滞>から二次的に起こったもの(F70-F79)
F83 混合性特異的発達障害
これは, 会話及び言語の特異的発達障害, 学習能力の特異的発達障害, 運動機能の特異的発達障害の混合が見られる障害に対する残遺分類項目であり, それらの障害のどれもが, 主要診断を成り立たせるために十分な程度にまで目立っていないものである。
この混合の項目は, 上にあげた特異的発達障害のそれぞれの間に大きな重複が認められる場合にのみ使用すべきである。
常にとはいえないが通常は, これらの障害はある程度の全般性認知機能障害を伴っている。 したがって, 機能不全が, F80.-,F81.-, F82 における二つ又はそれ以上の基準を満たしている場合に, 本項目を使用すべきである。
F84 広汎性発達障害
対人的相互作用とコミュニケーションにおける質的な機能障害及び,制限された, 常同的で反復性の興味と行動のレパートリーによって特徴づけられる障害の一群である。
これらの質的な異常は, すべての状況における個人の機能の広汎な特徴となっている。
関連する何らかの医学的病態や知的障害<精神遅滞>の分類が必要な場合は, 追加コードを使用する。
F84 広汎性発達障害の申請事例
F84.0 自閉症
広汎性発達障害の一つの型であり,
a) 病的なあるいは損なわれた発達の存在が3歳未満に認められること
b) 精神病理の三つの領域, すなわち, 対人的相互作用, コミュニケーション及び制限された常同的で反復性の行動のすべてにおいて認められる異常な機能の特徴的な型
で定義されている。
これらの特異的な診断特徴に加えて, その他の非特異的な一連の問題が見られるのが普通である。
たとえば恐怖症, 睡眠と摂食の異常, かんしゃく発作,(自己に向かう)攻撃性である。
- 自閉的障害
- 幼児:
・自閉症
・精神病 - カナー<Kanner>症候群
除外
- 自閉的精神病質(F84.5)
F84.0 自閉症の申請事例
F84.1 非定型自閉症
広汎性発達障害の一つの型であるが, 自閉症とは, 発症年齢において, 又は診断基準の三つの特徴のすべてを満たしてはいないということで異なっている。
本項目は, 異常な又は損なわれた発達が3歳以後にのみ認められる場合で, 他の領域において特徴的な異常が認められても, 自閉症診断に要する精神病理の三つの領域(すなわち対人的相互作用, コミュニケーション及び制限された常同的で反復性の行動)のうちの一つ又は二つにおいて, 十分に説明されず異常が見られない場合に使用すべきである。 非定型自閉症は, 重度に遅滞した個人及び重い特異的な受容性言語発達障害を伴う
個人に, もっとも多く生じてくる。
- 非定型小児精神病
- 自閉的特徴を伴う知的障害<精神遅滞>
知的障害<精神遅滞>の分類が必要な場合は追加コード(F70-F79)を使用する。
F84.2 レット<Rett>症候群
これまで少女のみに見出されてきた病態で,明らかに正常な早期の発達の後で, 会話運動及び手の使用の能力が部分的にあるいは完全に消失し, 頭蓋の成長の減速が伴う。
通常 7 か月から 24 か月の間に発症する。
手の目的運動の消失, もみ手の常同運動及び過呼吸を特徴とする。
社交や遊びの発達は停止するが対人的興味は保たれる傾向がある。
軀幹失調と失行が4歳から認められるようになり, 舞踏病アテトーゼ様運動がしばしば続発する。 重い精神遅滞が不可逆的に生ずる。
F84.3 その他の小児<児童>期崩壊性障害
広汎性発達障害の一つの型で, 障害発症に先立って明確に正常な発達の時期が存在し, それまでに獲得された能力が, 発達のいくつかの領域において, 数か月の経過の間に明らかに消失するのが特徴である。
典型例では, 周囲に対する関心の全般性の欠如, 常同的で反復性運動の習慣及び対人的相互作用とコミュニケーションにおけるある種の自閉症様の機能障害が伴っている。
ある例では, この障害がなんらかの関連する脳症に由来するように見えるが, しかし診断は行動的特徴によって下されるべきである。
- 幼児性認知症
- 崩壊精神病
- ヘラー<Heller>症候群
- 共生精神病
関連する神経学的病態の分類が必要な場合は, 追加コードを使用する。
除外
- レット<Rett>症候群(F84.2)
F84.4 知的障害<精神遅滞>と常同運動に関連した過動性障害
疾病学的妥当性が明確ではなく, 十分定義されていない障害である。
本項目は,重い知的障害<精神遅滞>(IQ35 以下)の子供で, 過動性と注意の面に主要な問題があり, 常同的行動をもつ一群を包括するために作られたものである。
患児は, 中枢刺激薬が効かず(IQが正常範囲にある子供と違う点), 中枢刺激薬を投与するとむしろ不機嫌反応を呈し(精神運動制止を伴うこともある), また青年期には, 過動性のかわりに運動減退が見られるようになる傾向がある(正常な知能をもつ多動児の場合には通常みられないパターンである)。
この症候群はまた特定のあるいは全般的なさまざまの発達遅延をしばしば伴う。
この行動パターンが, 低いIQあるいは器質的脳障害の機能にどの程度まで依るものかは不明である。
F84.5 アスペルガー<Asperger>症候群
疾病分類学的妥当性が明確でない障害で, 自閉症を特徴づけているものと同じ型の,対人的相互作用の質的な機能障害を特徴とし, 制限された, 常同的で反復的な興味と行動のレパートリーを伴っている。
本来の自閉症と異なっているのは, 言語あるいは認知の発達に全般性の遅延ないし遅滞が全く見られないことである。
この障害は, しばしば顕著な不器用さを伴う。
これらの異常には, 青年期や成人期の生活にまで持続する強い傾向が認められる。
成人期のはじまりに, ときに精神病的エピソードが見られる。
- 自閉的精神病質
- 小児のシゾイド障害
F84.5 アスペルガー<Asperger>症候群の申請事例
F84.8 その他の広汎性発達障害
F84.9 広汎性発達障害, 詳細不明
F84.9 広汎性発達障害, 詳細不明の申請事例
F88 その他の心理的発達障害
包含
- 発達性失認
F89 詳細不明の心理的発達障害
包含
- 発達障害 NOS