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ICD-10コードとは
精神疾患で障害年金を申請する際は、診断書の病名の横にあるICD-10コード記入欄へコードの記載が必要になります。
詳しくは『ICD-10コードとは』のページでご説明していますのでご参照下さい。
精神および行動の障害のICD-10コード | ||
F0 | 症状性を含む器質性精神障害 | F0の申請事例 |
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F1 | 精神作用物質使用による精神及び行動の障害 | F1の申請事例 |
F2 | 統合失調症,統合失調症型障害及び妄想性障害 | F2の申請事例 |
F3 | 気分[感情]障害 | F3の申請事例 |
F4 | 神経症性障害,ストレス関連障害及び身体表現性障害 | F4の申請事例 |
F5 | 生理的障害及び身体的要因に関連した行動症候群 | F5の申請事例 |
F6 | 成人のパーソナリティおよび行動の障害 | F6の申請事例 |
F7 | 知的障害 | F7の申請事例 |
F8 | 心理的発達の障害 | F8の申請事例 |
F9 | 小児および青年期に通常発症する行動および情緒の障害 特定不能の精神障害 |
F9の申請事例 |
精神作用物質の使用
本中間分類は重症度や臨床型が異なる非常に多様な障害を含んでいるが, それらすべてに共通する属性は1種類以上の精神作用物質を使用したためである。
その物質は医学的に処方されていた場合もあるし, そうでない場合もある。
当該物質は3桁分類項目によって示され、 4桁分類コードは臨床状態像を明示するものである。
これらのコードは明示されたそれぞれの物質に対して, 必要に応じて使用されるべきものであるが, すべての4桁分類コードがあらゆる物質に当てはまるものではないことに注意すべきである。
精神作用物質の同定はできる限り多くの情報源にもとづいてなされるべきである。
情報源としては自己報告データ, 血液又はその他の体液の分析, 特徴的な自覚的身体症状と精神症状, 客観的な臨床検査所見と行動の特徴, そしてその他の証拠として, 薬物を患者が所有していることがわかったとか,患者から告知された第三者からの報告があることなどがありうる。
多くの薬物使用者は2種類のタイプの精神作用物質を使っている。
主要な診断は現在の臨床症候群の原因となり, 又はそれに最も影響した物質又はその種類によって, 可能な限り, 分類を行うべきである。
その他の診断については, 他の精神作用物質が, 中毒量に達するまで(共通4桁項目.0), 又は有害作用を生じるまで(共通4桁項目.1), 依存(共通4桁項目.2), 又はその他の障害(共通4桁項目.3-.9)を生じるまでに摂取されている場合に, コーディングされるべきである。
摂取されている精神作用物質のパターンが混沌としており, 特定できないとか, 異なった精神作用物質の関与がわからないほど混合しているという場合にのみ, 多剤使用による精神及び行動の障害という診断(F19.-)が用いられるべきである。
除外
- 依存を生じない物質の乱用(F55)
- 下記の4桁細分類項目は項目F10-F19 に使用する。
.0 急性中毒
※ 中毒 (intoxication) には、 ①酔うこと (inebriation) ②中毒(poisoning)の意味がある。
- (アルコール依存症における)急性酩酊
- “悪酔い”(薬物)
- 酩酊 NOS
- 病的酩酊
- 精神作用物質中毒によるトランス及び憑依障害
除外
- 薬物による中毒<poisoning>を意味する場合(T36-T50)
精神作用物質の摂取に引き続いて生じる状態である。
意識レベル, 認知, 知覚, 感情又は行動の障害を生じたり, あるいはその他の精神生理的機能及び反応の障害を生じる。
この障害はその物質の薬理学的急性効果に直接関係するものであり, 時間の経過とともに消褪して完全に回復する。 ただし, 組織損傷又はその他の合併症が生じた場合は例外である。
合併症としては外傷, 吐物吸入,せん妄, 昏睡, けいれん<痙攣>及びその他の医学的合併症があることがある。
これらの合併症の性質は中毒物質の薬理学的種類と摂取方法によって異なる。
.1 有害な使用
健康障害を引き起こすような, 精神作用物質の使用形式。
障害は身体的であるか(精神作用物質の自己注射による肝炎の場合等)あるいは精神的である(たとえば, 大量飲酒による二次性のうつ病性障害のエピソード)。
- 精神作用物質乱用
.2 依存症候群
一連の行動, 認知及び身体的現象である。 物質の反復使用の後に現われ,典型的には,薬物摂取の強い渇望があり, その使用についての制御が困難になり, 有害な影響があるにもかかわらず持続して使用し, 薬物の使用に対しては, その他の活動や義務よりも一層高位の優先権を与え, 耐性が亢進し, 時には, 身体的離脱状態を示す。
依存症候群は特異的精神作用物質(たとえばタバコ, アルコール, 又はジアゼパム)についても, 薬物(たとえばアヘン類薬物)についても, 又はさらに広い範囲の薬理学的に異なる精神作用物質群についても発症することがある。
- 慢性中毒
- 渇酒症
- 薬物嗜癖
.3 離脱状態
精神作用物質を持続的に使用した後で, その物質から完全に, 又は相対的に離脱する時に生じる, 種々の性質と重症度を持つ一群の症状である。
離脱状態の発生と経過は時間的に限定されており,精神作用物質の種類に関連し,使用の中止又は減量の直前の使用量に関係する。
離脱状態の合併症にはけいれん<痙攣>も生じることがある。
.4 せん妄を伴う離脱状態
この病態は, 共通4桁項目.3で定義された離脱状態に, F05.-で定義されるようなせん妄が合併した場合である。
けいれん<痙攣>も生じることがある。
器質的要因がまた原因の役割を演じていると考えられる場合は, この病態はF05.8 に分類する。
- 振戦せん妄(アルコールによる)
.5 精神病性障害
精神作用物質の使用中又は使用に引き続き生じる一群の精神病性現象であるが,急性中毒によるだけでは説明できず, また離脱状態の症状でもない。
この障害の特徴は, 幻覚(典型的には幻聴だが, しばしば一つ以上の感覚様式に生じる), 知覚錯誤, 妄想(しばしば妄想的又は被害的な性質の), 精神運動性障害(興奮又は昏迷), そして強度の恐怖からエクスタシーに至るような, 異常な感情である。
意識は通常は清明であるが, ある程度の意識混濁があることもある。 しかし, 重症の錯乱はない。
- アルコール性:
・幻覚症
・嫉妬
・パラノイア
・精神病 NOS
除外
アルコール又はその他の精神作用物質による残遺及び遅発性精神病性 障害
(共通4桁項目.7を伴うF10-F19)
.6 健忘症候群
最近の記憶と遠隔記憶の顕著な慢性障害を伴う症候群。 即時の記憶再生は通常は保たれており, 特徴としては最近の記憶が遠隔記憶より障害されていることである。
時間感覚の障害及びできごとの順序付けの障害が通常は著明であり,また同様に新しいことがらの学習能力の障害も著しい。
作話が顕著に見られることがあるが, それは必ず存在するとは限らない。
その他の認知機能は通常は比較的良好に保たれており, 健忘性の欠損がその他の機能の障害よりも比較にならない程に大きい。
健忘性障害, アルコール又は薬物によるものコルサコフ<Korsakov>精神病又は症候群, アルコールもしくは他の精神作用物質によるもの, 又は詳細不明のものウェルニッケ<Wernicke>病又は症候群に関連する分類が必要な場合は、追加コード(E51.2† G32.8*)を使用する。
除外
非アルコール性コルサコフ<Korsakov>精神病又は症候群(F04)
.7 残遺性及び遅発性の精神病性障害
アルコール又は精神作用物質による認知, 感情, 人格又は行動の変化が, 精神作用物質の直接的効果が作用していると十分に考えられる期間を過ぎてもなお存続している障害。
この障害の発生は精神作用物質の使用に直接関係していなければならない。
この状態が初めて発病したのがその物質を使用したエピソードよりも後であるような症例については, この状態がその精神作用物質の残遺効果によるものであるという明白で強力な証拠が得られる場合にのみ, ここにコードすべきである。
フラッシュバックを精神病的状態から鑑別するのには, 一つにはフラッシュバックのエピソード的性質により, しばしば非常に短い持続時間であることにより, 又はフラッシュバックでは以前のアルコールもしくはその他の精神作用物質による体験が再現されることによる。
- アルコール性認知症 NOS
- 慢性アルコール性脳症候群
- 認知症及びその他の持続性認知
- 障害の軽症型
- フラッシュバック
- 精神作用物質による遅発性精神病(性障害)
- 幻覚剤使用後の知覚障害
- 残遺性:
・情緒障害
・人格及び行動の障害
除外
- アルコール又は精神作用物質による:
・コルサコフ<Korsakov>症候群(共通4桁項目.6を伴うF10-F19)
・精神病状態(共通4桁項目.5を伴うF10-F19)
.8 その他の精神及び行動の障害
.9 詳細不明の精神及び行動の障害
精神作用物質使用による精神及び行動の障害(F10-F18)
※[4桁細分類項目は F10 の前を参照]
F10.- アルコール使用<飲酒>による精神及び行動の障害
F11.- アヘン類使用による精神及び行動の障害
F12.- 大麻類使用による精神及び行動の障害
F13.- 鎮静薬又は催眠薬使用による精神及び行動の障害
F14.- コカイン使用による精神及び行動の障害
F15.- カフェインを含むその他の精神刺激薬使用による精神及び行動の障害
- F15.-a カフェインによる精神及び行動の障害
- F15.-b アンフェタミンによる精神及び行動の障害
- F15.-c その他の精神刺激薬使用による精神及び行動の障害
F16.- 幻覚薬使用による精神及び行動の障害
F17.- タバコ使用<喫煙>による精神及び行動の障害
F18.- 揮発性溶剤使用による精神及び行動の障害
F19.- 多剤使用及びその他の精神作用物質使用による精神及び行動の障害
2種類以上の精神作用物質との関連がわかっているが, どの物質が障害に最も関与しているかを評価することが不可能な場合に, 本項目を使用する。
本項目は, 使用されている精神作用物質の中のあるものか, 又はそのすべての物質を使用しているのか,正確な同定が不確実又は未知の場合にも使用されるべきである。
なぜならば, 多剤使用者の多くは彼ら自身摂取しているものの詳細を知らないことが多いからである。
包含
- 薬物の誤使用 NOS