【わかりやすく解説】知的障害で障害年金を申請するポイント

知的障害の障害年金

知的障害で障害年金の申請を検討されている親御様へ

当事務所では特別支援学校など、障害を持ったお子様のご両親への障害年金の普及活動を積極的に行っています。

そこで、「子どもの将来が心配」という声をよくお聞きします。

障害年金はお子様だけでなくご家族にとっても重要な制度です。

知的障害で障害年金を受給する場合、いくつか申請にあたって注意する点があります。

そこで、知的障害で障害年金を受給する為のポイントやよく頂くご質問などふまえて、分かりやすくご説明したいと思います。

障害年金のことを知りたいけど、「説明が長くて読むのが大変・・・」「分かりにくい・・・」「私の場合、どれに当てはまるのか分からない・・・」という方はお気軽にお電話かLINEでお問い合わせください。丁寧にご説明させていただきます。

障害年金とは

障害年金は、病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、現役世代の方も含めて受け取ることができる年金です。(日本年金機構HP:「障害年金」より)

知的障害のお子様をお持ちの方は、これまで療育手帳などは病院や地方自治体から積極的に取得の指示があったかと思います。

しかし障害年金は、国や病院や市区町村が積極的に受給申請を指示する仕組みはありません。

障害年金は、国や病院・学校から通知が来るわけではなく自ら申請する必要があります。

(※障害年金の制度は『障害年金とは』のページで詳しくご説明していますので、障害年金の制度に関して知りたい方はご参照ください。)

「知的障害」での障害年金の受給要件

「知的障害」で障害年金を受給するには、受給できる年齢や障害の程度が決められています。

どのような要件があるのかを見てみましょう。

【要件1】年齢による要件

知的障害に限らずですが、障害年金は20歳の誕生日から受給できるようになります。

後述しますように在学中から障害年金申請の準備を始めることをおすすめします。

【要件2】障害の程度による要件

受給できる障害の程度はどのように決められていて、どの程度の障害であれば障害年金が受給できるのでしょうか?

そのを定めた基準を「障害認定基準」といいます。

障害の程度が以下の表に該当すると障害年金を受給することが出来るとされています。

障害等級障害状態

1級

知的障害があり、食事や身のまわりのことを行うのに全面的な援助が必要であって、かつ、会話による意思の疎通が不可能か著しく困難であるため、日常生活が困難で常時援助を必要とするもの
2級知的障害があり、食事や身のまわりのことなどの基本的な行為を行うのに援助が必要であって、かつ、会話による意思の疎通が簡単なものに限られるため、日常生活にあたって援助が必要なもの
3級知的障害があり、労働が著しい制限を受けるもの

(※参照:『国民年金・厚生年金保険 精神の障害に係る等級判定ガイドライン』)

とくに太字部分が重要になります。

「全面的」「不可能か著しく困難」「基本的な行為を行うのに援助」・・・ちょっとわかりにくいですよね。

これを判りやすく表にまとめると以下のようになります!

 身のまわり
のこと
仕事意思疎通援助の頻度IQの目安
1級×××常時35未満
2級たびたび35~70

「知的障害の」障害の程度に関する注意点

厚生労働省の発表している障害認定基準では3級の記載があるため誤解されやすいですが、知的障害は原則3級はありません

知的障害の場合「障害基礎年金」での申請となりますので、認定されるのは「1級または2級」のいずれかに限られます。

軽度知的障害でも障害年金を受給できます

軽度の知的障害の方の場合、療育手帳の等級「B2」「4度」となります。

「療育手帳がB2だと障害年金は受給できない」などの噂がありますが、このような軽度とされる知的障害でも成功した事例が多くあります。

療育手帳制度は、法律で定められた制度ではなく、「療育手帳制度について(昭和48年9月27日厚生省発児第156号厚生事務次官通知)」というガイドラインに基づいた制度です。

都道府県・政令指定都市ごとに制定して行われている制度ですので、法令上に規定がありません。

障害年金と療育手帳(障害者手帳)は基準とされる法律が異なりますので、障害年金と療育手帳の等級が一致するとは限りません

当センターでのこれまでの経験から、療育手帳の等級と障害年金の等級の関係を表すると以下のようになります。

あくまでも目安として参考程度にご覧ください。

程度療育手帳IQ精神年齢障害年金
最重度 A(1)・1度20未満 1級
重度 A(2)・2度20~343歳~6歳未満1~2級
中度 B(1)・3度35~495歳~8歳未満2級
軽度 B(2)・4度50~697歳~10歳未満2級?

療育手帳がB2でも障害年金が貰える場合があるんですね。

療育手帳の等級がB2の軽度の知的障害の方でも障害年金を受給できた事例が多くあります。

※「軽度知的障害(療育手帳 B2、C、4度)では障害年金をもらえない?」のページでも詳しくご説明していますので、ご参照下さい。

軽度知的障害での障害年金受給事例

こちらの依頼主様は、「軽度知的障害では申請しても受給出来ない」と他の社労士事務所に断られ、半ば申請を諦めていたところ、弊所にご相談を頂き、受給が決まった事例です。

病名軽度知的障害
IQ61
受給がきまった年金障害基礎年金2級

「知的障害」で障害年金を請求する3つのポイント

いざ申請手続きを行うという段階でも、制度の複雑さから様々な問題に直面するかと思います。

そこで知的障害で障害年金を受給する為のポイントをご紹介いたします。

そのほかに気になる点がありましたらお気軽にご質問ください。

【ポイント1】在学中に申請準備をする

障害年金の準備は高校入学や特別支援学校へ入学頃からゆっくりと準備を始めてある程度整った状態で卒業を迎えるのが理想です。

年金の手続きは卒業後になるため、各家庭内で自発的な行動となります。

就職している場合であれば会社から一定の支援がある場合もありますが、それ以上踏み込んで将来設計を考えてくれることはあまりありません。

そこで学校や周囲からの支援がある間に将来設計を立てておくことが重要となるためです。

在学中に申請を準備することで以下のようなメリットがあります。

【メリット1】親同士のネットワークが活用できる

在学中ですととくに親御さん同士の情報共有しやすく、病院の情報が得ることができます。

【メリット2】 教員の方からの協力が得やすい

特別支援学校で勤務する教員の方々には放課後等デイサービスや施設・NPO法人等の職員を経験されてきた方もおり病院に対する知識が広い先生もいらっしゃいます。

【メリット3】 医師や看護師からのアドバイスを受けやすい

特別支援学校の中には医療的ケアの必要な障害がある児童もいます。

このような場合、医療関係者が日常的に学校を出入りしているため直接、医師や看護師からさまざまな病院の情報を得るチャンスもあります。

【ポイント2】受診状況等証明書の提出は不要

障害年金の請求では受診状況等証明書という書類を使って初診日の証明します。

しかし知的障害の場合は先天性または生まれた後の早い時期に生じる障害とされているため、生まれた日が初診日とされています。

そのため、知的障害で障害年金を請求する際は受診状況等証明書の提出は不要とされています。

年金事務所の窓口で担当者さんによっては受診状況等証明書の提出を求められることがあるようですが、不要ですのでご注意ください。

20歳を超えてから知的障害とわかった場合の初診日の取り扱いはどうなりますか?

軽度の知的障害のケースの場合は働きだしてから知的障害であることに気付くということもありますね。

そういった場合であっても知的障害は生まれた日が初診日として扱われます。

つまり厚生年金に加入期間中に知的障害とわかったケースでも障害基礎年金となります。

20歳を超えて軽度知的障害と診断された方の事例

こちらの事例は、20歳を超えて初めて医療機関を受診して軽度知的障害と診断された方の障害年金の受給事例です。

病名軽度知的障害
受給がきまった年金障害基礎年金2級

【ポイント3】病歴・就労状況等申立書の作成

病歴・就労状況等申立書は申請者が記入・作成する書類です。

出生から現在までの日常生活状況・通院期間・症状・就労状況などを記入するのですが、そこで問題となるのが「病歴・通院歴」です。

知的障害の場合、他の傷病の違って基本的に定期的な通院は不要なことから多くの欄が「受診していない」となります。

「あれ?これって不利になるの?」と不安に思われるかも知れませんが、問題ありません。

審査は病気の特徴を踏まえて行われるので、知的障害の場合は受診や通院をしていないケースはよくあることですので、受診・通院状況等は未記入で構いません。

日常生活状況や症状などを中心に記入します。

約20年間の日常生活等を記入する時間のかかる作業のため、余裕のある時期に着手することをお勧めします。

「病歴・就労状況等申立書を作る前に知るべき3つの心得」を以下の動画で詳しくご説明していますのでご参照下さい。

知的障害の診断書の注意点

障害年金の審査のうえで最も重点を置かれているといっても良いのが「診断書」です。

障害年金には障害ごとに準備された診断書があり、知的障害の場合は「精神の障害用の診断書」を使います。

知的障害で障害年金を申請する場合の診断書の注意点をご説明します。

診断書の期間

知的障害で障害年金を申請する場合、「20歳の誕生日」の事を障害認定日と呼び、障害認定日の前後3か月の診断書が必要となります。

この期間から外れた診断書を取得すると取り直しが必要となり余計な費用や時間が掛かってしまったケースがありますのでご注意ください。

医療機関の確保

知的障害の場合、普段生活をする上では医療的なケアは特に必要が無いため、定期的な通院をしていない方は多くいらっしゃいます。

そこで問題となるのが、診断書を書いてくれる病院が見つからないといった問題です。

20歳が近づき「いざ申請しよう」と思って病院へ行っても「当院では書けません」と言われた方もいらっしゃいます。

また、障害年金の診断書を記載してもらうには、最低でも3か月は通院が必要となります。

知的障害の場合は1回の受診で診断書を記載してくれる病院もありますが、数回通院して様子をみてから発行するケースも多くあります。

20歳の誕生日を迎えた後に出来るだけ早く請求を行うためには、事前に医療機関の目星を付けておくとロスなくスムーズになります。

以下の動画でも詳しくご説明していますのでご参照下さい。

診断書のチェックポイント

以下にとくに要点となる部分をご紹介しますので、参考にご覧ください。

【⑩ 障害の状態/ア病状又は状態像・イ具体的な記載】

ア欄では「Ⅶ 知能障害等」「 Ⅷ発達障害関連症状」がとくにポイントとなります。

「Ⅶ 知能障害等」ではきちんと知的障害の現状が反映されていることが重要です。

また不適応行動がある場合「 Ⅷ発達障害関連症状」にも〇がつく症状かを医師に確認しましょう。

【ウ 2日常生活能力の判定】

次は裏面の『日常生活能力の判定』欄です。

この欄は一人暮らしを想定してチェックを行う必要があります。

医師も見落としやすいポイントですので、実態とかけ離れていないか診断書を受け取られた際はご自身でもしっかりと確認しましょう。

【ウ 3日常生活能力の程度】

つづいて同じく裏面の『日常生活能力の程度』欄に注目します。

この欄は(精神障害)と(知的障害)に分かれています。

ここで注意すべきは「知的障害のみ」か「知的障害と他の精神疾患もある場合」により記載方法が違います。

「知的障害と他の精神疾患もある場合」は(精神障害)と(知的障害)のいずれも記載する必要があります!

【エ 就労状況】

「働いていたら障害年金は受給できないのでは・・・」と誤解されている方も多くいらっしゃいますが、しかし就労していることのみで即不支給とはなりません。

また「就労支援施設」や「小規模作業所」などに限らず、一般就労している場合であっても何らかの支援・援助や配慮のもとで働いている場合は審査上で考慮されているようです。

よって職場での支援・援助や配慮は、どのようなサポートかを具体的に記載してもらうようにしましょう!

(『「働きながら障害年金をもらえる人」をわかりやすくご説明します』でも詳しくご説明していますので、ご参照ください。)

「知的障害」の障害年金でよくあるご質問

施設での講習会の際、たびたび親御さんから「うちの子でも受給できると知らなった」という言葉を耳します。

お話を伺うと、障害年金について誤認している部分が多くありました。

そこで今回はこれまでの経験・相談の中から『よくある誤解・多くの親御さんが不安や疑問に思うこと』をご紹介、徹底解説していきます!

 軽度知的障害でも障害年金をもらえますか?

知的障害と診断されていますが軽度です。軽度でも障害年金はもらえますか?

軽度の知的障害であっても障害年金を受給できる可能性はあります。

一般的に「軽度」はIQ70未満を言いますが、障害年金の審査対象は「IQのみ」ではありません。

障害認定基準に「知的障害の認定に当たっては、知能指数のみに着眼することなく、日常生活のさまざまな場面における援助の必要度を勘案して総合的に判断する」と示されています。(障害認定基準 D知的障害(3)

その為 ①療養状況 ②生活環境 ③就労状況 ④発育・療養歴・教育歴 について、しっかりと診断書や申立書で伝わるように準備することにより軽度であっても十分に可能性があります。

軽度知的障害でご自身で申請されて不支給となったため、当センターに再申請のご依頼を頂き支給が決定した方から頂いたご感想を以下にご紹介します。

仕事をしていても障害年金はもらえますか?

仕事をしていても障害年金はもらえますか?

仕事をしていても障害年金を受給できる可能性があります。

就労移行支援事業所や就労継続支援A型事業所、就労継続支援B型事業所などはもちろん、障害者雇用や一般企業でフルタイムで就労している場合でも「仕事の内容」により2級の可能性があります。

例えば、業務内容が単純作業の繰り返しであり、常に頼れる人がそばにいる状態であれば仕事ができるというケースです。

就労していることのみで不支給にはならず、審査では仕事の種類や内容・就労状況・仕事場での援助や意思疎通の状況などが考慮されます。

(『「働きながら障害年金をもらえる人」をわかりやすくご説明します』でも詳しくご説明していますので、ご参照ください。)

障害年金は一生もらえますか?

障害年金は一生もらえますか?

障害年金には「有期認定」と「永久認定」があります。

「有期認定」の場合は「更新」が必要です。

知的障害は期限の無い認定「永久認定」される場合もあります。

永久認定の場合は更新は不要です。

基本的に障害年金は期限を区切られた「有期認定」となります。

有期認定の場合は1~5年ごとに更新が必要となり、更新タイミングで診断書が届きますので都度提出が必要となります。

遠隔地ですがサポートは可能ですか?

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当センターでは、お電話、メール、ラインなどを使って日本全国の申請をサポートしております。

日本全国47都道府県全てからのご依頼と申請の実績がございますので、遠隔地であってもサポートは可能です。

最初は遠方の事務所で不安を感じられていた依頼者様から受給までのご感想をいただいていますので、是非ご覧ください。

まとめ

冒頭にも述べたとおり障害年金の申請が可能となるのは「20歳の誕生日から」です。

では申請の準備も同じタイミングで良いのか?というと、それは違います。

①保護的環境にいる時期に、

②書類の収集時間に余裕を持って、

③落ち着いて申請を行う!

これらのことを大切にしてください。

「まだ申請じゃないけど…不安」や「難しくてよくわからない」など疑問や不安のある方!

相談は無料ですので、ぜひお気軽にご相談ください。

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