【事例287】肝硬変|障害基礎年金2級

肝硬変|障害基礎年金2級

対象者の基本データ

病名 肝硬変
性別 男性
支給額 年額 約78万円
障害の状態
  • ご相談時は入院中
  • ほとんどベッドの上で生活している
  • 現在は病気のため労働出来ない
  • 身体障がい者手帳無し
申請結果 障害基礎年金2級

 

ご相談までの経緯

ご相談者様は40歳頃より、お腹の膨らみや下半身の浮腫み等の自覚症状を持ち始めました。

しかし自営業だったため、健診等を行う機会も無く、そのまま月日が経過していったそうです。

50歳頃、腹部が膨らみ酷くなってきたことをきっかけに医療機関を受診しました。

病院へ行くと『肝硬変』と診断を受け、即日入院。

緊急で手術を施行した結果、状態が安定したため、間もなく退院となったとの事です。

以降は投薬治療に加え、食事療法や禁酒等を行いましたが、発症から約5年後の55歳のときに、意識障害となり救急搬送。

検査によると『重度肝硬変による肝性脳症』と分かり、また癌を併発していることも発覚したためそのまま入院生活となりました。

今後の生活に不安を感じたご相談者様がご家族に年金申請を依頼され、娘様より当事務所にご相談がありました。

 

申請結果

ご相談者様は初診日時点も自営業のため、加入していた年金は『国民年金』であり、障害年金を受給するには2級以上に該当する必要がありました。(ポイント①)

また肝硬変とガンの複数傷病を併発していたことから、まず『申請の仕方』について検討も必要でした。(ポイント①)

そこで診断書を取得する前に、それぞれの主治医へ状態確認のアンケートを実施し、等級の目安をつけることに。

アンケートと検査数値等から『肝硬変のみ』で2級相当であることが分かり、合わせてガンを申請した場合であっても2級となることから、今回は肝硬変のみで申請することとしました。

お手続きでは、主治医より『障害年金用の診断書を作成した経験があまり無い』とのお話があり、直接会いして必須記入項目等をご説明いたしました。(ポイント②)

また経緯等を記入する病歴就労状況等申立書は、入院中のご相談者様に代わって、ご家族よりヒアリングを行い作成。

曖昧な内容については、通院した病院へカルテ開示を実施し、正確な情報を反映しました。

申請は、全体を通して入院中のご相談者様に負担をかけない形で進めていき、審査結果は『障害基礎年金2級』に無事認定がされました。

 

【ポイント1】『初診日に加入していた年金制度』と『受給できる等級』

障害年金には主に3種類あり、いずれを申請するかは『初診日に加入していた年金制度』により決まります。

 

①初診日に国民年金に加入していた場合は『障害基礎年金』

  • 対象:20歳未満のため未加入、アルバイト、自営業、主婦等の第3号被保険者、免除申請中等
  • 等級:1,2級のいずれかに該当(※)3級はありません。
  • 加算:2級以上で子の加算

 

②初診日に厚生年金に加入していた場合は『障害厚生年金』

  • 対象:会社員、社会保険に加入しているアルバイト等
  • 等級:1,2、3級のいずれかに該当
  • 加算:2級以上で子・配偶者加算

 

③初診日に共済年金に加入していた場合は『障害共済年金』

  • 対象:公務員等
  • 等級:1,2、3級のいずれかに該当
  • 加算:2級以上で子・配偶者加算

 

【ポイント2】 複数傷病がある場合の申請方法

複数の病気がある場合『1つの病気に絞って申請する方法』と『複数の傷病をそれぞれ申請する方法』があります。

診断書は、病気ごとに必要となるため複数の傷病をそれぞれ申請する場合は、病気ごとに診断書を取得する必要があります。

また申請時のみならず、更新時も同様に病気ごとの診断書が必要となります。

費用が多くかかってしまう分、1つの傷病のみで等級に該当する可能性がないか慎重に検討することが大切です。

 

【ポイント3】医師は診断書を書くプロではない

医師は病気の治療に関するプロであって、診断書を記載するプロという訳ではありません。

とくに障害年金の診断書は、障がい者手帳等と異なり特別な訓練などもありません。

そこで大切になるのが「障害年金上の評価方法」をしっかりお伝えすることです。

 

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