「手の変形が進んできた」「歩くのがつらくなった」という関節リウマチの方から、障害者手帳についてのご相談をいただくことがあります。一方で「一つひとつの関節はそこまで重くないと言われた」と申請をためらっておられる方も少なくありません。この記事では、関節リウマチで身体障害者手帳の対象となるかの考え方、等級の判断のしくみ、申請の流れ、障害年金との違いをご説明します。

関節リウマチで身体障害者手帳は取得できますか?

関節リウマチによって関節の動きや筋力に一定以上の障害が残っている場合、身体障害者手帳の対象となる可能性があります。判断されるのは病名ではなく、障害の程度です。

対象となるのは3種類のうち「身体障害者手帳」

障害者手帳は、身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳の3種類の総称です。関節リウマチによる関節の機能の障害は、このうち身体障害者手帳の対象となります。種類ごとの違いは障害者手帳とは?制度やメリットをわかりやすく解説、身体障害者手帳の全体像は身体障害者手帳とは?やさしくわかりやすく解説をご覧ください。

判断されるのは病名ではなく「障害の程度」

身体障害者手帳は身体障害者福祉法にもとづく制度で、同法の別表に掲げる障害の程度に該当すると認められた方に交付されます。診断の有無ではなく、その結果として体にどの程度の機能の障害が残っているかで判断されるため、同じ関節リウマチの方でも該当する方と該当しない方がおられます。ご自身の状態についての医学的な判断は、主治医にご確認ください。

関節リウマチが審査される「肢体不自由」の考え方

関節リウマチによる関節の機能の障害は、身体障害の区分のうち「肢体不自由」として審査されるのが一般的です。ここでは、厚生労働省「身体障害認定基準」(平成15年1月10日 障発第0110001号・改正後全文)にもとづき、何が見られるのかをご説明します。

関節可動域と筋力が判断の中心になります

肢体不自由は、上肢(腕・手)、下肢(脚・足)、体幹などの区分に分けて評価されます。関節以外の症状を伴う場合は内部障害の区分で判断されることもあり得ますので、どの部位の障害が中心かを主治医とご相談ください。

障害の程度目安
全廃関節可動域が10度以内、または徒手筋力テストで2以下に相当するもの(肩及び足の各関節を除く)
機能の著しい障害関節可動域がおおむね30度以下、または徒手筋力テストで3に相当するもの(肩及び足の各関節を除く)
軽度の障害関節可動域がおおむね90度(足関節の場合は30度を超えないもの)、または徒手筋力テストで各運動方向の平均が4に相当するもの

※肩関節・足関節については、全廃および機能の著しい障害の判定に別の数値が定められています。詳細は主治医または市区町村の窓口にご確認ください。

判定は補装具を装着しない状態で行うとされています。また同基準は次のようにも定めています。

肢体不自由は機能の障害の程度をもって判定するものであるが、その判定は、強制されて行われた一時的能力でしてはならない。

無理をすれば一度はできるという状態が、そのまま「できる」と評価されるわけではありません。日によって状態が変わりやすい方にとって、押さえておきたい点です。

痛みや筋力低下も、客観的に証明できれば機能障害として扱われます

同基準では、肢体の疼痛や筋力低下による障害についても、客観的に証明できるもの、または妥当と思われるものは機能障害として取り扱うとされています。筋力テスト、関節可動域の測定、エックス線写真などによって医学的に証明されるものが例です。痛みは数値にならないから対象外だろうと考えて申請を見送る必要はありませんが、あくまで医学的な証明が前提となります。

何級になる?等級の目安と「合計指数」の仕組み

身体障害者手帳の等級は1級から6級までです。関節リウマチのように複数の関節に障害が及ぶ場合には、それぞれを合算して等級を判断する仕組みが設けられています。

手帳の対象は1級から6級。7級は単独では交付されません

等級表には7級までの区分がありますが、7級の障害が1つだけでは手帳は交付されません。ただし、7級の障害が2つ以上重複する場合、または6級以上の障害と重複する場合は法の対象となります。等級表の備考にも「肢体不自由においては、7級に該当する障害が2以上重複する場合は、6級とする」と定められています。

以下は、等級表から関節リウマチの方に関係しやすい行の抜粋です。

等級上肢の例下肢の例
3級一上肢の機能の著しい障害/一上肢のすべての指の機能を全廃したもの一下肢の機能を全廃したもの
4級一上肢の肩関節、肘関節又は手関節のうち、いずれか一関節の機能を全廃したもの一下肢の機能の著しい障害/一下肢の股関節又は膝関節の機能を全廃したもの
5級一上肢の肩関節、肘関節又は手関節のうち、いずれか一関節の機能の著しい障害一下肢の股関節又は膝関節の機能の著しい障害/一下肢の足関節の機能を全廃したもの
6級一上肢のおや指の機能の著しい障害一下肢の足関節の機能の著しい障害

※身体障害者手帳の等級であり、障害年金の等級とは異なります。

なお、等級表の「不随意運動・失調等により…」という行は乳幼児期以前の非進行性の脳病変による運動機能障害の欄で、関節リウマチの方が参照する行ではありません。他のサイトの抜粋をご覧になる際はご注意ください。

複数の関節に障害があるときは「合計指数」で判定します

2つ以上の障害が重複する場合、身体障害認定基準では、それぞれの障害の等級を指数に置き換えて合計し、その合計指数によって等級を認定するとされています。

障害等級1級2級3級4級5級6級7級
指数181174210.5
合計指数18以上11〜177〜104〜62〜31
認定等級1級2級3級4級5級6級

※身体障害者手帳の認定方法です。障害年金には別に併合等認定基準が定められています。

たとえば5級に相当する障害が2つある場合、指数は2+2で合計4となり4級となる考え方です(仕組みの一例であり、実際の判定は診断書・意見書の内容にもとづいて自治体が個別に行います)。複数の関節に障害が分散しやすい関節リウマチでは、一つひとつは軽いと感じていても合算した結果として等級が付くことがあります。ご自身で早々に諦める前に、主治医にご相談ください。

ただし、すべての障害の指数をそのまま足せるとは限りません。認定基準には、同一の上肢または下肢に重複して障害がある場合の合計指数を、その部位から上肢または下肢を欠いた場合の等級に対応する指数を限度とする特例のほか、重複して認定すべきでない場合の定めもあります。同じ腕・同じ脚の中で障害が重なっても、際限なく積み上がるわけではありません。

人工関節を入れた場合の扱い(手帳と障害年金で異なります)

関節リウマチでは、人工関節や人工骨頭のそう入置換を受けられる方もおられます。この場合、身体障害者手帳と障害年金では判断の考え方が正反対といえるほど異なります。混同されやすい部分ですので、分けてご説明します。

手帳は「置換術後の経過が安定した時点の機能障害」で判定されます

身体障害認定基準では、人工骨頭または人工関節については、その置換術後の経過が安定した時点の機能障害の程度により判定するとされています。人工関節を入れたという事実そのものが等級を決めるわけではありません。この取扱いは平成26年4月1日から適用されています。それ以前は股関節・膝関節が一律4級、足関節が一律5級でしたが、現在は術後の関節可動域等に応じて、股関節・膝関節は4級・5級・7級または非該当、足関節は5級・6級・7級または非該当のいずれかに認定されます。手術を受けても手帳が交付されないことがある点にご注意ください。

障害年金は3大関節へのそう入置換で3級と認定されます

一方、障害年金の障害認定基準では、一上肢または一下肢の3大関節(上肢は肩関節・肘関節・手関節、下肢は股関節・膝関節・足関節)のうち1関節以上に人工骨頭または人工関節をそう入置換したものは3級と認定するとされています。手指の関節は3大関節に含まれません。ただし、そう入置換してもなお、一下肢については「一下肢の用を全く廃したもの」、両下肢については「両下肢の機能に相当程度の障害を残すもの」の程度以上に該当するときは、さらに上位の等級に認定されます。上肢についても同様に、「一上肢の用を全く廃したもの」または「両上肢の機能に相当程度の障害を残すもの」の程度以上に該当するときは、上位の等級に認定されます。

障害の程度を認定する時期にも特例があります。認定基準は「人工骨頭又は人工関節をそう入置換した日(初診日から起算して1年6月を超える場合を除く。)」と定めており、初診日から1年6か月以内の手術であれば、その手術日が障害認定日となります。

一方、1年6か月を超えてから手術を受けた場合、この特例は適用されません。障害認定日は原則どおり初診日から1年6か月を経過した日となり、その時点で等級に該当せず、後日の手術によってはじめて該当した場合は、事後重症による請求となります。この場合、年金は請求した日の翌月分からの支給となり、手術日にさかのぼって受け取れるわけではない点にご注意ください。

なお、障害年金の3級は障害厚生年金にのみ設けられた等級です。初診日に国民年金に加入していた方などは、3級に該当しても障害基礎年金は支給されません。詳しくは人工関節や人工骨頭で障害年金をさかのぼって請求できますか?をご覧ください。

身体障害者手帳では等級に該当しなかった方でも、障害年金では対象となる可能性がある。この非対称性は、人工関節を入れられた方に知っておいていただきたい点です。

身体障害者手帳の申請方法と必要書類

身体障害者手帳の申請は市区町村の窓口で行う福祉の手続です。弊事務所が代行する手続ではありませんが、流れをご存じない方が多いため概要をご説明します。

申請の窓口と一般的な流れ

窓口はお住まいの市区町村の障害福祉担当課で、交付を決定するのは都道府県知事、指定都市の市長または中核市の市長です。

  1. 主治医にご相談:障害の状態が固定した、または永続すると判断される時期に診断書・意見書の作成を依頼します
  2. 窓口で申請:申請書・診断書・意見書・顔写真などを提出します
  3. 審査を経て交付:障害の程度が審査され、決定後に手帳が交付されます

指定医の診断書・意見書が必要です

診断書・意見書は、身体障害者福祉法第15条にもとづき都道府県知事等が指定した医師(いわゆる15条指定医)が作成したものである必要があります。かかりつけの医師が指定医とは限らないため、申請前の確認が欠かせません。様式は障害の部位ごとに分かれており、作成費用は原則として自己負担です。必要書類や交付までの期間は自治体によって異なりますので、窓口で事前にご確認ください。

手帳で受けられる支援・優遇と、その条件

身体障害者手帳を持っているだけで現金が支給される制度はありません。手帳は、各種の支援や優遇を受ける際の「障害があることの証明」として機能します。

適用には等級などの条件があります

所得税の障害者控除では、身体障害者手帳に身体上の障害がある人として記載されている方が対象となり、このうち障害の程度が1級または2級と記載されている方は「特別障害者」に区分されて控除額が大きくなります(国税庁「No.1160 障害者控除」)。このほか交通機関・公共施設の割引、放送受信料の免除などがありますが、いずれも等級・利用区間・世帯の状況といった適用条件があります。医療費の助成や福祉サービスの内容・対象等級も自治体によって大きく異なりますので、市区町村の窓口でご確認ください。

障害の状態が変化する見込みがある場合は再認定があります

身体障害者手帳には原則として有効期限はありません。ただし、更生医療の適用や機能回復訓練等によって障害の状態が変化すると予想される場合には、手帳の交付にあたって障害を認定した日または再認定実施日から1年以上5年以内の期間内に再認定が実施されることがあります(ここでいう認定した日は、障害年金の「障害認定日」とは別の概念です)。

厚生労働省の通知では、再認定の対象となり得る疾患の例として、肢体不自由関係の「関節運動範囲の障害」の項に旧称の「慢性関節リウマチ」の表記で例示されています。関節リウマチの方は、再認定を求められる可能性がある点を念頭に置いておかれるとよいでしょう。詳しくは障害者手帳に更新は必要ですか?をご覧ください。

障害者手帳の等級と障害年金の等級は一致しません

「手帳が4級だから障害年金も4級」といった対応関係はありません。ご相談でもっとも誤解の多い部分ですので、根拠とあわせて整理します。

根拠となる法律も、判断する主体も異なります

身体障害者手帳障害年金
根拠身体障害者福祉法国民年金法・厚生年金保険法
等級1級〜6級(7級は重複時)障害基礎年金1級・2級/障害厚生年金1級〜3級
請求・審査市区町村を経由し、都道府県知事等が交付年金事務所等へ請求。初診日に共済組合等に加入していた方は当該実施機関
判断の中心関節可動域・筋力などの機能障害日常生活や労働がどの程度制限されるか

※判断の中心を示したもので、いずれか一方だけで決まるわけではありません。身体障害者手帳でも日常生活上の支障との整合が確認され、障害年金でも関節可動域・筋力・巧緻性・速さ・耐久性といった医学的所見が用いられます。

日本年金機構の「障害年金ガイド 令和8年度版」でも、障害等級表について「身体障害者手帳の等級とは異なります」と明記されています。なお、精神障害者保健福祉手帳には年金証書等の写しで申請できる取扱いがありますが、身体障害者手帳にこの取扱いはありません。

手帳が非該当でも、障害年金を受給できることがあります

障害年金では、関節リウマチによる障害は国民年金・厚生年金保険 障害認定基準(令和4年4月1日改正版) 第7節「肢体の障害」を適用して審査されます。障害が上肢の範囲に限られる場合は第1 上肢の障害、下肢の範囲に限られる場合は第2 下肢の障害、体幹・脊柱に限られる場合は第3 体幹・脊柱の機能の障害により認定されます。上肢と下肢の双方にわたるなど、肢体の障害が広範囲に及ぶ場合には、第4 肢体の機能の障害として認定されます。

手帳とは判断の枠組みが異なるため、手帳が非該当であった方や等級が軽い方でも障害年金の対象となる可能性があり、逆に手帳の等級が重くても障害年金では認められないこともあります。

障害年金には、初診日・保険料納付要件・障害の状態という3つの要件があります。障害基礎年金の対象となる初診日は、国民年金加入期間のほか、20歳前または日本国内に住んでいる60歳以上65歳未満で年金制度に加入していない期間も含まれます(老齢基礎年金を繰り上げて受給している方を除きます)。

保険料納付要件は、初診日の前日において、初診日がある月の2か月前までの被保険者期間のうち保険料納付済期間と保険料免除期間をあわせた期間が3分の2以上あることが原則です。初診日が令和18年3月末日までにあるときは、初診日において65歳未満で直近1年間に未納期間がなければ要件を満たすものとされます。なお、20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合、納付要件は不要です。

令和8年度の障害基礎年金は1級1,059,125円、2級847,300円です(昭和31年4月1日以前にお生まれの方は1級1,056,125円、2級844,900円)。障害厚生年金3級の最低保障額は635,500円(同以前にお生まれの方は633,700円)です。初診日に厚生年金保険に加入していた方が1級・2級に該当する場合は、障害基礎年金に加えて報酬比例の年金額(1級は×1.25)が上乗せされ、対象となる配偶者がいる場合は加給年金額が加算されます。疾病別の目安は関節リウマチでもらえる障害年金の金額はいくら?、年度別の一覧は令和8年度の障害年金額の一覧をご覧ください。

障害認定日に等級に該当しなかった場合でも、その後症状が重くなったときは事後重症による請求ができます。ただし、請求書は原則として65歳の誕生日の前々日までに提出する必要があります。

関節リウマチで障害年金を受給された方の事例

弊事務所では、関節リウマチの方の障害年金申請を数多くお手伝いしてきました。厚生年金に加入したまま就労を続けながら、両手の変形と歩行の困難によって申請にいたった50代の方、初診時のカルテがすでに破棄されていたものの他の資料から初診日を明らかにできた方、最初に受診した病院が閉院していた方など、状況はさまざまです。

※個別事案により判断は異なります。

関節リウマチと障害者手帳に関するよくあるご質問

ご相談の際によくいただくご質問を整理します。

Q. 障害者手帳がなくても障害年金は請求できますか?

はい、請求できます。障害者手帳は障害年金の必要書類ではなく、手帳の有無にかかわらず障害認定基準に照らして判断されます。詳しくは「障害年金」と「障害者手帳」の関係をご覧ください。

Q. 働きながらでも障害年金を受給できますか?

肢体の障害の場合、就労している事実だけで直ちに対象外となるものではありません。リウマチによる手足の障害で働きながらでも障害年金は受給できる?もご参照ください。

まとめ

関節リウマチと障害者手帳について、押さえておきたい点を整理します。

  • 関節リウマチは身体障害者手帳の「肢体不自由」として審査され、関節可動域や筋力を中心に判断されます。痛みや筋力低下も客観的に証明できれば機能障害として扱われます
  • 複数の関節に障害がある場合は合計指数によって等級が判断されるため、一つひとつが軽くても等級が付くことがあります
  • 人工関節は、手帳では術後の機能障害の程度で判定され、障害年金では3大関節へのそう入置換で3級と認定されます
  • 手帳の等級と障害年金の等級は一致せず、手帳が非該当でも障害年金の対象となる可能性があります

障害年金の申請でお悩みの方は、わくわく社会保険労務士法人(全国障害年金サポートセンター)までお気軽にご相談ください。


※本記事は2026年7月時点の年金法令・障害認定基準および身体障害認定基準に基づき作成しています。法令改正等により内容が変更される可能性があるため、最新の情報は日本年金機構の公式サイト等でご確認ください。身体障害者手帳の申請・支援制度の詳細は、お住まいの市区町村にお問い合わせください。個別の事案については社会保険労務士等の専門家へのご相談を推奨します。医学的判断は主治医にご確認ください。