障害年金の遡及請求と事後重症請求の違いは何ですか?

障害年金の「遡及請求」と「事後重症請求」のいちばん大きな違いは、障害認定日(原則:初診日から1年6か月)に、すでに障害等級に該当していたかどうかです。

ここが違うため、年金を受け取り始める時期(=いつから支給されるか)と、過去にさかのぼって受け取れるかが変わります。

まず押さえたい2つの基準日(初診日・障害認定日)

  • 初診日:その病気やけがで、はじめて医師等の診療を受けた日(転医しても最初の受診日が基準)です。(※詳しくは『初診日とは』をご参照下さい。)
  • 障害認定日:障害の状態を定める日で、原則は『初診日から1年6か月を過ぎた日』です。ただし、1年6か月以内に病気やけがが治った場合(症状が固定した場合)は、その日が障害認定日になります。さらに、人工透析(導入から一定期間経過)など、法令上『障害認定日』が別に定められているケースもあります。(※詳しくは『障害認定日とは』をご参照下さい。)

(参考:日本年金機構ホームページ『障害年金のご案内』)

遡及請求とは

一般に「遡及請求」と呼ばれるのは、障害認定日時点で障害等級に該当していたのに、何らかの事情で請求が遅れ、後日あらためて請求して認定日にさかのぼって請求するケースを指します。

日本年金機構の整理では、この系統は 「障害認定日による請求」 になります。

認定日に要件を満たしていれば、原則として障害認定日の翌月分から受給できます。(※障害基礎年金で、障害認定日が20歳前(または障害認定日以後に20歳に到達)に当たる場合は、20歳に達した日の翌月分からが原則になります。)

障害認定日と請求日が1年以上離れている場合は、認定日付近の診断書に加えて、請求日前3か月以内の直近の診断書も必要になります。

実際に「過去分」を受け取れるのは、時効により原則5年分が限度と明記されています。

ただし、年金の支払いは原則5年で時効となりますが、事情により取扱いが異なる場合(時効の援用に関する取扱い、時効特例給付など)があります。(参考:日本年金機構ホームページ『時効特例給付に該当する方へ』)

(※詳しくは『遡及請求とは』をご参照ください。)

事後重症請求とは

障害認定日には等級に該当しなかったものの、その後に症状が悪化して等級に該当する状態になったときに行う請求が「事後重症による請求」です。

受給開始は、請求日の翌月分からになります(=遡っては受け取れません)。

請求の期限として、65歳の誕生日の前々日までに提出が必要とされています。

さらに注意点として、老齢年金を繰上げ請求した日以後は「事後重症などによる障害基礎(厚生)年金」を請求できない旨が示されています。

(※詳しくは『事後重症請求とは』をご参照ください。)

「遡及請求」と「事後重症請求」の比較

比較ポイント遡及請求(=障害認定日による請求を後から)事後重症請求
認定日時点の状態認定日で等級に該当していた認定日では該当せず、その後に悪化して該当
受給開始(原則)障害認定日の翌月分から請求日の翌月分から
過去にさかのぼれる?可能。ただし時効で原則「5年分が限度」不可(原則さかのぼりなし)
診断書の考え方認定日付近の診断書が重要。認定日と請求日が1年以上離れると直近の診断書も必要基本は請求時点の状態を示す診断書が中心
年齢の制限(ポイント)(ページ上の明示は「いつでも請求可」)※ただし実務上の個別条件は要確認65歳の誕生日の前々日までに提出が必要

※上表の根拠:障害認定日による請求/事後重症による請求の支給開始・5年限度・65歳前々日要件は日本年金機構の案内に基づきます。
※診断書の追加要件(認定日と請求日が1年以上離れる場合)は、日本年金機構の提出書類案内に基づきます。
※時効の基本(権利は5年で時効)は日本年金機構の「年金の時効」に基づきます。

※本記事は『遡及請求(=障害認定日による請求を後から行うケース)』と『事後重症による請求』の違いに絞って整理しています。なお、ケースによってはこれらとは別に、『初めて障害等級の1級または2級に該当したことによる請求(いわゆる初めて2級)』という請求類型が問題になることがあります。

どちらに当てはまりやすい?(簡易チェック)

  • 「認定日(初診から1年6か月頃)の時点で、すでに日常生活や就労がかなり難しかった」→ 遡及請求(認定日による請求)を検討しやすいです。
  • 「認定日当時はそこまで重くなかったが、その後に悪化して等級に該当しそう」→ 事後重症請求が典型です。

実務で差が出やすい注意点

  1. 遡及請求は「認定日当時」を証明するハードルが高い:認定日付近の診断書や当時の受診状況が重要になります。認定日と請求日が1年以上空くと、直近診断書も追加で必要です。
  2. 事後重症は「早く出した人が有利」になりやすい:請求日の翌月から支給なので、遅れるほど受給開始も遅れます。
  3. 年齢・老齢年金との関係に要注意:事後重症は65歳前々日までの提出期限があり、さらに老齢年金を繰上げ請求すると、その後は事後重症などによる障害年金を請求できません。

まとめ

  • 遡及請求は、『障害認定日時点で等級に該当していた』場合に、後から請求して障害認定日の翌月分から受給を狙う考え方です。ただし過去分は時効で原則5年が限度で、認定日当時を示す資料(診断書等)の準備がカギになります。
  • 事後重症請求は、「認定日では該当しなかったが、その後に悪化した」場合に行い、支給は請求日の翌月から遡りはありません。また65歳前々日までなど期限面の注意が必要です。

※障害年金をさかのぼってする請求(遡及請求)に関しましては『障害年金の遡及請求とは|はじめての人にも分かりやすく解説します』のページで詳しくご説明していますので、ご参照ください。

障害年金の遡及請求とは

障害年金の遡及請求に関する説明ページと動画

障害年金の診断書に関しましては『障害年金の遡及請求とは?』のページで詳しくご説明していますので、ご参照下さい。

以下の動画でも遡及請求に関する説明をしていますので、是非ご覧ください。

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