【事例888】線維筋痛症|障害厚生年金2級

線維筋痛症|障害厚生年金2級

対象者の基本データ

病名 線維筋痛症(せんいきんつうしょう)
性別 女性
支給額 年額 約136万円
遡及金額 約45万円
障害の状態
  • 線維筋痛症の重症度分類ステージⅢ(ポイント①)
  • トイレや着替えも一人では厳しく、家族の手を借りる必要がある
  • 屋外の歩行は出来ず、電動車椅子が必要
  • 身体障害者手帳なし
申請結果 障害厚生年金2級

 

ご相談までの経緯

2年程前、咽頭痛、関節痛、全身倦怠感、発熱、頭痛、吐き気などの風邪のような症状があり、持病でも診察治療を受けていたA病院を受診されました。

内服治療が行われましたが、症状改善はありませんでした。

新型コロナウイルス感染が疑われ、保健所の指示でB病院を受診し、各種検査を受けましたが、PCR検査は陰性であり、症状の原因は不明でした。

2ヶ月以上同様の症状が継続し、A病院へ再診した際に入院での精査が望ましいと判断され、C病院へ転院となりました。

転院先のC病院にて「線維筋痛症」と確定診断を受け、鎮痛薬や漢方薬等による治療が始まりましたが、症状改善は乏しく日常生活活動能力の低下は徐々に進行し、現在は外出時には電動車椅子が必要となっています。

家庭内の生活も家族の援助があって何とか成り立っている状況で、仕事はとても出来ない為、経済的にも精神的にも家族へ負担をかけていることに自責の念を感じておられました。

そんな中で障害年金制度を知り、自分も対象となるのか、当事務所までご相談をいただきました。

 

申請結果

障害年金では初診日の証明が非常に大切とされています。(ポイント②)

特に難病の場合は初診日の特定が困難なケースが多く、症状や治療経過等を十分に精査し、申請書類を組み立てていく必要があります。

今回は確定診断は得られていませんが、体調が悪くなり、初めて受診したA病院を初診日として申請を進めることしました。

A病院では他の持病でも通院歴があったため、今回の障害年金申請の傷病内容をお伝えし、申請傷病に係る症状やC病院へ紹介に至る経過を明確に記載していただきました。

初診日の証明が整い、次に診断書の依頼へと進めます。

申請時現在時点で初診日から2年程経過していたため、初診日から1年6月経過した日(障害認定日)時点の診断書を取得し、障害認定日による請求を行います。

障害認定日による請求を行う場合、障害認定日から3か月以内時点の障害状態のわかる診断書の提出が求められますが、当該有効期限内とされる診察時点のカルテの内容からは、診断書の作成が難しいと病院からお話がありました。

受給を確実なものとするため、障害認定日による請求を諦める選択肢もありますが、有効とされる期間からは2ヵ月程ズレた時点であれば診断書を作成できるということでした。

有効期限とはズレますが、障害認定日から5か月程経過した日時点の診断書を作成していただき、障害認定日による請求を行うこととしました。

診断書には症状や治療経過等をしっかりと記載いただいており、病歴就労状況等申立書においても障害認定日頃の症状経過等について補足して提出しました。

結果、障害認定日による請求が認められ、障害認定日の翌月分から遡って障害厚生年金2級が支給されることとなりました。

 

【ポイント1】線維筋痛症の障害年金とステージの目安

線維筋痛症は「線維筋痛症の重症度分類試案(厚生労働省研究班)」により、症状の度合いをステージⅠ(軽度)~ステージⅤ(重度)の5段階に分類されています。

必ずしもステージと障害年金の等級は一致はしないですが、目安としては以下のようになります。

ステージⅡ~Ⅲ:3級
ステージⅢ~Ⅳ:2級
ステージⅤ:1級

 

【ポイント2】難病での特殊な初診日の考え方

線維筋痛症や慢性疲労症候群といった難病の場合は、確定診断までに、病院を転々としたり、長く時間が掛かるケースがあります。

本来の初診日の考え方は、体調が悪くなり最初に医療機関を受診した日が初診日とされています。

しかし難病の場合は、確定診断日を初診日とする傾向が増えてきています。

ただし発病から現在の症状や医師の意見、各病院での検査結果などにより、原則どおり体調が悪くなり最初に医療機関を受診した日が初診日と認定されることもあります。

そのため、治療内容や経過を良く精査し因果関係の有無を考えながら、申請の方針を定めていく必要があります。

 

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