【事例804】急性大動脈解離 Stanford A|障害厚生年金3級

急性大動脈解離 Stanford A(人工血管)|障害厚生年金3級

対象者の基本データ

病名 急性大動脈解離 Stanford A
性別 女性
支給額 年額 約59万円
障害の状態
  • 医師から日常生活への制限は設けられていない
  • 動作時の息切れや胸痛などの自覚症状あり
  • 上行大動脈基部置換術あり
  • 身体障害者手帳1級
申請結果 障害厚生年金3級

 

ご相談までの経緯

10代の頃、風疹で医療機関を受診した際に不整脈を認めたことから、マルファン症候群の疑いがあると指摘を受けたことがあったそうです。

ご家族にマルファン症候群の方がおられ、遺伝性のある疾患であったため不安もあり、経過観察の為何度か検査の為通院を継続していましたが、特段治療が必要とされることはなく、マルファン症候群の疑いのままで確定診断に至ることはありませんでした。

また自覚症状もなく、日常生活にも支障なく過ごせていたため、治療の必要もないことから5年程で通院も中断。

その後就職し、正社員として働き始め、結婚出産を機に退職されることとなりました。

第一子出産時に遺伝子診断より「マルファン症候群」と確定診断を受け、産後経過観察の為通院を継続しましたが、検査のみで特段治療を受けることもなく、自覚症状もなく、日常生活にも何ら支障なく過ごしていました。

子育てが落ち着いた頃、再び就職し、正社員として働き始めたところ、突然の胸痛・呼吸困難等の症状が出現し、A病院へ救急搬送されました。

「急性大動脈解離StanfordA」と診断され、緊急で大動脈瘤切除術、大動脈基部置換術を受けました。

術後現在、医師からの制限は特段ありませんが、動悸や息切れ、易疲労感などの症状があることから職場復帰に職場の配慮と支援が必要な状況で発病前と同等には振る舞えない状態が続いています。

今までと同様には働けないことで職場や家族への負担、経済的な不安を抱えていました。

ネットで障害年金制度を知り、当事務所に同様の傷病での受給事例があったことからメールフォームよりご相談いただきました。

 

申請結果

現在のご相談者様の状況をお伺いすると「3級」に該当する可能性がありました。

「3級」は初診日時点で「厚生年金」や「共済年金」に加入していた方のみが対象となりますので、初診日の特定がポイントとなりました。(ポイント①)

ご相談者様の現在までの経過の中で診断を受けていた「マルファン症候群」と申請傷病である「大動脈解離」には相当因果関係があるものとして扱われる可能性がありました。(ポイント②)

相当因果関係があると扱われた場合は、マルファン症候群の疑いで最初に医師の診療を受けた日である10代の頃が初診日とされ、障害基礎年金の対象となる為、現在の状態では受給対象とならないこととなります。

しかし、現在までの経過についてよくお話をお伺いすると、マルファン症候群での検査歴等はありましたが、異常もなく、特段治療の必要がないことから通院も中断されていました。

また大動脈解離の発症に至るまで自覚症状もなく、日常生活や就労も何ら支障なく過ごせていた期間が長期間ありました。

そのため、相当因果関係があると判断されたとしても、症状もなく、生活にも支障なく、就労可能であった期間が長期間あったことから当該期間が「社会的治癒」期間に該当することを申立て、大動脈解離で初めて医療機関を受診した日を初診日として主張していくこととしました。(ポイント③)

手続きの方針が決定し、診断書を始めとする申請書類を取りそろえ、病歴就労状況等申立書には幼少期から大動脈解離発症に至るまでに経過や背景について詳述し申請しました。

結果、主張した初診日が認められ、「障害厚生年金3級」として基部置換術を受けた翌月分から遡って年金が支給されることとなりました。

 

【ポイント1】『初診日に加入していた年金制度』と『受給できる等級』

障害年金には主に3種類あり、いずれを申請するかは『初診日に加入していた年金制度』により決まります。

①初診日に国民年金に加入していた場合は『障害基礎年金』

  • 対象:20歳未満のため未加入、アルバイト、自営業、主婦等の第3号被保険者、免除申請中等
  • 等級:1,2級のいずれかに該当(※)3級はありません。
  • 加算:2級以上で子の加算

②初診日に厚生年金に加入していた場合は『障害厚生年金』

  • 対象:会社員、社会保険に加入しているアルバイト等
  • 等級:1,2、3級のいずれかに該当
  • 加算:2級以上で子・配偶者加算

③初診日に共済年金に加入していた場合は『障害共済年金』

  • 対象:公務員等
  • 等級:1,2、3級のいずれかに該当
  • 加算:2級以上で子・配偶者加算

初診日による等級の違いは、以下の動画でもご説明していますのでご参照下さい。

 

【ポイント2】相当因果関係について

「前発の傷病がなければ、後発の傷病は起らなかったであろう」と認められる場合は相当因果関係ありとして、前後の傷病が同一の傷病として取り扱われます。

つまり、前発の傷病で最初に医師の診療を受けた日が後発傷病の初診日として取り扱われることとなります。

例えば相当因果関係があるものとしては以下のようなものがあります。

  • 糖尿病→糖尿病性網膜症または糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性動脈閉塞症等
  • 糸球体腎炎(ネフローゼ含む)、多発性のう胞腎、腎盂腎炎→慢性腎不全
  • 肝炎→肝硬変
  • 結核の化学療法による副作用として聴力障害
  • ステロイド投薬→大腿骨頭壊死
  • 事故または脳血管疾患→精神障害

他の傷病でも相当因果関係ありとされる傷病はある為、複数傷病を発症している場合は初診日の取扱いには注意が必要です。

相当因果関係に関する事例は以下のページでご紹介していますのでご参照下さい。

相当因果関係
「前発の傷病がなければ、後発の傷病は起らなかったであろう」と認められる場合は相当因果関係ありとして、前後の傷病が同一の傷病として取り扱われます。 つまり、前発の傷病で最初に医師の診療を受けた日が後発傷病の初診日として取り扱われることとなりま...

 

以下の動画でも相当因果関係のポイントをご説明していますので是非ご覧ください。

 

【ポイント3】社会的治癒

社会的治癒が認められると、初診日が変わります。

社会的治癒とは、「症状無し・生活に支障無し・就労可能な状態」が一定期間続いている場合などは、医学的には治癒とは言えなくとも治癒していると認めましょう!という制度です。

今回のケースのように「一度ケガや病気」となったが、しばらくの間問題なく生活していた後に「再度、症状が悪化・支障が出た」とき、最初のケガや病気は「治癒」その後「再発した」ものとして取り扱います。

障害年金上、再発した場合は「再発した後に初めて診察を受けた日」が初診日になります!

社会的治癒の事例
障害年金制度の社会的治癒とは、「症状無し・生活に支障無し・就労可能な状態」が一定期間続いている場合などは、医学的には治癒とは言えなくとも治癒していると認めましょう!という制度です。

 

人工血管の障害年金申請

『【社労士が解説】人工血管で障害年金を受給するポイント』でも詳しくご説明していますので、是非ご参照ください。

【社労士が解説】人工血管で障害年金を受給するポイント
人工血管を挿入しても軽度の障害が残る場合、要件を満たすことで障害年金を受給できる可能性があります。 人工血管で障害年金を受給する場合の等級は、原則3級です。 ただし、障害年金3級というのは初診日に厚生年金又は共済年金に加入していなければもら...

 

動画で解説

大動脈解離で障害年金を受給する3つのポイントを動画でも説明していますので、是非ご覧ください。

 

その他の循環器の障害の事例

 

    お問合せから申請までの流れ

    お問合せの流れ

    「入院中なので事務所へ行けない」「家から出られない」「人と話すのが苦手・・・」という場合は、ホームページのお問合せフォーム以外にも電話やLINEなどでお気軽にご連絡下さい。

    電話やメール、LINEなどでご質問いただいても、必ず当事務所にご依頼頂かなければいけないということではございません。

    お問合せ頂いた後に当センターから営業の電話などをすることもございませんので、その点はご安心下さい。

    ゆっくりご検討下さい。

    問合せ

    以下のようなご質問の他、どんな些細な事でも結構ですので、お気軽にご相談下さい。

    • 自分がもらえるのかどうか診断して欲しい

    • もらえるとしたら、いくらぐらい受給出来るのかを知りたい

    • 何から手をつけたら良いのかわからない

    • 障害年金にチャレンジしてみたいと思っている

    • どうすればもらえるのか「方法」を知りたい

    • 年金事務所に相談したものの、説明が分かりにくかった・・・

    • 障害手帳を持ってはいるが、障害年金を受給していない

    精神疾患での障害年金無料自動診断

    精神疾患での障害年金の申請をご検討の場合、必要事項を入力頂くだけで「障害年金が受給できる可能性があるか」また「何級相当を受給できる可能性があるか」が自動で表示されます。
    以下のバナーをクリック頂くと、自動無料診断ページにいきます。
    費用は一切かかりませんし、匿名でもご利用頂けます。
    診断の後にこちらから営業の連絡なども致しませんので、安心してお試し下さい。

    精神の障害年金無料診断ページ 障害年金無料自動診断

     

    遠方の事務所への依頼がご心配の方へ

    障害年金の審査の一元化 以前に障害年金の障害認定に地域差があることが問題となり、2017年4月より日本全国から申請される障害年金の審査業務は全て東京の障害年金センターに一元化されました。
    現在では日本全国どこの年金事務所へ提出しても、東京の障害年金センターで審査をされます。
    そのため遠方の方が当事務所にご依頼いただいても、遠方だから審査に違いが出るというようなことはございませんので、ご安心下さい。
     

    お電話でのお問い合わせはこちら

    無料診断・相談はコチラ

    LINE@でのお問合せはこちら

    当事務所では面会やお電話に加えてLINEでのやりとりも対応しております。
    いろいろな事情で面会やお電話でのやりとりが難しい場合は、お気軽にラインでお問合せ下さい。

    LINE友達追加

    ホームページのフォームからのお問い合わせ

    以下のフォームからお問合せ下さい。

    ※お問い合わせ内容をご送信後、自動返信で内容確認のメールをお送りします。 届かない場合は、お手数ですが迷惑メールボックスをご確認頂くか、お電話で当センターまでご確認下さい。

    お住まいの都道府県

    (必須項目)

    生年月日

    西暦 (必須項目)

    お名前

    メールアドレス

    傷病名

    お問い合わせ内容

    現在お仕事はしていますか?

    現在生活保護を受給していますか?

    \ 私は障害年金を受給できるの?/
    \ 私は障害年金を受給できるの?/