目次
対象者の基本データ
病名 | 先天性左尺骨成長障害・先天性左橈骨成長障害 |
---|---|
性別 | 女性 |
支給額 | 年額 約78万円 遡及金額 約364万円 |
障害の状態 |
|
申請結果 | 障害基礎年金2級 |
ご相談までの経緯
ご相談者様は左手の全ての指が欠けている状態で出生しました。
生下時の状態のまま成長し、学生時代に義手を作成し装用されていました。
学生卒業後は、障害者枠で就職し、現在も同じ職場で就労を継続されています。
同じ職場で障害年金の受給権者がいたため、障害年金制度を知り、自分で申請しようと年金事務所で相談していましたが、診断書がなければ遡及請求は出来ないと言われ、苦慮していました。
そんな中、ネットで見つけた当事務所の事例をみて、LINE@よりご相談頂きました。
申請結果
今回の申請傷病の場合、出生時から現在まで障害の状態は変わりようのないことは明らかです。
そのため、障害認定日頃の障害状態にかかる診断書がなくても傷病の特性から認定される可能性があると考え、遡及請求をする方針としました。(ポイント①)
基本的に必要となる書類は通常の請求と変わりませんので、まず初診日の証明となる受診状況等証明書の取得から始めました。
しかし、受診歴の古いA病院、B病院へと連絡を取りましたが、既にカルテ保管期間が経過しておりカルテが破棄されていたり、廃院していたため、受診状況等証明書を取得することが出来ませんでした。
医療機関では初診日の証明を取得することが出来ませんでしたが、当時受診したB病院で診察を受けて身体障害者手帳を取得されていました。
また、ご本人様が幼少期に受診した病院で取得した「療養の記録」をお手持ちでしたので、この2つを初診証明の証拠書類として申請することとしました。(ポイント②)
初診日証明が整い、診断書作成の為、お近くの医療機関で診察を受けていただき、現在の状態の確認出来る診断書を作成していただきました。
診断書を作成いただくにあたって、障害の特性について主治医の先生に一筆診断書内にも記載いただき、加えて障害認定日頃の診断書がなくても障害状態が明らかであることから認定が可能である旨の代理人申立書を作成し申請しました。
結果、「障害基礎年金2級」として、障害認定日頃の診断書がなくても障害認定日に遡って年金の支給が認められました。
【ポイント1】 障害認定日の診断書がない場合の障害認定日による請求
障害認定日による請求を行う場合、原則として障害認定日頃の診断書が必要となります。
しかし、これはあくまでも原則論であり、必ずしも医証によらずとも、障害の程度を判断するための合理的な資料等が得られる場合には認定される余地があると考えられます。
障害認定日頃の診断書が得られないからといってすぐに諦めることなく、医証以外の方法で認定を得られないか一度検討する価値はあると思います。
ただし、全ての傷病で医証がなくても受給ができるというものでは有りませんので、ご注意ください。
【ポイント2】初診日の証明が出来ない場合
障害年金は初診日主義とも言われており、初診日の証明が出来ないと障害年金を受給することが出来ません。
初診日の証明は受診状況等証明書という様式を用いて行います。
この受診状況等証明書は必ずカルテに基づいて記載をしてもらう必要がありますが、初診病院が廃院している場合や既にカルテが破棄されている場合等は受診状況等証明書が取得できないこととなります。
そこで受診状況等証明書が取得できない場合に使用するのが、受診状況等証明書が添付出来ない申立書です。
この受診状況等証明書が添付出来ない申立書はご自身で最初に受けた医療機関名や場所、受診期間等を記載する書類です。
ただし、この書類を作成するだけでは、客観的証拠が不十分として、申請する初診日を認めてもらうことは出来ません。
申請する初診日が明らかに確認できる客観的な証拠書類を添付して、初めて有効とされます。
客観的な証拠書類としては以下のようなものがあります。
- 身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳
- 身体障害者手帳等の申請時の診断書
- 生命保険、損害保険、労災保険の給付申請時の診断書
- 事業所等の健康診断の記録
- 母子健康手帳
- 健康保険の給付記録
- お薬手帳、領収書、診察券
- 盲学校、ろう学校の在学証明・卒業証書
- 第三者証明
など
受診状況等証明書が取得できない場合でも、証拠書類を積み上げ認められたケースも多くありますので諦めないことが大切です。
なお、以下の動画でもご説明していますのでご参照下さい。
その他の肢体の障害の事例
肢体の障害の新着事例
よく読まれる肢体の障害の事例