目次
対象者の基本データ
病名 | 変形性股関節症(人工関節) |
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性別 | 女性 |
支給額 | 年額 約58万円 遡及金額 約224万円 |
障害の状態 |
|
申請結果 | 障害厚生年金3級 |
ご相談までの経緯
幼少期股関節脱臼があったそうですが、幼少期の一時期に治療を受けたのみで、その後20年以上の期間は症状もなく、何ら不自由なく過ごしていました。
10年程前に足の痛みを自覚しますが、当初は休息により症状が軽減していた為、すぐに医療機関への受診には至らず、徐々に痛みの頻度と程度が増悪したため、4年前に初めてA病院へ受診されました。
「変形性股関節症」と診断され、初診から数カ月後に人工関節置換術を受けられました。
手術後は多少の制限はあるものの、身体に無理のない範囲で仕事も継続されています。
ネットで人工関節術によって障害年金が受けられる可能性があることを知り、自分も受給出来る可能性があるのかどうか、当事務所のLINEよりご相談頂きました。
申請結果
人工関節置換術を受けられた場合、障害年金では原則3級に該当します。(ポイント①)
そのため、今回の申請は初診日時点で厚生年金に加入していることが確認でき、書類に不備なく申請ができれば受給の可能性は高いものとなります。
今回のご相談者様の初診日を検討する上で注意しなければいけないのは「先天性股関節脱臼」があったということです。
人工関節置換術を受ける原因となった傷病「変形性股関節症」と「先天性股関節脱臼」に相当因果関係があるとされた場合、初診日は変形性股関節症として初めてA病院を受診した日ではなく、先天性股関節脱臼で最初に病院を受診した日になります。
先天性股関節脱臼で最初に病院を受診した日は幼少期であり、当時は年金制度未加入時のため、障害基礎年金の対象となってしまい、3級の障害状態では障害年金を受給することが出来ません。(ポイント②)
今回のご相談者様は先天性股関節脱臼の罹患歴はありましたが幼少期に一時期治療を受けた後、変形性股関節症で医療機関に受診するまでの約20年以上に渡って治療や自覚症状もなく、何ら支障なく生活が出来ていました。
この期間を社会的治癒期間として申し立て、「変形性股関節症」としてA病院を初めて受診した日を初診日として申請しました。(ポイント③)
結果、初診日が認められ「障害厚生年金3級」に認定され手術を受けた月の翌月分まで遡って年金が支給されることとなりました。
【ポイント1】人工関節は原則3級
人工関節は「原則3級」と決められています。
ただし、症状によって上位等級(2級以上)に認定される可能性もあります。
また3級に該当するためには初診日に厚生年金や共済年金に加入していることが条件となります。
つまり、初診日が国民年金・20歳未満・第3号といった障害基礎年金が対象の場合は人工関節の手術のみでは障害年金の受給は出来ないというものになります。
【ポイント2】『初診日に加入していた年金制度』と『受給できる等級』
障害年金には主に3種類あり、いずれを申請するかは『初診日に加入していた年金制度』により決まります。
①初診日に国民年金に加入していた場合は『障害基礎年金』
- 対象:20歳未満のため未加入、アルバイト、自営業、主婦等の第3号被保険者、免除申請中等
- 等級:1,2級のいずれかに該当(※)3級はありません。
- 加算:2級以上で子の加算
②初診日に厚生年金に加入していた場合は『障害厚生年金』
- 対象:会社員、社会保険に加入しているアルバイト等
- 等級:1,2、3級のいずれかに該当
- 加算:2級以上で子・配偶者加算
③初診日に共済年金に加入していた場合は『障害共済年金』
- 対象:公務員等
- 等級:1,2、3級のいずれかに該当
- 加算:2級以上で子・配偶者加算
初診日による等級の違いは、以下の動画でもご説明していますのでご参照下さい。
【ポイント2】社会的治癒
社会的治癒が認められると、初診日が変わります。
社会的治癒とは、「症状無し・生活に支障無し・就労可能な状態」が一定期間続いている場合などは、医学的には治癒とは言えなくとも治癒していると認めましょう!という制度です。
今回のケースのように「一度ケガや病気」となったが、しばらくの間問題なく生活していた後に「再度、症状が悪化・支障が出た」とき、最初のケガや病気は「治癒」その後「再発した」ものとして取り扱います。
障害年金上、再発した場合は「再発した後に初めて診察を受けた日」が初診日になります!
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