目次
対象者の基本データ
病名 | 1型糖尿病 |
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性別 | 男性 |
支給額 | 年額 約59万円 |
障害の状態 |
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申請結果 | 障害厚生年金3級 |
ご相談までの経緯
20代の頃に1型糖尿病を発症し、すぐにインスリン治療を開始されました。
適切な治療により、症状はコントロール出来ており、長い間、状態は安定していたそうです。
しかし、40代後半頃より責任ある仕事を任せられる事が増え多忙となり、低血糖を起こす頻度が増えていったそうです。
それでも仕事を継続していましたが、50代になると身体に限界を感じ、退職。
治療に専念するも検査成績は芳しくなく、就労は難しいと考え、以前から知っていた障害年金の申請を真剣に検討し始めたそうです。
しかし申請に際しての注意点などがわからず、ネットで検索していたところ、当事務所を見つけご連絡を頂きました。
申請結果
ご相談者さまは以前から障害年金を知っており、以前にも申請を検討したことがあったそうです。
しかし検査成績が等級に該当せず、そのときは諦めたという事でした。
現在は、検査成績も等級を満たしていたため、すぐに申請準備へ取り掛かりました。
最初に課題と感じたのは、「初診日の証明」です。
初診日が約30年前であり、すでにカルテの破棄・病院の廃院などで証明書を取得できない可能性があります。(ポイント①)
しかし病院へ連絡をしたところ、当時のカルテはしっかり保存されており、無事証明書を取得することができました。
次に診断書作成の依頼へ移りました。
主治医の先生は、これまで障害年金診断書の作成経験はないという事でしたので、見本や記載例等の資料をご用意するとともに、障害年金上の認定基準に関するご説明もさせて頂きました。(ポイント②)
その結果、審査上ポイントとなる点を適切に反映した診断書となりました。
診断書には書ききれない細かな支障については、病歴就労状況等申立書にて主張し、提出となりました。
審査の結果は、申請内容が全面的に認められ、無事3級と認定されました。
障害年金の診断書は申請件数の違いなどから、他の診断書の書式と比較するとあまり馴染みのない先生方も多くいらっしゃいます。
先生方のご負担とならないように依頼するのも大切です。(ポイント③)
【ポイント1】糖尿病による障害年金の特徴
糖尿病の特徴は、10年~20年と長い期間を掛けてゆっくりと進行し、最終的に慢性腎不全に至る事が多いということです。
障害年金を請求するためには、初診日を特定することが重要です。
しかし、糖尿病が悪化してイザ障害年金の申請を試みた時には既に病院が無くなていたり、カルテが破棄されているという理由で、本来なら受給出来た障害年金を泣く泣く諦めるというケースも珍しくありません。
糖尿病と診察された際は、最初は自覚症状が無く、油断してしまうと思います。
それでも、最悪に備えて証拠となる資料を必ず残すようにしてください。
例えば以下のようなものになります。
- 診察券
- お薬手帳
- 病院の領収書
- 健康診断の結果
- 食事療法などのアドバイスを受けたリーフレット
また、現物を残すのに加えて最近ではスマートフォンで撮影してクラウドに写真を残しておくというのもオススメです。
【ポイント2】医師は診断書を書くプロではない
医師は病気の治療に関するプロであって、診断書を記載するプロという訳ではありません。
とくに障害年金の診断書は、障がい者手帳等と異なり特別な訓練などもありません。
そこで大切になるのが「障害年金上の評価方法」をしっかりお伝えすることです。
【ポイント3】医師への診断書作成依頼
「障害年金の請求を考えている」ことを医師にあらかじめ相談しておかれると、診断書の作成がとてもスムーズです。
中には、医師から障害年金の請求を勧められて当事務所へご相談にお見えになる方もいらっしゃいますが、そうではない場合、いきなり診断書作成を医師にお願いすると、作成することを躊躇されることがあります。
障害年金制度や障害年金用の診断書の作成に馴染みがないという医師もいらっしゃる場合があります。
障害年金の請求には、医師に診断書を書いていただく必要があるので、できる限りの協力を得られるとよいですね。