目次
対象者の基本データ
| 病名 | 鬱病（うつびょう） |
|---|---|
| 性別 | 女性 |
| 支給額 | 年額 約７８万円 遡及金額 約３８０万円 |
| 障害の状態 |
|
| 申請結果 | 障害基礎年金２級 |
※こちらの事例は以下の動画でも分かりやすく説明していますので、是非ご覧ください。
ご相談までの経緯
10年ほど前に、家事や身の回りの事をするのが急に億劫になり、母親任せになることが増えてきたそうです。
しばらく様子を見ていましたが、症状は改善せず、パートも欠勤が増え、不安になり受診することにしました。
病院では薬物療法、精神療法により、うつ病の治療が始まりました。
しかし、症状は徐々に悪化し、引きこもり傾向が強まり、パートも退職に追い込まれました。
現在は、通院以外は外出も出来ず、とても就労できる状況ではありません。
日常生活においても、母親のサポートが欠かせません。
なんとか家族への負担を軽減できないか、社会保障の制度をネットで調べていた時に、障害年金の制度を見つけます。
自分も申請しようといろいろ調べましたが、内容が理解できず、藁をも掴む思いで弊社に申請依頼のご相談を頂きました。
申請結果
手続きにあたって、申請方法から考えました。
ご相談者様は、障害認定日頃も日常生活及び就労に大きな支障があり、遡及請求で申請することにしました。＜ポイント①＞
遡及請求では、「障害認定日以後3カ月以内の診断書」と「請求日以前3カ月以内の診断書」が必要になります。
ご相談者様は、初診から現在まで転院されておらず、診断書は2枚とも同じ病院に依頼する事になります。
また、この場合は、「受診状況等証明書」（初診日の証明）は不要です。＜ポイント②＞
診断書依頼の際は、障害認定日と現在のそれぞれにつき日常生活の状況等についての資料を作成し医師に橋渡しをしました。
完成した2枚の診断書には、ご相談者様の状態が正確に反映されていました。
最後に、診断書だけでは伝えられない日常生活の状況等を補足説明するために「病歴就労状況等申立書」を作成して申請しました。＜ポイント③＞
結果は、『障害基礎年金2級』に認定され、過去5年間分の遡及も認められました。
【ポイント１】「事後重症請求」と「遡及請求」
本来、障害年金は障害認定日（原則初診日から1年6ヵ月後）より請求することが出来ますが、何らかの理由で請求しないまま現在に至った場合は『今後の障害年金』に加えて『過去の障害年金』を請求することも可能です。
『これからの年金』を請求する方法を事後重症請求、『過去の年金』を請求する方法を遡及請求と言い、審査の結果は、上記請求を同時に行った場合であっても、それぞれに別個に結果がでます。
つまり「これからの年金は支給」するけれど、「過去の年金は不支給」という結果もあり得ます。
注意点としては『遡及請求』は事後重症が認められて初めて認定されるため、必ず事後重症請求を『最初または同時』に行う必要があります。
遡及請求を行う時は通常よりも診断書代等の費用がかかりますので、認定の可能性や費用等を考慮しつつ、検討してみてください。
【ポイント２】初診病院と現病院が同じ場合の医証
障害年金では医師に記載して貰う書類（医証）は下記のとおり複数枚あることが基本です。
①初めて受診した病院で記載してもらう『受診状況等証明書』が１枚
②現在の病院で書いてもらう『診断書』が１枚
一方、初診から現在まで同じ病院で、今後の障害年金のみを請求する場合は、①が不要となり、②の１枚でOKです。
（※）認定日請求といって過去にさかのぼって申請を行うときはさらにもう１枚必要となることがあります。
【ポイント３】病歴就労状況等申立書
医証（受診状況等証明書、診断書など）には、ある一定の時点の情報しか記載されておらず、発症から現在までの全体の流れを読み取ることはできません。
これを補うために、「病歴就労状況等申立書」に、現在までの「病歴・治療歴」、「就労の状況」、「日常生活の状況」などを、5年ごとに区切って記載します。（転院した場合は、医療機関ごとに記載します。）
また、作成後は、医証との整合性も確認しましょう。
その他の精神の事例
