【事例597】下肢麻痺|障害厚生年金1級

下肢麻痺|障害厚生年金1級

対象者の基本データ

病名 下肢麻痺
性別 女性
支給額 年額 約207万円
遡及金額 約103万円
障害の状態
  • 両下肢完全麻痺
  • 自力での歩行は不可能な状態で常時、車椅子使用
  • 下肢の痛みが強く眠れないこともある
  • 身体障害者手帳1級
申請結果 障害厚生年金1級

 

ご相談までの経緯

2年程前、腰椎麻酔、硬膜外麻酔下で緊急帝王切開術により第一子を出産されました。

出産の翌日より胸痛、呼吸困難、背中の激しい痛み、足に強い痺れと痛みが出現し、次第に両下肢の感覚が消失したそうです。

検査より硬膜外血腫を確認し、すぐに血腫除去術を受けられましたが、術後も状態に改善はなく、両下肢の感覚がなく、自力では全く動かす事が出来ない状態となりました。

現在も硬化予防のため、通院リハビリを継続していますが、両下肢完全麻痺の状態で自力では歩行が不可能なため車椅子での移動に限られています。

ネットで受けられる支援を探し、障害年金を知りましたが、身体の状態から年金事務所に来庁することが難しく、また生まれたばかりの小さな子どももいるため、手続きができる状況ではありませんでした。

そんな中、遠隔でサポート可能な当事務所にご相談いただきました。

 

申請結果

発症は産後すぐでしたので、初診日の証明は妊娠時から通院していたA病院へ依頼することとなりました。

妊娠時からの通院記録があったため、A病院の本来の初診日は妊娠後初めて受診した日ですが、障害年金の申請で必要となる初診日は今回の申請傷病である下肢麻痺の原因に当たる硬膜外血腫の初診日が必要となりますので、記載依頼をする際は障害年金の傷病名もお伝えした上でご対応いただきました。

初診日証明が整い、診断書の作成依頼へと進めます。

遡及請求を行う際、原則、「障害認定日から3ヵ月以内(有効期間)」の状態の確認できる診断書が必要となります。

しかし、今回のご相談者様の場合、状態に改善がないことから医療機関に受診は継続しているものの、有効期間内で障害年金の診断書を作成できるだけの診察は受けておられず、有効期間内の診断書を取得することが出来ませんでした。

初診時から現在まで両下肢が完全麻痺で経過している経緯は主治医の先生もご存知でしたので、有効期間内からは外れますが、限りなく有効期間に近い日付の状態で診断書を作成していただくこととしました。<ポイント①>

全ての書類が完成しましたが、初診日が認められるか、また遡及請求が認められるかどうかの懸念があったため、初診日及び遡及請求を行うことについて代理人の補足申立書を作成し、申請しました。

結果、「障害厚生年金1級」として、申し立てた初診日も遡及請求も認められました。

 

【ポイント1】障害認定日の診断書がない場合の障害認定日による請求

障害認定日による請求を行う場合、原則として障害認定日頃の診断書が必要となります。

しかし、これはあくまでも原則論であり、必ずしも医証によらずとも、障害の程度を判断するための合理的な資料等が得られる場合には認定される余地があると考えられます。

障害認定日頃の診断書が得られないからといってすぐに諦めることなく、医証以外の方法で認定を得られないか一度検討する価値はあると思います。

ただし、全ての傷病で医証がなくても受給ができるというものでは有りませんので、ご注意ください。

 

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