【事例576】大動脈弁閉鎖不全症|障害厚生年金3級(既にカルテが破棄されていた事例)

大動脈弁閉鎖不全症|障害厚生年金3級 

対象者の基本データ

病名 大動脈弁閉鎖不全症(人工弁)
性別 男性
支給額 年額 約62万円
障害の状態
  • 正社員として、工事現場でフルタイム勤務している
  • 大動脈人工弁装着
  • 家事は家族のサポートが必要だが、身の回りの事は、自分でできる
  • 身体障害者手帳 なし
申請結果 障害厚生年金3級

 

ご相談までの経緯

ご相談者様は20年程前に会社の健康診断で異常所見が出て、受診されたそうです。

病院で精査の結果、大動脈閉鎖不全症と診断されました。

軽症で自覚症状も無かったため、その後は、薬物療法と定期的な検査を受けておられました。

ところが、数年前より、症状が悪化してきたため、人工弁挿入置換術を受けることになります。

人工弁挿入後は、症状も改善し、日常生活や就労にも大きな支障なく過ごしておられました。

ただ、いつまでも現場での力仕事ができるか、不安をお持ちでした。

そんな時、人工弁を挿入したら障害年金を受け取れると知人に聞き、申請をお考えになりました。

まず、年金事務所にご相談に行かれましたが、思ったよりも手続きが煩雑で、とても自分ではできないと思い、当事務所に代行依頼のお問い合わせを頂く事になりました。

 

申請結果

ご相談者様は、人工弁置換術を受けておられるので、20年以上前の初診日の証明及び初診日に厚生年金に加入している事が立証できれば、原則として3級に認定されます。<ポイント①>

まず、初診日証明から着手しましたが、初診のA病院ではカルテが残っておらず、2番目のB病院に受診状況等証明書を依頼することになります。

幸いに、受診状況等証明書だけでなくA病院からの紹介状も頂くことができました。<ポイント②>

これらの医証から、A病院が初診病院である事は明らかですが、肝心な初診日の記載はありません。

頭を悩ましましたが、A病院のホームページからA病院開設日が分かります。

しかも、ご相談者様は、その開設日前より現在まで絶え間なく障害厚生年金保険に加入されています。

という事は、どの日が初診日であっても厚生年金保険に加入していることになります。

そこで、「初診日に関する申立書」を作成し、A病院が初診病院であり、いずれの日が初診日であっても厚生年金保険に加入していることを記載した上で、A病院の紹介状作成日を初診日と主張しました。

結果は、主張通りの初診日を認められて、無事、『障害厚生年金3級』に認定されました。

 

【ポイント1】人工弁は原則3級

人工弁を装着した場合は障害厚生年金3級に該当します。

ただし、障害厚生年金3級というのは初診日に厚生年金に該当していなければもらうことができませんので注意が必要です。

 

【ポイント2】初診日の証明が出来ない場合

障害年金は初診日主義とも言われており、初診日の証明が出来ないと障害年金を受給することが出来ません。

初診日の証明は受診状況等証明書という様式を用いて行います。

この受診状況等証明書は必ずカルテに基づいて記載をしてもらう必要がありますが、初診病院が廃院している場合や既にカルテが破棄されている場合等は受診状況等証明書が取得できないこととなります。

そこで受診状況等証明書が取得できない場合に使用するのが、受診状況等証明書が添付出来ない申立書です。

この受診状況等証明書が添付出来ない申立書はご自身で最初に受けた医療機関名や場所、受診期間等を記載する書類です。

ただし、この書類を作成するだけでは、客観的証拠が不十分として、申請する初診日を認めてもらうことは出来ません。

申請する初診日が明らかに確認できる客観的な証拠書類を添付して、初めて有効とされます。

客観的な証拠書類としては以下のようなものがあります。

  • 身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳
  • 身体障害者手帳等の申請時の診断書
  • 生命保険、損害保険、労災保険の給付申請時の診断書
  • 事業所等の健康診断の記録
  • 母子健康手帳
  • 健康保険の給付記録
  • お薬手帳、領収書、診察券
  • 盲学校、ろう学校の在学証明・卒業証書
  • 第三者証明

など

受診状況等証明書が取得できない場合でも、証拠書類を積み上げ認められたケースも多くありますので諦めないことが大切です。

なお、以下の動画でもご説明していますのでご参照下さい。

 

その他の心臓の障害の事例

 

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