目次
対象者の基本データ
病名 | 鬱病(うつびょう) |
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性別 | 女性 |
支給額 | 年額 約103万円 遡及金額 約86万円 |
障害の状態 |
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申請結果 | 障害厚生年金2級 |
ご相談までの経緯
ご相談者様は25年ほど前に不眠の症状が現れたそうです。
しばらく様子を見ていましたが、症状が改善せず、日常生活や就労にも支障が出てきたため受診することにしました。
病院ではうつ病と診断され、薬物療法を受けていました。
しかし、症状は徐々に悪化し、外出も億劫になったため、受診も中断し、仕事も退職を余儀なくされる状況となってしまいました。
この様な状況を心配したご家族の勧めもあり実家へ帰省することになります。
実家で静養することで少しずつ病状が改善したので、再就職されました。
しかし、仕事上のストレスから、不眠や目眩、下痢などの症状が現れ、再び受診することになります。
薬物療法や精神療法を受けましたが症状が改善する期待が持てず自己判断で受診を中断しました。
また、就労はしていましたが、集中力、意欲ともに低下してミスが多くなり、仕事を続けることに限界を感じ退職することになります。
退職後は、定職に就くことも無く、家事をする意欲もなく無為な日々を送っていました。
食欲不振や不眠の症状も継続していましたが、受診しても改善しないと思い受診することもありませんでした。
この様な状態が数年続いていましたが、やがて希死念慮が出現し、自傷行為もするようになり、家族に連れられて受診することになります。
現在まで受診を続けられていますが、不眠や食欲不振、意欲・集中力の低下などの症状が続いており、日常生活も家族の支援が必要で、就労もできる状態ではありません。
ご相談者様は、このような状況で、家族に経済的負担をかけていることを心苦しく思い、また、将来への不安もお持ちでした。
そんな折、病院の相談員の方から障害年金の制度について教えて頂き、申請することをお考えになります。
しかし、思った以上に手続きが煩雑で、とても自分では申請手続きが出来ないと思い、当事務所にご相談を頂く事になりました。
申請結果
「本来請求」での申請となった本事例で、認定の鍵となるのは「一人暮らし」にあると考えました。
<本来請求はポイント①、一人暮らしについてはポイント②をそれぞれご参照ください。>
「本来請求」の場合、障害認定日(初診日から1年6ヵ月経過した日)での就労状況、日常生活の状況が審査でのポイントになります。
ご相談者様は、就労はされてませんでしたが、「一人暮らし」をされていました。
「一人暮らし」をしているという事は、日常の家事や身の回りの事はできていると判断され、不支給となる可能性が出てきます。
そこで、申請手続きにあたり、「一人暮らし」をしている理由、家族以外からのサポートの様子についてお聞きしました。
「一人暮らし」をしているのは、病状をご家族に伝えることで罪悪感を持ち病状が悪化すると思い、家族には病気であることを隠していたためでした。
また、他人との交流も困難で、サポートを受けられず、1日中部屋に引きこもり死ぬことばかり考えていたそうです。
その為、入浴や着替えをすることも無く、部屋の中はゴミ屋敷状態だったそうです。
食事も実家からレトルト食品の仕送りがあり、1日1食となっていたようです。
外出は通院だけに限られていました。
お話の内容からは、日常生活は破綻していると感じました。
まず、このような状況を「診断書」に正確に反映して頂く必要があります。
そこで、「診断書」を依頼する際には、余儀なく一人暮らしをしている理由や、日常生活が破綻している状況を医師に伝えました。
完成した診断書には、家族との関係で一人暮らしをせざるを得ない理由や、誰からのサポートもなく日常生活に大きな制限があることなどが記載されていました。
最後に「病歴就労状況等申立書」に「診断書」では表せない全体の流れを詳細に記載しました。
申請にあたり、「一人暮らし」という高いハードルは有りましたが、全ての書類が揃い自信を持って申請することができました。
結果は、2か月ほどのスピード審査で、『障害厚生年金2級』に認定されました。
【ポイント1】障害認定日から1年以内の請求方法
障害認定日から1年以内に障害年金を請求する方法を本来請求(障害認定日請求)と言います。
診断書は、原則『障害認定日から3ヵ月以内のもの』を用意します。
認定された場合は、障害認定日の翌月から障害年金が支給されます。
なお、障害認定日から1年以上経過してから障害認定日請求を行う場合は、下記の2枚の診断書が必要となります。
- 原則、障害認定日から「3ヵ月以内」のもの:1枚
- 請求日から「3ヵ月以前」のもの:1枚
【ポイント2】単身の精神疾患の審査について
うつ病や発達障害などの精神疾患で障害年金を請求しようとする場合、単身で生活している場合は注意が必要です。
というのも、精神による障害年金は日常生活をどの程度周りから助けてもらっているかが審査の基準になるためです。
もし、このような一人暮らしに該当する場合は、やむを得ない理由や身内・友人その他福祉サービスの利用状況などを訴えることで認定の可能性があります。
一人暮らしの申請事例は以下のページでご紹介していますので、ご参照下さい。
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