目次
対象者の基本データ
病名 | 線維筋痛症(せんいきんつうしょう) |
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性別 | 女性 |
支給額 | 年額 約57万円 |
障害の状態 |
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申請結果 | 障害厚生年金2級 |
ご相談までの経緯
10年程前より、肩・背中・腰の痛みで寝れないこともあり、朝起き上がろうとすると激痛が走り、棚につかまりながら起き上がったり、全く起き上がれない日もあり、仕事に行けない日が出てきたそうです。
しばらく仕事を休んで様子を見ていましたが、症状も改善しないためA病院を受診したところ、要検査の上、治療方針の検討が必要とされ、即日紹介状を貰いうけ、B病院へ転院されました。
B病院の複数の診療科にて各種検査、通院を続ける中で、「線維筋痛症」として確定診断を受け、治療開始。
治療開始当初、症状はやや軽快したように思われましたが、徐々に悪化し、仕事も退職。
転居に伴い、病院も転院し、現在は全身疼痛の為、自力で身体を動かすことも困難な状態にあり、生活全般に介助を必要としており、往診で診察を受けています。
ご家族の協力の下、体調の良い日に自力で障害年金の申請準備を進められていましたが、初診証明が取得できず、また難病のため診断書の記載事項などにも不安があり、当事務所にご相談を頂きました。
申請結果
既に手続きを進められていたため、取得済みの書類をそのまま引き継ぎ、手続きに着手しました。
初診の証明が取得出来ておらず、初診日の特定が出来ていない状態でした。
A病院は既に閉院しており、B病院ではカルテが破棄されていました。
ただ、ご本人様が数年前にB病院にてカルテ開示を行っており、B病院のカルテのコピーを取得されていました。
カルテの内容からA病院の受診時期もおおむね特定できることから、これらの書類を証拠書類として、受診状況等証明書が添付できない申立書に添付するとともに、取得可能な最も古いC病院にて受診状況等証明書を取得し、初診日を明らかにする準備を整える事ができました。
次に診断書ですが、初診日特定前に既に取得されていたこともあり、訂正・追記事項が多くあり、また有効期限も切れてしまっていました。
取得されていた病院にご相談させていただき、訂正ではなく新たに発行していただく形になりましたが、初診日などは的確な情報を記載していただき、また審査で重要となる記載必須事項も含め、障害の状態が十分に反映された診断書を取得することが出来ました。
申請の結果、初診日に疑義を持たれることもなく、障害厚生年金2級と認定されました。
【ポイント1】初診日の証明が出来ない場合
障害年金は初診日主義とも言われており、初診日の証明が出来ないと障害年金を受給することが出来ません。
初診日の証明は受診状況等証明書という様式を用いて行います。
この受診状況等証明書は、本来であればカルテに基づいて記載をしてもらう必要がありますが、初診病院が廃院している場合や既にカルテが破棄されている場合等は受診状況等証明書が取得できないこととなります。
そこで受診状況等証明書が取得できない場合に使用するのが、受診状況等証明書が添付出来ない申立書です。
この受診状況等証明書が添付出来ない申立書はご自身で最初に受けた医療機関名や場所、受診期間等を記載する書類です。
ただし、この書類を作成するだけでは、客観的証拠が不十分として、申請する初診日を認めてもらうことは出来ません。
申請する初診日が明らかに確認できる客観的な証拠書類を添付して、初めて有効とされます。
客観的な証拠書類としては以下のようなものがあります。
- 身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳
- 身体障害者手帳等の申請時の診断書
- 生命保険、損害保険、労災保険の給付申請時の診断書
- 事業所等の健康診断の記録
- 母子健康手帳
- 健康保険の給付記録
- お薬手帳、領収書、診察券
- 盲学校、ろう学校の在学証明・卒業証書
- 第三者証明
など
受診状況等証明書が取得できない場合でも、証拠書類を積み上げ認められたケースも多くありますので諦めないことが大切です。
なお、以下の動画でもご説明していますのでご参照下さい。
【ポイント2】診断書の期限
障害年金の診断書には「現症日」を記載する欄がございます。
現症日とは、診断書に記載されている障害の状態がいつの時点のものかを示すものです。
事後重症請求の場合は、「診断書の現症日から3ヵ月以内」に申請を行わなければ申請時点の障害の状態が確認できないとして、受け付けてもらうことが出来ません。
診断書が期限切れとなった場合、内容の再評価・訂正または障害によっては一から診断書を再発行する必要があります。
他の書類を作成している間に診断書が期限切れ、、ということにならないためにも障害年金では書類を準備する手順も重要であると言えます。
診断書の有効期限に関しましては以下の動画でも説明していますので、ご参照下さい。
【ポイント3】線維筋痛症による診断書のポイント
線維筋痛症の診断書は肢体の障害用(様式第120号の3)を使用します。
線維筋痛症は「線維筋痛症の重症度分類試案 (厚生労働省研究班)」により、症状によりステージⅠ~ステージⅤの5段階に分類されています。
線維筋痛症で障害年金を申請する場合はステージを診断書⑨欄に明記してもらうか、照会様式を診断書に添付しなければなりません。
ステージが確認できないと審査してもらうことが出来ませんので、記載漏れがないか必ず確認するようにしましょう。
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