目次
対象者の基本データ
病名 | 双極性障害(そうきょくせいしょうがい) |
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性別 | 女性 |
支給額 | 年額 約79万円 |
障害の状態 |
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申請結果 | 障害基礎年金2級 |
ご相談までの経緯
ご相談者さまは40歳頃に大病を患い、病状は快方に向かっていったものの、また悪化したらと精神的に不安になっていったそうです。
不安から不眠や食欲不振に陥ったことから、家族の勧めもあって心療内科を受診したとの事でした。
『うつ病』と診断され、投薬治療を開始。
するとすぐに調子が良くなり、通院の頻度も減っていったそうです。
しかし当時の状況は、異常に気分が高揚した状態で過活動状態であり、今から振り返ると躁状態であったと思われました。
しばらくすると再度うつ状態となり、一連の経過から『双極性感情障害』と病名が変更されました。
以降、躁状態とうつ状態を繰り返すようになり、薬を変更したり様々な治療法を試みましたが、発病してから10年間経った現在も同様の状況が続いているとの事です。
病気のため外出することも難しくなり、仕事も退職。
今後のことを考えるとさらに不安感が強くなるとして、何らかの支援を受けようと探していたところ『障害年金』を見つけ、当事務所にご相談がありました。
申請結果
障害年金では前駆症状にて病院を受診した場合も、原則は初診日に含まれる事となっています。(ポイント①)
今回は大病を患った不安からうつ症状へと発展していたことから、大病にて通院していた病院でうつの症状を訴えていたかを確認する必要がありました。
通院していた病院にて診療録の開示を行い、カルテの写しを取得。
内容を確認したところ『うつ』に関する記載が無いことが確認でき、初診日は『大病による不安を感じて以降に受診した心療内科』に確定となりました。
つぎに障害認定日(初診日から1年6ヶ月後)の状態によっては、過去も障害年金を遡って請求できる可能性があるため、当時の状態確認へと移行しました。(ポイント②)
ヒアリングによると障害認定日時点は就労も出来ており、うつ状態・躁状態ともに現在よりも軽度であったことから認定の可能性は低いと考えられました。
ただご相談者様のご希望としては『過去の障害年金請求にもチャレンジしたい』との事でしたので、現在の請求は認定されても、過去の請求は認定されない可能性があるとご説明したうえで請求にチャレンジすることになりました。
結果、過去分については残念ながら不支給となりましたが、今後については『障害基礎年金2級』と認定。(ポイント③)
過去分の不支給決定については事前にご説明していたこともあり、ご相談者さまは冷静に受け止められ、どうかなと悩むよりもチャレンジしてスッキリしたと仰っていました。
【ポイント1】前駆症状と初診日
病気が起こる前触れとなる症状のこと『前駆症状』と言います。
(例)体がだるい(前駆症状)ため風邪かと思い内科を受診したところ『うつ病』と診断され。その後に内科からメンタルクリニックに転医してうつ病の治療を行った。
このような場合は『内科』を初めて受診した日が初診日となります。
一見、初診日とは関係ないように感じる症状であっても、前駆症状に含まれる場合があります。
もし初診日がいつか判断できないようでしたら、ぜひ専門家にご相談ください。
【ポイント2】認定日請求で過去の分を受給
何らかの理由で障害年金の請求が遅れてしまったり、手続きを忘れていた場合には認定日請求(遡及請求)という方法があります。
認定日請求(遡及請求)とは、障害認定日(原則的には初診日から1年6ヶ月後)の状態が定められた症状に該当すると、貰い忘れていた障害年金を一括で受け取れる可能性があります。
なお、遡って受給ができるのは時効の関係上、最大で5年までと決められています。
認定日請求(遡及請求)の事例は以下のページでご紹介していますので、ご参照下さい。
https://nenkin.info/tag/sokyu-seikyu/
以下の動画でも遡及請求のポイントをご説明していますので是非ご覧ください。
【ポイント3】「事後重症請求」と「遡及請求」
本来、障害年金は障害認定日(原則初診日から1年6ヵ月後)より請求することが出来ますが、何らかの理由で請求しないまま現在に至った場合は『今後の障害年金』に加えて『過去の障害年金』を請求することも可能です。
『これからの年金』を請求する方法を事後重症請求、『過去の年金』を請求する方法を遡及請求と言い、審査の結果は、上記請求を同時に行った場合であっても、それぞれに別個に結果がでます。
つまり「これからの年金は支給」するけれど、「過去の年金は不支給」という結果もあり得ます。
注意点としては『遡及請求』は事後重症が認められて初めて認定されるため、必ず事後重症請求を『最初または同時』に行う必要があります。
遡及請求を行う時は通常よりも診断書代等の費用がかかりますので、認定の可能性や費用等を考慮しつつ、検討してみてください。
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