目次
対象者の基本データ
病名 | 広汎性発達障害・双極性障害 |
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性別 | 女性 |
支給額 | 年額 約128万円 |
障害の状態 |
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申請結果 | 障害厚生年金2級 |
ご相談までの経緯
小さな頃はてんかん発作が度々起きることもあったとのことでした。
学生時代は人との距離を適切に保つことが苦手で友達ができず、孤立しがちだったといいます。
大学に入るとアルバイトをはじめましたが、他の人はすぐに覚えられる事がいつまで経ってもこなすことが出来ず、いつも怒られてばかりでストレスを貯めるようになりました。
当時は家と大学とアルバイト先の3箇所の行き来だけで、友人と遊びに行くなども一切無かったといいます。
大学卒業後は就職が決まりましたが、やはり何をやってもうまく行かず、次第に感情が不安定になって抑えきれなくなった事をキッカケに30歳の時に初めてメンタルクリニックに通いました。
病院では広汎性発達障害、双極性障害として治療を行ってきました。
35歳の時にお仕事を退職してからは情緒不安定で通院以外の外出ができず、家族が定期的に食事や掃除などの生活援助を受けています。
生活の為にと失業保険も希望していましたが、受けることを忘れ、生活費にも困窮した状況になってしまった中、障害年金のご相談にこられました。
申請結果
発達障害の初診日は「発達障害のために初めて医療機関を受診した日」となります。
つまり、大人になって「何故かうまくいかないな」と悩んで心療内科などを受けた場合は、その日が初診日となります。
ただ、注意が必要なのは、広汎性発達障害の中でも、知的障害を伴うものは、初診日が生まれた日となり、基礎年金での請求となるということです。
今回のご依頼者様の場合、既に知的検査を受けており、知的障害は無いと診断されていたため、障害厚生年金にて請求を行う事となりました。
発達障害の場合、このように幼少期より明らかに症状が現れていても、20歳を超えてから発達障害と診断された場合は、その初めて通院した日が初診日になります。
また、発達障害では、病歴就労状況等申立書の書き方も注意が必要です。
それは『生まれてから現在まで』の病歴・通院歴・症状・日常生活の様子などを記入する必要があります。
ご本人では、あまり自覚が無いことも多く、ご両親など出来るだけ周りからのエピソードも反映しながら組み立てていきます。
この病歴就労状況等申立書は普段の問診の中だけで伝えきれていないエピソードも盛り込むため、主治医への状況の説明にも役立ちます。
その結果、ご依頼者様の症状が適切に反映された診断書を取得することができ、遡りは認められませんでしたが、事後重症として今後の年金は障害厚生年金2級として認められました。
【ポイント1】二次障害の発症している発達障害
発達障害の方が社会で生活をしていくにはストレスが多く、うつ病などの精神疾患を発症するケースがあります。
これを発達障害を原因とした二次障害といいます。
このように二次障害を発症しているケースでの発達障害は、それぞれの疾病をまとめて総合的に判断をされます。
例えば、発達障害と統合失調症が併発している場合、これを別々の病気として評価するのではなく
ひとつの病気として、日常生活や就労にどれだけ影響があるのかがポイントになるということです。
【ポイント2】発達障害と就労
必ずしも「就労している=不支給」とは限りません。
とはいえ、発達障害の場合は、審査上、就労の有無が重要なポイントとなってきます。
就労している継続年数や、就労形態についても審査では見られます。就労している場合は、会社から受けている配慮や、帰宅後や休日の体調などを申し立てることも必要です。
たとえば、体調が悪化した場合の早退、通院のための遅刻や、その他、業務を行う上での配慮を受けていれば、そのあたりも記載します。また、なんとかがんばって会社に行けても、帰宅した途端どっと疲れが出て寝込んでしまう場合や、休日は家事も一切できない場合なども、医師にしっかり伝え、診断書に反映していただくことも大切です。
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