目次
対象者の基本データ
病名 | 注意欠陥多動性障害(ADHD)・うつ病 |
---|---|
性別 | 女性 |
支給額 | 年額 約173万円 |
障害の状態 |
|
申請結果 | 障害厚生年金2級 |
ご相談までの経緯
ご相談者さまは、もともと幼少期から社交的で人懐っこい性格とされた一方、落ち着きが無いと言われていたそうです。
忘れ物や提出期限を守れない等で、教師から度々叱責されることもあったと言います。
ただ非常に活動的で好奇心旺盛な性格は変わらず、唐突に海外へ留学したり、社会人になると行動力を生かした職に就き会社に貢献していました。
しかし25歳頃に新しいことを求めて転職したことをきっかけに、うつ状態となりました。
原因は元来苦手だった事務作業という業務がご相談者さまに合わず、プレッシャーから強いストレスを抱えてしまったそうです。
不眠や意欲低下、食欲不振などが目立ち、心療内科を受診したところ『うつ病』と診断。
薬を服用すると2ヵ月程度で症状が改善しましたが、数か月後にうつ状態が再燃しミスを頻発するようになりました。
再度、医療機関を受診すると「発達障害の可能性がある」と言われ検査を実施。結果『注意欠陥多動性障害』と診断を受けました。
また『二次障害としてうつ病を発症している』との事でした。
50歳となった現在は、日常生活も支援を要するほど症状が悪化してしまい、何も出来ないことに自分を責めてしまうという状況が続いています。
心配した友人が自宅を訪れた際「少しでも気が楽になるのではないか」と障害年金を教えてくれたそうで、当事務所にご相談がありました。
申請結果
発症から25年程度という事で、病歴が長く初診日の証明が取得できるかが課題となりましたが、当時の病院に問い合わせたところ、カルテが残続しているとの事で、早速、受診状況等証明書の作成を依頼。
しかし出来上がった証明書では、ヒアリング時にお聞きした日付よりずっと以前が初診日とされていました。
ご相談者様に確認したところ通院した記憶は無かった為、病院に詳しい情報を聞いたところ『1回受診され、再診はその10年後である』という事が判明。
2つの初診日が判明しましたが、このようなケースは『通院していなかった間の状態』により、いずれを初診日として申請するかが決まります。
もし通院していない期間にも症状があった場合は『最初の受診日』が初診となり、症状が無く元気に生活出来ていた場合は、社会的治癒が認められ『再診日』が初診となります。(ポイント①)
そこで当時の状況を詳しくヒアリングしたところ、通院していない間は海外へ旅行を繰り返す程、元気に生活していたとの事でしたので、今回は再診日を初診とする方針となりました。
よって申請では再診日を初診とした受診状況等証明書を取得し直し、添付しました。
病歴就労状況等申立書にも社会的治癒を主張するとともに、パスポートの記録等を添付して疑義が生じないように対策しました。
また申立書は、原則傷病ごとに作成する必要があるため、AHDHとうつ病のそれぞれの症状・支障がわかるよう、別々に分けて作成。
ADHDに関する申立書は、出生から現在までを記載する必要があった為、ヒアリングは複数回に分けて実施し、詳細を記載しました。(ポイント②)
審査では社会的治癒が認められ、主張どおりの日付が初診日と認定。『障害厚生年金2級』を受給することが出来ました。
【ポイント1】社会的治癒
社会的治癒が認められると、初診日が変わります。
社会的治癒とは、「症状無し・生活に支障無し・就労可能な状態」が一定期間続いている場合などは、医学的には治癒とは言えなくとも治癒していると認めましょう!という制度です。(※詳しくは『社会的治癒とは』をご参照下さい。)
今回のケースのように「一度ケガや病気」となったが、しばらくの間問題なく生活していた後に「再度、症状が悪化・支障が出た」とき、最初のケガや病気は「治癒」その後「再発した」ものとして取り扱います。
障害年金上、再発した場合は「再発した後に初めて診察を受けた日」が初診日になります!
【ポイント2】発達障害の病歴就労状況申立書
発達障害は、先天的な脳機能の障害とされています。
幼少期から症状が現れるのことも多いですが、近年は大人になってから発覚するケースも増えています。
いずれの場合であっても、病歴就労状況申立書には『生まれてから現在まで』の病歴・通院歴・症状・日常生活の様子などを記入する必要があります。
【ポイント3】発達障害と初診日
発達障害の初診日は「発達障害のために初めて医療機関を受診した日」です。
先天性の疾病のため、知的障害と同様に生まれた日が初診日になるという誤解が多いのでご注意ください。
また、20歳未満では親元で生活をしていることも多く症状が目立たないものの、社会に出てから、周りと上手くコミュニケーションが取れないなどの悩みが原因でメンタルクリニックを受診して発達障害と診断されるケースも多くあります。
このように幼少期より明らかに症状が現れていても、20歳を超えてから発達障害と診断された場合は、その初めて通院した日が初診日になります。
その他の精神の事例
精神の障害の新着事例
よく読まれる精神の障害の事例