【事例263】関節リウマチ(人工関節)|障害基礎年金2級(既にカルテが破棄されていた事例)

関節リウマチ(人工関節)|障害基礎年金2級 

対象者の基本データ

病名 関節リウマチ(人工関節)
性別 女性
支給額 年額 約100万円
障害の状態
  • 両肩ともに人工関節
  • 両肘・両手指機能の著しい障害
  • 両膝関節機能の著しい障害
  • 身体障害者手帳2級
申請結果 障害基礎年金2級

 

ご相談までの経緯

26歳の時、足の親指に痛みがあり近所のA外科を受診しました。

血液検査をしたところ、関節リウマチと判明しました。

頻繁に通院をしながらステロイドなどによる治療を行いましたが、症状は悪化したといいます。

その後も、リウマチの名医がいるという噂を聞けば家族の助けも借りながら転院をしていました。

40歳の頃からは生物学的製剤による治療も始めました。

数年の一度のペースで手首、指、肩関節などの手術も行われました。

日によって症状には差があるものの、2~3日全く動けず寝て過ごすこともあるといいます。

少しの衝撃でも骨折を繰り返すという状況から精神的にも不安が多く、一日横になって過ごす事が多い生活を送られていました。

そのような中、障害年金を知り、少しでも治療費の足しにしたいとご相談にこられました。

 

申請結果

障害年金の手続きの第一歩は初診の証明です。(ポイント①)

今回のケースでは初診日から20年以上が経過しておりカルテが既に破棄されている事が分かりました。

こういった場合、「受診状況等証明書が添付できない申立書」を提出することになります。

しかし、この申立書を提出したからと言って、障害年金が認められるわけではありません。(ポイント②)

そこで、些細なものでも良いので当時の証拠を探して頂きました。

その結果、診察券と血液検査の結果が見つかりました。

そして、血液検査の中には日付とリウマチを示す数値がハッキリと現れていました。

これだけで、この時点が初診とまで明確に証明する証拠とは言えませんでしたが、「初診はおおよそこの辺り」までは証明することが出来ました。

また、ご本人様の年金記録も未納が無く納められていた事もあり無事に障害基礎年金2級として認定を受けました。

 

【ポイント1】初診日が大切な理由

障害年金では、初診日が最も重要とされています。

なぜ重要なのかというと、初診日は以下のように様々な『基準』となる為です。

 

①制度加入要件

初診日にどの制度に加入していたかで、受けられる年金が決まります。

 

②保険料納付要件

障害年金を申請するには、初診日の前日から数えて一定期間の保険料を納めている必要があります。

 

③障害認定日の起算点

原則として『初診日から1年6ヵ月経過した日』に障害の程度を認定します。

これを障害認定日と言い、この日以降で無ければ障害年金の請求が出来ません。

 

【ポイント2】 初診日の証明が出来ない場合

障害年金は初診日主義とも言われており、初診日の証明が出来ないと障害年金を受給することが出来ません。

初診日の証明は受診状況等証明書という様式を用いて行います。

この受診状況等証明書は、本来であればカルテに基づいて記載をしてもらう必要がありますが、初診病院が廃院している場合や既にカルテが破棄されている場合等は受診状況等証明書が取得できないこととなります。

そこで受診状況等証明書が取得できない場合に使用するのが、受診状況等証明書が添付出来ない申立書です。

この受診状況等証明書が添付出来ない申立書はご自身で最初に受けた医療機関名や場所、受診期間等を記載する書類です。

ただし、この書類を作成するだけでは、客観的証拠が不十分として、申請する初診日を認めてもらうことは出来ません。

申請する初診日が明らかに確認できる客観的な証拠書類を添付して、初めて有効とされます。

客観的な証拠書類としては以下のようなものがあります。

  • 身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳
  • 身体障害者手帳等の申請時の診断書
  • 生命保険、損害保険、労災保険の給付申請時の診断書
  • 事業所等の健康診断の記録
  • 母子健康手帳
  • 健康保険の給付記録
  • お薬手帳、領収書、診察券
  • 盲学校、ろう学校の在学証明・卒業証書
  • 第三者証明

など

受診状況等証明書が取得できない場合でも、証拠書類を積み上げ認められたケースも多くありますので諦めないことが大切です。

 

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