【事例226】高次脳機能障害|障害基礎年金2級(生活保護を受給している事例)

高次脳機能障害|障害基礎年金2級

対象者の基本データ

病名 高次脳機能障害
性別 男性
支給額 年額 約129万円
遡及金額 約237万円
障害の状態
  • 記憶障害、遂行機能障害などが目立ち複雑な会話や行動は不可
  • 身寄りが無く一人暮らしのため、福祉施設の援助により生活が成り立っている
  • 就労は出来る状態に無く、生活保護を受給中
  • 精神障害者保健福祉手帳2級
申請結果 障害基礎年金2級

 

ご相談までの経緯

Mさんは仕事からの帰宅中に電車と接触、意識も無く、すぐさま救急搬送されました。

一命は取り止め奇跡的に外傷も軽度で済んだのですが『高次脳機能障害』が残ってしまいました。

とくに記憶障害と遂行機能障害、歩行障害が目立ち、障害の影響から暴力的な性格にもなってしまったそうです。

事故から1ヶ月後、高次脳機能障害専門のリハビリ施設へと転院。

入院しながら自宅に戻るための訓練を始めました。

Mさんは身近に頼れる人がおらず、一人暮らしであったため、なかなか退院の目途が経たず、入院生活は約1年間も続きました。

退院後は就労を希望していましたが、障害により複雑な行動が出来ない状態となっていた為、仕事は断念。

市の支援を受けて生活保護を受給することになりました。

生活については、週に数回身のまわりの介護のためにヘルパーが通って支援を行っているとの事でした。

また社会復帰の手助けとして、市から勧められた地域の福祉施設にも通うようになり、そこで「自立したい」と相談。

そこで福祉施設の職員さまから当事務所にご相談がありました。

 

申請結果

障害によりご本人さまが複雑な会話が出来ないとの事でしたので、まずは福祉施設の職員さんを交えて面談を行いました。

症状は重く生活支援も必須な状態であった為、すぐに障害年金を申請することに決まりお手続きに入りました。

まず相談時は生活保護を受給中だったため、市の担当者へ障害年金を申請する事について話し合いを行いました。

話し合った結果、障害年金の申請は受け入れられ、当事務所への報酬を経費として認めることでまとまりました

また申請の方針としては、初診日から1年6ヵ月後(障害認定日)の状態が等級に該当する可能性が高かったため、遡及請求も合わせて行う事に決めました。

今後の障害年金のみならず、過去に遡って障害年金を請求する方法もあり、これを障害認定日請求といいます。

申請の準備では、初診日の証明書や診断書等の取得はスムーズでしたが、病歴就労状況等申立書の作成に難航しました。

というのも、ご本人様が記憶障害により事故発生から現在までの記憶が殆ど無く、身近に頼れる方もいなかったためヒアリングが出来ない状況でした。

よって、入院・通院した各病院へカルテ開示を行い、全てのカルテを取得。

また事故後にお世話をしてくれていた方が残していた日記を手掛かりに、経緯等を把握し申立書の作成を行いました。

特殊性が高かったため申請準備には4ヶ月程要しましたが、無事に提出が完了。

結果は、今後の障害年金・過去の障害年金とも『障害基礎年金2級』と認められました。

 

【ポイント1】生活保護を受給中の障害年金申請

生活保護を受給しながら障害年金を受給した場合、生活保護費に障害年金額が上乗せされる訳ではありません。

原則として生活保護費から障害年金額が差し引かれることになります。

また障害年金は収入とみなされるため、就労等により別で収入がある場合は、生活保護がストップしてしまう可能性もあるため注意が必要です。

一方、地域によっては生活保護を受給中の場合、預貯金等の資産を持つことを制限されるケースもありますが、障害年金にはそのような制限が無いため、自立を目指している方にとってはメリットがあります。

 

【ポイント2】 認定日請求(遡及請求)

何らかの理由で障害年金の請求が遅れてしまったり、手続きを忘れていた場合には認定日請求(遡及請求)という方法があります。

認定日請求(遡及請求)とは、障害認定日(原則的には初診日から1年6ヶ月後)の状態が定められた症状に該当すると、貰い忘れていた障害年金を一括で受け取れる可能性があります。

なお、遡って受給ができるのは時効の関係上、最大で5年までと決められています。

 

その他の精神の事例

 

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