目次
対象者の基本データ
病名 | 両緑内障 |
---|---|
性別 | 女性 |
支給額 | 年額 約102万円 |
障害の状態 |
|
申請結果 | 障害基礎年金1級 |
当事務所スタッフによる事例紹介動画
当事務所のスタッフが実際に申請した流れを動画で詳しく説明しています。
当事務所の雰囲気を感じて頂けると思いますので、是非ご覧ください。
ご相談までの経緯
ご依頼者様は、両眼の緑内障により視力と視野に障害を抱え、日常生活に大きな不安を感じていました。
長年にわたり治療を続けてきたものの、進行性の病気であるため、症状は徐々に悪化していきました。
視力の低下と視野の狭まりが顕著になり、日常の活動にも支障が出るようになったことで、障害年金の申請を決意されたそうです。
しかし、初診日は20年程前で、初診日証明の難しさからご自身での申請に不安を感じておられ、当社にご相談いただく運びとなりました。
申請のポイント
障害年金の手続きでは初診日の証明がとても大切です。初診日証明ができない場合は、最悪、申請すらできなくなってしまいます。
ご依頼者様は初診日が20年ほど前でしたので、予想はしていましたが、初診病院でのカルテは残っておらず初診日を証明する「受診状況等証明書」を取得することができませんでした。
そこで、2番目の病院に連絡したところ、幸いカルテが残っており「受診状況等証明書」を作成して頂くことができました。
そして、2番目の病院で取得した「受診状況等証明書」には、初診病院の名称や初診病院の受診期間についての記載もあり、初診日を確定することができました。
次に、ご依頼者様は、遡及請求を希望されていましたので、障害認定日の診断書を取得しました。
しかし、当時の症状は軽く、認定基準に達していなかったため、遡及は難しいと判断しました。(ポイント①、②をご参照下さい。)
そのため、現在の状態を基にした「事後重症」での申請を進めることにしました。
現在の診断書では、視力は良い方の目の矯正視力が0.05、視野は両眼ともゼロに近い状態となっており、1級に該当する状態と判断できました。
診断書が完成した後は、病歴就労状況等申立書など必要書類を整備し申請しました。
結果
遡及は認められませんでしたが事後重症は想定通り障害基礎年金1級に認定されました。
ただし、今回の認定は5年の有期認定となりました。緑内障は進行性の疾患であるため、今後、症状がさらに悪化した場合には、将来的に永久認定となってもよいのではと思っています。
感想
今回のケースでは、初診日の証明や、視力と視野の状態に基づいた認定基準の判断がポイントとなりました。
また、本事例では視野だけで1級の状態と判断できましたが、視力と視野は併合認定されますので、ともに2級の状態でも併合で1級となります。
その他、まぶたの欠損障害、調節機能障害、瞳孔の障害なども併合認定の取り扱いになることを再認識することができました。
今回のご依頼者様も、視力と視野の検査結果に基づいてしっかりと認定され、ご納得いただけました。
また、緑内障の進行具合や視力の変化が将来の認定に影響を与える可能性があるため、今後も経過観察を続けながら、必要に応じてサポートを提供してまいります。
【ポイント1】視野障がいの認定基準
平成25年6月より視野障がい2級の基準が緩和されました。
これによって、それ以前に障害年金を申請して不支給となっていた方や従来の基準をみて諦めていた方でも、認定を得られる可能性があります。
2級の障害認定基準(①or②)
①両眼の視野がそれぞれ 5 度以内におさまるもの(Ⅰ/2 の視標)
②次のいずれにも該当するもの
・両眼の視野が10 度以内(Ⅰ/4 視標)
・中心10度以内の8方向の残存視野のそれぞれの角度の合計が56度以下(Ⅰ/2 視標)
【ポイント2】認定日請求で過去の分を受給
何らかの理由で障害年金の請求が遅れてしまったり、手続きを忘れていた場合には認定日請求(遡及請求)という方法があります。
認定日請求(遡及請求)とは、障害認定日(原則的には初診日から1年6ヶ月後)の状態が定められた症状に該当すると、貰い忘れていた障害年金を一括で受け取れる可能性があります。
なお、遡って受給ができるのは時効の関係上、最大で5年までと決められています。
認定日請求(遡及請求)の事例は以下のページでご紹介していますので、ご参照下さい。
以下の動画でも遡及請求のポイントをご説明していますので是非ご覧ください。
【ポイント3】事後重症による請求
「事後重症による請求」とは、初診日から1年6か月経過した日(障害認定日)時点においては障害等級に該当しない状態であった場合で、その後65歳に達するまでに障害の状態が悪化し障害等級に該当し、65歳に達するまでに請求を行う申請方法です。
事後重症による請求が認められた場合、請求した月の翌月分から年金が支給されることとなります。
そのため、請求方法が「事後重症による請求」の場合は、ひと月申請が遅れるごとにひと月分の年金が消滅していくこととなります。
何らかの理由で「障害認定日による請求」が出来ず、「事後重症による請求」となる場合は申請スピードが大切になります。